閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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クリスマスを体験したとしての感想

回答者:アトラル・カ

実に人間らしいと私は思う。
元は宗教による厳かな祝いが時間や地域が変わるにつれそれぞれの願望を映し出す結果となっている。
また、互いにスキンシップをとり、相手が自分の番として相応しいか見極め、そこから態度を変える。また金銭目的で擦り寄ったり、その時だけの自らの評判を金で買ったりと実に欲深い場合もある。
しかし綺麗事が好きな人間。それを表面に出さず、『クリスマス』という口実に隠れるという事を大半が理解しているが排除には動ききっていない……
実に人間を表していると言えるだろう。


回答者:白統虫クイーンランゴスタ

え、人間って孕んでから十ヶ月かかるの!?
てっきり『性夜祭』っていってたからハーレムして大量増殖する機会かと思ってた!
………え、じゃあわざわざ高い物買うってどうゆう事?栄養満点で滋養強壮効果のためじゃない?え?え?


回答者:ナナ・テスカトリ

はい、夫と楽しくすごせました。私、普段は家を守ってますが、たまにはこうやって特に目的もなく一緒に回るのもいいかもしれません。
夜景や人間の生活の灯火。……実に綺麗でした。断言はしませんが忘れる事はないと思います。……ところで夫を見ませんでした?

「――、人形を勝ち得てきた。」

あ……かわいいアオアシラの人形。

「形に残るのが鬱陶しいなら焼き捨てるとよい。では、『けえき』という非常に美味らしい食材を探してくる。」

……うふふ。いいクリスマスでした。


回答者:ミラル……キャンセル

ちょっ!?


ジョブチェンジ

――

目が覚める。

 

狭い所で寝るのはやはり気分がいい。

一度外に出て朝日を拝む。

……違う。空の色からして夕方か。

 

まだ地に伏せているネセトを眺めた後、そっと口から首に撃龍槍を入れる。

ランゴスタに離れていろと指示する。再び寝ていた場所に入り糸をつけ直す。

本来ネセトは一から作るのだが他の奴から奪ったものでも構わないだろう。

 

 

ガタガタいいながらネセトが立ち上がる。重心が右寄りなのを感じるが動作に問題は無い。手始めに地団駄を踏む。

 

ダン!ダン!ダン!

 

地を揺らす衝撃が何度も走る。回転すれば尻尾が木を折る。

これなら大半のハンターやモンスターは殺せそうだ。

 

しかし問題が一つ。

 

とんでもなく疲れる。こんなに激しい動きは普段から出来る訳では無い様だ、戦闘中でも長くは続かないだろう。

笛を吹いて疲労回復する事は出来るが一々動きを止めるのは余りにも隙になる……何故あの同種(アトラル・カ)は長時間動けたのか。

 

次に首と頭を一直線に並べる。

そして槍を打ち出す。元ネセトの首を砕く勢いはそのままに自由なタイミングで様々な方向に撃てる様になった。

 

単発だが。しかも二本あってもリロードが出来ない。……だが大丈夫だろう。息の根を止める時に使えばいい。

撃ち出す仕組みをゆっくり元に戻し、槍の糸を引っ張り回収する。

……どうやら槍は地に刺さったらしい。改善点はまだまだある。

 

槍を回収するため再び外に出る。

 

日が更に沈み、星がその存在を主張しはじめる。赤い流れ星も見えた。……確か三度願いを声にすれば叶うらしいが、人間の噂話だ。私達に余りにも不公平な事は実際には無いはず。

さて、槍は回収したし帰ろう。

 

 

 

さて。ランゴスタに帰りたいと伝えるにはどうすればいい?

クイーンというのはどう伝えれば……

 

 

沢山のランゴスタを指差し上を示す(貴方達の上位存在)

 

ランゴスタは集まり火球を作り出す。

 

鎌を振ってキャンセルさせる。……ならば。

 

 

ランゴスタを指差し大きく鎌を広げ振る(貴方達の中で羽が大きい者)

 

私を掴み持ち上げようとする。

 

身をよじり中断させる。

 

 

頭に冠を描く(頭に王冠がある)

 

ランゴスタが私の頭にのっかる。

 

 

一体どうすればいいのだろうか。

 

日が落ち、空は星が広がる。

始めて落ち着いた状態で見たな。綺麗だ……人間が空に憧れるのも分からなくはないな。

 

そうだ。危険だが何もしないよりはマシか。万が一騒がしくなってもクイーンが駆けつけてくれるだろう。

 

笛を持ち出し、吹き始める。

 

 

 

決まったフレーズも無く笛を吹く。低く重く耳に心地いい調べが風にのる。

樹海のモンスター達も一瞬気にするが直ぐに警戒心を解き再び元の行動に戻る。

 

ドンドルマの住居地区にもその音色は響き、耳が良い者はしばしの間手や頭を休め聞き入ってた。風変わりな旅人の音色だと思いながら。

 

 

しかし本人は必死である。

 

新たな旋律を探しながらクイーンに気づいてもらおうとしているのだから。一石二鳥か、二兎を追う者は一兎をも得ずか。

 

結果は――

 

 

これは……身体強化と重ねがけ出来る旋律か。

 

「終わったという報告あったのにアトラルさん遅いな〜」(ちょっと調べてこい)

リョウカイ

 

 

 

夜遅いがさっそくネセトに乗り、身体強化&身体強化をする。

それで動かしてみると、夕方に比べかなり楽に操作できる様になっていた。

これならある程度の時間は戦え、また攻撃も強力になるだろう。

だがやはり長時間は無理か……旋律効果も長くない。

 

その時、ランゴスタが光りながらやってくる。

私を見て引き返して行く……ついてこいという意味か。

やっと帰れる……息を整え、ランゴスタを追いかけるために『走る』。

 

 

テキシュウ!テキシュウ!

