コードギアス 反逆?の首輪付き   作:Casea

8 / 22
先に謝っておきます。

ニーナとカレンが好きな方ごめんなさい……。
なんでこうなったか自分でもわかりません……。




06話 ゲットー

「ふわぁぁぁぁ……眠い……」

 

 思わず大きな欠伸が出てしまった。黒の騎士団として活動しだしてから朝は学校、夜は騎士団の二重生活で寝不足が続いている。このままでは倒れてしまいかねない。何とか寝る時間を作らないと……。

 

 生徒会室の前に行くと中が何やら騒がしい。

 

「ユウ! おいよせ! やめろ!」

 

「足掻くな。運命を受け入れろ」

 

 ユウが抵抗しているルルーシュに何かをしようとしているらしい。

 え? 何? 何が起こってるの? もしかして……。

 

 

 

 

『君は今日から僕のペットだ……』

 

『駄目だ……俺にはリヴァルという飼い主が……』

 

――だがユウは無理矢理ルルーシュに首輪を……

 

 

 

 はっ!? 危ない……変な世界に足を踏み入れるところだった……。それもこれもニーナがっ……!

 

『ユウ×ルルかなぁ……? それともスザ×ユウ……? どっちだと思う……?』

 

 とか聞いてくるから! 私にはそんな趣味は断じてない! ……ないはず……。わ、私はユウ×ルルかなぁ……じゃなくって!

 

 頭を思いっきり振って変な想像を振り払う。疲れと寝不足のせいだわきっと……。入ってみればわかる。意を決して扉を開ける。

 

 

 中では縛られたルルーシュが顔にネコみたいなひげを書かれていた。他の皆も動物のキグルミを着ていたりしていた。……えーっと……コスプレパーティ?

 会長が言うにはどうやらユウとアーサーの歓迎会らしい。そういえばまだしてなかったわね。アーサーとはスザクが拾ってきた猫のことだ。その割にしょっちゅう噛みつかれているみたいだけど。

 

「カレンの分も用意してあるよ、ほら!」

 

 洋服掛けにはたくさんのキグルミ……え? 私も?

 

「い、いや……私は……」

 

「だーめ! 会長命令よ!」

 

 いやいや、よ! じゃなくって……。

 

「ほ、ほら……! ユウだって何にもしてないですし!」

 

 ユウは一切手を付けられていない。

 

「ユウはほら、何にもしなくても動物みたいだし」

 

「僕はほら、首輪付き獣だし」

 

 そういってユウはにやりと笑った。

 くっ! この……ケモノのくせに……!

 

「そ、それより三人共大丈夫だった? 特にシャーリー」

 

 無理矢理話題をそらす。

 

「もう大変だったよ! 皆に質問責めされて! 特にあの黒いのについて凄い聞かれたんだから!」

 

 私も現場で見た、あの黒いKMF。シンジュクゲットーにも現れていたけど……あいつは味方なのかしら。それとも敵……?

 

「報道カメラとか数日前からずっといるよね」

 

「おかげで全然外に出られないわよね~」

 

 あの事件後からマスコミが校門前に詰め寄せている。そりゃまぁ謎のKMFに救出された少女がいるんですものね。

 

「でも、だからってなんで俺達まで外出禁止なんですか?」

 

「ほら、よく言うじゃん。『連帯責任だ! 全員腕立て100回追加!』って」

 

「いや……お前それどこの鬼軍曹だよ……」

 

 そんな話を聞きながらスザクは目に涙を溜めていた。

 

「良かった……またこうしてみんなで集まれて……本当に良かった……」

 

「ま~たスザクはそういうこと言うんだか……ら!」

 

「ふぐぅっ!」

 

 ユウがスザクにコブラツイストをかましている。あー……綺麗に決まってるわね……。

 

「大丈夫だよ……! 皆が死ぬなんてことないから……っ!」

 

「どうして?」

 

「皆なんやかんやでしぶとそうだし……!」

 

「ほほ~う? 今の聞きました~かいちょ~?」

 

「生意気なペットにはお仕置きが必要ねぇ~!」

 

 そう言ってリヴァルと会長がユウに襲いかかった。

 

 

「ギニャァァァァァァ!」

 

 口は災いの元……ね。合掌。

 

「リヴァ×ユウも意外と……?」

 

 ニーナ、少し黙ろうか。

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 今日はひどい目にあった……。僕が何したっていうんですか! 口が正直なだけじゃないさ!

 しかし……最近ニーナが僕に畏怖の視線を向けなくなってきた、それは良い。だけどなんか別の恐ろしい視線を感じるんだけど……? 気のせい?

