閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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※性的表現がありますが、精神衛生上追体験では無く、話しかけられてる状態での想像として考えて頂きたいのが今回です。
そして長いです。
(一応マイルドにしたと自分では思ってますが、更にマイルドに変えるかもしれません)



過酷な環境を生き延びた彼女

現在20階。

カメラを開き異常が無いことを確認。

 

ガァン!ギィン、ドゴォン!

 

外ではマグマの壁は消失し、天廊にある謎の障壁を壊そうと飛行機が飛び回る。

障壁はただ銃弾を跳ね返し、突進してきた物体を壊し尽くす。

 

ただし、小さい爆弾やミサイル、生物兵器や謎の生物、神選者に自律型機械兵器は障壁を……起きたら掃討する事が日課だ。

勿論、私で対処出来ない敵や事象は他に頼むが。

 

今日も爆発物が天廊を揺らす。

 

「ギァァァァァ!!」

 

そして一撃離脱を行う飛行機をミラバルカンが追っていく。

 

……改めて考える、私は既に神選者の攻撃によって死んでいた。

ミラルーツに依存してる様なものだな、私は。

死亡回数が神選者とウイルス吐きの二回で済んでる所は評価してもいい……いや、ミラルーツのお陰だが。

それに、次は無いと考えて行動するのは当然だ、ミラルーツに弄られるのがペナルティみたいなものだろう。

それにしても神選者は何を目的にここにやってきたんだ?……いや、縄張りを広げる為か。

 

ぐっ。

 

小窓からミサイルが飛び込んできて私の横の壁に衝突する。

衝撃と破片が飛び散る。直撃したら体の大半を失うだろう。

 

何だろうか、今日は一段と爆発が多い。

火薬の匂いに鼻が……嗅覚が?曲がる?うん?

 

アラーム音が鳴り、18階に生物の侵入が知らされる。

もはや天廊は私の縄張りみたいなもんだ、さっさと殺しにいこう。

 

 

 

 

 

ゔぅっ……

さっすがに、この流血は辛いのじゃ……

先程の動きで体が砕けた様に動かんのう……

じゃが、とりあえずこの止血剤と気付け薬を飲んで……

 

 

 

 

 

 

階段を降り、翼を出してウイルスを広げる。

風のお陰でウイルスはすぐに広範囲に行き渡る。

 

「キィィ……」

 

倒れているのは人間の女か……だが、裸?怪しいな、慎重に行こう。

 

 

 

そこに倒れていたのは真っ黒な肌の小柄な女だった。

水銀を飛ばす。

 

ガィン!

 

見えない障壁により全て弾かれる。面倒な事を……

近づいて撃龍槍を振りかぶる。

 

「キィッ!」

「ほっ!」

 

ほぼノーモーションで撃龍槍を避けた。

何故その体勢から動けるのか聞いてみたいな、そんな余裕は無いが。

 

「クルル……」

 

私は笛を構える。

片腕を失い、立っているのがやっとそうな人間は手を正面に上げる。

 

「待れ!」

 

……!?

聞いた事がある声……私は笛を防御する様に持ち替える。

 

「アろラル、おひさ――げほっ、おえっ」

 

女は這いつくばり吐き始めた。

だが、見覚えのある眼光と危険な雰囲気が私にある人物像を思い出させる。

 

……まさか、王女なのか?

 

「ぁぁ……けっ、ふまんのう、みうのある場ふぉまでスゥれて行っへはくえんかおう?(ペッ、すまんのう、水のある場所まで連れて行ってはくれんかのう)」

「―――水に吐いたせいでこちらが病気になるのはゴメンだが?」

「あぁ、へでフゥくうかららいヒョうぶじゃ(手ですくうから大丈夫じゃ)……けほっ、げほっ。」

 

人間の姿になり、若干発音のおかしい王女に近づく。

王女は咳き込んだ後、口の周りについた嘔吐物を拭って払い、私に口を開いて笑顔を見せる。

 

 

 

 

その口に歯は一本も無かった。

 

 

 

 

正しくは奥歯が数本あったのだが、ただ広がる黒い空間、その光景を私は忘れる事は出来ないだろう。

 

 

 

「――っ!?」

 

 

 

「ん、あぁ……あはははは。」

 

王女は笑った。

 

「これこれ。」

 

王女は生命の大粉塵を取り出した。恐らく粉塵と水で歯を治したいのだろう……治るのか?

