閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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この世界には強者として『七星賢』『四天王』『三柱』と呼ばれるモンスターがいる……
そして、人間の近くに住むのはとある女王であった……

※今回はドンドルマです



【世界覆い蝕む漆黒の絆】シーズンアップグレード《閑話》

ぎゃぁぁぁああ!?

 

外を見ると大量のランゴスタがまたドンドルマの空を覆ってますっ!?

 

 

とりあえず一息つこう。

 

……これはまずい。

クイーンも見える。

 

しかも何か紫のモヤを出しているし……殺意MAX過ぎない?

 

 

 

 

クイーンは頭を抱える。

 

 

くっそ……私ハ……私は……っ!

何故ドンドルマをこんなに壊したいんだ!

無意味だし、無責任にも程がある……っ!!

 

「女王様。我々ハ貴女様ノ下僕デス。例エ何ヲシヨウト我々ノ忠誠心ハ絶対二揺ルギマセン。」

 

総部隊長の子が私を甘やかそうとする。

 

「だけど、お前達も暴れたいのだろう!?同じ紫のモヤを纏っているのだから!」

 

そうだ。子供達が我慢しているのに親の私が暴れていい訳がない。

 

「イエ。我々ハ何ガアロウト、女王様二尽クシマス。ソレガ一番ナノデス。本能モ、理性モ、体モ。全テ貴女様二捧ゲルト決メテイルノデス!」

 

 

周りの子達も賛同の音を鳴らす。

 

 

「分かったわ……でも……」

「偶ニハ暴レルノモ、ストレス解消トナリマショウ。」

 

そこまで私を気遣ってくれるなんて……

これ以上は断れない。

 

「……後ろは頼んだわ。」

 

呑まれるかもしれない。

しかし、このまま暴走に潰されたら二度とこの意識が戻れない気もしていた。

 

よし、体を動かそう。

 

ある程度『本気』で。

 

ゴア・マガラを思い浮かべながら力を溜める。

奴を一撃で殺せないと我が子に被害が出てしまうから。

 

 

 

 

ちょいちょいちょいちょい!?

クイーンが溜め行動を始めたら大地が振動し始めたのだけど!?

大老殿に他の神選者は居そうだ。急げっ!

 

 

 

 

紫色の雲が一匹の虫を中心に渦巻き始める。

大量に蒸発した水が氷となり、逃げ惑う生物を潰す。

余波の雷や龍雷が街を破壊する。バキリと石畳が割れる。

 

 

 

 

凶気化のせいなのか分かんないけど、もはや白くない白統虫は大老殿に向かってコーティングの無い真っ黒な光線を放った!?

 

「かめはめ波ぁぁぁ!!」

「大光線!!」

「ファイナルスパーク!!」

「ブラストハウリングッッ!!」

 

三人と一機でやっと釣り合うってどういう威力なのだろう……

天使の羽を生やし、急いで移動する。

横に並ぶと同時に技を放つ。

 

「ホーリーキャノン!!」

 

五人の神選者でやっとレーザーを押し返し始めた。

良かった、流石に勝てる―――

 

 

 

 

このモヤを纏っていると、龍の力が強くなる。

それで若干属性が使いにくくなった。

 

「でも時間かかッたけド、充填完了!!」

 

さぁ、なんならドンドルマを私達の巣にしてやる!

 

 

 

 

脚から放たれる龍とは別に四枚の羽から炎、水、雷、氷が放たれる。

神選者達は副砲だと思う。

 

 

ある場所は一瞬で燃え尽きた。

ある場所は粉微塵に砕かれた。

ある場所は赤く光り蒸発した。

ある場所は標本の箱と化した。

 

 

古龍さえ怯え逃げるその虫は、いとも簡単に天地をひっくり返す様な事象を起こす。

 

『その気になれば、数刻で国さえ簡単に滅ぼせるだろう』

 

この文章を気にした神選者はいくらいただろうか。

 

 

 

 

 

 

私は分かってしまった。

何故、白統虫の討伐優先度が低いのか……そこまで気性が荒くないというのもあるのだろうけど……

 

 

恐らく『強すぎる』から、討伐不可能や討伐しても余りにも甚大な被害が出るから優先度が低いのかな、と。

 

 

光線がそれぞれの方向から段々と私達に向けている黒い光線に集まってくる。

このままじゃ力負けする!