 

 

 

 

 茜色に染まる空の中、外出禁止令も解除されたので僕は今ゲットーに来ております。初めてこの世界に来た場所、シンジュクゲットー。ここを調べれば何か記憶を取り戻す手がかりがあるんじゃないかと思い来てみたんだけど……。見渡す限り崩れたビル、ビル、ビル……。僕が生まれるより遥か昔に"大破壊"という事が起きたという。その後の世界もこんな感じだったのかな……?

 どこへ行ってもいつになっても争いばかりで……平和なんてありえるのかな。例え平和に見えたとしても、それは表面だけ。裏では殺し合いばかり。反吐が出そう。誰も争わない、平和な……優しい世界なんてものは所詮頭がお花畑な奴の戯言なんだろうか……?

 

 彼女が望んでいた世界。僕は……記憶のない間、理想の為に動いていたのだろうか。

 

 

「ユウ……?」

 

 不意に背中に声をかけられる。カレンだった。

 

「カレン? こんな所で何してるの?」

 

「え? あ、えっと……あなたがゲットーに入っていくのが見えたから……」

 

「それでこんな所までついて来たの? 危ないにゃぁもう」

 

「にゃ……? あ、そ、そうよね……ごめんなさい」

 

「カレン可愛いんだからこんな所歩いてると悪いおじさんに襲われちゃうよ」

 

「か、かわっ!? ちょっと……何言ってるのよ……」

 

 お顔真っ赤ですね、うへへ。まぁカレン強いから大丈夫だけどね。言わないけど。口は災いの元って今日学んだからね。

 

「それに前ここで戦闘あったし危険だよ」

 

「え……? どういうこと……?」

 

 あ、いっけね。心の鍵かけ忘れてた。

 

「あー……それはあれだ……そのー……えぇいもういいや! ……内緒だよ?」

 

 僕が最初こちらの世界に来た時居た場所がここで、その時にブリタニア軍による日本人虐殺があったことをカレンに告げた。カレンは驚いて目を見開いていた後、何かを考え込むように口に手を当て目を細めていた。

 

「その時にあなたはここにいたのよね……?」

 

「誰にも話しちゃだめだよ? なんかテレビで報道されなかったらしいから、下手に話が出回ると裏の怖い人に消されかねないし」

 

「えぇ……わかったわ」

 

 カレンも納得してくれたご様子。一安心。

 

 いやー……それにしても……寒い光景だなぁ……。

 瓦礫の上に腰掛け辺りを見渡す。こんな中で一生懸命に生きている人達がいる。

 

「あなたの目には……ここはどう見える?」

 

 難しい質問だなぁ……。

 

「ブリタニア人のカレンの前でこんなことを言うのは悪いけど……ブリタニアって頭悪いよね」

 

「え?」

 

「あくまで僕の考えだし、ブリタニアのことは詳しくは知っているわけじゃないけど……僕はここがブリタニアの頭の悪さの象徴に思えるよ。だって確か侵攻した理由が希少鉱物欲しさにでしょ? そりゃ確かに占領すれば供給は賄えるけどさ……。色々方法考えて、取引すれば良かったのに。それを放棄して力で捻じ伏せちゃってさ……頭悪いよね。

 たとえ他に方法がなかったり侵略する理由があったとしてもさ、支配方法ってものがあるよね。今みたいに力で押さえつけてりゃそりゃ反抗もされるよ。この街にしてもそうだよ。何で復興させないの? 復興させて使った方がよっぽど利用価値があるのに……宝の持ち腐れだよね」

 

 捲し立てちゃったけどカレン怒ってないかな。怒ってないと良いけど。

 だがカレンは微笑んでいた。

 

「えーっと……どうしたの?」

 

「いえ、そういう考え方もあるんだ……って思って……」

 

「きっとこっちの人はこの支配体系が当たり前になってて考えないだけだよ」

 

「ふふ……そうかもね」

 

「さぁて、暗くなる前に帰ろうか」

 

 さっさと帰ってご飯だ、ご飯!

