秘封倶楽部と行く恐怖の旅   作:タミ

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秘密を暴く者達、秘封倶楽部。もしもこの2人が、フリーホラーゲームの事件に巻き込まれていったら?そんなクロスオーバー二次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

シリアス ネタ 7:3
ホラー
残酷な表現
キャラが死亡
ゲームのネタバレ

以上の成分で大丈夫だ。問題ない。という方はこのままお進みください。以上の成分で大丈夫じゃない。大問題だ。という方はブラウザバックをお願いします。ゆっくり読んでいってね!



深海の世に入った蓮子、メリー、そしてイヴ。三人は奇妙な絵に驚きながら、なんとか各部屋の仕掛けを解いていく。果たして蓮子たちは、無事に美術館から脱出できるのであろうか?!


act.3 うっかりさんの物語

「………」

 

「………」

 

「………まだ?」

 

蓮子は憎々しげにそう零す。

 

ネコの道に入ってから体感で10分は歩いただろうか。

 

しかし、いくら歩いても一向に出口に辿りつけない。

 

「あ、あそこ、すこし光がさしてます!」

 

イヴが期待を込めた眼差しで蓮子たちを見つめる。

 

「「うん、わかった………」」

 

蓮子とメリーは力無くそう答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漸くネコのトンネルを抜けて、3人は一面真っ黄色な部屋に出た。

 

「なにこれ………ギロチンじゃない………物騒ねぇ。」

 

蓮子は疲弊しきっているのか、弱々しくため息を吐く、

 

「徐々に上がってきてないかしら?」

 

メリーが貼ってある絵を一瞥して、うーんと唸る。

 

「ま、さっさと行きましょ、さっさと」

 

蓮子の一声で、3人は足早に通り過ぎようとするが、

 

「!! 蓮子、危ない!!!」

 

メリーが突然蓮子の服を掴んで後ろに引く。

 

蓮子は無理矢理引っ張られ、尻餅をついてしまった。

 

「いたた………なにすんのよメリー…」

 

蓮子がそう言いかけた途端、先程まで蓮子が立っていたところに巨大なギロチンが落下してきた。

 

「ひっ?!」

 

ギロチンは轟音を立てて地面と激突する。

 

そして、床がボロボロに砕け散ってしまった。

 

「あ、危なかった………ごめんねメリー、ありがと」

 

蓮子は額を流れる冷や汗を拭う。

 

「どういたしまして。立てる?」

 

「うん」

 

メリーが差し出した手を掴んで、蓮子は立ち上がる。

 

「イヴちゃんも大丈夫だった?」

 

「は、はい。おかげさまで無事です……」

 

イヴも突然のことで大分困惑しているようだ。

 

「ふぅ。こんなデストラップが仕掛けてあるなんてね。気をつけないと……」

 

3人はゆっくり先に進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………単調すぎるわね。色の在庫無くなるんじゃない?」

 

蓮子たちを待ち構えていたのは、今度は真っ赤な部屋であった。

 

「いちいち文句言ってたらキリが無いわよ蓮子」

 

「そうだよね、行きましょう」

 

話をしながら進んでいたため、蓮子たちは前方の確認を怠っていた。

 

「いたっ!」

 

その結果、イヴが彫刻を頭をぶつけてしまった。

 

「あ、イヴちゃん!大丈夫?」

 

「は、はい。大丈夫……です」

 

イヴは頭を摩りながら立ち上がる。

 

「………ねぇ。何?この手抜き感………ゲルテナってわかんないなぁ……」

 

イヴの介抱をしていたメリーをよそに、蓮子はイヴがぶつかった彫刻を睨んでいる。

 

「………「あ」ってなによ、「あ」って。ん、なにこれ?破片?」

 

蓮子は破片と思われる物を拾い上げる。

 

「これ、カギだ……」

 

蓮子がそう呟いた途端、パリン、と何かが割れる音が響く。

 

3人が同時に視線を音のした方に移す。すると、そこには……

 

額縁から上半身だけ出た女が這ってこちらに向かって来ていた。

 

「………どう思う?」

 

「いや、蓮子、どう思うって……」

 

「き、綺麗な女の人ですね、あはは………」

 

「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

やはりと言うべきか、3人は一目散に逃げ出す。

 

「ドアっ!ドアっ!!」

 

蓮子は赤いドアを発見し、そこに3人が転がり込む……のを、ドアにかかっているカギが邪魔をした。

 

「お、お願い………このカギで合ってて……!」

 

