閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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天廊ってどれくらい大きいのですか……?
(この世界では高度10000mの超巨大建造物としています)



個々の自由

ネセトと共に炎に包まれる。

しばらくそのままでいると突然炎が消え、掃除されていない冷たい岩で出来た部屋に居た。

 

「しばらくはここのフロアに避難しておいてくれ。」

 

周りを確かめると一切モンスターの気配が無い。

ウイルスを風に乗せても、ただだだっ広く、植物が霧状に何かを出している以外は何一つ無い……

 

人間の姿に変わり、床を撫でると凄く硬い素材だと分かった。

つまり床を破る事は不可能。

 

「バルカン!つまらないのだが!」

「早くないか!?」

「……縄張りもなく、危険もないとしたら非常につまらない生活になるだろうという推測だ。」

「あぁ……なるほど。まぁ確かに避難したからといっても野性味が薄れたり、過剰なストレスは精神衛生上良くないからな……相談しておこう。」

 

……バルカンは炎と共に消えた。

緊張が解ける。

 

さて、まずはネセトの掃除だ。

戦火や爆風による砂利やゴミを取り除かないとならない。

 

水銀を近くから作る事は……植物の出す霧から作れる様だ。何故?

とりあえず内蔵の水銀を含めて集め、糸で水銀に部位を入れて洗う。

私が龍の力を操作しているからか、こびりついた汚れも手に取る様に分かる。

 

笛を研ぎ、撃龍槍も洗濯する。

そして撃龍槍の柄を床に叩きつけてみると、ヒビが入ったが再生した。

私では突破は無理だ。

 

ネセトを組み直し、貯蓄している瓦礫を射出する仕組みを調節する。

糸で瓦礫を固め直す。

人間姿に変わり、気になっている植物に近づこうとした。

 

 

 

雷が走る。

 

 

 

「やっほ♪」

「っ!」

 

ミラルーツが……

大量の黒い腕で空間を押し広げながら入ってきた……

 

「あ、これ?数十個の事が出来るから便利なのよー。」

「……」

 

流石に言葉が出ない。

なんだこいつ。

 

「えっと、なんだったかしら?」

「……暇だからどうにかしてくれと。」

「あ、音ゲーやる?」

「は?」

 

おとげー?……音で遊ぶという事か?

確かに私には笛はあるが。

 

「あー、そうだよね。タワーディフェンスよね……ちょっと待って。」

 

そう言ってルーツは腕に包まり消えた。

 

 

 

 

神選者・神弓者ミツル

 

 

輸送班の護衛してるが……特に襲ってくるモンスターはいないし大丈夫だろう。

 

「リカ、『戦争』ってゲームやらない?」

「ぶ、ぶっそうな名前ですね。」

「いや、ジャンケンして勝った後にあいこになったら得点っていうゲーム。」

「なるほど。勝利条件は?」

「合計三回か、連続三回あいこだったら勝ちだよ。」

「ふむ……では後者の連続の方でやりましょうか。」

「それぞれ勝った時の呼称は――」

 

「「せーんーそう」」

「えっと……はわい、はわい、ぐんかん」

「軍艦、軍艦、ハワイ。一本とって朝鮮。二本とって軍艦。三本――」

 

バシィッ!!

ブチィッ!

 

「四本取って勝利♪」

 

 

 

 

 

遠くから絶叫が聞こえると共にルーツが戻ってきた。

少女の姿になったルーツの腕には、肩からの腕が流血している状態で四本あった。

 

「ちょっと待ってね……」

 

再び上半身を黒い空間に突っ込む。

そして大量の黒い女性が黒い腕に巻かれて出てくる。

 

「はい、ヨグたん!頼んだ!」

 

よぐたん……?

ルーツの行動が全く分からない。

 

 

 

次の瞬間、全ての女性が爆発したという事象もその一つ。

しかし爆発した人間は動き続け、顔は何かを叫ぼうとしていた。

 

 

 

「はい、腕を出して。そしてこの様に構えて。」

 

人間開かれた口や断面から黄色い泡が湧き出し、音も無く、血痕も残さず一瞬で消えた。

いつでも切り落とせる体勢で人間である私の腕をルーツに伸ばす。

人間の所にあった腕輪をルーツが拾い、こちらの腕に回す。

 

血に塗れた腕輪は私の腕にぴったり当てはまり、腕を横にすると私の前に緑色の何かが浮かんだ。

 

総合、検索、創作、龍力、設定?

 

今は総合で細長い何か……天廊か?それを横から見ており、沢山の数字が並んでいる。

 

「……なんだこれは?」

「それは遊び用のリングよ。タワーディフェンスって言って……左の『検索』で1Fって書いてみて。」

 

とりあえず従って触ってみる。

確かな感触があるが、硬さが無い……

 

「一階……ああ、なんか地図が出たな。」

「で、右に色々な物が出たでしょ?一番上の数字を消費して設置して、侵入してくる人間を殺して。」

「……何故だ?何故私がやるんだ?」

「暇なんでしょ?」

「……分かった。」

 

その後も色々と説明が続いた。

 

チュートリアルと称して50人殺したのには驚いたが……ルーツは人間を憎んでいるのだろうか?

