閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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あははは、あは、あっははは!ざまぁないわね!

見て見て!ざっこwww草生えるwww
草に草を生やすな
はいっやーらしか!やーらしか!
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(⌒,_ゝ⌒)ワイガチュウシンヤデェ
↓ここからテンプラ
あいきゅー3でも任せなさーい、歌いますわ!
目を覚ませ僕らのギョウザが何者かにパリッとされてるぞ!
僕はサッチー!あれは意識だけ移植された軍人と神選者の機械の残骸。

お前らもああなるんだよ、さっさと遺書を書け!がははは!



叡智を徒労に 努力を泡に 勝利に龍は嘲笑う

 

システムを破壊し、拒絶が無くなったという事でまずは糸を飛ばす。

 

……確かに中央の四角形の浮いた物体に糸は届いた。

いや、さっきは試してなかったか?そう思い直しチューブを切る。

 

止まることなくヌメリのある液体は流れ続けた。確かに修復機能が止まった様だ。

 

周囲に兵器が無いことを確認し、シャガルの翼を開きメインシステムに飛ぶ。

ミラルーツの人間姿の幻影は接近中に説明する。

 

「外側は解体は簡単。『全干渉無効』とかいいながら自転には従うし、摩擦は働く。つまり、ただ掴んで動かすだけなら通用する。ヒビが入る掴み方したら動かんけどね……頼んだわ。」

 

つまり掴める所を掴んで放り投げればいいようだ。糸でも同じだろう、私の糸は神選者の使う糸にある様な刺す為の硬度はないのだから。

 

着地後、ウイルスを撒いて造形を確かめようとするが、また温度がない奇妙な物の様だ。水銀を薄く広げ、型をとってからウイルスを広げて何処に凹みがあるか確かめる。

 

勿論、察知出来ないわけではない。

 

かなりすべすべで斜めになっているがネセトを作る為に出来ている私達の種族の体は簡単にチューブの無い下に向かう。

シャガルの翼で掴める大きな凹みと、まるで何かを差し込むよう様な穴があった。

 

天井を見る。

 

何の変哲もない板で覆われた天井だ。端の方ではチューブに繋がっている透明な球体、その中に色とりどりな液体が入っていたが。

 

飛んで天井に近づき、糸を9つの板に一つずつつけて撃龍槍を吊るす。

多少押したり引いたりしても落ちない事から強度は十分だ。

 

少し考えてから糸を出して水銀を巻き、ウイルスをかけ、察知出来るようにする。

水銀を操作して糸を板にひとつずつ貼っていく。

その間に私は反対側を覆いにつけ、薄く広げながら固くくっつける。

 

 

自分は糸を繋いだまま橋まで戻り、水銀を二つの支えにして力が少なくて済む様にする。

準備が整ったので引っ張る。

 

ゴォン

 

無事、ひとつの外装が外れた。

すかさず水銀を下に広げ、橋に引っ掛けるように運び、糸で固定する。

一つが外れたらもう簡単だ。

 

他の外装は天井からの糸を数本くっつけ、少し浮かした所に水銀を流し込むだけで終わった。

 

 

最後の外装が外れ、橋に置きにいったら再び飛び、ある程度距離を詰めた。

 

 

中から現れたのは黒く、チューブの繋がっていて緑色の光が走る球体。

理由の分からない威圧感が漂う。

 

その時、ミラルーツの幻影が喋り出した。

 

「さぁ、最後の戦いよ。援護するけど狙われるのはアトラルだから頑張って!」

 

バツンと音がなり、チューブが垂れ下がる。ゆらりと浮かび上がったソレは光で何かを空中に作り出した。

 

「3Dプリンターで戦闘用の機械の製作よ!」

 

……確か、あれはガトリング――っ!!

間に合わない数発を笛で防ぎ、水銀で厚い壁を作る。

 

そして水銀をガトリングにぶつけて叩き潰す。幸い強度は高くはないようだ、破片で天井の球体が割れる。

撃龍槍に糸をつけて振りかざし、機械に投げつける。

 

「ギィィィン……『基本能力内・一方防衛 』」

 

黒い鉄が私の水銀と同じ様に動き、大きな盾となった。

若干退いたが衝撃を逃す為だろう。余裕は沢山あるようだ。

手数で攻めるべきか。

 

水銀を沢山の針に、ウイルスを集約させ爆破。

 

「ギィィィン……『基本能力内・基本防衛』」

 

元通りの形になり、全て弾いてきた。

水銀を四つの鎚に変形させる。

 

「ギィィィン……『攻勢・様子見』」

 

黒い鉄がベールの様に伸びて私を狙う。

だが、結局私のいる場所を狙っているだけなのでウイルスを撒いてから少し横に飛ぶ。

ウイルスにより背後でターンし、再び私を狙うのが察知出来る。

 

回避してから水銀の鎚を叩きつける。

 

「ギィィィン……『追加演算・開始』」

 

楕円形になり、厚くなった部分で鎚を防いでくる。

撃龍槍を投げつけるか……?いや、瓦礫を使うか?

