コードギアス 反逆?の首輪付き   作:Casea

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ねぇ、知ってる? 作者はスラッシュハーケンのこと、何度覚えなおしてもハーケンスラッシュって書いちゃうんだってー。
たーまーにーひとーつー、ごーみ知識ーらんらんらーん。


※前回もそうなっていたのでこっそり直しました。ごめんなさい。


13話 傭兵として

 ナリタ連山から帰還後、とりあえず僕は帰って寝た。行動不能になった時のことについて色々と話したかったのだが、まだ頭が痛かったので報告は後日すると言っておいた。

 首輪を外してベッドで横になった時にウィン・Dに言われたことの意味を色々と考えたが、あの言葉だけではよくわからなかった。可能性としては"クローズ・プラン"が無事次のステップに進み、アルテリアのエネルギーが"衛星破壊砲エーレンベルク"に流れたことによりクレイドルが墜落、それにより大量の人間が死んだ。その前後に対峙したウィン・Dに言われた、と言ったあたりだろうか。それならばあの言葉も納得がいく。ということはテルミドールの、ORCAの皆の悲願は叶ったということなので、その点については素直に喜ばしかった。

 

 一つ頭から消えていた記憶を思い出してほっとする。あの頭痛もおそらくクレイドルが落ちた際に死んだ人々のことを、崩落に巻き込まれる街を見て思い出してからだろう。だがこの言葉に出来ない不安はなんだ? 僕は何に怯えている? セレンさん達のその後がまだわからないからか……、それとも決定的な何かを見落としている……? 悩んでも悩んでもわからない、不安も消えない。

 

 その日僕は不安から逃げるように再び首輪を付けて寝た。

 

 

 翌日の夕方、騎士団のアジトの中でゼロと幹部メンバー達にウィン・Dの言葉を除いて大体のことは報告した。

 

「ってことはあれか? また戦闘中に記憶が戻って行動不能になっちまうかもしれねぇってか?」

 

「多少記憶が戻ったから前よりはなりにくいとは思うんだけどね」

 

 まだ穴抜けはあるにしても多少は思い出したのだ、あそこまで酷いことにはならないだろう。

 

「だがまだまだお前は不安定だ。今後もしばらくはお前を作戦の主軸にはしない。構わないか?」

 

「居たらラッキー程度に考えてくれた方がこちらとしてもありがたいかな、皆には悪いとは思うけど」

 

「お前中心の作戦を立てたのに気絶された、よりはいいさ」

 

 早いとこ記憶が全て戻ってくれるとありがたいんだけど。

 

「それよりも、だ。白兜に苦戦したと言っていたな? お前とあの機体なら楽に潰せると思ったが……」

 

「要因としては頭の痛みが尾を引いていたのもあるけど、何よりも僕の慢心が原因だ。初めて戦った時それほど問題でもないと感じた。だから今回僕は最初なめてかかった、奴は最初から全力で潰しに来てたのに。だから当たる弾も当たらず苛立ちだけが募って余計に弾を外した。僕が未熟者だったせいだ」

 

 心のどこかでノーマル程度の性能であるKMFに本気でかかることもないと考えていたのだろう。以前は僕がへまをしそうになると必ずセレンさんの叱責の言葉が飛んできた。だが彼女が居ない今、彼女に頼り切っていたツケが回ってきた。その結果があの無様な敗走だ。金を貰って協力しているのにも関わらず手を抜いた。僕は傭兵にとって大事な信頼を裏切ったんだ、これは許される行為ではない。故に今回の報酬は受け取れない旨を伝えておいた。

 

「誓うよ、もう二度と油断しない。どんな奴が相手でも最初から全力で叩き潰しに行く」

 

 牢記しなければならない。戦闘で彼女のサポートがないという意味を。

 

「そう願っているよ」

 

 おそらくゼロを落胆させてしまっただろう。当然だ、傭兵だからと自信満々に金をせびって結果がこれなら誰でも失望する。だが必ずこの汚名は返上する。あの白兜、僕が油断しているうちに潰せなかったことを後悔させてやる。次こそは必ず――。

 

「はりきっているのか落ち込んでいるのか知らんが肩の力は抜いたほうが良いぞ、ユウ」

 

 そう言いながら扇さんが手紙を持ってやってきた。

 

「扇さん、その手紙は?」

 

「ラブレター、デートのお誘いだ」

 

 そう言って手紙をゼロに差し出した。

 

「まさか扇さんにそんな趣味が……!?」

 

 僕の一言にカレンと玉城が同時に噴き出し、カレンは口に片手を当て俯いて肩を震わせ、玉城は腹を抱えて大爆笑していた。僕今そんなおかしなこと言った?

