ヒャッハノイは癒し。
『投票1位に輝き、ストラクチャーデッキとして商品化されるテーマは【シャドール】!!』
「約束された勝利のシャドール」
「なんだそのポーズ」
「見ればわかるだろ、約束された勝利のシャドールのポーズだよ」
「知らんわそんなトンチキなポーズ」
ここはリンクヴレインズ。ヴァンガードの手によってばら撒かれた増殖するG型プログラムには、所持者同士が近付くとお知らせする謎機能が付いていた。それを目印に、一人、また一人とプログラムを持っているデュエリストが集まり――かつてヒャッハノイと呼ばれた者達はほぼ全員集まった。
ハノイの騎士が存在しない今、合法ロリなヴァンガード様はプレイメーカー達と行動を共にしている。お前ちょっとそこ代わゲフンゲフン。
再結成も何も聞いてない以上、再びハノイの騎士として活動などするはずがなく。何かイベントがあったらどんちゃん騒ぐいい感じのグループが自然発生していた。
「んあーバルバロス気になってたんだけどなぁー! ダイーザに組み込めそうなサポートありそうだと思って投票したんだけどなぁー!」
「おつです。ストラクは海皇+
いやー流石シャドール勝てなかったなー、と割り切っているデュエリストもいる中、諦めの悪い者もいる。
「霊使い……新規……」
「蟲惑魔……新規……」
どちらも人気が高いテーマだ。今回の投票では上位にランクインしていたが、シャドールには届かなかった。
一際目立つどんよりとした一角でため息と呟きの無限ループが発生している。そのどんよりっぷりといったら、キノコが栽培できそうなどんより感だ。二人に気づいたシャドール使い。彼らのそばに近寄る。慰めるのだろうか。
「ハハッ、ざまあ」
二人ははふらふらと立ち上がる――と見せかけてアッパー! 顎にクリーンヒット!
「イッテーナコンチクショー!」
「ヤンノカコラー!」
「スッゾコラー!」
「「「デュエル!!!!」」」
三人まとめてどったんばったん大騒ぎ。明らかに喧嘩売ってたあっちが悪い。でも腹が立ったからといって突然武力行使した二人も悪い。
「うわひっでぇ」
「しょうもなさすぎる……小学生の喧嘩かよ」
「シャドール絡むといつもあのテンションなんだ、察してくれ」
「あー……リアルでも知り合いなのか?」
「お疲れ様なのです。お悔やみ申し上げるのです」
「いや俺まだ死んでないからね?」
――ネフィリムを素材にネフィリム融合召喚!
――落ちろネフィリム! 罠発動!
――ネ、ネフィリムーーーーッ!!
悲痛な叫び声が響いてくる。無視。
「投票できた各テーマに新規1枚ずつ刷ってパック収録すれば良かったんじゃね?」
「それは思った」
「どんなカード入れる予定だったのか見たかったです」
「わかる」
「見たら見たで効果が思ってたのと違う! ってなってまた揉めたんじゃね? 分からないままでもいいと思うけどな」
「まさにシュレーディンガーの新規」
「……よく聞くですけど、シュレーディンガーって何なんです? 猫の名前?」
「思考実験……だった気がする。俺も上手く説明できないけど」
「何のためのネット環境だ、検索で一発だぞ」
――太陽の書! リバースせよダルク! 効果でお前のフィールドの闇属性モンスター……ミドラーシュのコントロールを得る!
――ミ、ミドラーシューーーーッ!!!!
色んなことが起きていますが、今日も(元)ヒャッハノイ達は平和です。
いろんな機能を仕込んだ増殖するG、ヴァンガードは万が一を考えてどうでも良さげなものから重要なものまで盛り込んでます。
というわけで、ヒャッハノイ達はほぼ集合済み。あとは合図があれば各自動ける状態となっています。
この世界のストラク投票は三幻魔がないです。その分の票数が他テーマ流れています。それでもシャドールには勝てなかったよ……。
いつものシャドールと満足民に加えてダイーザやバジェガエル、霊使いに蟲惑魔使いが追加されました。実は彼らはヒャッハノイの中でもけっこう強めのデュエリストだったりします。