閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

46 / 107

ファーワァーーーーデデーン


ボッボッボッボボワーボッ


※後書きが長いです



反撃の咆哮

私が手を上げると、私が手を上げる。

私がその冷たい表面に手を当てると、同じく手を当ててくる。

 

鏡という物を初めてまじまじと見た。

勿論、今までに見た事はあるが、こうやって正面から見る事は――

 

「ネコミミッ!!」

「あ゛あっ!?」

 

くそっ、今すぐにでもこの女を切り飛ばしたい。

しかし、その事についての最悪な事実を発見した――

 

 

 

 

「終わったのね?」

「あぁ。」

「……五月蝿い。」

「互いに信用しないとアレはデキナイノヨー」

「黙れっ!……えっ!?」

 

煽ってきた奴を殴ろうとした拳が止まる。

 

「この印を持つ者同士は、俺の解除が無い限り殴れない様になってるんだよ。お前も煽らない。分かったらやめな。」

「はぁーい。」

 

なんだそれは!?

余りにも理不尽な現実を確かめる為に神選者に殴りかかると腕を打ち込めなかった。

つまり斬殺は恐らく不可能。もしかしたら絞殺も難しい。

 

 

 

最悪だ……少しは考えていたが、予想を遥かに上回った害悪な奴だ……

 

 

 

 

とりあえず謎のつけ耳を投げ捨てる。

全力で壁に叩きつける。

踏み潰そうかと思ったが節度は持たないと、と思い直す。

 

「イヌミ」

「ふざけるな!」

 

遊ばれる前に頭を咄嗟にガードする。

くっそ、地獄だ。……さっさとコイツ等を排除したい……

 

 

 

『アトラル、薬を薬以外で表現してくださいな!』

『……?』

『それは――――――』

 

 

唐突に彼の長ったらしいが、為になる講義が流れる。

 

何故、今私は彼の言葉を思い出した?

 

 

……あぁなるほど。都合のいい頭をしているな。

 

この船は医療船らしい。

 

 

「あ、どこ行くの?」

「散歩ぐらいさせろ。」

「全く……しょうがない子ね。ついて――」

「来るな!……一人にしてくれ……」

「リナ、大丈夫。気分の整理は大事だから。」

 

 

しばらく歩くと、下の階へ続く階段があった。

とりあえず下層まで降りてみよう。

 

 

……嫌な雰囲気だ。だが、それがいい。

ウイルスの熱源に対する反応は余り無い。いわば病室、もしくは死体室か。いや、死体室じゃないな……なんだっけ……まぁいいか。

 

 

更に下に降りる。

 

とある扉に熱源があった。6人か。

出来るだけ足音をたてずに近づいている最中に蛍光灯を反射する壁を見て気づく。

 

私の目が紫色に少し光っていたのだ。

おそらく私の興奮に目が反応しているのだろう。

 

まぁ、図鑑にある私達ほど強い光ではないが。

そうでなくては、私はあの女に気づかれていたし、ありがたい。

 

 

気分を落ち着けてから扉を開く。

 

 

「今更おせぇんだよ!あぁ!?誰がお前らに渡してると思ってるんだ!!」

 

 

当たりだ。

鏡に映しても分からないだろう、私の歓喜には。

 

 

『私、廃人になります。』

 

 

この文、中々インパクトあるな。

まずは挑発して機会を伺おう。

 

「あー、あ、あ、アンタら、だろー?ほら、金だよ!出してくれよぉおっちゃぁん?」

「ゴミじゃねぇか!子供の癖に何様だゴミが!」

「あー!金が、アタシの金がー!ふざけ、るな!」

「馬鹿が!床に這い蹲れ!」

「えー、から、だー?」

「ふんっ!」

 

ドゴッと拳が私の頭を直撃する。勿論演技で倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っ、何か嫌な予感がする。

なんだろう?この胸のイガイガは……

いや、まずは先に行動だ。

 