 

「キョウトからの勅書だよ。直接俺達に会いたから是非来てくれってさ」

 

「ふーん、大変だねぇ。行ってらっしゃい」

 

 キョウトっていうと確か紅蓮とかをくれたデカい組織だったかな? 騎士団には入ったがあくまでも雇われて協力している僕には関係なさそうだ。最近あんまり寝れてないからその間はたっぷり睡眠時間をとろうかな。

 

「何を言っている? お前も一緒だ、ユウ」

 

「なにゆえ!?」

 

 何で僕まで行かなきゃいけないんだ! 僕の貴重な睡眠時間が減るじゃないか!

 

「キョウトからのご依頼だ。是非ともミストのパイロットにも会いたいということらしい」

 

「はぁ……こういうの今回だけだと良いけど……」

 

 心底げんなりする。というかあんまり顔見られたくないんだけど……その組織本当に大丈夫なのか?

 

 

 

 早朝のゲットーにキョウトから迎えの車が寄越された。こういう長い車って何て言うんだっけ、リムジン? 中には外が見えないよう窓にカーテンがしてある。向うメンバーはゼロ、カレン、扇さん、玉城、そして面倒なことに僕。本当だったら今頃寝てるのんだけどなぁ……。せっかくなので車に乗って早々寝ることにした。

 

 目的地に着いたのかカレンに揺り起こされ車から降りると何とも無機質な場所だった。所々にパイプが走っていたりコンテナが置いてあったり。側面がガラス張りになっており外を見ることが出来たので、そちらに向かい場所の確認をする。山の形からここは富士山だということがわかり皆が驚いていた。富士山には大量のサクラダイトが埋蔵されており、それが原因で戦争になったほどだ。故に富士山には立ち入りが禁止されており、侵入者は尋問なしで銃殺とのことだ。そんな所に入れるということはそれほどまでにキョウトという組織の力は大きいのだろうか? 富士山を見ると半分は建物か何かで構成されてしまっている。

 

「醜かろう……これが今の富士の姿よ」

 

 老齢の男性の声に振り返ると輿があり、そこに座っている袴姿の男。垂れ下がった幕で顔は見えない。

 

「顔を見せぬ非礼を詫びよう。だがゼロ、それはお主とて同じこと。儂はお主が何者なのか見極めねばならん。その素顔を見せよ……!」

 

 その言葉で4機の無頼がこの場に現れた。なるほど、見せなきゃ殺すって? やっぱ家で寝てればよかった。

 カレンが必死にゼロを庇っているが爺さんに一蹴され、扇さんにゼロの仮面を外すよう命じた。扇さんはゼロに一言謝った後、ゼロの仮面を外した。すると出てきたのは――。

 

「お、女!?」

 

 中から出てきたのは髪の長い女性、この人は確かナリタの時にゼロと一緒に居た人だ。名前は帰り道で教えてもらったな、確か……。

 

「あれ? C.C.さんじゃないの、何してんの?」

 

「ユウ……知り合い?」

 

「ゼロの協力者の一人、ゼロと一緒にいるのを見たからゼロ本人ではないね」

 

「お前……日本人ではないな……何者だ」

 

「Yesだ。キョウトの代表、桐原泰三」

 

 へぇ、あの爺さんそんな名前なんだ。物知りだねC.C.って。

 

「御前の名前を知る者は生かしておけぬ!」

 

 そういうとお付きのグラサン達が懐から銃を取り出し、無頼達もこちらに銃口を向けた。

 なかなかに不味い状況。相手にばれないようにこっそりと腰のポーチに手を回そうとしたところで1機の無頼がスラッシュハーケンを打ち出し、その攻撃で2機の無頼がアサルトライフルを落とした。更にその無頼はスタントンファで隣の無頼のアサルトライフルを叩き落とすと、爺さんの輿に近付き銃口を向けた。その無頼からはゼロが出てきた。というかいつの間にゼロはあの無頼の中に潜んだんだろうか? 潜入工作とかあるかはわからないけど、秘訣を聞ければ今後に役立ちそうだな。とか色々考えてたらゼロとかの話をほぼ全部聞き逃した。なんかゼロが日本人じゃない、ということだけはわかったが。そのことについて皆は驚いていたが僕にとってはどうでもいい。

