MASKが始める異世界生活   作:新田トニー

5 / 5
皆様、今まで長い間ほったらかしにしてすみませんでした。少しずつではありますがこの小説や他のも進めて行く所存ですので何卒よろしくお願いします。


第5話 緑の変人と鬼とその姉と犬とその2

「んん〜なんていい朝だ。いつも憂鬱だった日々がまるで

嘘のようだよ…!」

 

「朝から気分がよろしいようで。前の職場はそんなに寝る事が出来なかったんですか?」

 

「あまり触れないであげて、レム。彼にだって辛い過去があるのよ……」

 

……この2人がいなければ。

 

「なあ、朝くらい気の利いた事言えないのか?」

 

「あら、後輩のクセに生意気なお客様改めマスク」

 

「そうですよ先輩には敬意を払ってくださいお客様改めセイジさん」

 

今明らかにおかしい名前つけた子がいるんだが。マスクとか一ミリもかすってないんだが。

 

僕が朝からテンションダダ下がりになっているとそれを一気に引き上げてくれる天使が舞い降りた。

 

「お仕事慣れてきた?セイジ」

 

「も、もちろん!もう慣れ過ぎて退屈してきたところだよ!」

 

「清掃は普通ですセイジさん」

 

「料理だけは出来るのね」

 

「とにかく!仕事は順調だよ。早く終わらせて君と一緒に話したいよ」

 

セイジは疲れからか本音が出てしまい思わず口元を押さえる。

 

「うん。すごーく楽しみにしてるわ!それじゃあまたね」

 

健気だなぁ……。元の世界でもあんな良い子居なかったよ。

 

と僕が鼻を伸ばしていると

 

「ほら、ここまだ埃がついてるわよマスク」

 

「そのあだ名なんか危ない気がするからやめて!?」

 

僕がデレてラムとレムが突っ込む。こんなやり取りが日常になって来た。相変わらず仕事に相殺される日々だが今は何か違う。前以上に充実してる気がする。

いや、でもあの日々が無駄だったとは思ってはいないけど。

 

「あー……そういえばさ、その………」

 

僕が言葉を濁しているとラムとレムが首を傾げてきた。

 

「エミリアってあの事覚えてるの?」

 

「あの事って?」

 

あれ?もしかしてわざと……あっ今コイツ鼻で笑いやがった!クソッこっちは年上だってのに………!

 

僕の様子を見てるのが面白いのかラムは

 

「えっ?なに?私マスクがなに言ってるか分かんないわ。

貴方がエミリア様に………なんだっけ?」

 

コイツ…!

 

アレを………いやダメだ!アレは人を傷つける為にあるんじゃない!まあ多分そんな事しないと思うけど。

 

現在あのマスクは僕の腰に掛けてある。もしもの時のために備えておきたかったからだ。

でもそんな非常事態は起きてないし良いんだけど。

 

その日僕らは清掃を終わらせ食事を作りついに仕事が終わりぐったりした顔でベッドにダイブした。

 

「あぁ〜疲れた。もう早く寝たい………今日はあの双子メイドに散々いじられたし買い出しに行ったらなんか犬っぽいやつに噛まれるし……」

 

今日はもう寝よう。

 

僕は瞳を閉じ、眠るために何か考え事をしながら横たわっていた。

 

だがそんな事をする必要はなく既に疲れが溜まっていたセイジはあっという間に寝に入った。

 

時刻はもう深夜を過ぎている。普通なら大体の人間は寝ているところだ。だが1人だけ、廊下で金属が鳴らす音を出しながら歩いていた。

 

ガチャリと静かに扉を開ける。まるで起きてもらっては困るかのように

 

「………貴方が悪いんですよ。貴方が私達に関わったから」

 

そして彼女の武器のモーニングスターを……!