とりあえず殺した人間は素材になるから私に利点はあるのだが……何故こんな回りくどい殺し方をやらせるのだろう。

 

 

 

四人が塔に入ってきた。

 

大砲が人間に向けて放たれる。

吹き飛んだ人間は予定通り槍に刺さってくたばった。

 

謎のゲル状の生物が二階に湧いた為、火炎放射器で炙り殺す。

 

異常が発生した際に音が鳴るという仕様の為、合間にそれぞれの仕組みを確かめる。

所々操作出来ない階層があるが、なんなのだろうか。

 

 

……

 

で、私は?

 

私は何をすればいいんだ?

 

……まさか、これで長期間過ごせと?

 

 

 

 

 

 

 

殺す。

どうして私の望むように事がすすまないの、殺したい。

早く殺したい。

なんで殺しちゃいけないの?

いや、殺すと殺されるから。

だったら殺していいじゃん。

殺す理由はある。罪状もある。

ならば死刑だ。正しい死刑だ。

正義の元に殺す。

早く殺したい。

でも殺せない。

殺したい。

絶対殺したい。

殺したい殺したい、殺したいよ!!!!!

殺したいよ!!!殺したから!殺したんだから殺していい!

私よ、殺せ!

殺したい。殺したい!!殺せたのだから!

殺せない事が苦痛。

殺せない。

殺したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

 

シュレイド王国の進軍は止まらない。

 

ポッケ村を破壊し、巨大な剣は有効活用しようと引き抜かれ運ばれた。木材の為に針葉樹林は伐採されていく。

 

ユクモ村を破壊し、巨大な地熱発電所を作った。劣等民族の男は既に殺し尽くし終わっている。

刺さった杭から加工された鉄や石が送られ、どんどんビルや道が作られていく。

 

 

その時、飛行機は森や川に毒ガスを戦闘機で散布し、生物を一匹残らず死滅させていた。

絶滅や食料問題は培養・養殖技術のお陰で気にしなくていいのだから。

 

 

奴隷はいない。食糧費や寝床、監視にかかるお金をアンドロイドと環境エネルギー設備に回した方が効率がいいからだ。

 

 

 

ユクモ防衛兵は建設された観測塔から景色を見渡していた。

 

「今日も平和だなー。」

「アンドロイドが見つけ次第殺しといてくれるからな……!?」

 

 

突然、防衛兵達の部屋の電話が鳴り出す。

 

兵士は駆け寄り、パスワードを打ってから受話器を取る。

 

「はい、こちらユクモ村防衛部です。」

「こんにちは。」

「!?」

「こちらは領土奪取計画本部副監督のティアルムスだ。」

「こっ……これは……っ!」

「いや、先程の挨拶は電話の第一声としては当たり前の行動だ。落ち着きたまえ。」

「し、失礼しました!それで、どの様な指令ですか?」

「指令……ではないな。回線を拡声器に繋いでくれ。」

 

 

兵は言われた事を達成する為、机の下段に置かれた巨大な箱に管理カードを通す。

すると数回のアラーム音と共に接合部が伸びてくる。

それを掴み、右上の通信機の下側に差し込む。

 

 

塔のスピーカーからサイレンが響き渡り、作業中の人間達が顔をあげる。

 

先程までの人間とは違い、警告音と共に機械音声が流れた。

 

 

『現在、霊峰にて強力な龍を捕捉しました。防衛任務を軍人として行う方以外は速やかに避難をして下さい。繰り返します。』

 

人々はざわめくが、素直にアンドロイドの誘導に従って避難を始める。

そして入れ替わる様に車両が街に入ってきた。

 

杭から神々しい光が溢れ、紫色の光と共にこの世界でいう反物質や劣物質で作られた兵器が運送されてくる。

 

 

「こんにちは、よろしくお願いします。私達はガダルルという世界からやってきました、隊長のレヌゥルゥクです。」

「私はシュレイド王国の第三兵隊長のサーラです。今回はよろしくお願いします。」

「あー、俺はウルド。二足歩行のお前達みたいには機械を使えないが魔力保有量なら一番だと思う。よろしく。」

 

 

皆が団結し、一匹の邪悪な龍に殺意を飛ばす。

 

 

 

 

 

「………縄張りとは他の生物を押しのけて宣言する領土。もし地球全体を人間の縄張りとしたなら?………分からない。」

 

暴風の中、龍は横になっていた。





マグネットスパイク……確かに電磁だから使い勝手がいいですね……
あとバルラガルの辿異種の登場、ありがとう、おめでとうございます!!

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