閣螳螂は娯楽を求める 作:白月
報告です。
筆者は『少し恥ずかしがりながら(?)元気に(?)うさぎの真似をしている(?)アトラル』を想像してニヤニヤが止まりませんでした。
この事から無意識にアトラルをご都合展開に持って行く可能性が、筆者の文章力と相まって上がったかもしれない事をここに報告致します。
勿論注意はしていきますが、前後で説明なくアトラルがブレスを放つぐらいの状況になったら一言くれるとありがたいです。
暇だ。
一応縄張りを設けてみたが、ネセトを使えばどんなモンスターも追い払えてしまう。傷を負えば笛を吹けばいい。傷を癒すための睡眠が無いとなると本当にやることがなくなる。
マネルガーは常に研究をしている。難しい顔をしているが、時には笑顔になっている。
助手のイチビッツはノートをとっているが、分からない所もあるようで何度も聞いている。
しかし私はただ氷の上で槍を研ぐだけ。
……人間に飼われている動物は普段何をしている?
いや、私もゲージの中に居たが。
なるほど、今の私みたいな明確な思考がなければ何もやることがなくても大丈夫なのかもしれない。
図鑑も読み続けると飲み込みが悪くなるのが分かるから何をしようか……
………
再びネセトで再び縄張りを歩く。
やはり小型モンスターぐらいしか……
おや?何かがこちらに突撃してくる。
恐らく形からしてウルクススだろうか?進行方向に頭を向け、槍の射出準備をする。
縄張り意識でも持っていたのだろうか。ネセトを見て戦闘を仕掛けてきたという事は実力者か蛮勇か。
ウルクススは不規則な動きで突っ込んでくる為、中々予測が出来ない。
一度頭を戻して一度下がり、脚を上げる。
振り下ろす。くそっ、外した。
――っ!?
ウルクススが首と胴体の間を通って体当たりをかましてきた。
……ちっ。首の中に居座られた。
繭を破りながら鎌で切りつける。頭に傷を入れた為、一度距離をとられる。
しかし追い出す事は難しそうだ。しょうがない。
槍を担ぎながら氷上に降り立つ。
風は鳴っているが、雪は降っていない。
ウルクススが突進してくる。
槍をつい叩きつけるがそれを読まれて回避される。
……おかしい。何故回避する?
今まで殺した奴は耐える行動が多かった。
しかしウルクスス。こいつが回避をする様になるとそのうち捕食者が回避への対応と回避を行う様になる可能性がある。
勿論その流れを変える力や望みなど無いが。
再び突進してくる。
冷静に考えてみよう。
私は今、ウルクススの明らかに意図的な回避行動に驚いている。
だがウルクススは余り攻撃的には動けないとみた。
……恐らく、回避する為に危機察知能力が向上したせいで相手の行動を過剰に恐れて攻撃出来ないのだろう。
ならば受けの姿勢でいればいいだけ。攻めで精神的に疲れる必要はない。ゆっくりと――
ウルクススがアトラルに突進する。
アトラルは動じない。
そしてあと一秒もないうちに衝突する筈が……
バゴォッ!!
氷の中からモンスターが現れる。
ウルクススは突然の事に対応出来ず、滑る勢いをそのままに何処かに吹っ飛んでいく。
この姿は図鑑にあった……!
私のネセト並の大きさの飛竜は私の方に向く。
尻尾で器用にバランスを保ちながら立ち上がり息を吸う。
ズガァッバキィッ!ボゴッ!
咄嗟に回避する。
私がいた所に細いブレスが放たれ、氷に穴が空いた後亀裂が走る。そして広範囲の隆起……
なるほど。確かにこの破壊力は古龍級生物だ。しかし何故ここに?
ウカムルバスが顎で氷を抉る。……え!?