 

「そんな事しなくても良いじゃぁん………」

 

「!?」

 

レムは一瞬躊躇い武器を下ろす。もしや気づいているのか…?と警戒している。

 

「んぐぐぐぐぐぐぐ〜」

 

いや寝てる、それは分かった。そして遂に武器を………

 

ゴロゴロゴロ…………

 

セイジはベッドから転がり床へと落ちた。その弾みでテーブルに置いてあったものは落ちた。

 

「フォォォォォォォォォォォォォォォォ!?!?」

 

突然セイジは声にならない声を上げまるで竜巻のように回転しだした。

 

「これはッ!?」

 

レムはただ黙って見るしかなかった。得体の知れない敵に下手に手を出して反撃されてはひとたまりもない。

 

やがてハリケーンのような回転は止んだ。そしてまたあの派手な服を着たセイジもといマスクが現れた。

 

「やあそこのかわいこちゃん!いくら夜這いとは言ってもそんな物騒なもんは危ないヨォ!」

 

「くっ…!」

 

マスクはまるでおちょくるかのような挑発をした。

 

「そんなに俺ちゃんを殺したい!?」

 

そういうなりマスクは光速のように移動し、

 

「ここだよぉ〜ン!」

 

完璧な煽りを入れながら誘導した。

 

「待てっ!」

 

レムも負けじと追いかけた。

 

 

 

マスクは森へと入った所で歩みを止めた。

 

「ん〜まあここならだいじょぶだナァー!」

 

「ハァ…ハァ……やっと捕まえましたよ…!」

 

レムはマスクの姿を捕らえ続けるのに必死だったようで未だに少し疲れている、

 

「わぁーママ助けてー!女の子にイタズラされちゃう!」

 

マスクは相変わらずのテンションでふざけてるのに対しレムは怒りを爆発させた。

 

「ふざけないでくださいッ!!貴方は何処の王選候補者の間者ですか!?貴方は一体なんなんですか!?貴方は………魔女教ですか……?」

 

「逆に聞くけどーナんでそんなに俺ちゃんを排除シたいわけ?俺ちゃんこんなに働いてるのに」

 

それでも態度は崩さずいつも通りのテンションで話を続けた。

 

「貴方からは忌々しい魔女の香りがしますッ……!!私と姉様の故郷と家族を奪った人間が姉様達と仲良くしてのうのうと生きている姿を見るとレムは頭がどうにかなりそうだった……!」

 

「えっ俺そんな臭い?」

 

ポケットから香水を出して身体全体にかけながら聞いていた。

 

「私があの時姉様が角を折られて喜んでしまったあの瞬間から……私は姉様の代わりに頑張らなくちゃいけないんです……!レムなんて生まれなければ良かった…!!」

 

レムが今まで溜めていた思いをふざけながらもしっかり聞いていたセイジはため息混じりに口を開いた。

 

「あのさぁ……それはお前だけが考えてる事なんだゾ!?お前の姉様はナァ俺が仕事をしっかり出来るようになれば私とレムが楽になるって言ってたんだぞォ!?」

 

そう言われて黙り込むレム。セイジはそして何よりもと話を続けた。

 

「せっかく生きてんのにそんな償いとかつまんねェだロ!?生きてんだから人生を謳歌しろヨ!」

 

レムはさらに黙り込む。だがマスクは考える時間を与えなかった。

 

「おい見ろ病みメイド。これがなんだか分かルゥ?」

 

そう言ってマスクが見せたのは自分の手。だがそこには黒いオーラがあった。

 

「それって……呪いですか?」

 

「ノロイだとかトロイだとかトライだとか知らないケドォ

多分傷のあたりからしてワンコロだな。村の住人が危ないゼ!?」

 

「証拠はあるのですか?」

 

レムは疑ってかかった。だが今そんな事はどうでもいいとばかりな態度でセイジは言った。

 

「ドースル!?ここで言い争ってる間に罪のない子供達が死ぬか助けて英雄の中の英雄になるか、サァ迷ってる暇は無いhere we gaooooooooooo!!!!」

 

これだけ言われても迷ってるレムに困ったマスクはウーンと唸った。だがこの話を聞いていたのは2人だけでは無かった。

 

「どうしたの?何か言い争ってる声が聞こえたけど」

 

「あっマイハニー」

 

「エミリア様……」

 

