MASKが始める異世界生活   作:新田トニー

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マスクって何気に下ネタシーンありますよね。いや、何気っていうよりかなり。


第3話 あれ?俺もしかして疑われてるぅ?

 

「んぅぅ………」

 

全く気持ち良さそうには見えない寝顔でセイジは唸る。

そしてさらに顔にシワが入り

 

「すみません!直ぐにやり直します!!だからクビにはしないでくださぁい!!」

 

ガバッと起き上がった。今までの事は夢だったのかと理解するとセイジは改めて安心した。だが

 

「姉様姉様、お客様ったら何を言うかと思えばいきなり社畜のような発言をしました」

 

「レムレム、この人本当に昨日のお祭りの主催者なのかしら?雰囲気全然違うと思うのだけれど」

 

朝から辛辣な言葉を受けて若干ナーバスになったセイジは

異世界に来た事は夢ではなく現実だという事を思い知らされた。

 

(もし戻れなかったらあの川も見れなくなるのか?)

 

もし戻れなかったら………とセイジは最悪の展開を想像する。会社帰りの唯一の癒しを奪われた事にさらに落ち込みながらもセイジは現実を受け入れようと努力する事を試みる。

 

「あのー、ここはどこなの?」

 

と僕が双子のメイドさん達に聞くと

 

「ここは我らが主のロズワール様のお屋敷ですお客様。ロズワール様も昨日の件で貴方と会う事を心待ちにしております。お洋服を変え次第、食堂に向かってください」

 

う〜ん昨日の件って何だ?何も覚えてない。ヤケ酒でもしてたのかな?

 

僕は直ぐに起き上がり服を着替え、部屋を出た。出たは良いんだけど。

 

「………どうなってんだこれ。全然着かないぞ」

 

僕は途方にくれる。朝起きた途端に歩き回ってたらいつまでたってもたどり着かない迷路だって?もうどうなってんだこの世界は。

 

「あれ……いつの間に僕この仮面………」

 

自分でも気がつかないうちにこの変な仮面を持ってきてしまった。……………ああっ!そうか僕昨日この仮面被って………

 

セイジは昨日の出来事を全て思い出した。

 

だからこの屋敷の主さんも僕に会いたがっていたのか。

でも僕がそんな大それた事出来るわけない。アレは僕じゃない。………いやでも待てよ?そういえば人は心に常に仮面を被っている、とか聞いた事あるな。………あんま信じたくないけどアレが僕の本性だってことか?

 

「嫌だァァァァァ!あんなのが本当の僕だなんて信じたくない!」

 

そう僕が自分でもやかましいと思う声で自己嫌悪していると

 

「朝からうるさいのよ。さっきから一体なんなのかしら」

 

扉から出てきたのは背が小さい金髪のドリルみたいなツインテールをした女の子だった。

 

「えっ………人いたんだ」

 

「いないわけないのよ」

 

あっもしかしたらこの子出口知ってるかも。

 

「あのさ、ここの主の人知らないかな?確かロズワールさん……だっけ?」

 

「ふん。そんな事かしら。それなら後で教えて………ってその仮面はなんなのよ?」

 

ドリルツインテールの子は僕の持ってきていた仮面を指刺した。

 

「…今失礼なあだ名が聞こえた気がしたのよ」

 

「気のせい気のせい」

 

「そういえばそれ!それはなんなのよ!?」

 

話が逸れた事にご立腹のドリルツインテールはひたすら指を指す。

 

「それから何か変な感じがするのよ。何かもっと凄い感じのね!」

 

「えぇ?そんな事言われてもなぁ……あっ強いて言うならこれをつけると頭がおかしくなるくらいしか分かんないなぁ」

 

変な仮面を持っているものねとドリルツインテールの子が言う。そういえば名前聞いてないな。

 

「君の名前は?」

 

「教えてやる義理もないって言いたいところだけどその仮面の事についても教えてもらったしいいわ。私の名前はベアトリスなのよ。覚えておくがいいかしら」

 

ベアトリスか………なんかクマにあだ名つけたみたいな名前だな………。

 

「ちょっとそれ貸してみるのよ。試したい事があるかしら」

 

そう言われ僕はホイホイと仮面を渡してしまった。それがいけなかった。

 

「そりゃ!」

 

「んむぅーーーーーー!?!?!!!?」

 

仮面を押し付けられてしまった。

 

仮面をつけられた瞬間突然回転し始め、ゴロゴロと雷の音が聞こえ始めた。

 

「ただの仮面じゃないとは思ってたけど………ここまでとは思ってなかったかしら………」

 

禁書庫の中で回転しまくっていたセイジはやがて弱くなり

遂に止まった。

 

「ハァ〜イそこの勝手に俺に仮面をつけたお嬢ちゃん!せっかく会えた事だし記念にコレをあげよう!」

 

