閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

80 / 107

スマブラにリオレウス登場ですって奥さん!
お、おぉ、そうk……そうですか。
つまりアトラル・ネセトが戦場になるのでは!?
は?
ちょまっ――

カキーン!ズシャァッ!ゲームセッ!



挨拶と共に一発

……

 

起きると目の前に刃が刺さっていた。

薄く鋭いそれをよく見ると、普通のナルガとは違う種類の様だ……

 

笛の柄で掘り返す。どうやらほぼ真上から刺さっているようだ……白疾風なら高さ的に天井の巣を破壊するし、落下時に派手な音が鳴るらしい。

……寝ている間に近づき、わざと刃を刺していったのか?

つまり私やクイーンと同じ奴だろうか。

 

撃龍槍を背負い、笛を持ち直す。

木の内側から出ると点々と鱗が刺さっている。

 

回収しながら辿っていく途中でアプトノスが私の横を走っていった……ただ歩いているだけでは別地域の肉食虫に警戒はしないか。

 

まだ刃は続いている。

激しく水が吹き飛ぶ音が聞こえる。

 

雷光虫が光り輝くが触れても雷は発しない……

慎重にウイルスを振りまきながら様子を伺う。

 

っ!?

 

笛と刃がぶつかる。

鱗ではなく翼のだ。

 

ギシリと笛と刃が擦れ、そいつはギロリとこちらを睨んできた。

 

いつの間にかナルガは私の正面に堂々と立っていた。

口を開く。

 

「寸止め予定とはいえ、拙者の攻撃を受け止めるとは……素直に驚かさせて頂きました。」

 

こいつもバルファルクか。

つまり今、湖からあがり体を震わせて乾かしているジンオウガも……

 

「よっ!初めてだな、私はジンオウガだ!」

 

こっちも人間の様に喋るのか……おかしいだろう。

愚痴を思った所で喋れる様にはなれないのだから人間の姿に変わる。

撃龍槍は横に置く。

 

「どうして私をここに?確実に殺す為か?」

 

奴らは顔を見合わせる。

そしてジンオウガが先にこちらを見、話してくる。

 

「ここは私達の縄張りだからな!会話が成立して、高度な知能を持つ奴には挨拶をしてるのさ!」

「ですがここを縄張りにしてもらって構いません。拙者達は人間共から環境を守っているだけですので。」

 

……余り気分は良くないが、神選者が私に攻撃してきた時に助けてくれそうだ。

安全が確保出来るなら良いか。

 

「そうか。それでは――」

「ちょぉっ、と待ちなぁ!」

 

草を焼き尽くしながらジンオウガが振り向いた方向に割り込んでくる。

一々大げさ過ぎないか?

 

「ちょっと遊んでいけ。」

「は?」

「じゃなきゃここにわざわざ呼んだ意味が無いだrrrるぉ!?」

 

ナルガの鱗だったのだが……ナルガを見る。

 

それに気づいたナルガは――にっこりと笑った。

グルか……

 

「いや、私は水が嫌いなので残念ながら――」

 

バシリ!!

 

「そぉいぃ!!」

「うっ!?」

 

周囲の雷光虫が光った瞬間、私は吹き飛んでいた。

水面で二回跳ねた後に右腕に痛みが走った事を分かった瞬間に私は何も考えれない状態に化した。

 

 

 

「やっば……あー、頼んだ。」

「手加減を忘れたから……ですな。」

 

流石に威力が高く、対岸の土壁まで吹き飛んでしまった。

確かに拙者なら抑えられ、尚且つ拙者の刃を受け止める実力が彼女にはあるものの、人間姿では踏ん張る事が出来ないであろう……

 

尻尾を振ってタイミングを作り、湖をひとっ飛びする。

そこに力なくゴアの翼を出しながらアトラル・カ倒れていた。

なるほどなるほど、外的要因による気絶だとルーツの隠蔽能力が止まる、と……

 

尻尾で乗せ、今度は上空に跳ね上がり、滑空して彼女の元へ戻る。

 

「ただいま戻りました。」

「ほいほい……本当にゴアの力を内包してるなんてね。」

「気づいてないようですが、極限化による肉質硬化によって助かったのですよ。」

「うぐっ……ま、まぁいいわ。電気ショックで元に戻す。」

 

 

 

――ぐぁぁぁっ!?

 

四肢が千切れ、岩に挟まれ、拗られる様な痛みで飛び起きる。

すかさず距離をとるとオウガはこっちを満足げに見る。

 

「あ、起きた。」

「……はぁ。」

「くっ……」

 

ナルガは微妙な顔をしたあと、オウガの話に合わせる様に顔を横に振る。

……遊ぶ為に突然殴りかかってくるような異常思考を持つような奴とは近くに居たくない。帰らせてもらおう。

 

「ちょぉっ、と待ちなぁ!」

 

ジンオウガが先程と全く同じ軌道で回ってくる。

再び殴られるのは御免なので飛び退いてナルガの後ろに隠れる。

 

「ギィィィィ……」

「ちょっ……警戒しないでよ。」

「……」

「拙者もアトラル殿に同情します。」

「(´・ω・`)そんなー」

 

悲しそうな声とは裏腹に、雷光虫の光が増して壁を作り始める。

もしかして私を逃さない気か?