 

 まぁとりあえず話し合いも終わったし敵対もされてないみたいだし帰ろうよ。僕は眠いのだ。

 

「ではもう一つの要件、ミストの操縦者のことだ」

 

 くそ、覚えていやがったか……ゼロでのインパクトで忘れててくれればさっさと帰れたものを……。

 

「首輪の小僧、お主だな」

 

 何故か一発でばれたので、とぼけても無駄だろうと思い正直に頷いておく。

 

「何故僕だと?」

 

「お主は先ほど銃口を向けられても怯むどころか何か仕出かそうとしておった」

 

 この爺さん、良く見ている。伊達に長生きしてないな。

 

「お主とあの機体について聞きたい。聞いた話ではお主は正式な団員ではなく傭兵として騎士団に身を置いているそうだな」

 

「一度対峙した相手に油断して敗走するような三流傭兵ですがね」

 

 下手に目を付けられても厄介なので自虐の言葉で少しでも自分の価値を下げておく。でもまぁ事実なんだけどね。

 

「調べてみたがお主の戸籍は偽造されたものだった。それにあの機体についてもどこかで製造されたという情報は出てこぬ。小僧、お主何者だ?」

 

 チッ、とっくに調査済みらしくこれでは誤魔化しようがない。ゼロに目線を向けると小さく頷いた。仕方ないか……。

 自分とストレイドのことについて簡単に話しておいた。僕が異世界の日本人であろうこと、ストレイドが異世界の兵器であること。爺さんのお付きの奴らは如何にも馬鹿馬鹿しいという感じであったが、爺さんの方はさも愉快そうに話を聞いていた。

 

「なるほど、異世界の兵器か。それならあの性能にも合点がいく」

 

「意外ですね。小僧の与太話と切って捨てると思っておりましたが」

 

「嘘か誠かなど問題ではない。お主は成果を出しておる、それだけでも十分よ」

 

「成果については十分なものだったとは思えませんが」

 

「謙遜することもない。長く生きた分、それなりに人を見る目は持っておるつもりだ。お主ならやってのけるだろう」

 

「そりゃどうも……」

 

 変に期待されるても困る。いくら二度と油断しないと誓ったとはいえ僕だって人間だ、ミスもするし道も誤る。だがもしこの爺さんの目が本物で、それを見越した上でそんなことを言うのだとするならば……その期待に応えられるように、今後いっそう精進しよう。そう誓って今回の遠征は幕を下ろした。

 

 

 その日の夜、ベッドで横になりうとうとしているとノックの音が聞こえたので出てみると会長だった。話しを聞くとシャーリーのお父さんが亡くなられたらしく、埋葬が行われる日時と場所が伝えられた。

 

「黒の騎士団って知ってるわよね……? ナリタで戦闘があったらしくて、その時の山の崩落に巻き込まれたそうなの」

 

 その言葉を聞いた途端に頭が真っ白になった。あの時の崩落で……シャーリーのお父さんが……?

 そこからのことはあまり覚えていない。気付いたら会長は帰っていたし、外は明るくなり始めていた。

 

 

 

 埋葬日当日。雨が降りそうな曇り空はまるでこの場にいる人達の心情を表しているようだ。棺を埋め始めるとシャーリーのお母さんが泣き崩れていた。この光景を生み出した原因の一端は僕にある、そう考えると今すぐこの場から逃げ去りたい気持ちに苛まれる。

 そうだ……僕のせいで彼女の父親は……。

 

『だったらそいつらも同じ所へ送ってやれば良いさ。そうすりゃ悲しむ必要もなくなるぜ?』

 

「っ!?」

 

 突然頭に過った恐ろしい言葉に動揺して声が出てしまった。

 何だ今の言葉は……? 以前どこかで聞いたことがある声だったような……。

 

「ユウ……大丈夫……?」

 

 気付くと皆が心配そうに見ていた。

 

「大丈夫……大丈夫だとも……」

 

