そりゃルルーシュも番長もシスコンになりますわな。
あぁ二人ともナナコンなだけか。なら問題ない。
警告:今回ナナリーは出てきません。騙して悪いがry
グッドモーニング。初登校日和ですね。
朝起きたらまずは軽くストレッチ。そしてシャワーを浴びる。本当ならランニングもしたいのだが、まだ地理に疎いのでもう少し慣れてから始めよう。
制服に着替え首輪を付け朝食をとる。今日の朝御飯はメロンパンに牛乳。この組み合わせは最強だよね。
時間になったので部屋を出る。
さぁ今日から頑張ろう。
もう一日あった休みは端末を弄っていた。パイロットスーツの左腕についているやつだ。これは取り外して持ち歩くことも出来ます。携帯電話みたいにも使えるよ。ただ異世界の物であるため、位置情報等この世界の電波が拾えていなかった。なのでハッキングとかしてみました。もちろん痕跡を残すような馬鹿な真似はしてません。その辺はセレンさんとかメルツェルさんにきっちり叩き込まれたので万全である。そんなわけで今は地図も位置情報もしっかり確認できるよ。
夕方になるとルルーシュが尋ねてきた。僕の制服と身分証明書を持ってきてくれた。戸籍も出来上がったそうだ。身元引受人は理事長がしてくれるらしい。……あれ? ちょっと待って。いくらなんでも早すぎない? 戸籍作ろうって話昨日出たばっかだよね? 確かに大体の内容は昨日で決まったけど。一体どうやったのだろう……。まぁ知らない方が幸せなこともあるよね、うん。そう自分を納得させておいた。
まだ学園内の地理を把握していないので迷った。ふらふらしてたら校門まで出てきてしまった。あれれ? おかしいな。とか思ってたらスザクを発見した。ナイスタイミング。
「おはようスザク」
「あ、おはようユウ。こっちの生活には慣れた?」
「御陰様で大分慣れてきたよ」
「良かった。でも何か困ったことがあったら遠慮なく言ってくれていいよ。皆もきっと僕の時みたいに力になってくれるはずだし」
「スザクも編入学だったの?」
「うん。右も左もわからないような状態だったけど、色々と親切にしてもらったんだ」
思ってたより優しい人が多いのかしら。そうだといいなぁ。
「そっか……うん。ありがとう」
そんな話をしていると後ろから声がかかった。
「よう、二人共おはよう」
「おはようリヴァル」
男三人になりました。女三人寄ればかしましいというけど、男三人集まると何になるんだろ。……暑苦しい?
「お前……今変なこと考えてない……?」
「何故ばれた」
「たった数日しか会ってないけど、お前が常に変なこと考えてるってのはわかったぜ……」
「あぁ確かに。何となくわかるよね」
「えー」
そんなわかりやすいのだろうか。不味いな、このままでは知的でクールを売りに学園生活出来なくなってしまう。
そんなくだらない思考をしていると校門に黒塗りの高そうな車が止まった。と同時に校舎から大量の男子生徒が出てきた。
「何あの軍団? 男祭り?」
「お前はまたそうやっておぞましい想像を……ほれ、あれ」
車を見てるとカレンが出てきた。あぁそういうことか。
「カレンさん! おはようございます!」
「今日も良い天気ですね! お加減はよろしいのですか?」
「重いでしょう、僕が鞄をお持ちします!」
「いやいや、僕が!」
「何というか……すっごいね」
「名門シュタットフェルト家のご令嬢だからな。美人で頭もスタイルも良い。おまけに体が弱いときたら、大体の男はあぁなるだろうなぁ」
「へー、そういうリヴァルは?」
「お、俺は……」
「成程、他に意中の人がいると」
「ばっ……! そんなんじゃ……なくはないけど……」
「まぁ確かに人気なのもわかるよね」
体は(弱った)僕が負けるほど強いけど。と思ってたらカレンがこちらへ向かってきた。
「みんな、おはよう」
三人共挨拶を返す。僕に馬乗りになった人と同一人物とは思えないほど優しい笑顔。あの後マウントポジションで徹底的に叩きのめされると思って少し怖かったです。
「ユウ、体調はどう?」
「もう大丈夫だよ」
「そう……良かった」
カレンと話していると物凄い視線を感じた。何と言えばいいんだろう、妬み? 殺意? とにかく凄いの。
「じゃあそろそろ時間だし行こうか」
スザクナイス。さっさとこの場から去ろう。
職員室の場所がわからなかったので正直に話すとカレンが案内してくれた。その間もすげぇ視線を感じていました。
職員室で理事長と話し、担任になるという先生を紹介してもらい、現在教室に向かって移動中です。やだ……ドキドキして体が火照っちゃう。まぁ緊張とは無縁の人間なんですけどね。
教室に着くと廊下で待っているように言われた。うーん一人ぐらい知り合いが居てくれると良いんだけどなぁ。呼ばれたので入ると視線が一斉に向けられた。そんなに見られると僕蒸発しちゃうよ? 教壇に立ち周囲を見回すと見知った顔が大体いた。というか二年の生徒会メンバー全員いるね。理事長が気を利かせてくれたのかな?