本人サイズの氷塊が飛んでくる。
撃龍槍を撃つが刺さっただけだ。命からがら避け、撃龍槍を回収する。
ネセトで戦闘する事も考えたが……ブレスを避ける事は困難になる。するとまだ修復せずボロボロな遺跡を纏っているネセトはブレスで切断されてしまうだろう。
ならばここはひたすら逃げなければ。
「やっと直った。これで次に向かえる。」
「はい……って、は、博士!アトラル・ネセトが走ってきます!」
「な、なんだと!?」
ガリガリ音を鳴らしながら急ブレーキをかける。
ふぅ……笛を吹いて疲労回復をする。そして雪に、
『ウカムルバスがやってきた。』
と書く。
「な、なんだと!?」
「起動!進路を!」
「イチビッツ君!ボルボロス亜種を乗せて、東へ向かうぞ!アトラル・カはどうする!?」
『走って追いかける。』
「恐らくここです。フール、分かりますか?」
「フンフンフン………グォゥ。」
「あっちですか。では――」
ドガァッ!!
その時、ブラックライダーズの一人がフルフルと共に空を飛んでいたという。
走って追いかけるとは書いたが、予想より悪路だった。
ウカムルバスからはかなり離れた筈だが、それでもまだ離れるか。
確かに住処から離れるのはおかしいが、だからといって過剰に離れると情報収集が難しくなる……まぁいいか。
……はぁ。力を持っている者は何故馬鹿が多い?実力と思考が見合ってないのか?
「フォトンリッパー!!」
何故正面から、そして分かりやすい溜めから放つのだろうか。
さっさと避けてマネルガーを追いかけなければ。
避けた……だと!?
フォトンリッパーが遠くの氷河を崩す。
でも、こっちなら確実に当たる。
「レイジゼウス!!」
ズバァッ!!
―――っ!
少しの間、音が聞こえなくなった。
雷が落ちてきたのか、生身だと死ぬ。
咄嗟に考えてみたが、氷に圧力をかけると水になる。そして水から地面に雷が逃げる。それによってネセトの骨部分から電気が流れ、偶然助かったのかもしれない。まずはさっさと離れよう。
何故ああいう奴らは見かけたモンスターにことごとく攻撃するのだろう。もう少し私達を生物として見てくれないのだろうか。
……ふっ、襲撃経験のある私には関係ない話だったな。
ネセトは走り去っていく。
何故!?
確かにアトラル・ネセトは雷無効たが糸や繭には多少は通る筈だ!
ウカムを討伐してから追いかけなければ!
その日、各地のギルドで一流のハンターに発表された。
「本日、新たに特別個体が追加された。残酷な奏者。そこから『
残奏姫アトラル・カ。
巷で例のアトラル・カと呼ばれていた存在。
体格は小さく、普通のアトラル・カより部位の耐久が低い事からまだ成長途中と見られている。
「もし対決となったら首を守れ。鎌で密猟ライダーの首を的確に切断していたのを古龍観測隊が見ていた。目くらまし中も落ち着いていて、音を聞き分けていたらしい。そして――」
偶然にも大体のギルドマスターが同じ発言をした。
「残奏姫が笛を持っていたら倒せない。」
その頃、全てを凍てつかせる飛竜は飛行船と瓦礫の集合体を見つける。
残奏姫アトラル・カ
アトラル・カは近年大量発生した甲虫種。
素の戦闘力は低いため、表面上はアルセルタスが岩を振り回す程度としているが、後に全てが古龍級生物となる以上見える範囲は全て討伐しなければならない。
そんな中で現れた二つ名。
奴は一回り小さく、『女王』ではなく、『王女』や『姫』と呼ばれている。
特筆すべきは笛や槍の扱い方。
新大陸のクルルヤックがどの攻撃も確実に岩で防いでくる様な理不尽さと、成長したアトラル・カ並の威力の撃龍槍を隙を作らずに放つのだ。
土まみれの破けたノート
一体どうすれば!?
黒ずんだ糸で出来たアトラル・ネセトが崩れると、そこには始めて狂竜化したアトラル・カが居ました!
最初は例に漏れず狂って暴れていたのですが、強いハンターに斬られると突然回避困難な技をくり出すようになりました!
今回はランゴスタを連れておらず、笛を持っていませんが……
!?
何故か周りのモンスターが狂竜化―――
(ここから先は見事に裂かれていて読めない。)