 

「†キリト†行っきまーす!」

 

背後から突然地雷が叫ぶ。

 

「えっ、やめた方が―――」

「転移!!」

 

青い光と共に消え、クイーンの背後に光が見えた。

……次の瞬間、控えていたランゴスタが地雷に群がり、地に投げ捨てられ……ない?

……あ、あ、ぁぁぁぁ!?

 

 

「おい『天使』!?何ビームを止めているんだっ!」

 

 

ランゴスタ達は段々下降しながら地雷の口を開け、自身が入っていく。

 

……確かにどんなに固くてもあの地雷は呼吸に関しては余り手をつけていなかった……だけど、まさか……うぇぇぇ……

 

捨て身って、やっぱり怖い……うぇぇぇ……

 

 

 

 

 

くそっ、魔力が尽きる……っ!

一体なんなんだ、あの虫は?

大体、幻想郷からこっちに来た事に関する記憶も曖昧……ってそんな事は考える暇はないか。

あーもう、一体どんな力しているんだぁぁぁっ!!

 

最後の足掻きとして残された魔力を振り絞る。

私のミニ八卦炉が火を吹くぜ!

周りも段々強くなっている。

多分追い詰められているんだろう。

 

再び押し返しはじめ――

 

「あーっ、もう駄目だこりゃー!」

 

私達の力が弱まった瞬間に一気に押され、黒の光線が大老殿を穿つ―――

 

「プロトコルっ!」

「排斥空間!」

 

大老殿に駆けてきた別の神選者がバリアを張って止めた。

しかしヒビが入る。

 

そこでクイーンは光線を止め、移動しはじめた……ふぅ、何とか凌げたぜ。

でももう魔力がカラッカラだし、今から何も出来ないんだよな。

 

ふん、しょうがないし私は帰るか。

 

 

その時だった。

 

 

ピロリロリンと音が聞こえた。

視界の端に何かが映る。

 

「お、おう?」

 

右手の近くに青い板が浮いていた。

確かホログラムだったかな?

 

『こんにちは!』

『今回、メニューボードが追加されました!』

『一応複雑ですのでチュートリアルがあります。』

『開始しますか?』

 

なんだこれ?

まぁ、とりあえず開始―――

 

 

 

再びクイーンが溜め始める。

そして見当違いの方向に黒いレーザーを二本放つ。

誰かが言った。

 

「ツイン・スタードリーマーかなぁっ!?」

 

なにそれ、かっこよさそう。

 

 

 

だけどそのレーザーがもたらした被害が尋常では無かった。

 

 

 

紫色の雲が完全に散り、深い青色の空を映し出す。

ランゴスタが覆ってるせいで真上の空は見えないが。

 

強烈な閃光の後に複数の黒い塊が発生、しばらくした後にバリバリと雷に似た轟音が響き渡る―――

 

って痛い痛い痛い!!

こんな時の為の応急耳栓っ!

 

よし、体が震える感覚はあるがしばらく持つと思う。

とりあえず身が持たないから逃げよう!

 

 

箒に乗り、低空飛行をして逃げる。

空高く飛ぶとランゴスタにやられるからな……

 

 

 

 

そのまま数十分モンスターを無視して飛び、森を越えた。

 

「ふぅ、疲れた……ランゴスタの範囲広すぎだぜ……」

 

私の素早さをもってしても、まだ黒雲の様なランゴスタが見えるのだけど。

一息つきながらチュートリアルを始めよう。

 

 

『チュートリアルを開始します』

『現在は「広範囲マップ」「スキル」「収納機能」が使えます』

 

「スキル……防御系だけとっておくとしよう。」

 

『まずはマップで近くを見てみましょう』

『ここをタップして下さい』

 

「おっと、触れた感覚があるんだな。」

 

『はい、これで周辺の地形が見える様になりました』

『モンスターの情報は人工衛星から発信しているので、地上でのみ確認出来ます』

『おや、モンスターの反応がありますね?』

『縮小してからスライドで探したり、拡大してモンスターの動きを見てみましょう』

『使い方が分かったらこの矢印を押してください』

 

「……うわぁ。」

 

地図を縮小し、少し動かすと黄色いガスみたいな表示があった。

右下の四角には『黄色・モンスター、赤色・大型モンスター』って書いてある。

つまり……

 

「このガスが全部ランゴスタか……」

 

一切の隙間がない。

ガスとは言ったもののほぼ円形。

 

そして―――

 

「うわっ、赤いのが動き出した。中型も赤色なのか。」

 

 

 

 

 

あはははハハは!!