蓮子は赤いカギを鍵穴にねじ込み、思い切り回す。

 

そして、3人はやっと部屋に転がり込めた。

 

「はぁっ……はぁっ……撒いた?」

 

蓮子は息を切らしながらメリーたちに問う。

 

「多分、大丈夫でしょ…」

 

「うう……怖い……」

 

「まぁ、取り敢えずみんな無事で良かったよ」

 

そう言って蓮子は次の部屋に続くドアを開こうとするが、またしてもカギがかかっている。

 

「このカギ………じゃ開かなさそうね」

 

蓮子の持つ赤いカギでは鍵穴に当てはまらなかった。

 

「うーん、そう簡単には行かないか。外に出るのは嫌だし、取り敢えずこの部屋を調べてみないと」

 

3人は疲れた身体に鞭を打って、部屋を調べ始める。

 

 

 

 

「あの、蓮子さん!メリーさん!絵本見つけました!」

 

「絵本ねぇ。今時珍しいね」

 

蓮子はイヴに渡された絵本を眺める。

 

「「うっかりさんとガレッド・デ・ロワ」?作者も不明、いつ書かれたかも不明……」

 

「蓮子、取り敢えず読んでみたら?」

 

「そうね。そうしよっか……

 

ある日、桃色の子は友達の水色の子の誕生日を他2人の友達と一緒に祝うため、パーティを開きました。

 

桃色の子は水色の子のためにガレッド・デ・ロワを作りました。

 

ガレッド・デ・ロワは中にコインの入ったお菓子です。

 

自分の食べたピースの中にコインが入っていたら、その人は幸せになれるといいます。

 

おもしろそうだ、とみんなで1つずつ食べることにしました。

 

そしてケーキを切り分け皆で食べると水色の子が、

 

「何か固いもの飲み込んじゃった!」

 

と言います。

 

「あはは、うっかりさんだね!」「きっとコインだ!」と友達は叫びます。

 

中に入っていたコインを飲み込んでしまうなんて、水色の子はうっかりさん。

 

桃色の子は食べ終わったケーキの皿を片づけに、台所へ行きました。

 

すると、お母さんが何かを探していました。

 

お母さんは書斎の鍵を無くしてしまったようです。

 

書斎の鍵はいつも机にあるはずなのに・・・・と、桃色の子は机の上を確認してみました。

 

すると、そこにはコインが1枚、置いてありました。

 

「あれ、コインだ………このコインたしか……パイの中に入れたハズなのに……もしかして……」

 

鍵が見つからず、お母さんは途方に暮れてしまいます。

 

「どうしましょう……お父さんに怒られちゃうわ。」

 

「どうしよう………」

 

桃色の子は焦ってしまいます。すると、皿からケーキを切り分けるための包丁が落ちました。

 

 

 

 

「私ってばうっかりしてたわ!お母さん、カギ、みつけたよ!」

 

………いやぁ……なんて言うかこう……ねぇ?」

 

絵本を読み終え、蓮子はメリーたちに視線を移す。

 

「ええ…」

 

「え?え?なんで桃色の子はカギを見つけたんですか?だってカギは……むぐ。」

 

2人を問い詰めるイヴの口を蓮子は塞ぎ、ゆっくり首を横に振る。

 

「世の中には、知らない方がいい話ってのがあるのを覚えておいた方がいいよイヴちゃん」

 

「は、はい……わかりました……?」

 

「絵本の最後のページにカギが入ってたわ。わざわざ書斎のカギって書いてね」

 

「良い趣味してるわね……」

 

メリーは大きくため息を吐いて、蓮子からカギを受け取る。

 

「さ、開けましょ」

 

躊躇うのが無駄だと判断したのか、メリーは諦めて扉を開く。

 

それに続き、蓮子、イヴも扉に入っていく。

 

再び長い通路が続いていくが、3人はもう飽きたように進んでいく。

 

その時、メリーがそういえば、と口を開く。

 

「蓮子がこういうことしてる理由って、なんでなの?100年前の事件っていっても、私にも教えてくれなかったじゃない」

 

「んー、100年前に東京であったことを知りたいの。その真実をね」

 

「それで?蓮子、100年前の事件って、具体的に何があったのよ?貴女のご先祖様なんでしょ?事件に関わったの」

 

「うん。東京が壊滅したのはその事件のせい。謎の五人組が深夜の東京上空で暴れ回り、東京は見事に木っ端微塵。復興も不可能だったもんだから、首都が京都に移されたってわけ」

