閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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~『プリンシバル・スター!』『プリンシバル・スター!』
「流石にこれで……っ!?」
~『テトリスかな』『テトリスかな』『たーいへーんだー』『シアン』『セルリアン』『シアン』
「……」

「ぐわぁぁぁぁっ、いや、まだやれる!」
「……ふっ。その位置のおじゃまとこれから現れる形から考えられる組み方は既に私の領域です。」
「くっ……!」



生存能力

2日後の朝。

 

遠くで未だ黒い煙が上がっている光景が見えるだろう。

突如砂が盛り上がり、岩の頭が顔を出す。

 

 

 

……。

やっと地上だ。

 

 

あの衝撃波の中、なんとかネセトは形状は保っていた。

だが、即席の王女の空間はネセトと砂の重さに潰れてしまった。

 

そこで王女は死んだかと思ったが、普通に生きていた。

とはいえ、呼吸はしているが気絶している。

 

周りの側近は即死したのだろう……

 

積んでいた肉を絞り、液体を出す。

それを王女に飲ませながら砂の中からネセトを引きずり出そうと二日間行動していた。

 

そしてネセトの全長より数倍厚く積もった砂からネセトを出した、という訳だ。

……さて、と。

 

水銀を這わせ、分解しないととれない中に入った岩を削りとる。

 

別に私は街に行く必要は無い。

ハルドメルグに関する目的は果たしたのだから。

 

……とは言っても、王女をこのまま見殺しにするのもな。

近くに村があったらいいのだが。

 

……どこに向かって走ればいい?

 

 

 

 

ただひたすらに砂漠が続いていたが、昼ぐらいに遠くに家が複数建っている場所が見えた。

……しょうがない。

 

 

そのまま人間を踏まないように走り込み、死体と共に王女を落とす。

悲鳴が聞こえるがそれなら安心だ。

 

そのまま私は走り去る。

 

 

 

「……っ!?」

 

……ぁ…

 

「a、okitazooo!!」

 

……?

 

「daizyobu?doこkaitandariしnai?」

 

………

 

「君waookiな鉄のkaibutuかra出てきtandayo。」

 

………?

 

「……君no名前は?」

 

……名前……君、わらわ、私。

 

「わ、たしの名前は――」

 

ぁ……ぅ……私の名前は……

 

「ル、カ?」

 

……っ!?

黄色い、影が過ぎった、気が……

 

……気の所為?

 

 

 

 

 

 

 

そのまま走る。

そのまま走る。

 

サバンナを過ぎ、緑の多い土地へ入る。

 

水分とって、絞ってない死体を食べて、また走る。

 

何故私は走っているのだろうか。

……意味など無いのが普通か。

 

そして大きな木を中心とした森に着いた。

しばらく歩き、水のある場所に着いた。

 

よし、洗うか。

 

パニックになっている草食竜や、威嚇してくる肉食竜を蹴り飛ばす。

そして纏っていた岩を糸で層毎に固めて外す。

 

水銀の球を外に出し、ネセトを分解し、水銀で掴んで水に突っ込む。

同時に撃龍槍をゴアの翼で水洗いする。

撃龍槍もネセトの部位も振り回して水を払う。

 

周りを見る。

 

ここは……なんだったか。

そうだ、ここは樹海。

樹海に住む知能ある種族はチャチャブーか。

……

 

「……キュイキュイ!」

 

睨みつけると叫び返してきた。

……無視するか。

 

糸をタオルの様に束ねて水を拭う。

一本ではふやけてしまうが、十本なら打ち消す事が出来る。

 

……

 

……

 

何故か疲れるな。

ネセトを構築し直す。

 

「キュィァァァ!」

 

何故か先程のチャチャブーが襲ってくる。

面倒くさいし踊り食いしよう。

 

 

 

岩を纏い直し、ネセトに乗って周辺を歩く。

はっきり言ってネセトが歩ける場所がほぼない。

 

撃龍槍と水銀の槌で破壊し、通りやすい様にする。

しばらくここに住むつもりだから別にいいだろう。

 

遠くに塔が見えるな……後で向かうとしようか。

 

木の中に大きな空間がありそうだった為、ネセトが通れない木の穴を蹴り破る。

中は明るく、エスピナスが横になっていた。

念の為に踏み潰しておこう。

 

ネセトを震わせて軋ませ、咆哮する。

 

ヴォォォォォォン!!