そう言ってセイジが渡したのは地球では当たり前に売られているチューインガム。

 

「なんなのかしらこれ?」

 

「コレは俺の国でチョー人気のチューインガムってゆーヤツさぁ!食えば病みつきになる事間違いなし!ハイドーゾ」

 

「ふん、少しは気がきくのかしら。それじゃあ一口………」

 

「おっと言い忘れてタァ!それは飲み込む食べ物じゃないからネ!あとちょっとこっち見ててくれ………」

 

とセイジがガムについての説明をしてる間にベアトリスは話を聞かずにガムに集中していた。

 

「こっちを見ろォ!」

 

「うるさっ!そんな怒鳴る事ないじゃない!」

 

「良いから良いから!ほら見てろよ?」

 

そう言ってセイジはガムに空気を入れ、膨らませた。

 

「な、何なのよそれは!?」

 

「コレは風船ガムって言うんだ。ほらやってみたらどうだ?」

 

とセイジが説明を終えるとベアトリスは一生懸命空気を入れた。一見微笑ましい光景だがこのマスクをつけているセイジがタダでそんな事をするはずがない。

 

「?膨らみすぎて来たのだけれど。コレはどうすれば良いのよ?」

 

ベアトリスは風船ガムを自分の身体と同じサイズまで膨らませてしまった。

 

「そんなの自分で考えなさい!自主性を大事にしなきゃダメなのよ!」

 

と支離滅裂な発言をした。

 

(こ、このままじゃ流石にやばいのよ………。どうにかしてコレを割った後コイツにキツイの1発喰らわしてやらなきゃ!)

 

「ベアさーんダイジョブー?」

 

(コ、コイツ…!)

 

ベアトリスは何とか風船ガムを割り無事着地した。

 

「何か言い残す事はあるかしら?」

 

とベアトリスはいつでも始末出来るように魔法を待機させていた。

 

「でも美味かっただろ?」

 

「…ッ!一瞬であの世に送ってやるから覚悟するのよ!」

 

と言い魔法を放ったベアトリスを見たセイジは

 

「ワァーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

と皮膚と骨が飛び出るくらい驚いた。だがすぐに素に戻り

 

「ワオ!こんな遅いんじゃ俺をクッ殺……!せないゾォーン?」

 

「憎たらしいヤツなのかしら!」

 

遂にキレたベアトリスは屋敷が全壊しない程度の魔法を放った。

 

「ワァホタルだァ!ママ見て!ホタルがたくさんいるよ!」

 

とバネみたいな動きをしながら逃げていた。そしてそこらにあったホウキに乗り

 

「さぁ行くのよホウキちゃん!貴方の力を見せてやりなさい!」

 

と踵で二回蹴った。するとホウキは突然宙を舞う。

 

「ガム風船作ってるの可愛かったよォォォーー!!」

 

「殺す!殺してやるのかしら!」

 

ものすごいスピードで無限回廊を駆け抜けて行った。

 

「よぉし着いたゾォーン!やっぱり自分を曲げずに真っ直ぐ生きる事が大事だよねぇ〜ん!!」

 

バァン!と勢いよくドアを開ける。

 

「あれ?セイジ随分遅かったじゃない。何かあったの?」

 

「ああごめんよ!俺ちょっと金髪ロリドリルに贈り物しただけなんだ!許してくれぇ!」

 

「ちょ、ちょっと!そんな謝らなくても!」

 

「ホントに?こんなクソザコ変態黄緑マスク野郎を許してくれる!?」

 

「もう!そんなに自分を卑下しないの!それよりロズワールが貴方に会いたがってたから、一緒に話してあげて」

 

とエミリアがロズワールに視線を向ける。

 

「やぁき〜みが昨日エミリア様を助けただけではなく一連のお祭〜り騒動を起こしたえ〜と」

 

「ふむ………そうだァ!俺の事はマスクと呼んで構わないゼェ!」

 

「いやい〜や君の本当の名〜前だよ。流石に名前くらいはあるだろう?」

 

と言われて若干ショックを受けつつもセイジは自分の名前を答えた。

 

「ミドリセイジ、それが俺の………名前〜だぜ!」

 

「やっぱり変な名前してるかしら」

 

そこには少し怒り気味のベアトリスも来ていた。

 

「まあそんなき〜みに何か一つほ〜うびをあげよう。何がい〜い?」

 

なんでもと言われてないが勝手に解釈したセイジは大胆な行動に出た。

 

「そうだな………俺は今無職だからここで働かせて欲しい。そして………」

 

エミリアに近づき………

 

「このマイプリンセスと結婚することデ〜スッ!」

 

「「「『!?』」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見せつけるように堂々と熱い抱擁をしながらキスをした。

 

 

 

 

 





マスクはいつも予想の斜め上を行く。

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