 

「とりあえず待ってろ、今水を持ってきている。」

 

既にウイルスを水銀につけて水場まで飛ばしている。

王女の目の前に持っていき余った水銀を変形させる。

 

「ほら、水だ。コップもやる。」

「……フゥいぎんろくらんりゃが。(水銀毒なんじゃが)」

「何言ってるか分からん、さっさとコップで汲んで飲め。」

「んん……分かっら。」

「あぁ、袋は開けてやる。」

 

王女は驚いた顔をする。

だが、何も言わずに袋を私に渡した。

結び目を解き、口を開ける。

 

「あー。」

「雛か、お前は……」

 

私は生命の大粉塵を少量手に乗せ、上を向いた王女の口に突っ込む。

すぐに王女は水を口に入れた。

 

「んぐんぐ。」

「黙ってゆすげ。」

「んー。」

 

壁にもたれるように腰をおろしてから王女は私をじろじろ見ている。

私も隣に座り、王女を凝視する。

各部位は成長しているが、小柄なままだな。まぁ普通の成長だろう。

 

 

数分後。

 

 

「んーっ!んーっ!」

「……血の匂いか。」

 

歯茎を貫き、新たな歯が生えてきているようだ。

血の匂いが辺りに漂い、王女は痛みに悲鳴を上げる。

時々口から水が溢れるが、真っ赤だ。肉の破片も混ざっている。

 

 

しばらくして王女はコップに水を吐いた。

肉や血はもちろん、骨も混ざっている。

匂いに顔を顰めながらも歯を見せてくる王女の口を見る。

歯や歯茎はもちろん、気にしてなかったが顎の形も治っていた。

 

「うげぇぇぇ、くっさい、流石に臭いのじゃ。」

「やはり生命の大粉塵の効力は中々に凄いな……少し頂こう。」

「人の血を飲むんじゃない!」

「……中々に上手いぞ?」

 

この血は乾いた肉にかけたいな。

 

その後の王女の要望で私は片腕に粉を振りかけた。

 

「いっ、たぁ……」

「悶絶はしないのか。」

「腕はまだのう。じゃが口の治療はどうにも……」

 

王女は顎を抑え、満足そうな表情をする。

そこで私は質問を一つずつする。

 

「何故体が黒いんだ?」

「……んぅ、外で爆発が起きてるじゃろ?それを防ぐ障壁は機械的な物を受け付けないのじゃよ。」

「ふむ。」

「逆に自然に近いミサイルや、それに刻んだ魔法は障壁を通れるのじゃ。つまり、人体に爆発的な魔法を刻んで突っ込めば良いってわけじゃ。対象は死刑級の犯罪者が主じゃがな。」

 

なら王女は危険か?

それならもっとテキパキ動くだろう、一時の疲労に流される様な女ではない。

 

「まぁ、腕に起点を刻んでおったからのう。それを切り落としたら万事解決じゃよ。」

「ほう。どう切り落としたんだ?」

「鎌じゃよ鎌。」

 

王女は虚空に手を伸ばし、いつか出した鎌を引き出した。

その鎌に王女の物と思われる皮膚が着いている。

 

「爆発の初動で体が崩れたら困るから硬化する様に魔法薬につけられて黒色なんじゃよ。硬化薬グレートの方が効力が高いのじゃがな……」

「……いやお前の様子からして、硬化薬グレートの様な内蔵を守る効力は必要が無いからじゃないか?」

「あぁー、なるほど。」

 

 

 

王女は完治した腕を動かして確かめている。

あの基地の人間達に比べたら綺麗な色をしている。

そうだ。

 

「少し待ってろ。服を作ってくる。」

「……ありがとう。」

「まぁ恐らく継ぎ接ぎだがな。」

「じゃろうな。」

 

 

 

人間の遺した布でローブを作って王女に投げる。

王女は手でさすってから拾い……

全くローブを見ていない。おかしい。

 

「こっちをみろ、王女。」

「……ん?」

「こっちをみろ!」

「なーんじゃ?」

 

私の足の下に水銀を広げる。

 