 

「そういえばあなたはどうしてここへ?」

 

「帰りがてら話すよ」

 

 

 帰ろうと立ち上がると爆発音と共に揺れが起きた。カレンを引き寄せ物陰に隠れる。カレンが顔を赤くして何か言ってるが気にしない。

 黒煙が上がり、煙の中からKMFが数機出て来た。

 

「我々は黒の騎士団である! これはブリタニアに対する抵抗の炎だ! 立ち上がれ日本人よ! 黒の騎士団と共に支配者を討て! ブリタニア人を殺せ!」

 

「何を言っているの……! あんなの……!」

 

「あんなのは黒の騎士団じゃないよ」

 

「え……?」

 

「黒の騎士団はブリタニア人、日本人関係なく弱い者の味方と宣言していた。なのに奴らは無差別に殺しているし、助けようという気もない」

 

 テロリストのKMF(後日知ったが"無頼"という日本側で改造されたものらしい)は地を走行しながら平然と通行人をひき殺している。

 

「詳しいのね?」

 

「僕はテレビっ子だからね。そんなことよりどうしよう……どっから逃げたものか……」

 

 警察用のKMFの他に軍も出張っているらしく、いつぞやに見たブリタニア軍KMFのサザーランドも出てきている。

 ……そうだ、敵さんの回線を拝借させてもらおう。カレンもいるけど……背に腹はかえられない。

 懐から取り出した銃に小型リコンを込め、近くのブリタニアKMFに向かって撃ち出す。リコンはコクピット部分に張り付いた。端末を取出しちょいちょいと弄る。

 

「何をしたの……?」

 

「ちょっと待ってね……ここをこうして……ほい」

 

≪テロリストはKMFを使用! 敵の数は5機と推定! 一機たりとも逃すな!≫

 

「ブリタニア軍の軍用通信回線!? あなた一体……!?」

 

「なーいしょ。まぁ無事に帰れたら少しばかりなら話すよ」

 

 これで上手いこと敵の薄い層を抜けて行けば逃げられるはず。

 

≪なお、テロリストはゲットー住人に紛れ込む公算大! 包囲内のイレブンは一人残らず皆殺しにしろ!≫

 

 ブリタニア軍機が住民を攻撃し始めた。老若男女問わず皆殺しにする気らしい。

 

「そんな……!? 酷い……!」

 

 不味いぞ……ACを使えば簡単に抜け出せるし、虐殺を止めることが出来る。だけどカレンがいる状態で使えば正体がばれかねない……。くそ……っ! どうすれば……。

 

 その時、破壊されたテロリストのKMFがこちらに倒れてきた。すぐさまカレンを抱きかかえ倒れてくる機体に背を向ける。

 

「ぐっ!」

 

 倒れて来た際の衝撃で瓦礫や機体の破片が背中に刺さる。

 

「ユウ! 大丈夫!? 背中……血が出て……!」

 

「大丈夫大丈夫……僕頑丈だしっ!」

 

 すっげぇ痛いけどな! いくら僕が強化人間でも痛いものは痛いよ! くそったれ!

 あぁもう! 迷ってる時間くらいくれればいいのに……! さっき背に腹はかえられないとか考えたばっかなのに、もう背中ボロボロだっつーの……! 結局腹もダメージ負うはめになるのか……。

 

「カレン……こっち……」

 

 今ここでACを呼ぶのは不味い……隠し場所は幸いにも近い。あそこまで行ければ……。

 カレンが肩を貸してくれた。もう少し……。

 

「ここだ……」

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

「ここ……? ここに何かあるの……?」

 

 ユウに連れて来られたのは崩れかけたビルの中。ここに何が……?

 彼が手に持っていた端末に触れると目の前に黒い何かが突然現れた。

 

「え……? これって……!?」

 

 今までで二度見たことがある。一度はシンジュクゲットーでの殲滅戦の時に。二度目は河口湖ホテルジャック事件の際に。

 どうしてこの機体が……? いえ、そもそも……どうして彼が……?

 

「カレン……こっちに……」

 

 ユウは傷が痛むのか顔が歪んでいる。彼は瓦礫を伝い機体に上り始めた。機体の番号認証と指紋認証を共に終えるとコクピットハッチが開く。

 これは……KMFじゃないの……? 似ているようで全く異なる機体。これは一体何……?

 

 コクピットの中もまるで別物だった。KMFを動かしたことがあるからこそ、この機体の操縦性の難解さを理解できた。あまりにも違いすぎる。こんなものを本当に人間が操縦できるの……?

 ユウがシートに座り、傍のチューブに繋がった機械を手に取ると、そのままうなじの機械に刺した。不快そうに声を漏らす。

 彼の首の機械が何の為にあるのか何となくわかった。この機体の為だ……。

 

【AMS装置との接続を確認 パイロットデータを照合】

【メインシステム、戦闘モード起動します】

 

 マシンボイスが流れる。やっぱりこれはKMFとは全くの別物とみて間違いない。

 

「カレン……外は危険だ……こちらに……」

 

 こっちって……どこに……。まさか……膝の上!? でもそんなこと言ってる場合じゃないし……あーもうなるようになれ!