心配そうに2人を見つめる中ラムもやって来た。

 

「どうしたの?レム、マスク」

 

「姉様……実は…………」

 

とレムがそこまで言いかけると

 

「いやー実は村に魔獣が住んでるって聞いて村が危ないってメイドの子が言ってくれたんだけどそん時に猫と犬どっちが好きかで意見が分かれちまってサァー困った困ったワハハハハ!!」

 

と説明口調で誤魔化した。

 

「マァそういう事だから早く村に行く事をお勧めするゾォ!」

 

と急かしまくった。

 

「待って!私も行くわ!」

 

とエミリアが言った。だがマスクはチッチッチと人差し指を振り

 

「いいや、コレはあのクソ犬が魔獣だと見抜けなかった俺の責任ダッ!君は関係ないのさ……」

 

「なら、私も行きます」

 

とレムが大きく言った。

 

「その、えっと……犬派か猫派で討論していたので私にも責任があります。なので私も行きます!」

 

「レムが行くなら私も行くわ」

 

とラムまでもが言った。

 

「姉様は関係ありませんよ!私達2人だけで大丈夫です!姉様はーー」

 

と言いかけるとラムはそれを遮り

 

「私達は双子でしょ?なら助け合わなきゃ」

 

と言った。それを聞いてかマスクはおもむろに泣き始め

 

「やっぱ姉妹ってイイナァ!俺なんて一人っ子だからにいちゃん欲しいってずっと思ってたナァ!」

 

「ね、ねぇ村が危機なら早く行った方がいいんじゃ……」

 

とそこまでエミリアが言うとハッとマスクは気づき

 

「よしそれじゃいこーゼ!」

 

そして3人は屋敷を出て行った。

 

 

 

 

 

「あ、あの姉様………」

 

「分かってるわ。貴方の言いたい事は」

 

えっ?とレムはラムの方に振り返る。

 

「全く分かってないわね。そりゃ妬むのも当たり前よ!私だって逆の立場なら多分そうなるわ。でもね、自分をそんなに卑下する事無いわ」

 

それに、とラムは続けた。

 

「私自身とても助けられてるわ。レムが凄いお陰で手間が省けてるし、レムは本当に頑張ってるわ」

 

「姉様………」

 

「さっき言ったでしょ?双子は助け合わなきゃって」

 

それを聞いた途端レムが今まで抱えていた贖罪の思いは一気に崩れ落ちた気がした。

 

「なんていい子達なんダァ…」

 

聞いていたマスクは目からありえない量の涙を流し鼻水を垂らしまくっていた。

 

「…!見て!あそこに子供達が……!」

 

とラムが言った場所を見るとそこには子供達が倒れていた。

 

「よし!それじゃあ早速助けに行くゼベイビィ達!!」

 

「ちょっと待ってください!もしかしたら魔獣が狙ってるかも……」

 

レムの予感は的中し、大量の魔獣がマスクめがけて向かってきた。だがマスクは気にすることなく子供全員抱えながらポケットに手を突っ込み

 

「ウルセェ!!急いでんだこれでも食ってロ!!」

 

投げたのは可愛い犬の写真が貼りついている皆ご存知ドッグフード。だが人に呪いをかけ、人からマナを奪って生きる魔獣にそんなものは効かなかった。

 

「エエー!?ナンデ!?犬なら皆大好きだろうが!!」

 

「魔獣は犬じゃないです!魔女が作り出した生物です!」

 

「全く、なんて勘違いをしてるのかしらマスクは」

 

こんな茶番をしている間にも魔獣達はマスク達に嚙みつこうとこちらに向かってきている。

 

「イヤァァァァァ!!ワタシ達ここで死ぬんだわ!!」

 

「下手くそな演技しないで打開策を考えなさい!」

 

にもかかわらずマスクは笑いながら走っていた。だが彼は急に止まり魔獣達を待ち構える。

 

「何をしているんですか!?止まったら子供達が…!」

 

レムは彼の突然の行動に戸惑い困惑する。だが彼は親指を立て思い切り口角を上げる。

 