私を狩るメリットは皆無だと思うが。

 

「グォゥ……ゥウォオオオオオオンッッ!!!」

 

少し呻いた後に遠くまで響き渡る咆哮をする。

 

「また勝手な……すいません、アトラル殿。申し訳ないのですが、子供の相手をしてくれませんか?」

「コルルォ……」

 

子供?確かに言語が通じれば種類が違えどもペアにはなるのか?

 

「ウォォォォン!」

「ウォォォォン!」

「「ウォォォォン!!」」

 

……あちこちからジンオウガの咆哮が聞こえるのだが。

一層雷光虫の輝きが強くなる……なるほど?子供か……よーく分かった。

 

がさりと森が鳴り、どしんと地が揺れる。

その後、雷光虫の壁を突き破ってきたのは大量のジンオウガだった。

 

「ワウッ!」

「オォォン、ウオン」

「ガウッ、ウォオン」

 

……多種多様のジンオウガだ。

ある範囲は黒い虫が飛び、ある所には小さい隕石が落ち、緑色と金色の光が乱れる所もある。

 

 

そして、極み吼えるジンオウガが4体見えるのだが。

この世の終わりか?

 

 

小さいオウガが見たことない造形の私に興味を示したようだ。

 

 

なるほど……ちっ。

生憎私は雷を暴発させる危険な爆弾とじゃれあう気は無い。

 

笛を振り回し、即興で音楽を紡ぐ。

王女に音楽に関する面倒くさい注意事項を教えられたんだ、雨音より心地良いだろう。

 

……静かに伏せて聞くオウガ。

お構い無しにじゃれあうオウガ。

そして私に纏わりつこうとするオウガがいる。

 

流石に纏わりついてくるオウガはゴアの翼で威嚇する。

それでも無視した奴は保護者がはしゃいでいる湖の方に投げる。

 

「別に湖で一緒に……」

「♪~♪~(私はゴアの翼で追い払う動作をする)」

「ちぇっ……」

 

私は水に入るのは嫌いだ。

いい加減にしろと……っ!?

 

バシリとこちらに雷が走ってくる。

 

「あ、極み吼えるジンオウガは軽く戦闘したいようだ!」

 

巫山戯るな……突進を避ける。

小さいオウガは離れていった。

 

オウガは雷光虫を振り撒き、ドーム場に雷を発生させる。

私は全身に雷が流れるのを感じながら翼でオウガを掴み、強制的に中断させる。

 

翼を振りほどき、地を砕きながら滑ってきた所を避け、反撃に笛を叩きつける。

今度は体を捻りながら空中で薄く雷光虫を振り撒いた。

なるほど、分かりやすい。

 

私の脚とゴアの翼でかなり飛び退く。

強烈な雷が地を巻き上げながら天へ登る……私を殺しにかかっているのか?

 

糸で岩を投げつけるが回避され、お手を笛で受け止める。

一時的な勢いに負けそうになるが、力比べなら我々の種族には大体が分が悪いだろう。

段々と押し返し、バチバチとなる空間ごと引っくり返す。

 

起き上がる前に強引に糸で引き寄せ、鎌で脇腹に傷をつける。

痛みのせいか、オウガは飛び退く。

 

「ウゥルォォォ……!」

 

威嚇をしてきた。

その隙に笛を振りかぶりながら近づく。

 

 

 

「すとーっぷ!」

 

例のジンオウガがそう叫ぶとオウガの動きは止まった。

ナルガが感心した様な目で私を見ながら笛に刃を添えていた。

 

「本当に拙者の刃を止めたのはマグレではなかったと……よく極み吼えるジンオウガの初手突進を察しましたね。」

「クルルルィィィ……」

 

そんな事よりこの地獄をどうにかしろ。

大量のジンオウガの影響で雷光虫が痛いし、オウガの子供は様々な虫のお陰でか、かなりじゃれあいが激しくて流れ弾が飛んできそうだ。

というかナルガも雷に弱いのでは……愛の力とやらか?

 

 

 

結局夜になり、解散した後に戻ってきた。

ナルガの死体を食い、ネセトを点検する。

 

……

 

「何か用か?」

「……すまぬ。」

 

ナルガクルガが草から出てくる。

圧倒的強者が抱える面倒事には死にたくないため関わりたくない。

 

「私はゴアの力がある。隠れるのは不可能に近いぞ。」

「なるほど……実は一つ頼みたい事があります。」

「面倒事は嫌なのだが?」

「今度やってくる神選者を殺さないで追い返してくれないですか?」

「……?」

 

全員殺しておけば寄り付かなくなるはず……

 

「危険地帯が出来るとより強力な神選者が来るのです……」

「アトラルが居ると広めるのはいいのか?」

「はっきり言って、アトラル殿『程度』他の奴にも倒せるだろうという強者は拙者達にも辛い場合があります。アトラル殿『なら』倒せると思う者なら私達が駆除しますので。」

「……感謝する。」

 

なるほど、私で強烈な奴が来る可能性を減らし、弱者は削っていくのか。

利用されるが、身の安全が守られるのはありがたい。

 

ナルガは消えた。

ウイルスの反応が無いため、一瞬で移動したのだろう。

 




……でも長期戦闘は嫌だな。
そんな時にはこれです!
はいなんでしょうクイーン?
この青い竜が便利ですね!
……!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。