 

……よし。

まずは水銀で岩を破壊し、ネセトを置く空間を確保する。

 

……糸を使い、忌々しい蜘蛛の様に巣を作る。

確か縦の糸は粘着力がほぼ無かった筈。

大量に虫がひっかかればありがたい。

 

巣を作った後、ネセトを付近の岩などに固定する。

がんじがらめに固定し、誰にも動かされない様にする。

 

撃龍槍を背負って、笛を担ぎ、縄張りに蔓延る者共を排除しに歩き出す。

 

 

 

 

ナルガクルガが目の前に降りてきた。

 

「ヴァゥァゥァァァァ――アッ!?」

 

撃龍槍を振り下ろすが、避けられる。

だが、撃龍槍が起こす振動にその威力を感じたのかナルガは私を見定める様に距離をとる。

……そして新たな小さい熱源がやってきた。

 

「なっ……アトラル・カ!?」

「ほー、笛を持ってる。」

 

ナルガを睨み、それからゆっくりと振り向く。

ハンターは三人。

まだまだ装備が整っていない下位ハンターだ。

 

私はハンターに一歩近づく。

調子に乗っているのか、実力があるのかは分からないがハンターも私に向かって歩きながら得物を構える。

 

そんな緊張の一瞬を理解出来ないナルガが背後から飛びかかってくる。

ウイルスで察知し、ゴアの翼を生やして頭を掴み、そのままハンターに投げつけて撃龍槍も投げつけて、ついでに糸を放って岩を投げつける。

 

纏めて死んだため糸で纏める。

それから撃龍槍に刺してまた巡回を始める。

 

途中で思い直し、ハンターの死体は捨てておく。

肉食竜にお零れを与えた方がいざこざが起きないだろう。

 

 

痛っ……!

次はジンオウガが近くにいるようだ、痛い。

 

空中を飛び交う雷光虫が痛い。

ウイルスを普段より過剰に撒く。すると雷光虫が離れていく。

しばらくすると雷光虫の動きは収まり、光が無くなる。

 

アビオルグの咆哮が聞こえた。

 

 

 

……

 

終わっている。

私がやるべき事は縄張りを巡るだけ。

 

……古龍は何故、縄張りを無闇矢鱈に広げようとしないのだろうか。

それとも何かそういう深層心理があるのか。

まぁ虫には分かるはずがない。

 

 

 

ネセトの所に戻り、撃龍槍を研ぐ。

鎌を齧り、身だしなみを整える。

 

……縄張りを巡回する。

 

……ネセトの所に戻り、鎌を噛む。

 

……縄張りを少し広げ、また鎌を噛む。

 

……暇だ。

誰とも関わらない事に即座に慣れるのは大変かもしれない。

 

ナルガクルガを解体し、臓物をきちんと仕分ける。

血の匂いを嗅ぎつけてかドスランポスを筆頭に肉食竜がよってきた。

 

ゴアの翼を生やし、地面に叩きつけて私は叫ぶ。

 

……よし、ゆっくりと下がっていった。

 

まぁ……腸を引きずり出し、ドスランポスに投げつける。

 

「キィァァァァァァ!!」

「アウッ、アー」

 

バシィン!!

「クルルルッ、キィィィッ!」

ドンッドンッ!!

 

叫びながら笛を振り回し、ゴアの翼で地面を叩く。

肉食竜達は流石に危機感を感じたのか穴から戻っていった。

 

……ラングロトラに怯えていた私は何処にいったのだろう。

リオレウスに怯えていた私は何処にいったのだろう。

ejbcsptに怯えてい―――た……?

 

……ディアブロス。

モノブロス。ネルスキュラ亜種。

fjbcspt。ダイミョウザザミ亜種。

wiban。ティガレックス。

イビルジョー。kmtwwnka……

 

これは白いもやか?

忘却したのか……?

 

いや、私は覚えている。

あの爪を。

あの牙を。

あの咆哮を。

あの翼を。

 

……いやまぁ、強さはティガレックスくらいだったが。

それでなきゃ私は死んでいる。

はぁ……

 

 

焦るな。仮定を仮定として受け入れろ。

 

 

きっと神選者はこの世に干渉しているのだろう。

王女は神選者が都合よく世界を変えていると。

考えてみればあの程度の数では世界が成り立たない筈だ。

どうして私は気づかなかったのだろうか。

 

……しかし、気づいた所で私に何か出来る訳でもない。

 

ネセトに乗り、繭を作って索敵用の糸を散らす。

明日は明日の風が吹くだろう。

所詮、運命など後出しジャンケンだ。

都合よく敵にも味方にもなる。

 

さぁ、寝よう。

 

 

 

 

 

「ほー、ほー。なるほどねぇ。」

「……近づけぬ。」

「明日でいーんじゃね?すぐ出発する様には見えないし。」

 




「強いわ……勝てない……」
「そりゃ勝てないだろ……ボレアスにパズルで挑むのは愚の直行だぞ。」
「私だって全ての組み方は分かっているのに……なんで!?」
「そりゃ俺達より頭いいんだから……」

「ぷよテトに勝ったから酒池肉林でストレッチしたい」
「支離滅裂な発言・思考」
「やめろ」

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