ドラゴンボールSS ~農耕民族サイヤ人伝説~   作:秋羅

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第1部 農耕民族サイヤ人編
ラディッツ「農業力5万。ほぅ、なかなかではないか。」


 

おっさん「な、なにモンだおめぇ!?」

 

ラディッツ「俺か? 俺は宇宙一の農耕民族サイヤ人のスーパーエリート、ラディッツ様だ!!」

 

おっさん「さ、サイヤ人!? 」

 

ラディッツ「そうだ。全宇宙を股にかけ、星々を開拓し農地へと変えるのが俺達一族の仕事だ。」

 

おっさん「ほぇ~。宇宙には凄い人達がいるだなぁ・・・でなくて! オメェ! オラの畑にナニしてくれるだ! これからイモッコ植えるところだったのにこんな大穴空けられたら植えらんねぇべさ!」

 

ラディッツ「ムッ! 俺とした事が! これはすまない事をした。侘びとしてこれをくれてやろう。」キュイーン

 

おっさん「て、手なんて光らせて何するつもりだ~!?」

 

ラディッツ「こうするのさ! サタデークラッシュ!!」ポヒュウウウ

 

おっさん「ぎょえーーー!!??」

 

ドゴオオン!!

 

モクモクモク

 

おっさん「あ、あれ? 生きてる?・・・って、なに~!? 大穴が無くなって、代わりに一面芋畑になってるだ!?」

 

ラディッツ「ふっ。俺が畑を台無しにしてしまったのだ。これくらいはせんとな。ちなみに植えてあるのは惑星ポテイト原産の満月芋だ。成熟して新鮮な状態のこの芋は1700万ゼノ超のブルーツ波を発するから収穫に苦労するが味は超一級! 全宇宙で愛されているスーパーポテトだ。こいつは月の様な環境でも栽培できる作物だから、肥沃なこの星なら問題無く育てる事ができるだろう。」

 

ピピピピッ

 

「むっ! この農業力は!? フハハハハハッ! 見つけたぞカカロットよ! 今兄が会いに行くぞー!!」バシュウウウ

 

おっさん「あっ! おい待つだ!・・・行っちまっただ。まぁ、よくわかんねぇけどせっかくだからこのイモッコ育ててみっぺか。」

 

 

―のちにこの農家のおっさんは満月芋で巨万の富を手に入れる事となる。おっさんはテレビのインタビューでこう語っている。自分に満月芋を授けて去って行ったあの男はきっと農業の神だったのだと。そして、彼が農業の神に出会った地では筋肉隆々のロン毛でM字ハゲの大男の銅像が祭られるようになったという―

 

 

 

 

 

―――とある山―――

 

ラディッツ「見つけたぞカカロットー!!」

 

ギュウウウウウ・・・スタッ

 

ヤムチャ「うおっ!? なんだお前!?」

 

ラディッツ「なにっ!? この俺が分からんのか!? あれほど可愛がってやったというのに貴様というやつはっ!」

 

ヤムチャ「あの~、誰かと間違えてないか?」

 

ラディッツ「そんなはずはない! それ程の農業力を持っているのだ! 貴様は24年前に生き別れた俺の弟カカロットだ!」

 

ヤムチャ「えっと、俺の名前はヤムチャだし、24年前はまだ両親と暮らしてたから、お前の弟とは別人だぞ?」

 

ラディッツ「そうなのか!? だかこの農業力は・・・。」

 

ヤムチャ「なぁ、さっきから言ってるノウギョウリョクってなんなんだ?」

 

ラディッツ「そんな事も分からんのか? 農業力とは農業に関する知識や技術、適性などの全ての能力の総評。これが高ければ高いほど優れた農民という事だ。」

 

ヤムチャ「へ、へ~(汗) それで俺の農業力って・・・」

 

ラディッツ「貴様の農業力は10万。エリート農家と呼んでも遜色ない数値だ。ちなみに俺の農業力は53万で、一般人は5だ。」

 

