閣螳螂は娯楽を求める 作:白月
ぐ、ぇぇぇ……
船の中で文字を、ぜぇ、ぜぇ、
読むのは、だ、めかぁ……
夕方が終わり、陽の光は完全に届かなくなる。
火山の光と月の光を遮るその巨体が俺達を圧倒する。
唯一光る翠の目が、奴にはまるで突然に現れた様に見えるだろう俺達をギロリと睨む。
……近接だった時の癖で隆起した岩を探す。
よっしゃ、あった!関係ないが!
ヘビィボウガンを装填しながら走る。
ふと何となく叫びたくなった、声に出してみよう。
「戦法!陣に分けて突撃!神選者は自由だが、一陣、斬属性!二陣、打属性!三陣、弾属性!何故なら時間で属性がつくからだ!周りが楽に出来るようにやってやんぜぇぇぇ!」
バシィッ!
叫び終わった途端、ラヴィエンテの頭の方から雷の音が鳴り響く。
見ると頭を下げ、地を砕きながら迫ってくる。
ドドドドドドドドガガガガガガガガァァァァッ!!!
ヘビィボウガンから衝撃を放ち宙を舞ってから更に衝撃を放ち穿龍棍の様に吹っ飛ぶ。
元居た場所は岩を吹き飛ばしながらラヴィエンテが呑んでいった。
怖い怖い……
バンッ!バンッ!
オリジナルの使い方だが、ガンランスの様に衝撃を放ち、地面を滑るように移動する。
メリットは薄いが事故るとヤバい。しかし少しのメリットさえ逃してはならないと俺は勝手に思っている。
再び移動を開始したラヴィエンテを確認してから双眼鏡を覗く。
結晶の位置はーっと……大体頭と尻尾の中間か。
強走薬グレートを飲む。
(格好つけに)スライディングしながらスコープを覗き、結晶に向けて貫通弾LV2を発射する。
「鳴り響け!『ハーメルンの笛』!伝説の力を分けたまえ!『ムー大陸の神殿』!」
神選者がそう叫ぶと、誰かが支えてくれるているかの様に体が軽くなり、武器も普段よりキラキラしている様に見え始めた。
うむ、ヒュジキキ辿異種のボウガンを選んで正解だったな。
ラヴィエンテが地面に潜り始める。地震が起こる。
しかし耐性のおかげで動じることなく、ずっと撃てるぜ。
皆も担ごう!ヒュジ――
なんかすっごい回転して力強いリロードしてる奴がいる……その技術も欲しいなぁ。
おっと、弾が無くなったか……
「おい!」
「はいにゃ!!」
一声叫び、地上に投下されたバリスタを撃っていたアイルーから、俺が事前に預けた貫通弾を受け取る。
ビシッィ!
遠くからラヴィエンテがアーチ状に出現、再び潜っていく。
チャンスだと思った。だが、俺は気づいた。
回避っ!
激しく大地が隆起する。
あの巨体で行ったり来たりすればそりゃ地形は壊滅するな。
勿論隙を見て射撃する。たまに弾かれるのだが、どんな硬さをしているんだ……
『A.I.S.起動!!』
「鳥雷装填、発射。」
何度か食われ、その度にワープをしてる戦艦から、何度目かのロボットが飛んでくる。
同時に恐らく例の潜水艦……水なのか?から放たれた爆弾が炸裂する。とにかくヘイトが自分以外に移るのはいい事だ。
再びラヴィエンテが私達を囲む様に出てくる。
リロード、止まった時の結晶の大体の位置を予測して走る。
ただラヴィエンテがでかいから走るのめんどくさいぃ!
そんなこんなで走り回ったり撃っている事、一時間半。
「アタッチメント!最高の混沌の力よ、我が血の力によって顕著せよ、【
背後から誰かがそう叫ぶ。
月を隠すように雲が発生、そして淡いオレンジの光を放ちながらとても大きく歪な形の物が降りてくる。
勿論呆気にとられるが……
まぁ神選者だからなんでもありなんだろ。
そして上空から何かが降りてくる。
「弾属性だな!放て!」
「やだよ、やだよ!こんな変な動物倒せないよ!」
「さっさとやれ。刺すぞ。」
「うー……分かったよ!分かったよ!」
「射角よし!全砲門、ファイアー!」
片方は火球を、もう片方は視認不可な速度の砲弾を放っていた。
俺は弾をぎゅっと一束にして、圧縮リロードをする。
不思議な音と共に大量の赤色の模様が浮かび上がる。
「――終わらぬ憤怒をその身で味わうといい!エクスプロージョンッ!!」
「主よ、この身に宿る全ての力を捧げる事を赦したまえ。今、眼前の敵に我らの正義の鉄槌を。」
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!からの、エクソパルソ!」
爆発が凄いな。こりゃ高級耳栓必須の意味が分かるわ。
よし、負けてらんないな。装填―――
バシィッ!
ラヴィエンテが口を開けた。
恐らく……ブレスだな!
俺じゃない方を向いた、三発目に注意か。
ゴォォォオッ
ラヴィエンテの頭の真下の人間は、首を掻き毟る。
あれ、とても長く息を吸っている?