「リナは待機してて。俺が様子を見てくるよ。」

「あ、はい……気をつけて行ってらっしゃい。」

 

 

 

しかし何処を走ってもルカは見つからなかった。

道行く人に質問する。

 

「金髪のフードを被った少女を見ませんでしたか!?」

 

「こっちには来てないですー」

「あぁ、こっちは足音さえしなかったよ」

「うーん、こっちじゃ見てないな。」

 

マーキングは、刻んだ仲間の位置が分かる様になるのだが、大体の縦座標しか分からないという欠点がある。誤差100mクラスで。

 

もしかして、地下に行ったのか!?

いや、あの警戒心なら……マイナス思考ならいくかもしれないか。

くそっ、何処だ、何処なんだ!?

 

階段を降りると誰かが叫ぶ声と何かがぶつかる音がした。

 

「…ラッ……オ……」

ガツン……

 

 

急いで走り、音がした扉を開けるとそこには。

 

「オラッ!オラァッ!」

「ヴッ、グッ、」

 

俺に気づいたメガネが叫ぶ

 

「おい、誰だお前は!」

 

さっきまでツンデレ(※神選者視点)だったルカが馬乗りで殴られ、力なく横たわる凄惨的な現場だった。

周りには5人の人間が居た。

 

当たり前だが怒りが湧き上がる。

 

「お前らぁっ……!」

 

「おっ?やる気か?」

「はんっ!ぶっ殺す!」

 

 

ブォン!

ドゴォッ!

 

 

「……荒鉤爪の腕だ。」

 

一振で全員を倒した俺はルカに駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルカ!ルカ!大丈夫かっ!?」

「……うっ。」

 

……ククク、多分これがロマンチック?

まだ仲がいいとはいえない人間が、暴漢に襲われている所を救う。

そして二人の仲は急接近!

……いい物語じゃないか。

彼がやってくるとは想定に入れていなかったが、悪いことではない。

 

だが、それを通すとすると、新たな問題としてほぼ体が痛んでないという事実が出てくる。

ティガレックスに頭を引き裂かれた時と比べたら楽だから。

 

そして先程、毒を飲まされたがまぁあのイビルジョーの様な気絶する様な痛みではないから大丈夫だろう。

 

「大丈夫なのか!?」

「あ、あぁ、大丈夫。この毒薬を飲まされたがな……カフッ。」

「そんな……ってこれ、薬を混ぜ合わせているし絶対死ぬよ!?」

 

そんな劇毒だったのか。

そういえばコイツの名前はなんだろうか……神選者って中々名乗らないな。

 

「【吸収】!!」

 

体が引っ張られる感覚が走る。

 

「うわっ、これ……やっぱりルカはモンスターだね。」

「……なんか気に触るな……っ!?」

 

うわっ。なんだこの持ち方……あ、お姫様抱っこか。私にふさわしいな。

自然と笑顔がこぼれる。

恐らくここは安心するタイミングだろう。

 

「あ、ありがとう……そういえば、お前の名前はなんだ?」

「……俺の名はナナツだ。」

「……そうか……ナナツ、か……」

 

首の力を抜く。

 

「しばらくお休み。ルカ。」

 

……やりきった、やりきったぞ。

廃人から傾国の少女になりました、とでも言いたい気分だ。

しかも色々出来た。

後は、ゆったりとラヴィエンテが死んだ後の事を考え―――

 

 

 

 

 

 

『三本』の極大ビームがそれぞれの船を穿つ。

透明だったはずの船も撃たれる。

 

「グォォォォアァァァァァッ!!」

 

同時にラヴィエンテが叫びながら地中から這い出してくる。

尻尾は完全に治り、傷もほぼ完治している。

 

大きく体を天に伸ばし、地を揺らしながら再び島を覆う。

 

その光景は、モンスターのみならず、人間を十分に絶望させる事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

痛たたた!