「心配するなお嬢さん。今のオレは凄く気分がイイ!今のオレは一味違うってことをこのワンコロ共に教えてやんのさ!」

 

そう言ってマスクは竜巻の如く辺りを囲うように回転した。レム達は勿論、魔獣達も彼の行動に動けなかった。姿勢を低くし、唸りながら警戒している。やがて竜巻は収まりマスクはいつもの派手なスーツとは違い、白衣を身につけ首に聴診器をぶら下げていた。

 

「サァサァイカにも狂犬病よりもヤバそうなモン持っているワンちゃん達!見といで寄っといでーこんな田舎臭い世界じゃあ絶対にお目にかかれない世にも珍しいトリマーショップダヨォ!?」

 

そう言って彼が見せびらかすように両手をパンパン叩きながら見世物のように振る舞う。そこには犬を飼っている人なら一度は行った事のある動物病院だ。彼はトリマーショップと言っているが台や注射器やハサミ、色々な器具が置いてある。

 

「な、何ですかあれ…?」

 

「わ、分からないわ……」

 

レムとラム等は目を丸くしながらマスクを見ていた。

 

「はいそこのお前ー!お前が初めてのお客様だよー!」

 

と一匹の魔獣に指を指した。突然指名された魔獣はビクッと身を震わせるが了承を得る間も無く回転しながら近づく彼に連れられた。

 

「ウンウン!ウンウンウン………コレはダメですね今すぐにでも薬を打たないとマズイですねェ!!」

 

と言いながら彼はポケットからどう考えてもポケットに入られる容量を超えた図太い注射器を取り出した。

 

「今からお前にコレを入れるが、痛みは一瞬よ!何の問題も有りませんわ!」

 

ズブリと注射器を刺した。

 

「キャウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!?!?」

 

思い切りケツに刺された魔獣は切ない悲鳴を上げた。すると魔獣は回転し始める。

 

「大丈夫デ〜スちゃんと獣医師の免許持ってマ〜ス」

 

と顔が緑色の血色が悪そうな顔をした免許を見せながら回転する魔獣を見守っていた。

 

「そろそろカナー」

 

とマスクは言う。回転は止まり、魔獣の姿がようやく見れる。だが魔獣は魔獣とは言えないような姿になっていた。

 

「えっ!?魔獣が…」

 

レムは驚きの表情を浮かべる。それもそのはず、何故なら今の魔獣の姿は……

 

「と〜っても可愛いチワワちゃんで〜す!」

 

みんなの愛玩犬、チワワになっていた。魔獣だったチワワは小さいながらも甲高い声で鳴き威嚇している。

 

「サテサテ……お次はお前等の番サッ!ナァニ心配は要らん!一瞬で終わるからネ!」

 

そう言って彼は音速を超えるスピードで魔獣達に注射器を打って言った。所々キャインと悲鳴が聞こえる。そして、

 

「はい終了〜!」

 

気がつけば魔獣の巣窟だった森は個性溢れる犬達の溜まり場となっていた。チワワ、ダックスフンド、トイプードル、ゴールデンレトリバー……多種多様の犬種が森の中で闊歩していた。

 

「さっきまで絶体絶命だったのに……こうも容易く…」

 

「凄い…」

 

「お褒めに預かり光栄でございマース!」

 

マスクは行儀の良い姿勢で礼をし、仮面を外した。

 

「あ、アレ?なんか少し記憶があるような……」

 

「お疲れ様でした。マスク改め、セイジさん」

 

そう言い子供達を守っていたレムはモーニングスターを持ち犬達に近づく。

 

「あのー、レムさん一体何を……?」

 

「何とはなんでしょう?」

 

ジャラリと鎖の音を立て、犬達に殺意を向けながら歩み寄る。

 

「いやそれだよそれ!手に持ってるヤツ!それであの子犬達何するつもりかって聞いてんだ!!」

 

「弱体化している今がチャンスです。今殺せば魔獣達は……」

 

「そういうトコだよ!!」

 

セイジは声を大にして言った。

 