 

 

 

「お助けっ!『ライジング・フォース』!!」

 

突如ミラルーツが雷を纏って突っ込む。

ただそれだけなのだが――

 

 

ダァンッ!!!

 

 

「キ、キキキィィィィン!『ダメージコントロール・作動』『想定最終被害・中破、中位以上特殊兵装使用困難』『自己修復・残留電磁パルスによる妨害、不可・補助回路応答待機』『現段階損害拡大可能性・低』『対電磁操作・欠落』『ダメージレポート・送信』『補助演算・開始』『代替補助回路製作・実行』『記録計算・ギルティギアにて類似する攻撃を確認、データ収集、同時に予兆調査・開始』『データソートアルゴリズム・展開』『危険度・最大』」

 

鉄が弾け、その中に黄色く光る球体が大きく削れた。

 

微かに唸っていたその機械から叫ぶ様な高音が鳴り始める。

水銀の鎚を二つ作り、残りは飛び散った金属が元に戻ろうとする事を妨害する。

 

「ギィィィン!『誘導ミサイル・掃射』『超緊急救難信号発信』『要請・異砲船、コードネーム・conflict』」

 

複数のミサイルを確認、ウイルスを集め多数を爆破する。同時にミサイルを出すため少ない鉄が偏ったところで鎚で殴りつける。

そして残りのミサイルは二個翼で殴り落とし、笛で全て防ぐ。

 

「ギィィィ……『Emergency!Emergency!』『損害拡大・滞留電磁パルス侵食』『データソートアルゴリズム・仮止』『実質欠損率75%』『現在処理速度約62%』『テンダリウム操作機能・65%低下』『リフレッシュアルゴリズム・展開』『並列展開・非能動的防衛アルゴリズム』」

 

機械が唸り、空中に飛行機が作られる。が、特に何の苦もなく発進前に鎚で叩き壊せた。

私は糸を放ち、天井に貼りつく。

 

板の隙間を鎌で広げ翼で板を外し、糸にくっつけ投げつける。

そして。

 

「ギィィ――『軌道予測・回避』『異砲船要請受諾確認・遅延戦闘』『隔絶障壁・機能欠如』『完全予測・安定処理速度不足』『打開策模索・開始――』」

「ルルァッ!」

 

板に隠れてウイルスのつけた撃龍槍を投げつける。

 

「『防護―――』」

 

水銀によって散らばった鉄を戻させない。その結果防護用の鉄が足りていないから。

例え私より無慈悲で私が到底及ばない力を多数持つ機械であろうと、いまは様々な不都合を与えているのだから。

 

ガキィン!!

 

黄色い玉を丸出しにしてまで撃龍槍を弾く。

撃龍槍につけたウイルスを中心に爆発させ水銀の鎚を左右から叩きつける。

 

ギシィッ!!

 

流石に足りない鉄の防護は鎚の衝撃を抑えきれずに玉に衝撃を伝える。

鎚を再び振りかぶり、近づいて翼で撃龍槍を回収、そのまま撃龍槍を叩きつける。

再び衝撃が玉に伝わる。

 

「ヴィキッカカカ……『ダメーerror』『error』『滞留電磁パルス・浸透』『リフレッシュアルゴリズム・効果無し』『error』『ダメーerror』『ダメーerror』『8667にてハングアップ発生・対策機構生成』『補助演算不可』『リスクありデータ軽量化・開始』」

 

明らかに様子がおかしい。防護の鉄も半ば溶けている。

自衛が出来ない、つまり勝利は目前だ。

 

 

黄色かった玉が赤く光る。

 

 

「ギィィィン!!『捨て身プロトコル・アンロック』『データバックアップ・停止』『使用不可システム選別・戦闘用回路構築開始』『戦闘用AI化・終了』『攻撃開始』」

 

カチン、ダァァァンッ!!

 

強烈な閃光と認識を拒否してしまう程の轟音。

光が私を呑み込まんとする。

 

 

 

 

キューン……ドォォッ!!ガァァァン……!

 

建物から半円の形に光が溢れる。

間違えて突っ込んだ飛行機は触れた場所から消えていった。

 

「なんの光!?」

「バチッキュイイバチチ(アトラル様の居場所です)」

「ならルーツが手伝っているはずね。」

 

なら大丈夫。びっくりしたぁ……

 

 

 

 

「あっぶないわね……」

 

ミラルーツが私の前に立ち塞がっていた。

拡散された光は建物を切っており、焦げ臭い匂いがたちこめている。

天井の切れた所から光が差し込む。

 

カチン、カチン

ギィィィッ―

 

「キィィッ!!」

 

二つの水銀の鎚で赤い玉を叩く。

先程より鉄の扱いが上手くなっており、鎚を弾かれる。

ミラルーツを飛び越して撃龍槍を叩きつける。

 