ヤムチャ「おいおい、ナウでモダンなシティーボーイのヤムチャ様にそんなに高い農業力が有る訳無いだろう!」アセアセ

 

ラディッツ「こいつは最新式のスカウターだ。誤動作などありはしない。・・・ああ、そういう事か。」

 

ヤムチャ「な、なんだよ!?」

 

ラディッツ「貴様、都会に憧れて実家を飛び出したくちだな?」

 

ヤムチャ「ギクッ」

 

ラディッツ「なんと嘆かわしい。都会なんぞにかぶれおって。それ程の農業力があれば、大豪農も夢ではないというのに。」

 

ヤムチャ「う、うるせぇ!! 都会に憧れて何が悪い! テレビもねぇ! ラジオもねぇ! 車もぜんぜん走ってねぇ! 挙句の果てには年頃の女の子すら居ねぇ! そんな田舎で一生畑なんて耕してられるかよ!!」

 

ラディッツ「うーむ、俺の場合は農業さえできれば他はどうでもいいんだが・・・まぁ、価値観は人それぞれ。ましてや貴様はサイヤ人ではないからな。これ以上は押し付けにしかならんか。」

 

ヤムチャ「ほっ」

 

ラディッツ「だが気が変わったらいつでも言えよ。貴様は我が一族に迎え入れても差し支えない程の漢だ。その時は良い嫁を紹介してやろう。サイヤ人の女は器量良しの上に頑丈だ。子供も山ほど産んでくれることだろう!」

 

ヤムチャ「あ、ああ(汗) 無いとは思うがもしもの時はお願いするよ。」

 

ラディッツ「では俺は弟を探さんといかんから行かせてもらう。さらばだヤムチャよ! 貴様が農民に戻る日を楽しみにしているぞ!」バシュウウウ

 

ヤムチャ「いやだからなんねぇよ!!」

 

 

 

 

 

―――上空―――

 

ラディッツ「むぅ。あれから農業力の高い奴らを片っ端から当たってみたがカカロットが見つからん。そもそも本来ならばこの星の陸地は全て農地に成っているはずなのにそれがなされていないという事はカカロットの身に何かあったのか? いやまさな。カカロットは生まれながらにして農業力1万のエリート農民! それがこの様に穏やかな星でどうこうなるわけがないか・・・」

 

ギュウウウウウ・・・キキッ

 

???「とうとう追いついたぞ! 膨大な気を撒き散らしながら飛びまわりやがって! 何者だ貴様!」

 

ラディッツ「なんだ貴様は? 俺は今忙しい。話なら後に・・・むっ! 貴様はナメック星人! まさかこの星にも居たとはな!」

 

ピッコロ「ナメック星人、だと? 貴様! 俺の何を知っている!?」

 

ラディッツ「おいおいどうした? 随分と気性の荒いナメック星人だな。貴様野菜は食っているのか? ああ、ナメック星人は水しか口にせんのだったな。それじゃあ、地球の環境のせいか?」

 

ピピピピッ

 

ラディッツ「うん? なっ!? そんな馬鹿な!?」

 

ピッコロ「オイ貴様! さっきから何をごちゃごちゃと! 俺の質問に答えろ!!」

 

ラデッィツ「・・・農業力3。サイヤ人に次ぐ農耕種族であるナメック星人がたったの3だと?」

 

ピッコロ「ノウギョウリョク? 何の話だ?」

 

ラディッツ「まさか、考えたくはないが、カカロットの農業力も下がっているのか? だが何故? 地球人の農業力自体は高い方だ。その様な環境に居れば農業力が上がる事はあれど下がることなど・・・。もしや重力が低い事が原因か? いやしかし・・・」ブツブツ

 

ピッコロ「いい加減に俺の話を聞きやがれー!!!!」

 

ポヒュウウウ・・・ ドゴオオン!!