 

「それで、蓮子さんのご先祖様ってどんな人だったんですか?」

 

「うーん、私のご先祖様、曾祖母の宇佐見菫子が五人組を撃退したって聞いたけど……私は面識も無いし……ってか、生まれる前に亡くなってるし、わかんないなぁ」

 

「そうなのね。じゃあ蓮子、貴女、その帽子も……」

 

「そう。ひいばあちゃんの形見。宇佐見家に受け継がれてきたみたいだけどね。不思議なもんで、これ被ってると落ち着くのよ」

 

蓮子は両手で帽子を深く被り直す。

 

「そういえば蓮子さん、その五人組をよく退治できましたね、宇佐見菫子さん」

 

「噂によると、超能力者、だったらしいよ?私のひいばあちゃん」

 

「じゃあ蓮子も超能力者なの?」

 

「メリーも知ってるでしょ、私の眼のことくらい。ってか、あんたもあるじゃん、不思議な眼」

 

蓮子はトントンと自身の右目の下を人差し指で叩く。

 

「そうだけど……できないの?スプーン曲げとか」

 

「じぇんじぇん出来ませんよーだ」

 

蓮子はベー、と舌を出す。

 

「しかも、当時は直ぐに情報が拡散する時代だったのに、その事件について何も残ってないの。1つもよ?おかしくない?これは何者かが情報を操作して隠蔽したに決まってるよ」

 

蓮子はメリーに何度も人差し指を突きつけて説明する。

 

すると、突然イヴが声を上げる。

 

「あ、あそこ、人が倒れてます!」

 

イヴが指差した方に、青い髪の男性が倒れている。

 

「ふぅ。ようやく人間に会えたわ……」

 

蓮子はほっと一息つく。

 

「うう……」

 

男性は小さく唸るだけで、動かない。

 

「あ、この人もバラを持ってる…」

 

「でも散りかけですよ?」

 

「あ、あそこ、花瓶があるよ。ちょっと待ってて」

 

蓮子は男性の薔薇を拾い上げ、花瓶がある方へ駆け出す。

 

「また花が咲いてくれるといいんだけど……」

 

蓮子が花瓶に薔薇を生けると、瞬く間に薔薇は水を吸い上げ、花をつけた。

 

「よかった!咲いた!」

 

蓮子が叫ぶと同時に、男性はうめき声をあげながら立ち上がる。

 

「あ、あら……あたしは、どうして……?」

 

「……大丈夫ですか?」

 

イヴは心配そうに男性を見つめる。

 

「そ、そうよ、薔薇を奪われて……」

 

男性は一つ一つ思い出していく。

 

「メリー、メリー」

 

蓮子は手招きでメリーを呼び寄せてヒソヒソ話をする。

 

「ねえあの人絶対こっちの人よね?!ドドスコスコスコとかどんだけー!とか言ってるよね?!」

 

「あ、あんまり言っちゃあダメよ蓮子。そういう人もいるんだから……」

 

メリーと蓮子は横目で男性を見る。

 

「助けてくれてありがとう。アタシギャリー。あなたは?」

 

「イヴです。」

 

「そ。イヴ、よろしくね。」

 

「はい!」

 

イヴはギャリーの手をとる。

 

「アレレー?イヴチャン、モウイキトウゴウシテマスヨ、メリーサーン?」

 

「ソウネレンコ。ワタシタチノメノサッカクカシラー?」

 

蓮子とメリーは半ば放心状態になりながらお互いに顔を見合わせる。

 

「それで、あなたたちは?」

 

すると突然、ギャリーから2人は声をかけられる。

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

突然のことに驚いたのか、蓮子は声が裏返ってしまう。

 

「う、宇佐見蓮子です!」

 

「ま、マエリベリー・ハーンです!」

 

蓮子とメリーは背筋をピンと張って自己紹介をした。

 

「そう。よろしくね、2人とも。アタシはギャリー。」

 

ギャリーが差し出す手を、2人はぎごちなく掴む。

 

「「はい。よろしくお願いしますギャリーさん」」

 

「よし、そうと決まればはやく奥へ行くわよ3人とも!」

 

「「お、おー………」」

 

「はい!」




いかがでしたか?act.3は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おっす!オラ蓮子……ってすみません、怒られるよね。そんなことより次回は、黄色い薔薇を持つ少女との出会い、そして、全ての真相が……!次回、
「深層」
次回もよろしくね!」

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