閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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どもっす!



危機塊界

ミズヲ……トル!!

 

 

ガァァァァァァ!!

 

 

鏖邪は走る。

サボテンを見つけたディアブロスの様に。

 

そして神選者達が追いつく。

一体何が起こるか分からずに。

 

 

 

水中

 

 

 

沈みながら鏖邪の体が肥大化する。

体表からは血が滲み出し、水を赤く染める。

 

水蒸気を一度放ち、体を冷却する。

 

凄まじい勢いで水を飲み、体の隅々まで浸透させる。

体を丸くし、背中や翼に力を込めるて突起と管が生えた。

 

一度それから泡を出したあと、水面に向かって泳いでいく。

 

 

 

モッと、水ヲ……!

 

 

 

地上

 

「泡が激しくなった。」

「戦闘用意!」

「言われなくても!」

 

ガシャンと剣を分ける。

俺は防御貫通系の能力だから他の神選者より弱い。

だから防御系にスキルを振った。

 

だから今回は俺がやらないと!

 

 

 

水飛沫を上げながら鏖邪が飛び出してきた……っ!?

回転しながら水をばら撒く。

 

グァァァァァァ!!

 

くっ、咆哮が煩い。

水を大量に吹き出しながら飛んでいく……牙の方に!?

 

「まさかっ!?」

 

 

 

 

 

……ここら辺でいいか。

一度瓦礫を強固に結びつける。

 

水を撒きながら鏖邪が飛んでいた。

何処かで見たぞ……バルファルクみたいだな。

 

そのまま突っ込み、天を貫く程の大きさを持つ牙が破壊される。

 

……機動力も破壊力も化け物だな。

早く王女と合流しよう。

 

 

 

 

バギィッ!!ミシミシッ!

 

 

「ふぁぁぁぁっ!?」

 

馬鹿共がっ、鏖邪を止めるのは今じゃったろうが!

ジエン・モーランの牙が折られ、巨大な破片が四方八方に飛んでくる。

……はっきり言って、ロックラックは終わりじゃ。

経済の土台となる湖水が減れば企業は逃げ始めるしの。

 

「くそったれ……」

 

……ルカから考えれる最悪の事態になっている気がするのじゃ。

おっと、飛んで戻ってきた――あーあ、最悪の事態じゃな。

神選者は何人生き残るのか……

 

 

 

 

彼は双剣を構える。

牙を折って帰ってきた鏖邪の背中には、深々と牙が刺さっていた。

 

「グルルァァァァ……」

 

水を放出し、滞空しながら睨みつけてくる。

翼からは水が大量に放出されている。

 

 

「マウントグラビティ!!」

「グルッ……ァァァアアア!!!

 

地面に叩きつけられた鏖邪は怒る。

そしていつも通りの皆殺しが始まる。

 

 

 

 

 

走れ走れ、と。

ネセトをガタガタ言わせながら走る。

 

「うわぁぁ!?なんだあ――」

 

水銀で斬り、素早く死骸を集める。

そのままネセトの中の王女の為の空間に次々と入れる。

そして人間をウイルスと水銀から感じる肉の抵抗で解体する。

 

大分慣れた頃にこちらを威嚇する謎の生物達を解体し、更に慣らす。

そうだ、骨は糸で丸めて集めておこう。

 

「シールド!!」

 

ネセトの進路を塞ぐように膜が広がる。

なるほど、次は神選者だったか。

 

操核の出力を上げて水銀に龍の力を纏わせる。

それとは別に撃龍槍に力を纏わせる。

更に翼を生やす。

 

まずは四つの槌で殴る。

 

「くうっ!」

 

次に撃龍槍を放つ。

 

「だぁぁぁぁ!」

 

そして龍の子の力を纏ったネセトで体当たりする。

 

「はぁぁ――ぁっ!?」

 

残念ながら先程の瓦礫で重さが更に増している。

易々と止められるとは思えない。

 

しかし追われるのも面倒くさいな……そうだ。

糸で撃龍槍を回収し、水銀で数人分の肉を奴に落とす。

蘇生に時間がかかるなら時間稼ぎになるだろう。

 

 

 

 

「う、わ、ぁ……何こ、れ。僕は知らない……」

 

突然ネセトから降ってきたのは人間の腕や腰、頭と判別出来るグロテスクな肉塊の数々だった。い

R-18Gな光景は彼の脳裏に永遠と焼き付くだろう。

 

「うわぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

しかし、王女は何処に行ったんだ?

鏖邪がいるから遠回りしたのだろうか……

 

ヴァァァァァァァ!!

 

……明らかに遠くから聞こえているのに大音量だな。

どんな体をしているんだか。

 

……

 

……くそっ、生存している事が分かっている以上、王女の反応を待ってしまう。

明確に死ねば忘れられるのに……素材が集まるまで辛抱だ。

 

 

お、大量の熱源を感知出来た。

どうする?

恐らく群衆だろうが、王女を気づかって穏便に出るか……

 

いや、面倒くさいな。

それにこの列に王女が居るとは限らない。

 

 

家や瓦礫を蹴飛ばしながら並走し、人間が少ない所で足を出して塞き止める。

人間は悲鳴をあげ、足を止める。

 

……駄目だな。

王女なら私の所へ走り、何かしら声をかけてくるだろう。

繭を割いて目でも確かめるがやはり王女はいない。

 

水銀でバネを作り、跳んで離れる。

 

 

バァン!!

