閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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撃龍槍を素材が鉄で、長さが10mで、直径が140cmの円柱とします。

(140cm÷2)=70cm
70×70×円周率(3.14)×(10m×100)×7.85g=120780100

約120t……!?

½—×120000kg×(30m/s×30m/s)
=54000000J=水平槍投げ

½—×2kg×(1600m/s×1600m/s)
=2560000J=ある戦車の砲撃

5400:256

!?
(調べたりなかったり数値がおかしかったらすみません)


地球の感覚を当てはめてはいけない!

最後に強烈な一撃を入れる。

深々と撃龍槍が刺さる。

一度遠ざかり、撃龍槍をゆっくりと糸で倒す。

すると、ネセトの形に固まった氷が少しずつずれる。

 

「こ、怖!わらわはちょっと遠くに行くのじゃ!」

 

雪崩が起きる可能性はあるのだからその判断は賢明だ。

 

広がった亀裂に近づき、ゴアの翼を両方入れ、広げる。

バキリバキリと音をたてながらネセトの表面が直接見えてくる。

 

改めて考えると、ネセトが入る程の巨大な穴を作ってくれたのか。

かかった労力は凄かっただろう。

そう思いながらネセトの下半身の氷を取り除く。

 

そして1パーツ毎に分解し、糸で引っ張って出す。

何故面倒くさい事をするかというと、既にネセトを動かす為の糸は切れているのだから無理に動かすと一箇所に力がかかって折れるかもしれないからだ。

 

全てのパーツを氷上に取り出し、多少持って広い場所を探しに行く。

 

洞窟前は広くていいな。

早速何度も往復し、パーツを移動させる。

一度、鎧としている岩とクシャルダオラの皮を外す。

 

「ほほう、これがあのネセトの骨組みなのじゃな。」

 

まずは鉄の骨が動くか試す。

……関節がギシギシ言うな、一度外して体液を噴霧しておこう。

岩は更にボロボロになっていた。

 

人間の姿になる。

 

「王女、近くに使える物は無いか?」

「岩とか鉄は割らないと無いのう……あっ、骨なら洞窟の先に大量にあるぞ?」

「ふむ、ガロアも一時的にならいいかも知れない。」

 

固ければ簡単に割れる岩よりはマシだ。

元の姿に戻り、笛を構えながら入る。

王女も横についてきた。

 

やはり周りが冷たい方がいいのだろうか、ウイルスが遠くのファンゴを察知出来ている。

しかし、逆に考えると砂漠では……いや、その時に考えよう。

 

 

丁度吹き抜けになっている所の骨を抑え、鎌を振り下ろす。

……駄目だ、耐久力が無い。二つに分かれてしまった。

イラついた為、笛で骨を叩き割る――っ。頭に跳ね返ってきた。

 

「骨折り損のくたびれもう――っ!」

 

うるさい。

王女は笛をかわし、足を滑らせて転倒していた。

 

 

 

という訳で、ネセトを構築するっ!

 

先程溶かしたり、錆を落とした骨組を糸で固定しながら積み上げる。

ゴアの翼で飛翔し、ネセトの体勢を変えずに頭を作り直す。

そうしたら今度は笛を吹き、ゴアの翼と糸でネセトの足を持ち上げ、裏から岩を固める。

ネセトの足はかなり濡れる、十分な対策が必要だ。

そして操縦席、もとい胴を作る。

 

「なんかボロボロじゃのう―――っ!?」

 

うるさい。

撃龍槍を投げつけたがかわされた。

人間の場合、被弾は死を意味するから避けるのは当たり前だが。

 

そして走る際に重要な尻尾を作る。

余り攻撃されるとは思われないが、ギッシリと詰めておく。

 

そして糸を通す。ゴアの翼で外した岩が持てるためとても楽だ。

 

 

最後に頭を降ろし、射出する糸を張り、撃龍槍を入れる。

その後操縦席に飛び込み、繭を形成しながら糸を引く。

 

 

ガッガッガン!

 

 

「おおお!」

 

遂に我が家に帰ってきた。

手始めにこの山を駆け回る。

 

あぁ、この揺れ!この安心感!やはり素晴らしい!

……もう人間の姿は不必要では?

まぁ神選者に狙われる可能性を減らすにはしょうがないが。

 

一周したところで人間の姿に戻り、遠隔で糸が上手く直せるか確かめる。

 

「これが残奏姫のネセトかぁ……質素じゃが機動性が頭おかしいの。」

「いや、防御が脆すぎる。クシャルダオラの皮も簡単に千切れる様になっていた……」

「極限化によってお主の力が更に強くなったのじゃろう?多少は……」

「……戦闘に使う巣が、全てにおいて私を下回ったら意味が無い。」

「で、どうしようかの?昨日今日で別の場所へ行くのはおかしいぞ?」

 

 

 

元の姿に戻り、再びネセトで立ち上がる。

 

 

ふむ、この後はどうしようか……ん?