 

ピッコロ「フフフッ! どうだ? これで俺の話を聞く気になったか!?」

 

ラディッツ「・・・人が考え事をしているのにうるさいぞ。畑の肥しにされたいのか?」

 

ゴッ

 

ピッコロ「な、なんだこの気の量は!?」

 

ラディッツ「丁度良い。身の程知らずにもこの俺に攻撃してきたお前に良い事を教えてやろう。このスカウターは農業力だけではなく戦闘力も測ることができる。お前の戦闘力は332。そして、俺の戦闘力は・・・1500万だ!」ドン!

 

ピッコロ「なん・だと!?」

 

ラディッツ「分かったら消えろ。 有機肥料にされる前にな。」

 

ピッコロ「クソッタレー!!」バッ

 

ラディッツ「馬鹿が! シャイニングフライデー!」ギュオオオン!!

 

ガガガガガガッ!

 

ピッコロ「ぬぐわああぁぁーーー!!!!」ヒュー…

 

ラディッツ「しまった。ついイライラしてやっちまった。まぁ、加減はしたから大丈夫だろう。それよりカカロットだ。生まれながらに高い農業力を持つナメック星人があのあり様なのだ。カカロットの農業力も下がっていると考えた方が良いだろう。そして、この星で育ったにしては高い戦闘力。もし、カカロットが同じ状態になっているとしたら・・・。」ピピピピッ

 

ラディッツ「! あっちか! 距離12,909。この星で最も大きな戦闘力だ。今度こそカカロットであってくれよ!」バシュウウウ

 

 

 

 

 

―――亀ハウス―――

 

悟空「!!?」

 

クリリン「どうした悟空?」

 

悟空「ピッコロの気が消えた?」

 

亀仙人「なん・じゃと!? 彼奴ほど手だれをいったい誰が!?」

 

悟空「・・・!!み、みんな! 離れろ!! とてつもなく強い気が近づいてくる!!!」

 

クリリン「ええっ!?」

 

亀仙人「まさかピッコロを倒した奴か!」

 

ギュウウウウウ・・・スタッ

 

ラディッツ「・・・」

 

クリリン「誰だ? こいつ? ヘンテコリンな格好して・・・」

 

ラディッツ「ヘンテコリンだと? 貴様サイヤ人の作業着を馬鹿にしているのか?」ギロッ

 

クリリン「え? い、いやべつにしそういうつもりは無くて!」アセアセ

 

亀仙人「なんなんじゃ此奴は。強さの底が見えん」タラリ

 

悟空「・・・」ゴクリッ

 

ラディッツ「おお! その顔、間違い無い! ようやく見つけたぞカカロットよ!!」

 

悟空「カカロット?オラは孫悟空だ。誰かと間違ってんじゃねえのか?」

 

ラディッツ「間違うものか。・・・これを見たらわかる」シュル…

 

悟空「!! そ、それは尻尾・・・? オラと同じ・・・」

 

ラディッツ「その反応、やはりお前はカカロットだな。そう、この尻尾はサイヤ人の・・・ん? お、お前、尻尾はどうしたんだ!?」

 

悟空「尻尾はだいぶ前に無くしちまった。もう生えてくる事もねえ」

 

ラディッツ「なんだと・・・」

 

悟空「おめえは一体誰なんだ? なんの目的でここに来たんだ? オラの事をなんでカカロットと呼ぶ?」

 

ラディッツ「・・・まあ、落ち着け。まず俺は敵ではない。順に説明してやる」

 

・・・・・・・・・・・

 

悟空「な・・・なんだって!?」

 

ラディッツ「信じられないのも無理はない。地球人として育てられていたお前ではな・・・だが全て事実だ。お前は農耕民族サイヤ人であり、この俺の弟。お前は本来、この星を開拓する為に送られた農民なのだ。」

 

クリリン「なんか農民って点でシリアスな雰囲気が壊れちまったんだけど・・・」

 

ブルマ「しっ! クリリン黙ってなさい!」

 