「そんなわけないじゃない、酷い顔色よ……」

 

 結局皆に先に戻る旨を伝えた後カレンに付き添われその場を離れた。

 

「本当に大丈夫……?」

 

「心配ないよ……僕よりも君の方が心配だ。……あまり自分を責めないでね」

 

 命令を下したのはゼロでも、あの土砂崩れを起こしたのはカレンの操縦する紅蓮だ。

 

「私は大丈夫……平気よ」

 

 そう言った彼女の顔はとても辛そうだった。

 

 

 

 港の傍の倉庫内で次の作戦についての説明が行われていた。ディートハルトというブリタニア人の男からもたらされた情報。コーネリアが海兵騎士団を用いて海外への逃亡を画策している日本解放戦線の片瀬少将の捕獲を目論んでいるとのこと。しかし片瀬少将を逃がすよりもコーネリアの捕獲を優先した作戦内容であることにメンバーの一部は困惑しているようだったが、最終的にはゼロの一言で皆の迷いは吹っ切れたようだった。

 ブリーフィング終了後、カレンはゼロに用があったみたいだがゼロはやることがあると足早にその場を去った。僕も少し話したいことがあったのでカレンと後ほどゼロの所へ共に向かうことにした。

 

 辺りは暗くなりもうすっかり夜になった。ゼロが居ると思われる倉庫へとカレンと共に向かう。

 

「っ!? 誰だ?」

 

 ゼロは上半身が裸でマスクを外し頭にタオルをかぶっていた。倉庫は真っ暗なので素顔は見えない。見ようとも思わないが。

 

「僕とカレンだ」

 

「どうした」

 

「少し話を……と思ってね」

 

 壁に寄りかかり俯きながら話始める。

 

「友人の父親が……ナリタでの作戦に巻き込まれて死んだよ……」

 

 カレンとゼロが体を震わせたのを感じた。

 

「自らが行ったある行動のせいで人が死んだ時、もう二度と誰かを巻き込むまいとその行動をやめるのか。それともその犠牲を無駄にするわけにはいかないとその行動を続けるのか……。僕はね、後者だ。彼女の父親を殺したんだ、もう止まることは許されない。今後もひたすら戦い続け、殺し続ける。そして役目を終えたら彼女に全てを話して……銃を渡すよ」

 

 それくらいしか償う方法がないのだから。

 

「あの土砂崩れを起こしたのは私よ……! あなたが何かしたわけじゃない……」

 

「……そしてあの作戦を考えたのは私だ。裁きを受けるとするならば私だと思うが」

 

 カレンもゼロも気丈に振る舞っていても、罪のない人々を巻き込んだことを悔やんでいるのだろう。だからこそ裁かれるべきは自分だと主張する。

 だが――。

 

「知ってたんだ……あの作戦であれだけの被害が出るだろうっていうのは。でも僕はあえてそれを言わなかった、自分には被害がないからという理由で。それに平和になり戦いが終わったとしても、君達はこの世界には必要な人間だ。僕は……戦うことしか能のない、平和な世界には不要な人間だ」

 

 それに……セレンさんが居ないなら無理に生き続ける必要もあるまい。優しい言葉をかけてくれたナナリーや生徒会の皆には悪いとは思うけど、僕はあの中には居てはいけない人間なのだから。

 話は終わったのでその場を去ろうとすると後ろから言葉を掛けられた。

 

「やはりお前は今回は前線には出てこない方が良い」

 

「……何故? 白兜が出てくるかもしれない。今回は必ず潰すって――」

 

「以前のお前なら任せたさ、必ず始末するだろうという確信の持てる決意が見て取れたからな。だが今のような心の弱り切ったお前では刺し違えてでも始末しかねない。お前は必要な人間だ、こんな所で死んでもらうわけにはいかない。以前話した通り今回お前は後方から敵を狙撃しろ、いいな?」

 

 僕は今そんなに危なっかし状態なのだろうか。だが命令された以上は従わなければならない。

 

「わかった……今回はゼロの言った通り狙撃に徹するよ」

 

 

 

 作戦が開始された直後、日本解放戦線の船が爆破したことにより大規模な爆発音と爆風が吹き荒れる。

 

「流石だな、日本解放戦線。敵を巻き込んで自決するとはな」

 