 

 

 

 

 

私のウイルスが、今までとは全く違う熱源に反応する。

 

 

 

 

 

雪を潰す音が聞こえはじめ、岩を曲がってきたソレは生物では無かった。

 

細長い筒をネセトに向けている。

 

 

 

「ルカっ!」

 

王女が叫んだ瞬間だった。

 

 

 

足の岩が吹き飛ぶ。

 

 

 

その威力に驚きはしたが、結局の仕組みはあの……そう、銃。

銃と同じだろう。

 

砲身が私に向く。

 

斜め後ろに飛び退き、円を描く様に走る。

このまま蹴り飛ばしてやろうと思っていた。

 

……が、私は再び飛び退く。

 

ギャリギャリと二台の機械がやってきたからだ。

 

三台か。ふむ。

砲身の旋回速度はかなり速く、下半身に二発受ける。

そこで私は突っ込みながら撃龍槍を放つ。

 

 

 

「ふん、所詮古龍級生物の攻撃など効かぬ!」

 

バギイッ!!

 

「ぎゃぁぁぁぁ!……え、貫通!?」

 

 

 

正面の機械に撃龍槍が突き刺さり、動かなくなった。

 

距離をとろうとした一台に跳ぶように近づき、両足を振り下ろして潰す。

 

最後の一台の砲弾で胴の一部が吹き飛び、ネセトがガタリと傾く。

その勢いのまま反転し、後ろ蹴りをする。

 

遠くの岩まで吹き飛び、裏返った。

走り寄り、足を振り上げると、人間が走り出てくる。

 

 

足でストンと潰す。

悲鳴と共に雪が吹き飛ぶ。

人間では何のつっかえを感じなかった。

 

 

 

「……。これは何だ?」

 

周りを確かめてから人間の姿になり、王女に質問する。

 

「戦車と言ってな、大体のモンスターを一撃の元に下す、人間側の最終量産型兵器じゃな。」

「ふむ……」

 

一度近寄り、元の姿で糸を巻き付けてから引っ張る。

なんなく運べる。

 

意外と軽いな……私はつい頭を横に傾けた。

王女はめざとく反応し、

 

「それ以前に撃龍槍がとてつもなく重いんじゃ。アトラルの力とアトラルの糸の耐久力は世界最高峰じゃよ。」

「ほう、よく分からんな。」

 

元の姿で戦車を振り回して氷を払う。

この装甲の素材は使えそうだ、三台ともネセトに積んでおこう。

とりあえず撃龍槍を抜き、集める。

 

再び人間の姿になり、ゴアの翼でそれぞれの戦車をこじ開ける。

 

一つ目は生存者が居た為、笛で叩き殺してから臓物を取り除いてネセトに干しておく。

槍で出来た穴以外には損傷が無い、便利だ。

 

二つ目は油と血でグチャグチャになっていた。

と言っても、金属の板としてはまだまだ使える。

 

三つ目は砲身のある場所に大きな凹みが出来ていた。

だが、それだけだ。一番素材として使いやすい。

 

 

体液を流してみる……中々溶けないな。

とりあえず板になった物のみゴアの翼で曲げ、吹き飛んだ胴に差し込む。

 

「……早く完成させたい……」

「どうした、ルカ?」

「……」

 

 

微かに王女の声が聞こえたが、私は既に二倍以上巨大な私の巣を想像していて反応が出来なかった。

だが、それは何処か貧弱なネセトだった。

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず村に戻ってきた。

あの後、ネセトは洞窟の上に乗せ、雪に埋め、隠してきた。

 

ギルドには、ダンジョンに入ろうとしたら謎の白いモンスターがダンジョンを吹き飛ばし、私達は呆然としていたと言った所、受付嬢が頭を抱えながら『分かりました』と言った。騙せたらしい。

 

そして私達は宿に向かっている。

 

「それにしても、撃龍槍を持てるゴアの翼も大概じゃ。」

「私の体より弱かったら余り使えない。」

「それに戦車を吹き飛ばす行動は流石に驚いたの。」

「……戦車。戦車か。」

 

戦車か……ふむ、名前からはどういう物か全然分からないな。

戦う車と言ったらもしかして人間からしてネセトは入るかもしれない。

 

まぁ……

 

 

 

あれはネセトに最適な素材だ。

 

 

 

「戦車は何処で作られている?」

 

 

「それがのう……分からないんじゃ。」

「分からない?」

「うむ、我が国には来てないんじゃが唐突に『軍事商人』なる者が現れての、取引成立時に戦車がドスンと現れるんじゃ。」

「……そして突然消えると。そいつは神選者か。」

「じゃがのう……そういう神選者はドンドルマの記録に載ってないのじゃよ。」

「……疑わしい場所は?」

「あはは、全く分からんぞ?」

 

そう話していると宿に着いた。

ネセトについてはまた明日考えよう。




瞬間的な重さは1億t……!?
ちょっとよく分からないです……

アトラル・カは古龍越え生物でしたか……いや、そこでアタリハンテイ力学が働いているのでしょう……

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