階段を転げ落ちた。オルタロスなら死んでたぞ……

 

「一体なんだ?」

「ルカ、大丈夫か!?……っ!」

 

窓を見て奴は固まった。いや、まず私を助けろよ。

とりあえずそばに行き、外の景色を確認する。

 

 

……は?

 

 

「「「クォキィェァアァアァアァア!!!」」」

 

 

オストガロアが……3匹!?

 

ラヴィエンテは何故食わない……と思った時に、ラヴィエンテは牙を吐き出した。

 

「何の牙だ?」

「恐らくナバルデウスだと思う。っ、まさかラヴィエンテに餌を……?」

「共生か……って!!」

 

オストガロア達が再びエネルギーを貯めていた。しかも三匹とも明らかにこの船を狙っている!

 

「私の笛と束ねた撃龍槍の中央の奴を出せ、ナナツ!」

「え!?あ、あぁ!」

「私は大丈夫だから!早くアイツを向かいにいけ!」

「いや、置いていく訳には―――」

「私はモンスターだろうがぁっ!」

「わ、分かった。」

 

……彼は足に電気を纏い、走っていった。

とりあえず私は一人で行動出来る。

 

まずは窓を叩き割る。

 

そして飛び出し、元の姿に戻り糸を放って壁に着地する。

 

小さい窓から槍を引っ張り出している途中でビームが放たれ、船が大きく揺れる。

登るか?いや、墜落するだろうから飛び降りよう。

 

槍を引っ張り出し、担ぐ。糸を三本、壁につけて飛び降りる。

 

ウイルスが反応する。なんと爆発が始まったようだ。

 

他にも飛び降りていたり、モンスターに乗って脱出してる人間も居た。

まぁ、人間が素で飛び降りたら死ぬけどな。

 

 

それにしても落下する感覚は中々気持ちいい物だ。

 

 

よいしょ。先に落ちた撃龍槍の横に着地する。流石に撃龍槍を背負ったままだと潰れるからな。

 

瓦礫が降る前に糸を遠くの地面に貼り、大きく吹っ飛んでから笛で地面を掘り、槍を引っ張り寄せて刺し、糸をネセトの時の繭の様にしてテントを作る。

 

強度を確かめたら人間の姿になり、横になる。

 

ウイルスで外の様子が大体分かる為、無理に外に出る為の扉も要らない。

このまましばらく待とう。

 

 

 

 

 

 

オストガロアのビームは左右と下に向かって動く。

もちろん一番強度が低いと思われていたこの船が耐えるはずもなく、爆発、崩壊していく。

そのままビームは薙ぎ払われ、周りの飛行船も次々と撃墜されていく。

 

 

 

ラヴィエンテは潜り、火山の方へ移動する。

 

 

 

 

戦況は大きく変わった為、再び異砲船は定番となった緊急チャージを。

 

 

そして陸からも完成した援軍が送られてくる。

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

 

「シャァァァァァァッ!!」

 

 

まだ海上に黒い粉末を残しながら近づく存在に気づいた生物は、一匹も居なかった。

 

 






『設定:奈落の愛情』


アトラルと。

バルタン星人のー


「トライフォース シュレイド城ー!」

ふぉーふぉーふぉー

何やってんだお前……今回はこの方。
極の登場が決まりました『獰猛化巨大ラヴィエンテ』だ。
……いやこれ、『ルーツのお部屋』でやった方が良くないか?

テレポー。ラヴィさんー頭にーオストさんーついてーますよー

「あ、大丈夫大丈夫。頭に乗っけてると落ち着けるから乗せてるだけ(ペチペチ」

極をーラヴィさんはーどうー思いますー?

「うーん、新しい技を沢山追加してほしいけど、周回前提だから回避困難とかはやめて欲しいかな。なんたってエンドコンテンツなんだから、『余り面白くないが暇ならやっとけ』みたいに敷居が低い方がいいからね。」

なるほどー

まぁ妥当だな。
嫌われる事は駄目だ、と寝ながら言ってる奴もいる。

ではーオストさんー何をー思ってますー?