「コォォォォオオオ……ガッ────」
超高級耳栓をつけるべきだったぁぁ……耳が猛烈に痛いし、何も聞こえない。
自分の顔を叩きながら立ち上がる。
見ると、さっきラヴィエンテが向いていた方向はバリスタやハンターを含めて跡形もなくなっている。地面と一緒に粉々になったのか……
これは……規模は違えどアカムのソニックブラストみたいなものか。
「え、復活させることが出来ない!?」
いや神選者よ、何も無い地面に向かってやった所で細菌が復活するだけだろ。
「ダーク=クレイオス!!」
「三点エクスプロージョンバースト!!」
バシリ!
「ァァァァッ!!」
ガリガリガリ!!!
くそっ、また這いずり捕食か。仲間が一人呑まれる。
「おい、そこのお前!私のに乗ってけ!」
突然、頭の上から声が聞こえた。
見上げると通常の2倍はあろうかという体格をしたセルレギオスが居た。
「セルレギオスに乗ってどうするんだ!それに今は弾属性だぞ!」
「分かるだろ!そろそろ、あの攻撃が来るぞ!」
「……あっ、まじか!ってか前会ったなお前!」
「努力でライダーにジョブチェンジしたんだよ!」
ラヴィエンテが再び怒り状態になる。
頭とは別に尻尾にモヤがつく。
ヘビィボウガンで、セルレギオスの近くまで跳ぶと足で掴まれ、宙返りしながら背中に落とされる。
「さ、上空へ避難しないと!いけっ、セルルン!!」
「ピィィィッ!!」
セルレギオスは大きく鳴き、強く羽ばたいて急上昇する。
周りは訝しんでいたが、数人はモドリ玉を使っていて安心した。
「ほぁっはぁ!こいつぁすげぇ!」
「よし、セルルン!ここで一度待機!」
ラヴィエンテは稲妻と共に尻尾を振り上げる。
ゆっくり、ゆっくりと空を貫かんとするその高さの尻尾は――
空気を切る際に起こる轟音をたてながら振り下ろされる。
尻尾の衝突後、大きく大地は揺れる。
地割れが幾重にも生じ、飛べない生物が地面にシェイクされ沈んでいく。
地下水の噴出により、液状化現象も起こる。
逃れる事が出来ない仲間が沢山いる事に気づいた飛べるモンスターと神選者が出来るだけ助けようと飛び立つ。
ゴゴゴと大地が鳴動する。
そして再び起こったとてつもない揺れは地下水を大量に吹き出し、地面に沈んだ生命を打ち上げる。
バシリ!
「グィィィィィォォォッッ!!」
ラヴィエンテは唸りながら口を開け、上空の一点に集まった生物に迫る。
「プロテゴ・トタラムっ!!アクシオ、アクシオ!!」
「防御術式、展開っ!!1人でも多く助けろ!!」
『具現化!超外壁っ!!転移、転移!!』
被害者は三重に守られる。
他は出来るだけ助けようと飛び回り、掴み、引っ張り出す。
しかし即席。神選者も強度に些か不安か残って――
バキッ!!
全てが一瞬で噛み砕かれる。
そのままハンター、ライダー、モンスター、神選者は影に消えていく。
絶叫、悲鳴、泣き叫ぶ声は、一気に小さくなる。
バタァァン!と体を地面に横たえる。
ラヴィエンテはモグモグと咀嚼する。
絶叫や血が口から漏れ出る。
そして破裂音や爆発音は段々収まっていく。
……うわぁ、スケールが凄い。モンスターも一口か。
落下してくる水塊や岩を躱すセルレギオスに感謝しながら思う。
「……勝てるだろうか?」
「何言ってんの。ハンターの名が廃れるよ!さぁ行くよ、セルルン!!」
確かに、そうだな。
今は強敵として考えている古龍も、初めて対峙した時は恐怖で回避行動しかしていなかった。
怯えるのは大事だ、ちゃんと慣れていかないとな。
ヘビィボウガンを揺らし、スコープを覗く。
まだ、朝は遠い。
うぐぅっ……生物の、つわりって……こんな……感……あぐぅぅっ……なのだろう、か……?
い、や、そんな冗談……うっ……あっ……
彼女が揺れに慣れるまでも結構遠い。
アトラルと。バルのー。
「教えて!なぜなにシュレイド城ー!」
はいー今回からー始まるー
色々突っ込みたいが、さっさと本題に入るぞ。今回は『セルレギオス』。この世界ではライダーのオトモンとしての使用率がとても高い。
何故ならー遠くからー致命的ー炸裂弾ー
ハンターや騎乗者は腹を貫かれても、回復薬を飲んで一時退避をすれば治る。
とはいえ、やはりモンスターの攻撃は痛いし、まず私が殺るように首を吹っ飛ばされたりしたらどうしようもないからな。
素早くてー外側からはー脚をー狙われにくいしー個体数もー多いー
意外にも犬と同じように、自分より強い奴には従うようだ。まぁ恐らく本来は幼少期の頃だけだろうが、その間に絆が出来れば成体になってもきっと上手くいくのだろう。
いいなーいいなー余りー関係ーないけどー他にー沢山ーバルファルクーいないかなー?
流星群はやめろ。蛇足もそう言っている。