閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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テーレーレーレーレーーーデェェェッ
イメージ
グァンゾルム=ゲネル・セルタス
背景含めたエギュラス=アルセルタス



多勢に少数精鋭

女帝は敵と兵を確認する。近くのにいる兵を尻尾で挟み洗脳し、自らの体の一つにする。そして足を踏み鳴らし全ての兵に攻撃開始の合図をする。

まず四匹のアルセルタスがアトラルに突進をする。当然ながらアトラルは回避行動をする。折り返しで突進してくるアルセルタスは10匹に増えていた。球を投げつけそれを中心に山なりに回避する。

そこにゲネル・セルタスがアルセルタスの力で飛行突進する。後続に6匹が同じ速度で突進する。

 

なるほど、アルセルタスの飛行能力の高さはこの……ゲネル・セルタスを持ち上げる為か。地に伏せて避ける。後続のアルセルタスも私を見て突進してる訳じゃないから当たらない。

私が体制を整えながら振り向くとまた足を踏み鳴らしながら叫んでいる。

すると今度は私を囲むように三匹が降りてきた。近接か……私の得意分野だ。

前方のアルセルタスを斬りつけて怯ませ、左には羽ごと糸を巻き付ける。右の敵が振る鎌を回避しながら叩きつける。回避されたが巻き付けたアルセルタスは弱る。前方に叩きつけようと前を向くとアルセルタスの角で地を抉りながら突進してくる姿があった。

巻き付けたアルセルタスを目の前に叩きつけ、破壊させ……破壊する威力か。非常に危険だな。横に回避する。他の個体の出した体液に当たる。染みるように痛い。折り返しながら突進してくるゲネル・セルタスを回避しながら小川にもみたない川で体液を落とす。

再び折り返しているゲネル・セルタスに糸を放ち従属したアルセルタスの上に自分を引き寄せ乗る。突進が終わったら従属アルセルタスを死ぬまで斬りつけ、蹴落とし更にゲネル・セルタスを斬りつける。ゲネル・セルタスが暴れる為アルセルタス達は突進も近づく事もできない。このまま行けば……

 

ゲネル・セルタスがアトラルをハサミで掴み叩きつける。再び持ち上げ叩きつけようとするが拘束を解き、少しふらつきながらも体制を立て直す所に再びアルセルタスが突進する。

掠りながらも回避をするアトラルはキレた時の目をしていた。

同様にキレたゲネル・セルタスはフェロモンを思い切り出す。近づいてきたアルセルタスを再び従属させ、他のアルセルタスは興奮して攻撃が苛烈になる。

15匹が四方八方から突進してくる。アトラルは単純な回避を諦め木に糸を放ち自分を上に飛ばす。

軌道修正しながら数匹が突っ込んでくるがアトラルは木から木を転々と移動する。他のアルセルタスに自分を追いかけてきたアルセルタスをぶつけ、折り返した者に引っ張ってもらいゲネル・セルタスの近くまで戻り着地する。

アトラルをアルセルタスが10数匹で囲み拘束しようとする。正面の1匹を斬り、球を引き寄せすぐに叩きつけて正面奥の1匹を潰す。アルセルタスの鎌の攻撃をくらいながら遠くの地面に糸を貼り付け1回遠ざかり元の位置に再び糸を放ち、アトラルに拘束を当てようとして地に降りた数匹にアトラルが勢いをつけて両断する。

 

駄目だ、数に対して殲滅速度が遅すぎる。というかまた死体が増えたらあの馬鹿げた怪物が来てしまうのでは?

私は懸念しながらゲネル・セルタスを見る。……何かを飛ばしてくる!本能のままに回避する。元いた場所を水ブレスが通過する。なるほど、かなり勢いが強い。当たると――

 

バキッ

 

……

拡散させながら3発だったのか……!

被弾した私の左前足が根本近くから折れる。威力はやはり高いな。

痛みを感じるが興奮している私には薄い、折れた足は邪魔になる上に腐って風邪になる可能性があるためさっさと折れた足を斬る…!

 

ゲネル・セルタスは小さな思考で自分が優位になったと考える。

足を踏み鳴らし攻撃の合図をする。

12匹のアルセルタスが再びアトラルに突っ込む姿が見える。

勝った。

 

窮地のアプトノスはドスランポスを殺すのだよぉぉぉ!

私はバランスを崩しながらアルセルタスをかわす!まだ私は抗える!

私の近くで止まったアルセルタスに糸を巻き付け突進してくる二匹に叩きつける!結果は見ずに更に突っ込んでくるアルセルタスを笛でホームラン!次は!――

 

アトラルは興奮のしすぎで一時的に反応速度が上がっているが周りが見えなくなっていた。

気が短い女帝、ゲネル・セルタスはまだ倒れないアトラルに対して苛立っていた。従属アルセルタスの角を地面に刺す。そして突進する。

 

球を投げ、当たる前に糸を当て避けさせない様にし、1匹を殺す!