生徒会メンバー以外の人は皆僕を見て驚いていたり、隣とひそひそ喋っている。そこかしこからイレブンという単語が聞こえた。まぁ想像はしていたので何とも思わないけど。
無難に自己紹介を終えると指定された席へ向かう。一番後ろの方、スザクの隣だった。知り合いが隣なのはありがたい。席に座るとスザクが小さな声で「よろしくね」と言ってくれた。
最初の授業を受けている間もチラチラこちらを見ている人がいた。目が合ったのでにっこり笑ったらすぐさま前を向いてしまった。なによー。
とりあえず最初の授業も終わった。ふぅ、セレンさんに勉強を教わったりしていたとはいえ、世界が違うと習うことも違うね。特に歴史とか最初から勉強しないとな。
さぁまだ色々聞きたいことあるし生徒会の皆と話そうかな。というところでよそのクラスの生徒が入ってきて、僕を見るなりにたにたと気味悪い笑みを浮かべていた。いつ来るかと思っていたけど情報の伝達は早いもんだね。
「君か? 編入してきたとかいうイレブンは」
見下したような態度、目付き、口調。どこにでもいるよね、こういう手合。
「うん、そうだよ。よろしくね」
まぁ最初から喧嘩腰だとイメージも悪いしね。丁寧に返す。
「君みたいなみすぼらしく汚らしいイレブンがいるとこっちも迷惑なんだよ。学校やここに通う生徒の品位も落とすことになるしねぇ」
「あ、そうなんだ。で? それが何か問題?」
「なっ!?」
イレブンなら軽く脅せば下手に出ると思っていたのだろう。一切動揺せずに返すと向こうさんが怯んだ。当然ながらこんな状態だとクラス中の視線を集めるわけでして、皆ハラハラしてるね。こういう状況は楽しまないと損だよ?
「イレブンっていうのは耳だけじゃなく頭まで悪いのかい? 僕の言っていることが理解できなかったかな? 良い病院を教えてあげようか?」
おいおい、苛立っているのが目に見えて分かっちゃうよ?ほらほら、笑って。笑顔笑顔。
「僕の体を心配してくれるの? ありがとね。でも君も病院行った方が良いんじゃない? 頭の方の」
「何だと……!」
これでもかってくらいの笑みで言ってあげる。僕優しいからさー。あらら、顔真っ赤にして震えてる。風邪かな? お大事に。
「だってこの学園ってブリタニア人も日本人も区別しない校風なんでしょ? それ知ってて入ってきていざ日本人居たら出てけって……そりゃ頭の心配もしちゃうよ」
「貴様……言わせておけば……! 僕の家は名門貴族だぞ……! 唯で済むと思うなよ……!」
出たよ。僕の一番嫌いな台詞。
「ノブレスオブリージュ」
「何……?」
一人の誇り高い貴族を思い出す。
「"高い地位にある者は、高い徳を備え、重い責務を果たす必要がある"。まさか知らないわけじゃないよね? 名門なんでしょ? まぁ君の家が名門かは知らないけど、少なくとも君自身は貴族とは思えないよね。とても貴族としての誇りを持ち合わせていなさそうだし」
カラードを抜ける前に一度だけ会って話した。彼はとても優しく、気高い人間だった。
「生き易そうだね、羨ましいよ」
「なっ……!? このっ……!」
「僕は会ったことあるよ、本当の貴族に。彼は民を守る為に命をかけて戦っていた。でも君はどうだい? 家の名前を持ち出し、汚すだけ。自分じゃ何も出来ない」
彼とは敵対することになったけど、僕は彼も彼の生き方も尊敬している。
そんな彼とこんなクズが同じ貴族だというだけで反吐が出る。名門? 勘違いも甚だしい。
「君自身じゃ僕には何一つ勝てないよ? 人を見下し馬鹿にすることしかしてこなかった人間には」
――絶対勝てないよ
……あら? ちょっと言い過ぎたかな? 涙目になって今にも殴りかかってきそう。まぁまぁ落ち着なさいな。ってところで鐘がなり、先生が入ってきた。助かった。ほら、君も涙目になってないで帰った帰った。
前を向いたら皆がなんか凄い目で僕を見ていた。……やり過ぎた……。だってああいう奴嫌いなんだもんしょうがないじゃん!