ラディッツ「さて。次はこちらから質問させてもらうとしよう。カカロットよ、何故貴様はこの星を開拓していない? サイヤ人は生まれながらの本能として畑を作る。それは赤子とて例外ではない。にもかかわらずお前は畑を耕さず、農業力も下がっている。何故だ?」

 

悟空「何故って言われてもなぁ・・・あ、そういえば! オラを育ててくれた祖父ちゃんが言ってたっけ。オラを拾ったばっかの時は目を離すとすぐに土いじりしてたけど、頭ぶっけてからやんなくなったって。」

 

ラディッツ「つまりなんだ? 頭をぶつけた衝撃で本能と農業力を失ってしまったという事か!? なんという事だっ。俺は親父とお袋に何と言えばいいんだっ!!」

 

悟空「なんかわりぃな。でもオラはこの星で楽しく暮らしてる。オメェの言う事が本当だとしても今更畑仕事なんてできねぇよ。それにそんな事より修業したり強ぇ奴と闘ってた方がおもしれぇかんな!」

 

ピクリ

 

ラディッツ「そんな事、だと?」

 

亀仙人「な、なんじゃ!? 此奴の気が急激に高まっておる!?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

ラディッツ「貴様! 農業を馬鹿にしたかカカロットー!!」バッ ドガァァァァァァァン!!

 

悟空「!?」

 

パラパラパラパラ

 

ラディッツ「いいだろう。ならばお望み通り強い奴と闘わせてやろう。」

 

亀仙人「なんという圧力じゃ!? 」ブルブル

 

クリリン「か、身体が動かないっ」ガクガク

 

悟飯「うわーん! こわいよー!」

 

ブルマ「大丈夫! 大丈夫だからっ!」ギュッ

 

悟空「ひゃー! スゲェなオメェ! オラわくわく・・・」

 

ラディッツ「フンっ」ヒュン!

 

バギィィィィィィィンッ!

バシバシバシバシバシバシ!!

ギュオオオン!!・・・ガガガガガガッ!!

ポヒュウウウ・・・ ドゴオオン!!

ヒュン!

ドォォォォン!!!

ヒュン!

ドォォォォン!!!

ヒュン

バシュウウウウウ!!・・・ドザァァァァァ!

ドドドドドドドドドドド!!

ポヒュウウウ・・・ ドゴオオン!!

 

・・・・・・・・・・・

 

悟空「」ヤムチャ状態

 

ラディッツ「ふん。修行と戦いに明け暮れていたのにこの程度か。まぁ、当然か。脳筋が農筋に勝てるはずがないのだからな。」

 

悟飯「おとうさんを・・・いじめるなー!!」ゴッ

 

ラディッツ「むっ!! こいつは!?」ガシッ

 

悟飯「うわー!? 離してよー!?」ジタバタ

 

ブルマ「ああ!? 悟飯君!?」

 

クリリン「やめろー! 悟飯はまだ子供なんだぞ!!」

 

ラディッツ「悟飯?・・・この顔、そしてこの尻尾。カカロットの息子か!!」

 

悟空「あ・・・う・・・悟飯を・・・離せ・・・」

 

ラディッツ「やはりそうか・・・よし、良い事を思いついたぞ。カカロットよ、今から1週間以内に100ヘクタールの畑を耕し何でもいいから作物を植えろ。できなければこいつを惑星ベジータに連れていく。半分とはいえサイヤ人。腐らせる訳にはいかんからな。」

 

ブルマ「100ヘクタール!? そんなの機械を使っても無理よ!」

 

ラディッツ「無理ではない。カカロットがサイヤ人の本能を思い出す事ができればな。」

 

悟空「やめろっ・・・ラディッツ!!」ズルズル

 

ラディッツ「貴様も誇り高きサイヤ人ならばこれくらいやって見せろ。さて、今日のところはこれで帰らせてもらう。ちなみに貴様の息子も人質として連れていく。兄の期待を裏切ってくれるなよカカロット。」ヒューン

 

悟飯「うわーん! おとーさーん!!」バタバタ

 