体液を回避して……あ。

 

アトラルが気づいた時には遅かった。一応耐える体制をとるが地面を砕きながら突進するゲネル・セルタスを耐える事は出来ない。

 

 

 

「ファイニャー!」

 

閃光が走る。突然の事にゲネル・セルタスはバランスを崩し転ぶ。

アトラルが振り向いた先には四匹のアイルーがいた。

 

「余りに騒々しいと思ったら、なんでこんなにいるかなぁ……」

「おい!金色の!僕達が来たからにはもう安心しにゃ!」

(みなごろし)ならこの武器の名前が意味通りですにゃ〜」

「はいはいみんなファイト〜ピッピッピ〜チャキーン〜」

「「セルフ音声やめぃ」」

 

……ふぅ。落ち着いた。流石にアイルーに安心しろと言われても信じる気にはならない。次はどう立ち回るか……

 

そんな私の考えは一瞬で覆された。

1匹のアイルーは左右に飛びながらゲネル・セルタスに近づく。

残りの3匹はアルセルタス達を閃光で落とし足を切り取り羽を切断する。

あまりに手際が良く明らかに飛んでいるアルセルタスの数が減っていく。

ゲネル・セルタスを相手取るアイルーは次々に攻撃を鎚でいなし、隙あらば頭を殴る。殴り続ける。

ゲネル・セルタスは気絶して再び倒れる。アイルー三匹もアルセルタス討伐を中断して攻撃に向かう。

……見てるだけなのも居心地が悪いので球を全力でゲネル・セルタスの足に叩きつける。まだ起きないから叩きつける。もう一度。

4度目に足が潰れる。気絶から治りゲネル・セルタスが起き上がろうとするが足が潰れたせいで立てない。そうか、足が潰れたからバランスを考えて立つ。という事が能動的に出来ないのか。動けないゲネル・セルタスの顔にアイルーが特大爆弾を置き逃げする。私も顔面に球を投げつける。

無惨にゲネル・セルタスの顔は吹き飛んだ。

 

アルセルタスは逃げる個体と留まる個体がいる。

私達は残党にそれぞれの武器を向けた。鎌、鎚、ブーメラン、剣。ふさふさした何か?は武器に入るのだろうか。

指揮官がいなくなって混乱している個体など敵ではなかった。

 

 

「…えっと……『貴女は 何故 いる?』」

 

アイルーが私達の言葉で話しかけてくる。練習したのか?凄い危険な行為をしている……私以外の個体の警戒心を解いてから近づく必要があるのに。

 

「『人間の言葉が分かるのでそちらで構いませんよ。』」

 

私はこう返す。

先程私は、アイルーの巣に連れてきてもらった。

 

「染みるから耐えて下さいませ!」

「貴女は何故ここにいるのですかにゃ?」

手を前にかざしてうつむき笑い、肩から縄をひき、檻をガシャガシャする。を表現する。

「なるほど、密猟者に連れてこられたとにゃ。」

 

うっ…足に染みる。切断した面になにか塗ってもらっている。虫は足をしばらく繋げれば再び動く様になる種類もいるそうだが私達は再生能力が高いため切断してもしばらくすれば新しく足が生える。……白い突起が見える。既に生え始めているのだが!?塗ったアイルーを見る。

 

「これですか?甲虫用の回復薬ですよ。」

首に鎌の後ろを当てて仰け反る。

「びっくりしましたか。……これがハンター達の技術なのですよ。」

お椀を描いて物を入れる仕草をして首を傾げる。

「いえ、これはハンターの中の物好きが作ったものなので製作方法は分からないのです。あ、今度交渉してきましょうか?」

恐れ多い。鎌を横に振る。

「遠慮しないで大丈夫ですよ。ではまた1時間に回復薬を持ってきますね。」

「パントマイム上手いですにゃ。」

……反応に困る。

「照れなくてもいい――ヒッ!?す、すいませんにゃ!」

鎌を振り上げる。アイルーは察しがいい様だ。それより、こんなに効力が高いなんて人間の技術はどうなっているのか……

 

 

「しばらく泊めてあげたいにゃ。頭いいし……」

「ギルドには内緒だな。多分あれが噂の頭のいいアトラル・カだろう。」

「本当かにゃ!?」

「馬鹿野郎、声が大きい。まさか人語を理解してるとは俺も思わなかったが。」

「ネコートに伝えてそういう系の依頼は消してもらうにゃ。」

「あぁ。捜索狩猟依頼を出されたら困るからな。」

 




最前線のニャンターに聞いてみた!
最近の狩猟は?

「そうですね、最近は暴れ回る二つ名狩猟が多いですね。」
「だにゃ。めんどくさいにゃ〜」
「ただ世界にあんなに二つ名がいるなんて思いませんでしたにゃ。」
「私達なら狩りの範疇だから困りませんわ〜」

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