お昼はクラスの生徒会メンバーと食堂でとることになった。カレンが僕を誘った時は周りの反応が面白かったな。男子は皆凄い目で僕を見るし、女子は心配そうにカレンを見るし。
「いやーそれにしても朝のお前凄かったな……」
「何て言うか……ユウって……」
「もっと口下手で頭悪そうって思ってた?」
「いや、そこまでは……」
「ごめん……僕もつい楽しくて……」
「楽しんでたのかよ……」
「僕はあーいう奴が嫌いなんだ。権力を傘に着て上から物言う奴」
「それには同感だが……少しやりすぎたな」
「目をつけられたかな?」
「かもな」
「へーきへーき。彼小心者っぽいし何にも出来ないよ」
例え何かしてきても問題ないけどね。力じゃ僕には勝てないし。
「出来ても小さい嫌がらせ程度でしょ」
「形振り構わず親の権力で潰してくるかもしれんぞ?」
「その辺は大丈夫。叩いて埃が出ない人間なんて滅多にいないから」
「何か今サラッと恐ろしいこと言ってないか……?」
「気のせい気のせい」
御飯が美味しい。
「強いのね……あなたは」
カレンが少し物憂げに言った。
「強くないと生きられなかったからね」
強くならざるを得なかった半分の理由はセレンさんだけどね!
「ユウの世界はどんなのだったの?」
「んー……長くなるからまた放課後に生徒会室ででも話すよ」
てな感じでお昼は過ぎて行った。
――――――――――――――
食事を終えて戻ってくるとクラスの子達が集まってきた。
「カレンさん……大丈夫だった?」
「編入生のイレブンと食事してたんですって? 知り合いなんですか?」
「えぇ、彼この辺に詳しくないから生徒会のメンバーで世話をしてるのよ」
「生徒会で……!? 危険じゃないんですか……? 今朝だって……」
確かに今朝は凄かった。入ってきた男はここら辺でなら知らない人間はいないくらい名のある名門貴族の跡取りだった。そんな人物がユウの元に来て横柄な態度をとっていた。はっきり言ってむかついた。日本人を見下し馬鹿にするその態度に。でも彼は怯むどころか最後には相手を涙目にさせていた。胸がスーッとしたわ。
もし日本人が皆、彼のように強ければ……無駄な想像か。
「でも、彼は何一つ悪いことはしてないし、言ってることも正しかったわよ?」
「それは……確かに、相手の人が一方的に突っかかってきてましたけど……」
気分良くしてくれたお礼に、彼が早くこちらに馴染む為にも少しくらいフォローしておいてあげよう。
「それに……内側も外側もあの貴族のお坊ちゃまと比べるのも失礼なくらいよ?」
あの男の容姿はあんまり……ね。突っかかっていった理由は自分より容姿が良かったのもあるんでしょうね。結果は散々だったけど。
「あー……それは確かに……」
「どっちが良いかと言われれば……」
「比べるべくもないわね」
外が駄目なら中を磨けば良いのに、あの男は中身も駄目だった。確かに彼の言うとおりだ。何一つ彼に勝てそうにないわね。
「そういえばイレブンには珍しく白い髪だったわね」
「動物の耳みたいなのもあったよね……」
「首輪もしてたよね……何かうちで飼ってるペットみたい」
よし、これで放っておいても大丈夫そうね。見た目は良いんですもの、女子とはそれなりに早く打ち解けるでしょうね。
まぁあのお坊ちゃんはブリタニア人の生徒にもあまり良く見られてなかったし。そんな人物を完膚なきまでに叩き潰したんだもの。男子も大丈夫でしょう、この会話にも聞き耳立てているみたいだしね。
「ていうことがあったんですよ~」
「初日から飛ばすわね~ユウ」
放課後、生徒会の仕事をしながらユウの世界について話を聞くことになった。今はシャーリーが会長に今朝の出来事を説明している。
「じゃあユウの世界について聞きましょうか」
「あんまり面白い話じゃないのでその辺は理解しといてくださいね?さて……じゃあ何から話そう」
「お前が言っていた"国家解体戦争"というのを是非とも聞いてみたいな」
国家解体戦争……そういえば言ってたわね。その言葉が存在してないことからここが異世界と分かったってことは相当大きな戦争だったのかしら。
「じゃあそれを話す前にACの話からしようか」
「エーシー?」
「僕らの世界の兵器だよ。こちらの世界にも似たようなのを見かけたけど……人型の奴」
「もしかしてナイトメアフレームのことかい?」
「へー……ナイトメアフレームって言うんだ。初めて見た時はACかMTだと思ってた」
彼によるとACというのは"アーマードコア"という名の人型兵器のことだそうだ。こちらのKMFと違いサイズは10メートル程とかなり大きい。ちなみにMTというのは"マッスルトレーサー"という、簡単に言えばACよりも安価な兵器ということらしい。