悟空「ごはーん!!」

 

 

 

 

 

―――とある台地―――

 

ラディッツ「さて、これならばカカロットも畑を耕すだろう。これがきっかけになり本能を思い出せばいいのだが・・・」

 

悟飯「うわーん! うわーん!」

 

ラディッツ「・・・はぁ。少々やり過ぎたか。おい、悟飯といったか。そろそろ泣き止め。それでもサイヤ人の血を引く者か?」

 

悟飯「うわーん! うわーん!」

 

ラディッツ「むぅ・・・そうだ! カカロットを探して地球を周っている間に見つけたマンモスイチゴをやろう。」

 

悟飯「・・・いちご?」

 

ラディッツ「ああ、イチゴだ。こいつは俺が今まで見てきたイチゴの中でも一際デカく、そして甘い。こいつを宇宙に広めれば多くの者が喜ぶことだろう。ほれ。」スッ

 

悟飯「ん・・・」モグモグ

 

ラディッツ「どうだ?」

 

悟飯「おいしい!!」パァ

 

ラディッツ「そうかそうか。それはよかった!」

 

・・・・・・・・・・・

 

ラディッツ「というわけでサイヤ人は全宇宙に旨く新鮮な野菜を届ける為に日々努力しているのだ!」

 

悟飯「すごーい!!」onラディッツの膝の上

 

ラディッツ「そうだろう! どうだ悟飯? お前も農民にならんか? お前ならばエリート農民になれるぞ?」

 

悟飯「うーん・・・でもおかあさんがえらい学者さんになれって。」

 

ラディッツ「学者だと? そんなものになってなんになる。殆どの生物は食い物が無ければ生きていけん。そして、その生きる為に必要な食い物を作る農家こそが至高の職業。対して学者というのは何も生み出さず部屋に閉じ籠ってコンピューターをいじってばかりいる連中だぞ?」

 

悟飯「そんなことないよ! 学者さんだっていろんなものを生み出してるんだよ!」

 

ラディッツ「ほう? それはいったい何だ?」

 

悟飯「おかあさんがいってた! おうちに電気があるのも病気のときに飲むお薬があるのもみんなえらい学者さんががんばって考えたからなんだって! だから僕もえらい学者さんになって皆が幸せになれるようにいろんなことを考えるの! 」

 

ラディッツ「そうか、それならばいい。母親に強要されているのであれば無理にでも止めたところだが、自分の意思でなろうというのならかまわん。だが、どうせなるなら農学者になれ。サイヤ人の血を引くお前ならば農業に革命を起こせるような技術を生み出せるはずだ。」

 

悟飯「農学者か~・・・うん、わかった! 僕、農学者になる! そしておいしいものをたくさんの人が食べられるようにする!!」グッ

 

ラディッツ「それでこそサイヤ人の血を引く者だ! そうと決まればお前の母親にも話をせんとな。農学者になるにしても実際に農業を知らんことには始まらん。今の内にいろいろ教え込まねば。」

 

悟飯「おかあさん、ゆるしてくれるかなぁ?」

 

ラディッツ「心配するな。俺も説得する。それではお前の家に案内してくれ。頼んだぞ悟飯! 」

 

悟飯「うん! おじちゃん!」

 

バシュウウウ

 

 

 

 

 

―――悟空の家―――

 

チチ「そういうことならかまわねぇべ。悟飯ちゃん、しっかり勉強してくるだよ。」

 

悟飯「うん! 分かった!」

 

ラディッツ「すまんな。突然押し掛けたあげく無理を言って。」

 

チチ「気にしねぇでけろ。悟空さのお兄さんが悟飯ちゃんの将来の為にわざわざ骨を折ってくれるつーんだから、むしろ感謝してるくらいだ。」

 

ラディッツ「任せてくれ。こいつが立派な農学者になれるよう、しっかりと教える。」

 

チチ「よろしく頼むだ。それにしても、悟空さのお兄さんがこんなに働き者だとはビックリしただ。」

 