「少しは人を信じなきゃ!あまり記憶は無いけど、アイツ等を可愛い子犬に変えてやった。もうアイツ等が人を傷つける心配はないよ!」

 

「そんな不確定な事を信じろとでも…?」

 

レムが退かずに言うとセイジは

 

「あんな可愛い犬達殺すなよ!!良し分かった!そこまで言うなら証明してやるよ!あの犬達がなんの危険も無いって事をな!」

 

彼はそう言って犬達の中に突っ込んで行った。

 

「ほら〜、怖くないよ〜。怖くないから、頭を撫でさせてね〜」

 

そう言ってセイジは犬に近づく。犬種は柴犬。彼は手を差し伸べ頭を撫でようとする。汗を流し、鼓動を加速させながら頭に乗せる。そして見事撫でる事に成功した。

 

「良しッ!なっ言ったろ!?」

 

「凄い汗流してたじゃない」

 

ラムが指摘するが彼は聞こえないふりをし、次の犬へと手を伸ばした。宣言した通り、彼は全ての犬の頭を撫でる事に成功した。

 

「ど、どうだァ!?」

 

「…分かりました。ここまでされては、私はもう何も言いません。ですがその犬達はどうするおつもりで?」

 

「オレ達が飼うよ」

 

後ろから不意に声を掛けられセイジはビクッとした。誰だと思い振り向いてみると近くの村人達だった。

 

「えっ!?なんでここに!?」

 

「あんだけデカイ音出されちゃ気になってね、つい来ちまったのさ」

 

「いや、警護は…?」

 

「あぁ、なんか突然、身体が動いちまったっていうか、なんつーか……」

 

「あぁ…コイツの仕業か……」

 

セイジはマスクをチラリと見る。裏面がキラリと光って見えた。

 

「他の人達にも飼えるか聞いて見るよ。ありがとな。でもアンタ凄えなその仮面つけるといつもそうなのか…?」

 

「ん?ああなんかコレを付けると力がみなぎって来て、というより本当の自分が出てくるような、そんな感じがするんだ」

 

「へ、へぇ〜。そいつぁすげぇや」

 

と俺に冷ややかな視線を送る。さてはコイツ俺を病人扱いしてやがるな。

 

良い雰囲気で終わるような感じになってるけど、俺にはずっと気になってる事があった。この仮面、マスク作った奴って一体……誰なんだ?

 

 

 

 

場所は変わって夜の静けさが漂うルグニカの商店街。そこを堂々と歩く男が居た。

 

「来たぜ…あの時は失敗したが今度こそはやるぞ」

 

「「「「おう…!」」」」

 

と3人組の男達は団結する。

 

「オイ、なんか一人多くねぇか?」

 

「は?そんなわけ……」

 

と彼等が恐る恐る後ろを振り向くと全身黒一色の男が立っていた。

 

「うおおおお!?テ、テメェいつの間に…!?」

 

いきなり現れた男にびっくりした3人はビビリながらも虚勢を張る。

 

「ああ驚かせて悪かったな。いきなりで悪いんだが、あるものを探してる。こんな形をした仮面知ってるか?」

 

そう言って男は恐るべきスピードで模写をした。精巧に描かれた紙には緑色の木製の仮面が絵が描かれていた。が、短気なチンピラが盗みの計画を立てている時にいきなり背後に立たれて、ましてや探し物をしていると聞かれれば、ブチギレるのは仕方のない事だろう。

 

「そんなモン俺達が知るわけねぇだろ!クソ順番が狂っちまったがもういい!テメェ、今すぐ金目のモンを––––」

 

襲い掛かろうと三人同時に男を襲った。が、彼等は知らなかった。この世には、喧嘩を売っていい相手とダメな相手がいる事を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、コイツ等もハズレか……相変わらず人使いが荒いんだよパパは……」

 

メモ用紙にマジックペンでスッと塗り潰しながらため息を吐く男。彼は壁にめり込んだ3人を一瞥した後、再び歩みを進めた。

 

「ったくどこ行きやがったんだ?あのクソ魔女め…」

 

男は文句をブツブツ言いながら夜の街を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。