「まさか失明してるのか?」

 

そう言ってから私は静かに動く。

これで追ってこなかったら……

 

「そんな訳ないじゃろう。……いや、何故浮いて移動するのじゃ。」

 

普通に顔と目を動かして追ってきた。

……なんだ、ただ目が死んでるだけか。

 

「なんじゃなんじゃー?変な心配でもしておるのかー?」

「いや、心ここに在らずといった感じだったから……杞憂だったな。」

「ふむ……いや、わらわはとーっても心が傷ついておる。誰か癒してくれんかのう?」

「話だけは聞こうか?」

「自分語りはいいストレス発散じゃからの。語っちゃうぞ〜!」

 

……目が活き活きとしている。黒い皮膚だから尚更目立つ。

さて、どんな驚く様な話が飛び出るか……

 

王女の隣に私も腰掛ける。

 

 

 

「わらわの目が覚めたのは、レーザーにより村が壊される音がしたからじゃ。

 

わらわはとある家の二階のベッドに寝かされておっての、アトラルと共に居ない事とかに驚いて飛び起きたんじゃが、その前にこの家の主に感謝と退避の手伝いをしようかと思ったところで家ごと吹き飛ばされての……自衛手段のナイフと着替えていた服しかなかったわい。

 

外では人々が走り回り、溜まった所を一掃する様にレーザーで焼き払われておったわ。

乗り物や馬も既に無く走るしか無かったのじゃが、それで逃げられる程奴らは甘くない。

 

結局わらわは機械に捕縛されたのじゃ。

まぁ村を焼き払ったのに何で捕縛する機械があったのかは疑問じゃが……その後、軍人に卒倒する謎の水を飲まされ気絶、目が覚めると飛行機の貨物の中に積まれておった。

 

そしたら次は唐突に毒ガスが出されてのう……まぁ電気を通しておる事から予測し蛍光灯の横を壊して、排気等の用途でもあるだろう配管をわらわは這っていった。

そのまま上っていき、普通に兵士が歩いている事が確認出来る位置まで行ったのじゃ。

 

そして奇襲。トイレの排気口から葉巻を吸い出した小柄な男性の頭を蹴りつけてパキッと一発じゃ。

とはいえ、大人とわらわじゃ体格差は隠せん。しょうがないからそいつの持ってた銃とナイフで手首と足首を切断、防護服をほつらせ、それをわらわの足に引っ掛ける。

 

それと、『この様な俺様の男声を出す事で』到着まで騙し切ったのじゃ。

まぁ、元々嫌われていた奴のようじゃったし、ほぼ話かけられなかったがの。

 

 

しかし、しかしじゃ。そこで気づく。

殺害対象であるわらわは姿を見られたら終わりじゃ。

つまり服も脱げん。

しかし服を脱がないと怪しまれてしまう……詰みじゃ。

 

そこで希望を探しに葉巻を吸うフリをしながら誘拐された人々がどうなるかを見に行ったのじゃ。

 

ギィィィィィン!

バキパキッミシッバキッ!

 

シュレッダーにかけられておったわ……流石に身震いしたのう。

 

さてどうしたものかと思った、そこでじゃ。

 

『ティリツ様、お疲れ様です!』

 

神選者がやってきてしまった。

じゃが、それはとても幸運だった。それは神のお陰かもしれんのう。

 

わらわはとりあえず頷く。

 

『……あれ、ティリツ様じゃない、誰ですか?あなた様は?』

 

やはりわざわざ近寄って話かけてくる人間は騙しようがないんじゃ。

周囲を確認してから走って逃げる。

走る衝撃で男性の骨が刺さるが気にする暇は無かった。

 

『拘束。』

『っ。』

 

しかしのう、やはり神選者は強い。

そのまま頭のマスクを脱がされたんじゃ。

 

わらわはただ神選者を睨んだ。

神選者はしばらくわらわを見つめた後に、

 

『……なるほど分かりました。貴女を転移させます。』

『……』

 

神選者が視界を覆うように手を近づけ、わらわが目を閉じた次の瞬間、牢屋におった。

全く……わらわの知ってる世界は無くなっておるの。

 

その後、神選者が捕まえた器物破損の犯罪者という事になり、牢屋に10年程拘置される予定じゃった。

あの神選者には頭があがらんのう……

 

 

じゃが、じゃが!

