どうも、ハノイの騎士(バイト)です。   作:ウボァー

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クリスマスが今年もやって来る。去年のせいでズァークのイメージがまだ抜けないんですけど。
スペクターさんは植物族の救世主になれるのか。それと女性型モンスターに触手とかアニメ正気か!?いつもなら男にしているじゃないか!


番外編 ハノイのクリスマス

 リンクヴレインズはクリスマス一色。あちこちイルミネーションで飾り付けられ、モンスターも期間限定でクリスマスっぽくデコレーション。サンタ帽被ったり、髭がついたり。

 

「ジングルベール、ジングルベール……」

 

 ハノイにだってクリスマスはやってきます。ヒャッハノイはリア充狩りしてますが。鼻歌歌いながらノリノリで飾り付けをしているのはスペクター様。アジトのど真ん中に馬鹿でかい木を生やし、天辺に星、オーナメントでデコレーション。

 

「うわあ」

 

 飾り付けてる木、聖天樹の幼精(サンアバロン・ドリュアス)ですがね!

 

「どうしてこうなった」

 

 聖天樹の顔部分がサンタ髭生やしてて草。いや生えてるの草じゃなくて樹ですけど。誰か止めなかったんですか。スペクター様こんなキャラじゃなかったと思うんですが。

 

「リボルバー様がクリスマスに肯定的な言葉を呟いたのを聞いていたんだ……私も流石にここまでするとは思わなかったが」

 

「あ、ファウスト様」

 

 疲れた顔のファウスト様。止めたのかな、たぶん。自分のモンスターをクリスマスツリーにしちゃうの許せるぐらい浮かれてるスペクター様。ファウスト様の説得は意味なかったようですが。

 

「リボルバー様は何と?」

 

「一年に一度の祭日、楽しむのも悪くはないな、と。リボルバー様から言ってくれればこんな事にはならなかっただろうに……」

 

 うーん、そう言った理由として一番に浮かんだのは部下の息抜き、もしくは父親にクリスマスを楽しませてあげたかったとか?

 

「……所でヴァンガード、通知音がおかしい事になっているが大丈夫か?」

 

 ……出来る事ならずっと無視していたかった。部下から送られてくるメッセージがリア充絶対殺す感マシマシでヒートアップしている。こんなことに使うために仕事用の連絡先伝えてるわけじゃないのよ。でも、サンタの赤が血の赤になってしまうのは子供の夢によろしくない。

 

「……ちょっと部下落ち着かせてきます」

 

「……お互い大変だな」

 

 こっちには気づかないまま大きい靴下を木にぶら下げて始めているスペクター様と、頭を抱えているファウスト様を見送り、クラッキング・ドラゴンに乗ってGO。クラッキングもクリスマス仕様、サンタ帽被ってます。テンションもいつもよりちょっと高め。キュウキュウ、キャウーと鳴きっぱなし。かわいい。動画撮っとこ。

 

「あれかな?」

 

 部下がいると思われる場所で大絶賛爆発炎上が起きてるんですけど。うわー、関わりたくない。

 

「なーにがカップルラブラブデュエルだ唯のタッグデュエルじゃねーかダイレクトアタック!」

 

「こちとらクリボッチだよ悪いか魔法発動!」

 

 何やってんだお前ら。リア充ぶっ殺ハノイはタッグデュエル大会に乱入、満たされぬ思いを乗せたヒャッハノイ達の心の叫びが木霊していた。

 

「こんなしょうもない事にハノイの名前使うなそこー、スペクター様がブチ切れしても私止められないからねー」

 

「はっ、ヴァンガード様!?」

 

「も、申し訳ございません……」

 

「わかったらちゃっちゃと帰る準備してねー、いや本当すみませんうちの部下が……」

 

 荒らしていた二人はログアウト。大会の運営責任者と思わしき人に謝ってさあ帰ろうとした、のだが。

 

「おーっと、なんとここでヴァンガードの登場だー! 果たしてどんなデュエルを見せてくれるのか!」

 

「……ん?」

 

 勝手に参加させられた。すごい歓迎ムードなんですけど。ねえ皆、私がハノイの騎士だってこと忘れてない? 私にタッグパートナーいないからって立候補する人いたけどお断りさせて頂きました。このデュエル大会はタッグフォースルール。このデッキ、特殊召喚の縛りが相手に迷惑しかかけないからね。

 

「「デュエル!」」

 

 流されるままにデュエル開始して手札5枚ドロー。うーん、断れない私も私か。

 

「……あ」

 

 クリフォート・ディスクとリミ解使ったワンキルでさくっと終わらせちゃいました。

 

「続いて第2回せ」

 

「この後予定あるんでそれじゃ!」

 

 相手が反応する前にクラッキング・ドラゴンを呼び出して乗る。

 

「今日はこんなのが後どのくらい続くんだろうか……」

 

 何度もこうなったら疲れる。そう言えば、さっきのデュエルではクリフォートは雪が積もった姿で召喚された。クリスマス要素もっと足してもいいのでは? これだけだとクリスマスというより冬。

 

「あ」

 

 もしかしたら、そう思って発動したのは隠されし機殻(アポクリフォート)

 

「……やっぱり」

 

 ナチュルの樹がクリスマス仕様になってた。

 

「ぎゅ!?」

 

 まあ、いきなり目の前に隠されし機殻出たらびっくりするよね。首をこっちに向けてどうすればいいのかオロオロしているクラッキング・ドラゴン。

 

「あ、ごめんね、すぐ戻すから……仕事早く終わらせよっか」

 

「ぎゅー!」

 

 癒しだ(確信)。守りたい、この笑顔。あと何人かリア充を呪っているヒャッハノイがいるから、それを落ち着かせれば今日の仕事はほとんど終わる。

 

「できる限り巻きでいくぞー、おー!」

 

「ぎゅー!!」

 

 だがしかし、まるで全然! 巻きでできなかったんだよねぇ!

 

「た、ただいま戻りましたー……」

 

 ヒャッハノイを落ち着かせるのに時間はかからなかったけど、余計な事(主にデュエル)に巻き込まれたせいで時間がかかってしまった。

 

「あら、お帰りなさい。……これ、本当にどうしようかしら」

 

「大分お疲れですね。……私達が言えたことではありませんが」

 

 二人同時にため息。バイラ様とゲノム様も疲労が隠せていない。ツリーの前には拳を天に突き上げやりきった表情のスペクター様。結局、誰も止めることが出来なかったのか……。

 

「うわー……」

 

 敬愛もここまでくると何も言えなくなる。完璧なクリスマスでリボルバー様を楽しませたいのだろうけど空回りしてませんかね。

 

「……あ、もう連絡いってると思いますけど、今日は早めに上がらせてもらいます」

 

 デュエル部の皆とクリスマス過ごす予定なんですよね。

 

「それは大丈夫よ、今日はハノイの騎士の活動を控えるようにリボルバー様から言われてるもの」

 

「プレイメーカーもリンクヴレインズに姿を現していない。万が一出て来たとしてもデュエルはしないでしょうね」

 

「戦場のメリークリスマスですか」

 

 戦争中、たった一日だけ、敵味方関係なく、その日だけはクリスマスを祝った。ハノイの騎士とか復讐とか、今日だけは関係ない。

 

「おや、知っていたのですか」

 

「このぐらいなら誰だって知ってると思いますよ? ……っと時間そろそろですね」

 

 おのれデュエル大会。断れなかった私に原因はあると思うけど。……そうだ。忘れちゃいけない、あの言葉。

 

「それでは皆さん、メリークリスマス!」

 

 二人にそう言ってから、私はログアウトした。




今日もハノイは平和です。

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