テンションがとてつもなく上がってきましたよっ!!

 

「蹂躙するぞ、続け!」

「「オオオオオオ!!」」

 

私が通れば燃え尽き凍てつき溺れ痺れる。

子供達が続けば更に激化、竜巻さえ起こる。

 

そうだ……人間二怯えル必要はナイ―――それは違うっ!馬鹿か私は!

 

普段は人間に子供達を殺させない為に身を潜めている。

まぁ、この大きな街はもう潰せるけど。

 

 

その時、突然正面から剣が突き出された。

回避する。

 

「止まれ!」

「「リョウカイ!!」」

 

レイピアを杖に変化させながらそいつは降りてきた。

 

「うっふっふっふっふ……」

「何処か私と似ていますね。」

「でも貴女は美しくない……女王としての自覚が足りないのよ。才能が無いのかしら?」

「子供達を守る為なら、私は泥だろうと海だろうと突っ込みます。その覚悟はありますか?」

 

黄色と紫、青が混じった蜂がいた。

何処からか音楽(Dirty&Beauty)がかかり始める。

 

 

「私の下僕が流すBGMですわ。では、始めましょう……わらわが頂点の存在という証明の為に。」

 

クィン・セクトニアが杖を振ると、空から大量のアリの様な生物が落ちてくる。

中には羽が生えている者も居た。

 

 

 

「いつもなら無意味な事は断りますが……今日は体を動かしたい気分ですね。」

 

クイーンランゴスタが羽を鳴らすと、ランゴスタ達が隊列を作り始める。

凶気化により、普段より攻撃的だ。

 

 

「「いざ。」」

「「キュルキュルルルァァァァ!!」」

「「バチバチバチバチ!!」」

 

 

大怪虫決戦が、今、始まる。

 

 

「『擬似顕著』……まさか奴の召喚にも魔力とられるのか……息が……他は……慣れてないからな……」

 

 

 

 

 

 

うっわぁ……なんかマップに写ってる量が倍に増えたんだけど。

地図でモンスターの位置が分かるのはいいけど、物凄く気になってしまう。

まぁ、とりあえず次のシステムを見るか。

 

 

『マップを使えばペイントボールが不要になります!』

 

『スキルとは、神選者に最初に発現する能力とは別に後からつけれる能力などの事です』

『種類でが多種多様で、スキルポイントか条件を満たすかで解放されます』

『スキルポイントの取得の説明などはこちら』

『またここにカテゴリで分けられているので、ご活用下さい』

『理解したり、使い切ったりしたら次へ行きましょう!』

 

 

えーっと『生存系』……うーん、よし、『危険時自動転移』をとろう。

スキルポイント10の内、8も使うのか。

まぁ生存率がグーンと上がるからこれ以外の選択肢は無いな。うん。

 

 

『スキルを取得し、成長させれば大魔法が自在に使えるかも……?』

 

うっわ、嫌なシステムだな。

 

『最後は収納機能です!』

『これは単純、物を入れて保管する事が出来ます』

『まずはこのメニューボード閉じ、開きましょう』

『開閉は頭の中でボードを意識し、手首を振りましょう』

 

よっ。

そいっ。

 

『はい、最初の画面です』

『あれ、この黒い穴は?そうです、収納機能です』

『両手に入る大きさまでなら大量に入れられます』

『出す時は出したいものを思いながら手を入れるか、ここの収納した物一覧から選択しましょう』

『チュートリアルはここで終了です、良きハンターライフを!』

 

 

とりあえず終わったか。

……こんなシステムに依存する前に早く帰りたいな。

いつ空き巣入るか分からんし……霊夢はどうしてるかな……

 

 

 

 

 

 

「マキリ・ノワってどれくらい強いんだ?」

「攻撃はお主と撃龍槍に属性で掛けたぐらいで、防御は角から自身を包む様にバリアを張っておるのじゃ。」

「古龍だな……」




この機能が欲しい?
それならばここの問い合わせホームから……いえ、感想ホームですか?そこからメッセージを送りましょう!
あなたの要望が実装されるかもしれません!



「クイーンーランゴースターはー」
「………あの方は四天王の中でも最弱。」
「それでも勝ったら褒めるべきね。」

「というーかー、三柱ーがーヤバすぎるー気がー」
「………何故貴女が四天王?」
「いや私を越さないと。アイツら容赦無いし。」

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