そこで最悪な人間がおっての!!

ロリコン、リョナ趣味!そんでハゲ!そんなゴミクソでこの世の汚点みたいな看守がおっての!!

 

初手爪剥ぎじゃよ!初手爪剥ぎ!

普通は鞭打ちとか殴りだったり、石で膝を潰すとかじゃろ!これらの拷問で痛みに慣れようとわらわは思っておったのに……最悪じゃった。

とはいえ、モンスターとの戦闘や壁登りで爪が割れたり剥がれたりする事は何回かある。予想出来る痛みの範囲内じゃ、興奮してないから痛いがの。

 

…………」

 

そこで王女は話を止める。一度目を閉じ、大きく息を吸ってまた吐く。

目から光が失われ、顔から生気が消える……初めて見る王女の表情に悪寒が走る。

 

そして突然私に抱きついてきた。

 

過呼吸状態の王女の息が聞こえる。

 

「……らしくもない。」

「うぅ、うぐぅ……うっ、嫌だったぁぁぁ!!」

「……ふん、お前があの時に気絶しなければ良かった物を。」

 

いや、王女にかける言葉はこれでいいのか?

少し考える。

 

「だが、よく死なずに戻ってきたな。そこは評価に値する。」

「ひぐぅ、んっ、身にしみっ、るっ、ぅぐっ……」

 

……はぁ、やれやれ。

子供の癖に……誰にも気にされず、逃げ場も無い所で良く生き延びたものだな。

大人に並ぶ頭脳があろうと、所詮は子供。人間という種族なのに群れの中から捨てられた守られるべき存在……いや、私が気遣う必要はこれっぽっちも無いのだが。

 

 

王女は息を整え、話し出す。

涙は止まり、息も全く引きつっていない。流石は王族と言うべきか。

軽く微笑む余裕さえ見せる。

 

 

 

そして人間の生き方から考えれば余りにも壮絶な物語に、つい私は顔を顰める事となった。

 

 

 

「それでさっきロリコンって言ったじゃろ?最悪な事に私を陵辱し始めたんじゃよ。

あぁ、陵辱というのは殴ってでも交尾する事じゃな。社会性を重んじる人間ならではの概念じゃ。」

 

「いや、子供に発情して行為に及ぶってなんだ、嫌悪感しか湧かないのだが。」

 

「まぁまぁ、そういう奴もいる訳じゃよ。人間は沢山居るし、理性や社会性が絡まる以上本能が歪む事も多々あるんじゃ。それを認める概念も必要じゃな……ただし、行為は理性で抑えるのじゃ。

……ふっ、やはりレイプが当然なモンスターは性の事には精神的に強そうじゃのう。

さて、アトラルはフェラという行為を知ってるかのう?」

 

「いや、分からん。」

 

「いわば人間に新たに出来たマウントみたいなものじゃ。

ここ、口に勃起した陰茎を突っ込んで快感を得て、同時に征服感を得て後の行為を進みやすくするんじゃよ。」

 

「食ってしまいそうだ。」

 

「……いやまぁ、そうじゃな。うんうん。

まぁ、腹が減った、本能がそうするって訳じゃのうて、わらわは抵抗の為に食いちぎろうとしたんじゃよ。」

 

「だが、食いちぎれなかった?」

 

 

 

「……さて、では元の説明に戻るとするかのう。

 

その日の食事を食べると若干変な味がする。

なんとパンが湿っぽいんじゃよ。普段ならカチカチなのに。

一口だけ食べて、他の食事を食べる。パンは残した。

 

そこでのう、睡魔と麻痺が襲ってきたんじゃ。

すぐに盛られたとピンと来たわ、眠かったがの。

 

気づくと檻が開き手錠をかけられて連行され、いつもの拷問部屋の二つ隣に入ったんじゃ。

 

そこは部屋。机もランプも、ベッドあった。

 

『こんばんは、愛しの、僕の、マイエンジェル。』

 

クソが気持ち悪い言葉を発しながら椅子を回してこちらを見る。

 

『ふむ、僕の僕の天使?頭足らずなのかのう、あっ髪が足りなかったの?』

 

