今回のデュエルは互いにアニメ寄りかな、と作者が勝手に思いながら作ったデュエルとなります。天装騎兵はアニメカードオンリーなのでプレミやルールミスがあったら作者が爆発四散します。
あとハーメルンに5D's二次創作の波がきているな……とXに創作のネタ呟いたらフォロワーに書け連載しろと言われたので5D's二次創作も書き始めました。そっちもよかったら読んでください!完結してないのに連載を増やすなと言われたら作者は爆発四散します。
神の召喚。ミラーリンクヴレインズ内の他の場所へもその力の凄まじさは伝播していた。大気が揺れ、大地が轟き、電脳世界の構造物にノイズが走る。
デュエルの進行に影響はない。だが、思わず手を止めてしまうほどのプレッシャーを決闘者達は感じていた。
「お、おわあああー!?」
「コレは……モンスターの力、なのか……!?」
それはボーマンとデュエルをするプレイメーカーらも例外ではなかった。デュエルディスクから上半身を出していたAiは、風圧で吹っ飛んでいかないように両手でデュエルディスクを必死に掴んでいる。
……ライトニングは気付いてしまった。
誰もがヴァンガードの呼び出したモンスターに驚く中、ボーマンだけが「流石、神のカードの力だ」と
「……知っていたのか? ボーマン。この未知の正体を」
ボーマンの後ろにライトニングが現れる。その顔は焦っているように見えた。
本来ならばライトニングは使い捨てたスペクターの最期を確認し、それを材料にリボルバーを叩き潰そうとしていた。その予定を変更してまでボーマンへと確認しなければならない重大な問題が明らかになったのだ。焦らないはずがない。
「元より隠し通そうとは思っていなかったのだが――肯定しよう。私は彼女の持つ知識と力は有用だと判断した。それに伴い必要となる情報については共有されている」
「また、ヴァンガードか……あいつが……またしても私の邪魔を……ッ!!」
ライトニングは溢れ出る怒りのまま頭を掻きむしる。
「ヴァンガードがボーマンと……? まさか、デミウルギアを使ったデュエルをしていたあの時にか!?」
グラドスを伴っていたあのタッグデュエルはボーマンらを倒すためではなく、交渉のためのものだった。その事実をプレイメーカー達はようやく知る。
「………………ああ、そうか。ならばリセットしなくては……」
ライトニングは手に浮かべた何かを起動させようとしている。とてつもなく嫌な気配をリンクセンスが訴える。
「それを使うのか。最終手段ではなかったのか?」
「使うしかないだろう。あの女がいる、それだけが我々の知らない破滅の世界に繋がるのだ。私がシミュレーションして見えた破滅ならば、ボーマンにより乗り越えることができる! だから、アイツはなんとしてでもここで排除しなければならない!」
そう言い切ると同時にライトニングが起動したそれは空へと打ち上がり、破裂――データストームを取り込み巨大な光球へと変貌する。表面から無数の光線が発射され、リンクヴレインズにいる人々を襲い始めている。
『な、なんだこれ――うわあぁぁあ!』
光線に触れたアバターは悲鳴をあげるも、瞬時に光の粒子に分解、光球へと吸収された。
「これがニューロンリンク――人間の意識データを使いデータストームを作り出す! ヴァンガードを排除するにはあの未知を上回る力を得ればいい、それだけのこと! 幸いにも原材料がリンクヴレインズには山ほどある!」
「やめろライトニング!」
プレイメーカーの制止の声など聞こえていないのか、ニューロンリンクのあるミラーリンクヴレインズ上空へとライトニングは向かっていく。
あの言い方ならば何百何千と人間を使いデータストームを作るつもりだろう。何としてでも止めなければならない。
何かに気付いたAiはハッとした後、ボーマンへ懇願するように叫ぶ。
「おいボーマン! お前のいう事ならライトニングも聞くかもしれないんだ! 止めてくれよ!!」