 

「し、失礼します……」

 

 彼の視界を奪わないように膝の上に横向きに座る。

 

「出来る限り安全運転はするけど……一応掴まってて」

 

 掴める所は……ない。とすればやっぱりここしかないか……。彼の首に手を回す。その際に彼の首に刺さったチューブや機械が手に当たり、複雑な気分になった。

 

「作戦目標、敵機全機破壊、及び人民の救出」

「行くよ……しっかり掴まってて」

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 カレンがいる上に僕自身もスーツを着ていないのであまり派手には動けない。派手に動くとカレンの体調に悪影響を及ぼす可能性があるからだ。彼女のことを考慮しつつの作戦。だが今までも作戦に制限の設けられていたことは何度もあった。やってみせるさ。

 

 

 まず日本人の虐殺を止める為に目立つ。スナイパーキャノンをバズーカに変えてきたので構える動作は必要なく、遠慮なくぶっ放せる。

 正面でこちらに背を向け日本人を殺害している機体の足に向けて一発。敵は足を破壊されたことによりバランスを崩し倒れる、と同時に脱出装置を作動させて逃げて行く。

 

≪所属不明のKMFを確認! 河口湖に現れた機体と同じものと推測される! 全機、注意せよ!≫

≪敵の武装はバズーカタイプのものと思われる。当たるなよ! 一撃でやられるぞ!≫

 

≪イエス、マイロード!≫

 

 これで良い。少なくともこれで敵の注意はこちらに向いた。

 背の高いビルを蹴り上がりスキャンモードで敵の位置を探知。その数10機。

 

「10機……!? 無理よ……! ある程度敵を錯乱させたらこちらも離脱した方が……」

 

「作戦目標に変更なし。作戦継続」

 

 大丈夫……あの程度なら何機居ても問題ない。カレンの頭を優しくポンポンと叩いて目を見て微笑んでおく。

 

 3時の方向より3機接近。敵のアサルトライフルの射程に入る前にビルの上からバズーカを1発、撃った後すぐさまビルから降りる。

弾は前方の機体に当たり爆散、残る2機が爆炎と残骸に足を取られる。その隙に近付き黒煙から出て来たところへ1機をレーザーブレードで切り裂き、そのままの勢いでもう1機へ膝蹴りをかまし蹴り飛ばす。どちらも大破を確認、残り7機。

 

 後方より2機がアサルトライフルを撃ちながら接近。ビルの陰に隠れやりすごし、反撃にバズーカを1発。コクピットに命中し爆散。1機破壊、残り6機。

 もう1機は背を向け走り出した。その先の地形を確認する。開けた場所で物陰になりそうな物もたくさんある。おそらく罠だがあえてその罠にかかりに行く。

 つかず離れずでついて行き、広い場所に出ると突然敵機が反転、と同時に四方から敵機が出てくる。合計6機。アサルトライフルの斉射をまともに受ける。しかし威力が足りないのかこちらが硬いのか、弾丸は装甲を削るどころか跳弾していた。

 

≪て、敵機! ライフルが効きません! 跳弾してぐあぁぁ!!≫

 

 焦る敵にブーストで近付きそのままショルダータックル。衝撃が強すぎたのか敵の機体の前半分が潰れて吹き飛んだ。その場で反転しバズーカを2発。それぞれ敵に当たり2機破壊。残り3機。

 

≪うわぁぁぁ! 来るな! 来るなぁぁぁ!!≫

 

 錯乱した状態で銃撃しているためまともに当らない。近付くと敵が腕に装備されたトンファーに武装を変え横薙ぎに殴り掛かる。その腕を切り落としコクピットにブレードを突き刺す。残り2機。

 

≪下がれ! 後退しろ! あれは"ミスト"だ! 我々だけではとても太刀打ち出来ん!≫

 

 ……ミスト? 何だそれは?

 

≪後退して援軍を……≫

 

 突如その場にいた2機が爆散した。どこからともなく複数のKMFが現れ、残っていたサザーランドを破壊したようだ。

 テロリストの援軍かと思ったが、民間人を避難させているところを見ると別口のようだった。

 

「本命のご到着かな?」

 

「黒の……騎士団……?」

 

 黒の騎士団所属と思われるKMFがこちらに銃口を向けている。かなり警戒しているようだ。

 

「黒の騎士団とお見受けする。ゲットー住民虐殺阻止の協力に感謝する。

が……こちらに対して攻撃する意思があるのならば、こちらもそれ相応の対応をさせてもらう」

 