 どうやら片瀬少将達は船ごと爆発させることで船に取り付いていた敵を巻き込んだらしい。その話の真偽は定かではないが今はどうでもいい。

 

 隠れていた建物の陰から狙撃用の装備で組んだ機体でブーストを使ってコンテナの上へと飛び乗り、後ろ脚に備え付けられたアンカーを打ち込み機体を固定し両腕のスナイパーキャノンを展開して陣取る。船で敵陣へと突っ込んだ味方へと銃を向けるサザーランドに一発ずつ交互に撃ち続ける。今回使用しているのは四脚なので、以前河口湖で二脚で行った狙撃よりも大分安定して撃つことが出来る。使っているのは以前と同じスナイパーキャノンなので掠るだけでも四肢を吹き飛ばし、直撃すればそのまま爆散する。

 今のところ精神的に不安定になることはなく、しっかりと狙撃を続けることが出来ている。殺し続けることを改めて決意したのも安定した要因だろうか。

 

 港の敵は大方殲滅したところで港から少し離れた所から爆発が起こったかと思うと、コンテナの上に紅蓮と白兜が躍り出たのを見て思わず顔がほころぶ。まさかいきなり雪辱を果たすチャンスが巡ってこようとは。奴は今現在紅蓮との交戦に気をとられこちらに気付くこともない。

 紅蓮に当てないように奴の背中のコクピットにしっかり狙いを定めトリガーを引く。弾丸はまっずぐ飛んで行き、コクピットに――当たることはなかった。当たる瞬間に僅かに紅蓮の攻撃で押されてよろけたことにより左腕だけを吹き飛ばして、その衝撃でコンテナの向こう側へと落ちていった。追撃して止めを刺したいところだがここから離れるわけにもいかない。

 

「後ろから撃つのは卑怯だと罵るかい? ランスロットのパイロットさんよ。だけど殺すと決めた以上こういった手口も使わせてもらう……許せ」

 

 仕留められなかったことを悔やみつつも、今回は相手の運が良かったのだと自分を納得させ港に残っている敵の狙撃に戻る。

 

「聞こえるか? 全軍撤退する」

 

 扇さんからの通信が入った。……撤退?

 

「何かありましたか?」

 

「ゼロが負傷したらしい」

 

「……了解、味方の撤退を支援します」

 

 ゼロの怪我の程度は気になるが、今は狙撃で味方の撤退を援護しよう。と思ったがいうほど敵の攻撃はなかった。どうやら敵もかなりの被害を受けているらしく、こちらを追撃するほど余裕はなかったためと思われる。

 結局この作戦でもコーネリアの確保には至らずに終わった。後ほどゼロが無事が確認されたのでほっとしたものの、作戦終了後に会ったゼロはどことなく焦っているようにも見えた。僕が気にかけても仕方がないので触れないでおく。何かあったらゼロから話を持ちかけられるだろう。

 

 

 

 その夜にまたあの夢を見た。空間は以前からは何も風景は変わっていない。変わったところがあるとるれば声が出せるようになっていたところか。ようやく自分の思いを伝えることが出来ると目の前のセレンさんに話しかけた。

 

「今後の目標は決まったよ、セレンさん。そっちに戻ることが出来るならばもう一度会って話がしたかったけど、多分それは叶わないだろう。僕はこの世界で傭兵として戦い、傭兵として死ぬ」

 

 セレンさんは悲しそうな表情をし、口を動かした。おそらく何か喋っているのだろうが声が聞こえてくることはなく、喋り終えると彼女は消えてしまった。だが口の動きである程度はわかった気がする。

 

「思い出すな……? それって……どういうこと……?」

 

 そう遠くない未来で僕は彼女のこの言葉の意味を知ることとなった。

 




-言い訳タイム-

今回のお話、自分にはこれが限界でした。何度書き直してもこれ以上良いものが出来ませんでした。申し訳ない……。

-言い訳タイム終了-


今回のアセンはこんな感じ。
頭 047AN02
胴 ARGYROS/C
腕 047AN03
脚 VISO LG664-2

腕R USC-26/H SALEM
 L USC-26/H SALEM

コア以外全部違いますね。むしろコアがアルギュロスなのは趣味です。
脚も4系にしようと思ったけど、やっぱアンカー打ち込んで狙撃ってのが良かったのでV系の四脚にさせて頂きました。

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