閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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「どうー?」
「ふむ……背骨が浮き出すぎているな。触っていいだろうか。」
「テオー、エロオヤジー?まぁ触っていーよー。」
「…………バル。肩甲骨が無いぞ。」
「えー?人間をー解体したんだけどなー?」
「背骨が浮き出ているが人間はティガレックスではない。前もいいだろうか?」
「……な、何かする気では!?」
「案ずるな。我は妻以外に欲情はせん。というより龍はそうそう欲情しないものだ。」
「そ、そう…かー。」
「というか目の前で服を脱ぐ……なんでもない。……肋骨が細すぎだ。鎖骨の太さもおかしい。」



終わるは悲惨、蠢く凄惨

攻撃を受けたゼスクリオは動きを止める。

 

一番思い出すべきではないトラウマが蘇る。

 

 

 

―――

 

熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い

 

 

マグマの中……足が動かない。

 

「どうです。私達が開発した絆石の原理を応用した洗脳マシーンは!」

「ふむ……いや、マグマに四肢を突っ込ませた程度じゃ分からないな。」

「はい、ポチッとな!」

 

 

分かりました、顔を下に―――!?

あ、が、がぁ、ァァァ!!

 

 

「凄いでしょう!自分からマグマに頭を突っ込ませる事が出来るんです!」

「おぉ。もはや精神を手中に収めたという事か。」

 

ぐあっ……息も……っ。

はぁっはぁっ……足が焼ける!溶ける!

 

感覚が無くなってくる。

 

「危ない危ない。溺死させる所でした〜!」

「おい、あいつをこっちに来させろ。」

「なるほど、はい。いいですよー!カチッとな!」

 

分かりました、移動します。

……!?危ない、意識を預けてしまった。

私が火傷した足で鉄の上に乗る。

人間が……刃が回転する剣を取り出す!?

 

―――――――

 

 

乱舞をしようとした人間を。

龍を捕らえる黒い霧を。

 

新しく生えた『腕』が殴り飛ばす。

 

 

―――――――

 

アァァガァッ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!!

 

私の体の様々な場所をチェーンソーが斬りこんでいく。

血液も大量に出るし、斬れ味自体が悪い為激痛。

 

「程々にして下さいねー?」

「大丈夫だ。抗う心を壊すのだろう?手を貸すだけだ。さぁ行け。」

「……なぁるほど!傷口にマグマを塗るのですね!クイッとな!」

 

え……?

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!

イヤだ!イヤだぁぁぁ!

 

分かりました。移動しま―――嫌だぁぁ!

 

足は止まらない。

 

切り開かれた傷口がマグマに浸かる―――

 

―――――――

 

 

再び発射された龍の吐息を、更に生えた『腕』が弾き飛ばす。

 

 

―――――――

 

…………

 

「おぉ!どうやら意識が飛んだ瞬間に洗脳が支配して、遂に大人しくなりましたね!」

「ならば早速腹を見せてもらおうか。」

 

…………ハイ

 

「『私は貴方様に服従しますー』ですって!」

「ははは!忠実な下僕になったか!」

「ほら!尻尾も振って!嬉しそうに!」

 

…………ハイ

 

「さて、EDD 5ー2もこうするのか?」

「えぇ、計画とは順番が違いましたがあちらは強化しながら平服させます。」

 

…………

 

EDD 5ー2………ハ?

 

ワタシの………

 

…………

 

イモウと二………

 

 

「ほーら!剣を取ってこい!マグマの中だがな!」

「あれ、更に変色してる様に見えますね。」

 

 

………

 

テヲダスナァァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”アアアア!!!

 

 

 

 

タクサンノニンゲンガ、バクダンヲナゲテクル。

テツヲウッテクル。

 

デモワタシハトマラナイ、トマレナイ。

トマッテタマルカァァァ!!

 

―――――――――

 

未知の樹海・元遺跡地帯(覚醒BGMイントロ)

 

 

 

バキッバキッ……

 

ガラスにヒビが入るような音が鳴り響く。

 

 

ゼスクリオが地に倒れ込み……突然飛び上がる。

 

 

上空で翼と『腕』を広げる。

 

 

バキィッ!!

 

 

何かが砕け散る音が響く。

 

ゼスクリオが熱の塊となって落ちてくる。

 

 

「離れといて正解だったな。」

「私の感は当たる。しかもあれは―――」

 

 

神選者は全員耐えようとするが吹き飛ばされる。

 

ゼスクリオは上体を起こし、叫びながら熱を吹き飛ばして吸収する。

 

 

「ドゥレムディラの動きだ……!!」

 

 

その姿はもはやこの世の生物では無かった。

 

体からは9本の光る『腕』が生え、青く透明だった体は紫の毒々しい色に変化している。白い部分や光っている場所は無い。

 

「ォォオオオ!!」

 

極太の光る紫色のビームが口から放たれる。

空気を裂き、地面を抉り、液体が飛び散る。

 

「障壁『プロダクトキー』!うおおっ!!」

 

光や空気は通すがそれ以外は通らない障壁。

しかしブレスの圧倒的な破壊力により障壁ごと後退する。

 

障壁で受け流した余波で後ろの遺跡が弾ける。

 

 

「タイプ:大天使!哀れな生物よ、鎮まりなさい……炎天っ!!」

 

更に強化された筈の炎天。大きさはさっきと変わらなかった。しかも腕2本で抑えるため動きを制限する事さえ出来なくなっていた。

 

 

腕を振り回す。死なない人間は再び吹き飛ばされる。

 

「魔導砲!!」

 