 いつも通りマシンボイス。というかこれをデフォルトに設定してある。

 向こうさんはしばらくこちらに銃口を向けていたが、武器を下ろしてくれた。攻撃する意思がないのを確認したので、ビルを蹴り上がりその場を離れる。

 

【作戦目標クリア システム、通常モードに移行します】

 

「ふぅ……頭の柔らかい連中で助かった」

 

「背中は大丈夫なの……?」

 

「刺さっていた破片は抜いたからね。傷はほっとけばすぐ治るよ」

 

 実際、既に痛みは引いていた。

 

「そんなわけ……!」

 

「あるんだよー世の中は広いよー」

 

 隠し場所まで来てACをいつも通り待機状態にし、ステルスを起動。ストレイドが消えていく。

 カレンが背中を見せろというので見せると唖然としていた。既に血は止まっており、少しずつ傷が治り始めていた。

 

「あなた一体何者なの……? 回線ジャックと言い、その治癒力と言い、……ミストと言い……」

 

「ミストって何?」

 

 さっきも聞いたなその単語。

 

「何って……あの機体のことよ! ブリタイア軍が仮につけた名として発表してたわよ。テレビとか見てないの?」

 

「そこの部分は見てないよ……なに人の機体に勝手に名前つけてんのさ……まったく、失礼しちゃうね」

 

「あの機体の本当の名前は何て言うの?」

 

「ストレイド」

 

「ストレイド……」

 

 カレンは噛み締めるようにその名を口に出した。

 

「さぁ、もう面倒はごめんだ。さっさと帰ろう」

 

「えぇ……そうね。……色々……話してくれる?」

 

「落ち着いたらでも良いかな……? 今日はもう疲れちゃった……」

 

「えぇ……怪我もあるものね……」

 

 二人揃って岐路に着く。辺りはもう真っ暗だった。

 

「そういえば……テレビっ子って言ってる割に知らなかったのね? ミストのこと」

 

「あー……あれはほら……あれだ……」

 

「ふふ……わかってるわ。ホテルジャックの時現場にいたんですものね」

 

「……今日のことも含めて内緒だよ?」

 

「はいはい……ふふっ」

 

 カレンは楽しそうに笑っていた。

 その後二人の間に会話はなかったが気まずさは感じなかった。その雰囲気は何故か懐かしく感じられた。

 

 

 カレンを家まで送り届けて今日は解散! ってところで後ろから話しかけられた。

 

「ユウ……今日は助けてくれてありがとう」

 

「どういたしまして」

 

「また明日ね」

 

「うん」

 

 さぁてお家でごはんだごはん。

 

 

 

 カレンはユウの姿が見えなくなるまでずっとその背中を見ていた。

 一度ゲットーで命を救われ、シャーリーを助けてくれて、そして今日もまた彼に救われた。

 

「……ありがとうね……ユウ」

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

「話とは何だ? カレン」

 

 黒の騎士団のアジトとして使っている大型の車両。その中にあるゼロの部屋にカレンは居た。

 

「はい、信じてもらえるかはわかりませんが……私の通っている学園に異世界人を名乗る人物がいるのですが……」

 

「ユウ・ヘイズという人物だな」

 

「ご存知なのですか……!?」

 

「なに、私の情報網に入ってきてね。中々興味深い人物だ」

 

「ゼロも彼が異世界人だと?」

 

「君は信じているのだろう? 優秀な君が信じているんだ。間違いはないだろう」

 

「ありがとうございます……それで彼のことなのですが……彼を黒の騎士団に加えたいと考えています」

 

「ほう、それはまた何故だ?」

 

「まだ詳しくは言えませんし、彼が我々に協力してくれるかどうかすらわかりません……。ただ……彼は我々の活動を肯定してくれています」

 

「それだけが推薦理由か?」

 

「他にも理由がありますが……彼と約束をしました。誰にも話さないと……」

 

「私にも話せないことか?」

 

「申し訳ないとは思いますが……」

 

「ふっ……わかった。こちらでも独自に彼のことを調べてみよう。君も彼の動向に注目してくれ。もし彼が騎士団に相応しいのであれば、何とかこちらに引き入れてみてくれ」

 

「わかりました」

 

 カレンは部屋から出て行った。

 一人部屋に残ったゼロ、ルルーシュは机に肘をつき思考に耽っていた。

 

(ユウを黒の騎士団に……? ……調べてみる必要がありそうだな)

 

 




一気にお気に入り数が増えていて焦りました……。

感想や批判等ありましたらコメントお願い致します。
評価入れていただける方はよろしければ、何故その評価にしたか書いていただけるとありがたいです。コメントを参考にして良い所は伸ばし、悪い所はなおしていきたいと思います。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。