 

 

一箇所の岩が軽くなる。

なるほど、発砲したのか。

どいつかは分からないが、だったら掃討しておけばいい。

私と戦う意思を示したんだ、望んだ結果だろう。

 

水銀を浮かす。

 

 

 

 

走る。

湖をぐるりと半周し、熱源が来るであろう道を走る。

 

空に浮かぶドラゴンの細い方が時折私を見るが、別に私が悪事を働いていない事を理解しているのか攻撃はしてこない。

 

しばらく逆走するが、中々王女の姿は見えない。

……まさか王女死んだか?

いや、ありえない。

例のバルファルクの攻撃に耐えたんだ、一発で死ぬ事はないだろう。

 

 

「たぁぁぁぁ!!」

 

……兎みたいな耳を生やした人型が目の前に跳んできた。

わざわざ真正面から飛んできた為、撃龍槍で刺しておく。

 

……撃龍槍に手を着いて回避しようとしたらしいが、腕が変な方向に曲がってから腹を貫いた様だ。

 

……なるほど、恐らく低速な攻撃と同じ対応をしようとしたのか。

逃げるだけの動物が何故勝てると思ったのは不思議だが、結局は中身が人間だからだろうな。

 

 

 

毒が撒かれたり、地割れが起きたり、闇や光、見えない何かが降り注いだりしたが、揃いも揃って本人が動かないため正面から踏み潰そうとしながら地面から水銀を生やして全員死んだ。

私は馬鹿ではないから水銀を生やすのにわざわざ地表で貯めない。

 

 

 

そして……

 

「はっ!」「雑魚が!」「いきがってんじゃねぇよ!」

 

瞬間移動を繰り返す奴に付き纏われている。

準備が出来た為、肺から水銀の針で体を刺し割く。

 

「がぁぁっ!?」

 

王女はまだだろうか。

 

 

 

 

 

ぜぇ、ぜぇ……

くそっ、流石に子供を三人抱えて全力疾走はキツいのう……

 

「大丈夫?」

「グッ……ァはぁっ、大丈夫、じゃぁ!わらわに、任せておけ!」

「い、いいよ、僕達は自分で走るよ……」

「いんや!……ンクッ、げほっ、今の、速度より、速いんだったらなぁ!」

「う、うぅ……」

 

わらわの側近達も老人や子供を運んでいる。

 

脳筋神選者じゃ逃走経路を整地する気配りをしないからの!

なんで危険な所で事の顛末を見なければならないんじゃ!死ぬわ!

歓声をあげる前に死ぬわ!というか余波で死ぬし流れ弾で死ぬし神選者の感覚はおかしい!

 

グニャッ

 

ぐあっ!?

 

「だぁぁっ、あっ、とぁっ!」

「「「うわわわぁぁ!?」」」

 

いったいのう……左足を挫いたか……

子供達を降ろす。

 

「すまん、もう抱えて走れん!後は頑張れ!」

「うん、いや、お前が動ける様になるまで――」

 

息を吸う。

 

「行け!!今はお荷物共が!!役に立つまで逃げ続けろクソガキが!!」

「えっ、でも今は動けないでしょ?」

「ふん、足が片方イった所でなんじゃ。一人なら動ける。それじゃあな!」

「あっ……」

 

わらわは右足で飛ぶように移動し、家の屋根を走っていく。

左足は添えるだけじゃ……ぐっ!?

 

 

 

足を滑らせて落下してもうた。

 

……側近が手を差し伸べてきた。

わらわが手を掴むとそのまま持ち上げられ、お姫様抱っこされた。

そして素早く別の側近が足を手当てする。

……帰る時にはネセトは行ってしまっておるかもしれないのう。

 

 

……――ォォ――……

 

 

なんの音じゃ?

地面が揺れ始める。

 

 

 

夜の中で大きな影がわらわ達に近づいてきた。

 

ガリガリと岩が擦れる音。

くぐもった金属の擦れる音。

そして一歩歩く事に家が、道が壊れる音。

 

そうじゃ、この孤独なシルエットは――

 

 

「ルカ!ただいまじゃ!」

 

 

ネセトの動きが止まる。

 

そして繭の中から叫び声が聞こえた。

 

「迎えに来たんだ、感謝の言葉の方が正しい。」

 

おお!

反応してくれた事にわらわは――

 

「ありがとうございます!大好きじゃよ!」

 

「……気持ち悪いな。」

 

え゛……




どもっす!
グレアドモスっす!
ぎゃぁぁぁぁ!!

撃龍槍で殴り飛ばした。
さて……
アトラルと バグりましょう!はいはいっ!バグりましょう!はいはい!音速になれって叫んだら私だー

なぜなに、教えて暇つぶし!サウナシュレイド城!』

ぐぅぅ……なんだ、この湿度は……糸がすぐ柔くなる。
ほらー私のーお腹ー冷たいよーはい、ラージャンー
無防備が過ぎるだろう……確かに冷たい。何故だ?
空気をー圧縮するとー温度がー高くなるーのー対策ー
ふーん……ダラみたいに脱皮してくれれば素材に出来たのにな……あ、ディアブロスが何故あの姿なのかは分かったか?では。

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