二つのビームが何も無い所から発射されるが、強烈な咆哮でずらす。

前脚を叩きつけ地面を這うようにエネルギー波を発射、後脚を地面に食い込ませてからブレスを240°薙ぎ払う。

予想して木の上にすかさず上ったギルドナイトと、死なない人間を除き何かしら部位が吹っ飛ぶ。すかさず再生し始めるが。

 

 

 

「くそっ俺も地雷かよ。地雷達、大丈夫かぁ?」

 

二番目に死んだ人間がそこに立っていた。

 

「余りそういう趣味は良くないと思います。」

「身代わりが死ぬだけだ。流体鉄!」

 

上空から溶けた鉄をドゥレムディラに流し込む。

 

しかし腕が遮り更に鉄を蒸発させる。

 

「えぇっ!?すまない逃げてくれ!」

「えっ!?」

「ヒュームっていうヤバい物が……あーもう!この身を代償に!『空間転移現象』!!!」

 

 

自ら首を絞めた神選者がヒュームが広がる前に皆で逃げる。

腕が全員を捕まえようとしたが全員転移したため空を切った。

 

 

ニゲ……ルナァァァァァァ!!

 

 

再び咆哮しながら空中に飛び、爆発を起こす。

 

そして光を口に集める。熱源を感じる方向を向く。

 

 

コロス……!

 

 

 

「落ち着いて!お姉ちゃん!」

 

突然飛んできた青い龍がゼスクリオに突進する。

しかし届かない。

 

ブレスが沢山生物がいる方向に放たれる。

 

「しょうがないわね!ォォァァ!!」

 

防ぐように紫の氷柱がそびえ立つ。

ブレスが弾かれる。

 

 

ダレダァ!!………エッ。

 

振り返りながら腕を振り下ろすが途中で止まる。

 

「例え姿が変わっても、一目で分かるわ。私達は双子の姉妹じゃない!」

 

ワタ…シノ……イモウト……!

 

ゼスクリオは飛びついて羽を噛み始める。

 

「グアァァァ!」

「あははっ!落ち着いて落ち着いて!……しょうがないわね。よしよし。」

「グルルル……」

 

 

アァ……イモウト……デモ、オンドガワカラナイ……ソウカ、ワタシハオンドヲカラダデカンジナイノカ……。

 

腕を吸収する。

 

「はい、翼に掴まってちょうだい。」

「グルゥゥ?」

「ここから離れるわよ。」

 

シャベレナイ……アトデカンガエヨウ……

 

 

何故か目覚めたゼスクリオ。

勘を信じて迎えに来たドゥレムディラ。

彼女達は時を越え、遂に再開する事が出来たのだった。

 

 

ドゥレムディラがマグマに湧く温泉に連れて行ってトラウマを刺激するのはまた別の話。

 

 

 

 

古龍が去った事で雪が降り止む。

吉報は伝わるまで早い。

 

 

 

ドンドルマ・対策本部

 

 

「大体どうするんですか!このまま春まで行ってしまったら!」

「大丈夫です!その時は開拓地ハンターも呼びます!」

 

「伝令です!」

 

醜い叫び合いが止まる。

 

「突如襲来したドゥレムディラと共に謎の生物が何処かへ飛翔!同時に気温が5℃程高くなったようです!」

 

一瞬の静寂。伝令をした者は何か間違えたのかと周りを見る。

 

「……なんと!」

「やったぁぁ!」

「さっすが神選者達だぁぁぁ!」

 

 

「伝令です!雪が止み、視界が良くなった事により各地で狂竜化モンスターを押し返しだしました!」

 

「分かった!押し返した場所を!」

「はい!地図を広げます!」

 

 

「なるほど。これは……」

「円ですね。まさか、中央にシャガルが……?」

「各ハンターに伝えよ!ここらへんを厳重注意エリアとする!この谷にネコタクの待機と支援物資を届ける準備を!龍歴院側は、どんぐりロケットに回復『秘薬入セット』で飛ばす準備を!」

「「了解っ!」にゃ!」

 

 

 

 

 

しかし古龍が何処かに飛んでいっても。

例え劣勢であっても。

狂った者達は止まらない。

 

 

 

未知の樹海・雪原

 

 

ランゴスタが離れ一匹になったアトラルがネセトに乗り込む。

 

 

ミナゴロし……ミなゴロシ……

待っ……セイブツハ……

 

 

もはや本人の理性は機能しない。

いや本能さえ狂い、体のリミットが外れる。

笛の助けなしにネセトが動き出す。

 

 

 

 

ドンドルマ・対策本部

 

 

「で、伝令!」

「なんだ?」

 

「吉報の後にすぐ悪い情報ですが……おそらく狂竜化をした例のアトラル・ネセトが動き出しました。」

「位置は?地図の上に印を。」

「……ここです。」

「…………まずい、まずいぞ!このままではバルバレが襲われ、多大な被害が出る!」

「ランゴスタはついていないので普通のアトラル・カみたいなものですね。」

「G級ハンターと神選者を確認次第送り出せ!」

 

 

しかし彼らはつい無視していた。

 

狂竜ウイルスの脅威を。

 

 

そしてこのアトラルのおかしさを。

 




???から一言説明

ハタヤ カナ
カナちゃんマジ天使。

†キリト†
通称 死なない人間。

タイムエンペラー
死んでも生き返る人間。

二イタチ タク
俺が止まっても代わりはいるもの……

ハンター男(ギルドナイト)
実力高すぎ。ソロでも神選者より強い説。

ハンター女(ギルドナイト)
このペア現役ハンターの二位か三位では?

ゼスクリオ
極度のシスコン、タイマン強い。

ドゥレムディラ
姉より強いが姉には弱い。

といった所かしら。

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