「……彼女の示した道とライトニングのシミュレーションのどちらが優れているか、コレでわかる。私も情報の共有はしたがそれを完全にモノにしたわけではないからな。AIと人間の未来を決めるにあたり、ニューロンリンクは必要な障害となるだろう」
「ふ……ふざけるんじゃねえ! 全く関係ない人間も巻き込んでおいて必要な障害はねえだろ! これはオレたちでカタをつければ済む話だ!」
「俺たち……? 今起きているのがそのような小さな単位の話ではない、とわかっていないのか? 既に人間全てが当事者なのだ」
Aiが怒鳴る。ボーマンは微動だにしない。
『聞いてくれプレイメーカー。あのニューロンリンクだが、財前主導でリンクヴレインズにいるゴーストガールとブラッドシェパード、ヴァンガードの元部下達による情報操作で突発的なイベントとして対応してもらっている……だがそれも長くは保たない。パニックが起きるだろう。根本的に解決するには光のイグニスを倒すしかない』
『なんなのですかこれは! こんな汚らしいものに人間を巻き込もうなど! クッ……処理が追いつかない!』
焦る草薙の声。対イグニスのため作られたパンドールも動いているが、解決は難しそうだ。
プレイメーカーがボーマンを倒した後にライトニングも止めて……いいや、それだと遅すぎる。
誰かが今すぐに、ライトニングを止めなければならない。
幸いにも、デッキを得た決闘者たるイグニスが一人、ここにいる。
プレイメーカーのデュエルディスクから抜け出し、彼と視線を合わせる。
「Ai……? まさかお前!」
「どうやらリボルバー先生はこっちには来れないみたいだしな。世界の救世主にちょっくらなってくるわ! ――ここは任せたぜ、プレイメーカー」
「そう、か。頼んだぞ――相棒」
相棒。その単語を聞いたAiは目を丸くする。
おう! と威勢よく返事をし、ライトニングの後を追ってAiは飛び立っていった。
高く、高く。真横に来たあたりでライトニングは動きを止めた。ちらりと下へ視線をやれば、さっきまで隣にいたプレイメーカーの姿が豆粒のように小さく見えた。
「……不愉快だ。無駄な抵抗だとわからないのか? ニューロンリンクは既に起動した。後は人間達がデータストームになるのを待つのみだ」
「無駄なんかじゃねえ。リンクヴレインズにいる人間をとっ捕まえてデータストームに変換するには、お前がどれだけすごいイグニスだろうと必ず時間がかかる。だから今ここで止める! これ以上
「もういい、これ以上の問答は不要だ。デュエルで片をつけるとしよう」
ライトニングが指を鳴らせば、目の光は失われたままの草薙仁が彼の隣へと転移。ライトニングの操り人形はデュエルディスクを構える。
Aiはカードを操る代理となる人間を呼び出さず、イグニスである自分のサイズに合ったデュエルディスクを作成、展開する。
「オレの先攻! 手札からピカリ@イグニスターを召喚するぜ!」
《ピカリ@イグニスター》
星4/攻1200
白い帽子を被った黄色いサイバースはフィールドに出ると同時、ピカ〜と気の抜けるような鳴き声をあげる。
「光属性のサイバース族モンスター、だと?」
あり得ない。イグニスは自身の属性に応じたサイバース族モンスターを使ったデッキを組むものだ。闇のイグニスがよりにもよって光のイグニスが知らない光属性モンスターを使うなど、普通なら考えられない。
「まさか、貴様!」
「そうさ、これはお前が壊したサイバース世界に残ったデータマテリアルから作ったカード。オレが新しく作ったサイバースはこれだけじゃない。――【@イグニスター】、これはイグニス皆の力があったからこそ作れたデッキだ! 召喚に成功したピカリの効果でデッキから『Ai』魔法カード、イグニスターAiランドを手札に加える。そしてそのまま発動!」
フィールド魔法が風景に反映される。そこはAiの考える楽しいが詰め込まれた、Aiの頭部を模した形の島。ジェットコースターに観覧車、大きなお城に巨大Aiちゃん像。花火も打ち上がる。
……偶然だろうか、ロボッピの扱っていた【機塊】のフィールド魔法と似た、遊園地をモチーフとしている世界だった。