まさか、アトラルさん殺られたのでしょうか?まぁティガレックスに――

 

とりあえずエネルギーを集めます。今回は炎は入れず爆発にしておきましょう。

 

ドドン!ドドン!

 

足音がしてきたのでそちらの方に向き、待ちます。

 

――来た!放つ!!

 

 

こっちか。そろそろつく……はず。

ランゴスタの数が増えてきた、そろそろクイーンの所に―――

 

 

クイーンの光線は走ってきたネセトを貫き、そのままネセトは浮き上がる。

更に貫いた所から爆発し、アトラルは放り出される。

 

 

「……ごめん。」

「キィェァァァァァァ!」

 

走ってきた私も悪いがいきなり光線は無いはず!

 

「敵襲って言ってたから……」

 

……ついてこいという意味では無かったのか。

 

 

胴体は木っ端微塵に、足にもひびが走りもう修復は不可能。

だが頭は無事で、槍も無事だった。近場に大きい岩はあっただろうか……

いや、今日は寝よう。昼間に寝て襲われたら危険だ、槍を振り回して疲労しよう。今日は大丈夫だったが明日がどうなるかはわからないから。

 

 

次の日

 

 

それ(・・)は突然だった。

 

クイーンは思考があまり能動的には出来ないランゴスタ達を率いている。しかも万を越える数。

それを1匹で指揮するのだ、傲慢さや思いやりながらも過酷に働かせる為の決断力、精神力が無いと餌や水等のあらゆる点から群れは壊滅するだろう。

 

「今から出かけるから代わりに女王をお願いします。水、雷、龍の冬眠する場所の確保もよろしく!」

 

だがそれはおかしい。

クイーンはそう言うなり私に特定のサインを教え、5匹のランゴスタを連れて何処かに飛んでいってしまった。

 

一応話を通していたのか私の周りは埋め尽くされている。

彼女が残した言葉に従い、四回石を打ち鳴らす。

これでランゴスタ達は普段通りの動きをするらしい。

 

周りを飛んでいる数がかなり減る。

 

……しかし冬眠?

本来ランゴスタは非常に気温に強く、マイナスの環境や活火山の近くでも活動出来る。

一体何故冬眠するのだろうか。やはりこいつらはおかしい。

さて……あ、そうだ、いい場所あるじゃないか。

 

 

沢山の部下を連れてやってきた。

そして馬鹿でも分かるように運搬・整理を少し私が実践してから命令をする。……思い通りに動いてくれた。

 

クイーンランゴスタが倒壊させた遺跡。大きい岩も、鉄くずもあるだろう。運が良ければ死体からいい素材が取れるかもしれない。

ネセト製作と冬眠場所の確保を同時に出来るとは実にいい。

 

 

日がかなり高くなった頃。大量の人間やモンスターの死骸が運搬されてきた。ところで、十数匹のランゴスタが私から離れない。近衛だろうか。

しかも三匹は体を擦りつけてくる。私はクイーンじゃないので産めないとさっきから示しているのだが……その類の思考しか出来ないのだろうか。

 

一人一人から装備や金銭をとり整理して、それぞれ皮を剥いだり肉と骨を分けて――そうだ。

 

氷ランゴスタに肉を冷やせと命令する。一瞬で凍てつく。

冷凍食品の出来上がりだ。冬は寒い、ならばその環境に合った保存方法にすればいいだけだ。火のランゴスタは冬眠しないらしいし、解凍する事が出来る。

 

流石こいつらと言うべきか、かなりの速度で遺跡が掘り出される。

一度私自身が向かい、扉を槍で壊さないといけない程深くまで取り除いた。

しかしモンスターも人間も扉に向かって走っていたのか……改めてあのクイーンの異常性を感じる。一撃で大量の生物ごと巨大な遺跡を倒壊させたのだから。

 

また私は外に出て待機する。いい加減体を擦り付けるな鬱陶しい……

だが彼女はこういう時は何をしているのだろう。……嫌な想像が浮かぶが頭を振って否定する。

 

日が大分沈み、再び集まってくる。私の前にケルビの肉が置かれる。

こいつらはガブラスの様なスカベンジャーに近い食傾向のは知っているがそれでは足りないはず。一体どこから食料を得ているのか。

明日はそれを追って確かめよう。




無名の笛

とある鍛冶工房が作った最新鋭の狩猟笛。しかしハンターには不評のよう。何故なら重い、大きい、譜面が固有で使いにくいという三点セットであるため。

ハンターの声

「いやぁ、馬鹿みたいに高級な素材と金を費やしたのに使えない武器で……あれは実用的ではない。あれを使う為の肺活量が足りなくてな…立ち止まってないと吹き専にもなれない。」

「自己強化して全力だしてもやっと大剣抜刀速度ですよ!一撃は重いけど遅くて当たらない!事前に誓約書を書かされたのはそういう事ですよ!」

専用の訓練が必要そうだ。
そして仲間に与える効果が薄いという致命的な欠陥もあり、様々な改良が求められる為、実用的になったら名前をつける取り決めになった。


※開示非推奨情報

例のアトラル・カがこの笛を使用しているとの情報あり。
真偽が定かではないので開示は推奨しない。

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