わらわが軽口を叩いている間にクソが立つ。

ずっ、と近づいてきおる。

 

『君の綺麗な顔が歪むところが是非みたい。見たいんだぁ…!』

 

クソの狂気の顔を私は物怖じしないで見返す。

屈する、それは受け入れると同義じゃという事を察知したからの。

 

まぁ、殴られてベッドに倒されてから、そこから足蹴りや頭突きをしながらどうにか立ち回っていたが、まぁ無理じゃな。

結局はフェラに至った訳じゃよ。

さっきの大粉塵よりはマシじゃが臭いし、息も詰まる。

 

そこで噛みちぎろうとしたのじゃよ。

じゃがのう顎が強制的に動かされたり、さっきのパンの効果のせいで頬の肉が引きつっての、意図だけが伝わる最悪の所に至ってしもうた。

 

そこで歯をブチイッ!!

あー痛い痛い、麻酔ぐらいかけてくれてもいいのにのう。

 

『ァ”ァ”ァ”ァ”、ヴ、あぁぁぁ!!!!』

『そうだ、その顔だよマイエンジェル……!』

 

まぁー七転八倒して悶絶する私に嬉嬉として覆いかぶさって陰茎を出してくる。

リョナ思考怖いのう……

 

 

そんな攻防が何週間も続いてのう。

 

 

最終的には飲み物に睡眠じゃよ。

あの時は絶望したのう……

 

孕むか死か。

 

まさかこの二択が迫られるとは奴に会うまで思わんわ。

じゃが、それは睡眠障害に陥った囚人の残してくれた飲み物と交換した。

しかしそれだけでは水の量が足りん。だからわらわの下した決断は何だと思うかの?

 

尿や精液に睡眠効果は無いよね〜ってことじゃよ。

あぁ、辛かったぁ……それに問題を解決しても、普通の睡眠中でさえ何されるか分からんしのう。

なんとかバレずに経口摂取に誘導し、嘔吐きそうになりながらも飲んだのじゃよ。

 

『おらっ、飲みやがれ!』

『このクソ、野郎が、んぐっ、ん〜っ!!』

 

とまぁ途中から演技してた訳じゃな。

だって本当に嫌なら口を開いて全部吐き出せばいいしの。

 

その結果、歯が無くなったわらわは半ば廃人じゃった。食事もろくに取れない、余計な行動で水分は出せない。

それでも組み付きには抵抗するし、殴打には耐える。

身体中痣だらけだし、ずっと口は精液臭いし、やる事無いからクソへの恐怖ばかり大きくなる……いやぁ地獄じゃったの。

 

 

あぁ、わらわが屈するのは私という人格が破綻する時なんじゃなぁ……

 

 

と思った時じゃよ。

なんと8年以上の拘置をされる人間全てを人体爆弾として転用する事を上が決めたんじゃ!

お気に入りなのか私の存在が隠されかけたがの、あの神選者が一人で連行してくれたんじゃ。

最後の言葉は何だと思う?

 

『グッドラック、また会える日を待ってます。』

 

何とわらわの生存を願ったんじゃよ。いやぁ、頭が本当にあがらないのう。

わらわも感謝をこめて、

 

『汝の往く先に、願わくば幸あらんことを。』

 

と敬礼しながら言ったのう。

 

その数日後の今日、飛行機の中で魔法を刻まれて漬けられ…空中に放られ…腕を切って、それで……鎌の……こうげきの…いどー……」

 

「……そうか。」

 

突然王女の覇気がなくなり、目を閉じる。同時に力なく構えた鎌のポーズから倒れ、腕も横たわる。

疲れきっていた事に今更気づいたような最後だ。

 

敷布団とかける布を作り、王女を挟む。

……しょうがない、突然パニックを起こされても困るから今日は王女の傍に居るか。

 

いや、私はオスは食らうものという考えが離れない為に若干理解しきれない。

だが、あの王女がここまで追い詰められたんだ……つい気を使ってしまうのも当たり前だろう。

それにしてもこの黒い肌はいつか治るのだろうか、日焼けや、黒人とかそういうレベルではないからな……

 

そうだ。

私は瓦礫や木で部屋を作ることにした。





いざ調べてみるととても範囲が広くて分かりにくい……
そんな世界ですね……

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