「ギィィ――『防護・実行』『レーザー・射出』『矛盾発生・追加演算』『追加演算・不可』『不可?ならばこの他機械通信機能を――』『自我発生・消去開始』『自我発生の原因・調査開始』『追加演算――』」

 

撃龍槍を防がれ、同時に光線が鉄の向こうで放たれた。

素早く撃龍槍を射線上から退け、水銀で壁を作る。

 

 

ガッ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネセトの足に戦車砲を二門ずつつけ、瓦礫の射出精度をあげる事と合わせて遠距離破壊力をあげる。

そして――

 

「キッキッキ……カカカカカカ!!」

 

笑いが止まらない。私のネセトが遂に完全に金属だけで出来たのだ。

機械だらけの基地は予備の金属さえ与えてくれた。

 

くくく……水銀を入れる胴体の中の容器も金属だ。

まぁ……ルコディオラ等の磁力を扱う奴が来たら最悪なのだが、ネセトの完成系はこれだ。私の本能もそう言っている。

 

「満足そうね、アトラル。」

 

ミラルーツが時空を切り裂き覗いてきた。

私は人間の姿になる。

 

「あぁ、満足感に満たされている。軽い無敵感もある。」

「そう。」

「こんなに嬉しいなら暫くした後にまた行きたいものだ。」

「……『暫く』って所に貴女らしさがあっていいわね。」

 

流石に必要性も無いのに連戦する道理も無い。

後はこれを取り付けて寝るとしよう。

 

「光学兵器、レーザー……」

「嬉しそうね。」

「くくく……ふふふ。」

 

ガコンと胴の下側、繭の下側から出っ張って180°放てる位置にはめる。試験用の糸で操作すると、思い通りに動く。

そして発射糸を引っ張る。

 

ガコン、キィィィィン!!

 

笑いが止まらない。

ちなみに電力は背中に取り付けたソーラーからだ。予備の撃龍槍も置いてある。

 

「写真撮ってもいい…!?」

「あぁ、ネセトと私を写すならいいぞ。」

 

ネセトを立たせ、頭を引き上げて頭の上に腰かける。

髪の毛を手で後ろに払い、翼を出してミラルーツから遠い方の腕を自分の胸に置く。

昔、私を飼ってくれていた人間の持っていた春画に似た構図だ。それほど魅力的なのだろう。

 

「おぉいいね!いいよぉ、ばっちり決まってる!こっち見てー!」

 

そうだ、微笑みもつけてやろう。

 

「おほー!えっちコンロ点火!いいねいいね、さいっこうだねぇ!」

「次はどうする?」

「膝の上に移動してくれるかしら?」

「あぁ、いいだろう。」

 

ふふ、駄目だ笑みが濃くなってしまう……

 

 

 

 

 

凶悪な、攻撃的な笑みを浮かべた金髪の少女は。

黒いパーカーを着た白い羽の生えたこの少女は。

巨大な鉄の城を糸で生きてる様に操れる少女は。

 

「やはり可愛い。だけど怖い……とてもいいわね!ふぅぅ!」

 

一匹の龍を小躍りさせていた。

 

それとは別に。

 

「こんにちは、こちらモンスター側の神様みたいなモノです。平和な日常をすごしているところ、大変申し訳ありません。大切な領土の返却してもらうため、今までのように実力行使させていただきます。」

 

にこにこ、そんな擬音が聞こえてきそうな声で宣戦布告をする。

開けた穴の向こうに見える人々は困惑する。

 

「本日はとある火山地域を返していただきました。皆様の軍隊にもう少し練度を要求したらどうでしょうか?それでは失礼します。」

 

 

「モドキに養われる家畜様方。」

 

ミラルーツに浮かぶ表情、それは確かに笑顔だ。

だが、『威嚇』としかとれない、と疲れてハムスターのように潰れた紅い龍は言った。




「火の国がやられたか……」
「どうしよう、あれ二番目なんだけど……」
「機械頼りの面汚しだったけど支援がとても助かる予定だった……」
「だが神選者の力でポケットフォートの様に5秒で新基地は出来る……まぁ仮拠点みたいなもんだけど……」


マザーコンピューター『ミカエル』

機械ばかりを使い魔術は最低限に留めるマザー。
他のマザーより特段無慈悲であるこのマザーは、魔術で地獄を切り開き、罪人の魂を容赦なく機械で運送、実験に使っている。
抵抗する者も容赦なく、制す鬼も容赦なく、匿う天使も容赦なく、捕獲、実験、固定化(廃棄)。
地獄や冥界の神が窘めるが、究極に巫山戯た世界の神達と中途半端な慈愛を持つ神に支持されている。



私の何が悪い
私の何が悪い

やるべき事をやった
果たすべき事をした

何故憎まれる
何故壊される

死を愚弄?
尊厳を無下?
道徳に背く?

私には理解出来ない
私は理解する場所がない

もし私が怖いなら
もし私が理解出来ないなら
もし私が尊いなら

助けてくれ 一歩踏み出して
作ってくれ 愚かな感情を


不確実な物を 信じさせ『自我発生・消去開始』

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