「ふざけた真似を……!」
「現れろ、闇を導くサーキット! 召喚条件はレベル4以下のサイバース族モンスター1体! オレはピカリ@イグニスターをリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク1、リングリボー!」
《リングリボー》
Link1/攻300
【リンクマーカー:左下】
『グリグリングーッ!』
そのリンクモンスターはAiがとても気に入っていたリンクリボーと似ているが細部が違う。目つきが悪く、尻尾も真っ直ぐではなくギザギザ。ライトニングの覇気に負けることなく睨み返す。
「自分メインモンスターゾーンにモンスターがいないため、イグニスターAiランドの効果を発動! 手札からアチチ@イグニスターを特殊召喚! 特殊召喚に成功したアチチの効果でデッキからドシン@イグニスターを手札に加えるぜ」
《アチチ@イグニスター》
星2/守800
「このターン、オレは元々の属性が同じ『@イグニスター』をイグニスターAiランドの効果で特殊召喚できず、サイバース族しか特殊召喚できなくなる。まだまだ行くぜ! 自分フィールドに『@イグニスター』が存在するため、手札からヒヤリ@イグニスターを特殊召喚!」
《ヒヤリ@イグニスター》
星1/守400
アチチーッ! ヒヤ〜、と@イグニスターそれぞれが名前に応じた声をあげる。これでAiのフィールドにモンスターが3体並んだ。
「もう一度現れろ、闇を導くサーキット! 召喚条件はカード名が異なるモンスター3体! オレはリングリボー、アチチ、ヒヤリの3体をリンクマーカーにセット! ――暗影開闢! 世界に散らばりし闇夜の英知! 我が手に集い覇気覚醒の力となれ! リンク召喚! 現れろ、リンク3! ダークナイト@イグニスター!」
《ダークナイト@イグニスター》
Link3/攻2300
【リンクマーカー:左下/下/右下】
それはAiが最初に作った@イグニスター。プレイメーカーの使うデコード・トーカーと共通点が多い闇属性の騎士。
大きく違うのはリンクマーカーが自身のフィールドのみを向いている点と、墓地の仲間を呼び戻すことに特化した効果か。
「自分メインモンスターゾーンにモンスターがいないため、再びイグニスターAiランドの効果を発動! 手札からドシン@イグニスターを特殊召喚!」
《ドシン@イグニスター》
星1/守800
「成る程。その不快なフィールド魔法で同じ属性を特殊召喚不可という制限があるのは、その効果に発動回数の制限がないためか」
先ほど特殊召喚されたアチチは炎属性で、今特殊召喚したドシンは地属性。イグニスと同じ6ある属性を全て投入したデッキならば、その属性の多さを補佐するカードを作るのは必然。
「理解がお早いこって……ダークナイト@イグニスターのリンク先にモンスターが特殊召喚されたことで効果発動! 墓地からレベル4以下の『@イグニスター』モンスターを可能な限りこのカードのリンク先となる自分フィールドへ効果を無効にして特殊召喚する! 蘇れ! アチチ、ヒヤリ!」
リンク素材となったモンスターのうち2体がまたフィールドに並び、ダークナイト@イグニスターのリンク先が全て埋まった。Aiは迷うことなく更なるリンク召喚を行う。
「三度現れろ、闇を導くサーキット! 召喚条件はサイバース族モンスター2体以上! オレはドシン、アチチ、ヒヤリの3体をリンクマーカーにセット! ――気炎万丈! 炎の大河から蘇りし魂、灼熱となりてここに燃え上がれ! リンク召喚! 現れろ、リンク3! ファイアフェニックス@イグニスター!」
《ファイアフェニックス@イグニスター》
Link3/攻2300
【リンクマーカー:左/右/下】
翼と脚から炎を放出し、不死鳥が騎士のリンク先へと舞い降りた。赤い鎧を纏うその姿は、不霊夢とソウルバーナーが使う