ラディッツ「そんな風に言うということは、あいつめ、働いてないのか?」

 

チチ「んだ! 悟空さったら働かねぇで修行ばっかして、本当に困った人だべ! 」

 

ラディッツ「そうか・・・あいつめ、本当にしょうがない奴だ。だが安心しろ。少し強引ではあるが働かざるをえない状況に追い込んでおいた。これを切っ掛けにサイヤ人の本能を思い出し、働き者になることだろう。」

 

チチ「そうなら良いんだけんど・・・」

 

ラディッツ「これでダメなら惑星べジータに連絡して指導員を呼ばねばならんだろう。或いは惑星べジータに連れていくか・・・」

 

チチ「流石にそれは嫌だべ。」

 

ラディッツ「まぁ、これはもしもの時の話だ。あいつもエリートの血を引く者。必ずややり遂げるだろう!」

 

チチ「んだな! 妻であるオラが信じねぇでどうするだ! 悟空さなら大丈夫だ!」グッ

 

悟飯「うん! お父さんならできるよ!」グッ

 

ラディッツ「(ふふっ。カカロットよ。良い家族を持ったな。家族の為にも頑張るのだぞ。)」

 

 

 

 

 

―――とある台地―――

 

一週間後

 

ピピピピッ

 

ラディッツ「むっ? この反応は・・・」

 

ギュウウウウウ・・・キキッ

 

悟空「ラディッツ!」

 

ピッコロ「この前の借りを返させてもらうぞ!」

 

ラディッツ「カカロットとこの前のナメック星人か。その様子では、畑は作らなかったようだな・・・」

 

悟空「それより強くなってオメェを倒した方が早ぇかんな!」

 

ピッコロ「神の奴の力を借りるのは癪だったが、おかげで大幅にパワーアップできたぜ!」

 

ラディッツ「そうか・・・カカロットよ、何故その選択をした? 力の差は歴然。貴様らが勝つ確率は1%もないのだぞ?」

 

悟空「ゼロじゃねぇならやる価値はある! それになにより・・・」

 

ラディッツ「なにより?」

 

悟空「オラ、働きたくねぇ! ぜってぇに働きたくねぇ!!」ドーン!!

 

ラディッツ「・・・」

 

ピッコロ「・・・」

 

悟飯「・・・」

 

ヒュ~・・・

 

悟空「さぁ、勝負だラディッツ! オメェを倒して悟飯は連れて帰る!」グッ

 

ラディッツ「カカロット、貴様・・・」ギリッ

 

悟飯「待ってくださいおじさん。ここは僕に任せてください。」

 

ラディッツ「悟飯!?・・・分かった。任せたぞ。」

 

悟飯「はいっ!」

 

ザッ

 

悟飯「お父さん・・・」

 

悟空「ご、悟飯!? オメェ、なんで?」

 

悟飯「お父さん、僕は怒ってるんだよ? お父さんはいつもそうだ。修行ばっかりでお母さんを困らせてばかり。そして、僕が宇宙に連れていかれるかもしれないのにおじさんが言ったことをしないでまた修行・・・もううんざりだ。」

 

悟空「い、いや、オラはオラなりに考えてだなぁ・・・」アセアセ

 

悟飯「だから、お父さんに見せてあげるよ。僕がおじさんから教えてもらった農業の力を!」ゴッ

 

悟空「の、農業!?」

 

悟飯「行くよ! ハッ!」バッ

 

バギィィィィィィィンッ

 

悟空「重てぇ!?」ズザザザァ

 

悟飯「まだまだぁ!」シュッ

 

ドドドドドドドドッ

 

悟空「う、く、のわぁ!?」バシバシバシバシバシッ

 

悟飯「足元がお留守ですよ!」ガッ

 

悟空「んなぁ!?」ガクッ

 

悟飯「今だ! ダブルサンデー!!」ポヒュゥゥン!!

 

悟空「うわー!?」

 

ドカァァァン!!