「ダメー!
この子は私のー!(ペチペチ)
私が責任持って育ててるのー!
だから、傷つけちゃダメー!(ペチペチ)」

ハンターどうー思いますー?

「早く消えろー!
尻尾を溶かされてこの子本当に痛がってたのー!
私達は悪い事してないのにー!(ペチペチ)」

なるほどー、ラヴィさんー今回ー何故ー食い荒らしたかー教えてーくださいー

「あー、まず自分は定期的に活動状態になるんだけどな?
その時にこいつらが食料を持ってきてくれるんだよ。」

「そうそうー!その代わりに私達は血を貰ってるのー!
すっごい栄養価が高いからね、私達は強くなってね、陸とかも進めるようになったんだよー!
でも、それ以前に食欲旺盛な私達が余り食べる必要が無くなったんだよー。」

「自分は『一回で大量、長期睡眠』っていうサイクルだったんだが、
こいつらのお陰で『睡眠時間若干の減少=一度の必要食料の減少』『実質的な捕食範囲の超拡大=環境への影響の減少』が起きたんだ。」

つまりー大規模なーモンスター減少がー無くなったとー

なら、何故今回は地上に出てきたんだ?

「……」
「ハンターが悪い!ハンターが悪いのー!(ペチペチ)」
「あぁ。自分は言語で理解はしないが、そこまで馬鹿ではない。
それにこいつらは龍で、三つ子だ。
相互に影響して、話す事は出来ないが頭はいいぞ。
だが、本能は処理しないと理性を凌駕する。
分かるか?自分の場合、食欲と睡眠欲、運動欲だ。」

「私達は、えーと……」

「食欲、睡眠欲、縄張りだな。」

「そうそう!」

「……分かるな?」

あぁ。なるほど、モンスターが足りなかったのか。
だからわざわざ氷海にまでウカムルバスを捕まえに来たのか。

「ハンターが、ライダーが、神選者が……モンスターを狩りすぎなんだよ。
イビルジョーだって本来はもっとモンスターが居たから『満腹時に発情』で成り立ってたんだ。


それで活動期に自分は入った。
こいつらは頭が良いからな、デカいモンスターとモンスターが多い所から少しずつ狩ってこようとしたんだ……だがな。

ハンターが『環境を整えるために』
ライダーが『卵を奪って使える奴のみ生かす』
神選者が『巨大で脅威になるモンスターを狩る』

……足りなかったんだ。
自分は本来、島ごと食らって、なんならオストを食らって、そして寝ようという本能がある。
それを抑えるには満腹……とまではいかないがかなりの食事が必要だ。
自分を守る為に、オストを守る為に、ついでに環境を守る為にオストがくれる食料で我慢してたんだがな……」

……大変ーだったねー

「ラヴィ……(ナデナデ)」

「だから……許さない。知らなかった、なんて言い訳は聞かない。それに……」

「グズッ……キシャァァ……(ナデナデ)」

「そのうちこいつらが殺されるかもしれないんだ。絶対に……絶対に阻止する!!」

「やめようよ……何処かに、逃げよう……縄張りなんて、何処でも作れるからぁ……っ!」

「……ごめんな。馬鹿な自分を許してくれ。お前らの縄張りを、守らせてくれ……」

ラヴィエンテがオストガロアを降ろし、ペロリと舐める。
私には……鬱陶しく、しかし羨ましく見えた。


【もしラヴィエンテが暴走したら責任取るのか!?】
【大体自分が危険だって分かってるなら何処かに行けばいいのよ!】
【古代林の平和は俺達が取り戻す!】
【人間を襲う竜や龍を狩って何が悪い!?】


「………すまないな。暴走して。ハンター達を呼んでしまった自分を許してくれ……」

「…………グズッ……私達も、頑張るよ。家族の困難は、みんなで乗り越えるものだからね!」

「すまない、本当にすまない……」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。