「僕らの世界は国民国家政府っていう機関が世界を治めてたんだ。要は国が一つだったって感じかな? 色々とあってそこが統治能力を失っちゃってね。そこで力をつけてきたのが企業、特に6つの巨大企業グループが先頭に立って新たな秩序を作ろうということになった」
「そこで起こったのが国家解体戦争か……。だがいくら大きいとは言え、たかが企業が集まったからといってたった一つしかない国を潰せたのか?」
「確かにね、国側には国家軍隊があったし、レイヴンだってたくさん居ただろうし」
「レイヴン?」
「ACを使用している傭兵のことだよ。でも、そんな戦力相手に国家はたった26機の機体に壊滅させられたそうだよ」
「26機!? たったそれだけで可能なのか……?」
「その時投入されたのが最新鋭兵器"ネクスト"。今迄使われていたACとは比べ物にならない性能を持っていたんだ。特に脅威となったのがコジマ粒子と呼ばれる特殊な物質で機体を覆うPA、"プライマルアーマー"。生半可な攻撃では本体に届く前に消滅してしまう。たとえ届いたとしても、かなり威力が殺されてしまう」
「そんなすげぇ技術があるのかよ……」
もしそんなものがあれば日本を簡単に取り戻すことができるんだろうな……。そんな考えを見透かしたようなユウの一言で現実に引き戻された。
「でもそのせいで、人が住むのに向かない世界になってしまった。コジマ粒子は汚染物質だった」
「どの程度なんだ?」
「環境を破壊し、人体にまで悪影響を及ぼす。広範囲かつ長期的に。しかも除去する方法もなく遮断もできない」
「その物質、今は?」
「今でも使用され続けてるよ。コジマ技術は軍事的に有用だし、発電効率も高いからね」
「それで地上が汚染され尽くした……?」
「地上が汚染されつくした原因は"リンクス戦争"にもあるそうだけどね。この戦争についてはまたそのうち話すよ。その戦争後に人々は汚染され尽くした大地を捨て、空に生活拠点を移した。高度7000メートルに高空プラットホーム"クレイドル"を作った」
「最初の日にあなたがここと勘違いした場所ね?」
「そうだね。クレイドル一つにはおよそ2000万人が住んでいる」
「2000万!? そんなに人が入る施設を上空に作ったのか!?」
「そう、超巨大航空機。5機で1グループ。クレイドル01から30までの30グループ、約30億人が上空で暮らしている」
2000万人も生活している航空機。想像もつかない。
「でも全ての人がクレイドルで生活できるわけじゃない。汚染された地上で生きなければいけない人達もいる。当然ながら、地上で生活する人の寿命は短い。汚染物質の影響でね」
「そんな……酷い……」
「僕の世界はエリア11と似ているよ」
「え……?」
日本と……?
「クレイドルに住めるのは富裕層、地上には貧困層。ブリタニア人と日本人。どちらも勝者と敗者、持つ者と持たざる者……でしょ?」
皆黙ってしまった。確かに、面白い話ではなかった。
「それで、お前はどちらだったんだ? 勝者か、敗者か」
「その辺は……ごめん、言えない。どっちつかずだったとだけ言っておくよ」
申し訳なさそうにそう言った。話題を変える為に今朝言っていたことを聞いてみた。
「あなたの言っていた民の為に戦った貴族っていうのは……?」
「ローゼンタール社最高戦力"ノブリス・オブリージュ"パイロット、ジェラルド・ジェンドリン。彼はクレイドルを支えるエネルギー供給施設であるアルテリアのうちの一つ、カーパルスの防衛を担っていた。一度直に会って話したことがあるけど、彼のことを本当の貴族って言うんだと思うよ。それくらい素晴らしい人物だった」
そう言ってその人の話をする彼は、どこか悲しそうだった。
「さーて、話も生徒会の仕事も区切りとして丁度良いから今日はこの辺でお開きにしましょうか!」
会長もそれに気付いたのか話を終わらせた。
ここと同じく勝者と敗者が明確に分かれている世界。その世界の住人。
あなたの目には……エリア11はどう映っているの……?
――――――――――――――
『民を守ること。それが貴族の務めだからね』
『その為にこの命を差し出すことになっても後悔はないさ』
カラードの首輪を外された時点でたくさんのものを失くしてしまった。
『匪賊には、誇りもないのか?』
『生き易いものだな、羨ましいよ』
人との絆も、信頼も。……誇りも。
ここにいる人達も、全てを知ったら……。
また全てを失くすのかな……?
全て失くした時僕は……。
ナニニ……ナルノカナ?
元から会話が多いですが、今回は会話形式で説明を入れてしまったので更に多かったですね。申し訳ない。もうちょっと上手く話を作りたい……うむむむ。
感想や批判等ありましたら是非ともコメントお願いします。
特に今回のAC世界の解説は何度見直しても間違いがあるような気がしてならなかったので、もし見つけましたら些細なことでもご指摘お願いします。