 

ピッコロ「そんな馬鹿な!? 神の元で修行した孫が、あんな餓鬼に!?」

 

ラディッツ「見たか。これが農耕民族サイヤ人の真の力だ。サイヤ人は農業力が高まると同時に戦闘力も上昇していく。これは過酷な開拓地で生き延びるために備わった特性だ。そして、勤勉な地球人との混血である悟飯は俺の教えを受け、たった一週間で農業力を1万まで上げた。」

 

ピッコロ「なら、あいつの今の戦闘力は・・・」

 

ラディッツ「悟飯の戦闘力は2万。カカロットのおよそ10倍だ。」ドン!

 

ピッコロ「なん・だと!?」

 

ラディッツ「素晴らしい才能だろう? そら、話をしているうちに決着が着きそうだ。」

 

悟飯「ハァー!! ウィークエンド!!」ギュオオオオンッ!!!

 

悟空「かーめーはーめー波ー!!!」ズドオオオオウッ!!

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!

 

モクモクモク

 

悟飯「ハァハァ・・・お父さん・・・」

 

悟空「ヘヘっ・・・すげぇな、悟飯・・・オラの、負けだ・・・」ドサッ

 

悟飯「お父さん!?」ダッ

 

ラディッツ「安心しろ。気絶しただけだ。」

 

ピッコロ「まさかこんな事になるとは・・・」

 

ラディッツ「さて、おまえはどうするナメック星人?」

 

ピッコロ「くっ・・・。分かった。貴様に従おう。」

 

ラディッツ「賢い選択だ。」

 

・・・・・・・・・・・

 

悟空「ん・・・あれ? オラは・・・」ムクリ

 

悟飯「お父さん!」ギュッ

 

悟空「ああ、そっか。オラ、悟飯に負けたんだな・・・」

 

ラディッツ「どうだカカロットよ。貴様の息子の、そして農業の力は?」

 

悟空「ああ、ビックリした。修行してたオラよりも農業やってた悟飯の方がずっと強くなってたんだかんな・・・農業ってすげぇんだな・・・」

 

ラディッツ「ようやく分かってくれたのだな、カカロットよ。そうだ、サイヤ人にとって農業こそ至高の修練であり職業。これを極めればお前の望みも叶える事ができるだろう。」

 

悟空「ホントか?」

 

ラディッツ「ああ本当だとも。お前は俺の弟で悟飯の父親だ。忘れてしまっているだけでそのポテンシャルは計り知れん。それに開拓地では強敵と出会う事が多々あるからな。そういった奴らと闘う事もできるだろう。」

 

悟空「そっか・・・分かった! オラ、農民になっぞ!! だからオラに農業を教えてくれ! 兄ちゃん!!」

 

ラディッツ「!? ふっふっふっ・・・それでこそ我が弟だ! いいだろう! カカロット! 貴様を宇宙一の農民に育て上げてやる! 俺について来いっ!!」

 

悟空「ひゃー!! オラ、わくわくしてきたぞ! いっちょ農業やってみっかー!!」

 

 

 

―こうして悟空は無職を脱し、農民への第一歩を踏み出した。これから彼には多くの困難が待ち受けているが、それはまた別のお話―

 

 

 

悟飯「あ、ダメですよピッコロさん! ここはこうやってしっかり結ばないと支柱が倒れちゃいます。キュウリは弦が伸びて上へ上ヘと成長していきますから、支柱はしっかり立てないと!」

 

ピッコロ「そ、そうなのか、気を付ける・・・これでどうだ?」ギュッギュッ

 

悟飯「はい、大丈夫です。次はネットを張りますからそちらを持っててください。」

 

ピッコロ「何故俺がこんな事を・・・」

 

悟飯「ピッコロさん!!」

 

ピッコロ「わ、分かった! 今やる!」ダッ

 

 

 

 

 

つづく




この世界のサイヤ人は滅ぼされておらず、元気に農地開拓しています。

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