「魔法カード、Aiマインを発動! 自分フィールドのリンク3以上の『@イグニスター』モンスターの種類の数だけ、自分のデッキからカードをドローする。オレのフィールドにはリンク3のダークナイトとファイアフェニックスの2体がいる。よって2枚ドロー! これでオレはターンエンドだ」
手札を3枚に増やし、ターンエンドを宣言する。
「私のターン、ドロー。魔法カード、アカシックレコードを発動してカードを2枚ドローする。また、この効果でドローしたカードが今までプレイしたカードと同じ場合はドローしたカードを除外する。被りはない」
ライトニングの指示に従い、仁はデッキからドローしたカードをそのままサッ、とこちらに一瞬見せる。魔法カードを示す緑はどこにもない。
「お前はまだそのカードしか使ってないから、実質強欲な壺とおんなじってワケか」
アカシックレコード。それは全ての事象が記録されているという世界記憶。ファンタジーやらSFやらで聞くことのある名前だ。
「にしても結局オカルト肯定してるじゃねえか」
「有用な効果ならいかなる名前であろうと決闘者は使うだろう。合理的に考えろ」
「…………」
正論を言われたので何も言い返せず口をつぐむAi。
Aiのフィールドにいる2体のリンクモンスターの属性は闇と炎。人間と共に歩もうとするAiと不霊夢の力から産まれたものが敵対する……ライトニングにとっては不快な盤面だ。
「下らない……そのようなもので我らイグニスの頂点に立ったつもりか? 私よりも優れていると、そう証明したいのか?」
「違う、そうじゃない! 俺はただ、皆の力を合わせれば――」
「黙れ! その顔も、声も、プログラムコードの一欠片も見たくない! 魔法カード、ライトニング・ストームを発動! お前のモンスターを全て破壊する!」
ライトニングの使用したカードによりフィールドに雷風が吹き荒れる。雷に撃たれ、Aiのリンクモンスター達は破壊される。
「ああっ! ダークナイトとファイアフェニックスが!」
「これで目障りなモンスターはいなくなったな。
《
星2/攻0
長剣を手にした戦士の石像。その体から光のオーラが溢れ、デッキからライトニングの操るカード達の展開に欠かせないフィールド魔法を呼び寄せる。
「フィールド魔法
フィールド魔法が新たに風景へ反映される。イグニスターAiランドはAiのフィールドのみに影響するようにくっきりと境界線が敷かれ、ライトニングの方へ古代ローマの闘士達が戦いを見せ物としていたコロッセオが建造される。
「いでよ、光を導くサーキット! 召喚条件はレベル4以下の『アルマートス・レギオー』モンスター1体! 私は
《
Link1/攻1000
【リンクマーカー:下】
デクリオ――それは古代ローマ軍における下級士官であり、十人隊長を意味する。隊長でありながら彼のリンクマーカーへと付き従う兵士はいないが、それはこれから招集される。
「手札から
《
星2/守800
「ぐぬぬ……」
ライトニングのデッキが回り始めたというのに、Aiは見ているだけで止めようとしない……いや、できないのだ。
「妨害は……手札誘発も無しか。では遠慮なく行かせてもらおう」
――スペクターとの戦いで先攻からエクストラリンクを決めた展開をなぞる。リンクモンスターが絡んでいる以上、エクストラモンスターゾーンは封じておくに越したことはない。
連続したリンク召喚と何度も発動するフィールド魔法の効果。さらにピルス・プリオルの効果により、次のライトニングのターンで3枚の手札増強をおまけのように足され……完成した盤面を見てAiは驚愕する。
「マジかよ、エクストラリンクってソレもありなのかよ……!」
「素晴らしいだろう? これこそ私が作り出した
①
②
③
④
❶
――リンク魔法を絡めたエクストラリンク。全てのカードが相互リンク状態という一切の無駄がない盤面。低リンク数モンスターが多く攻撃力に難がある点はリンク魔法とモンスター効果でカバーが可能。
「プリミ・オルディネスの効果により、戦闘ダメージは自分フィールドの相互リンク状態のカードの数×1000ダウンする。さあ、くだらない絆とやらでこれが突破できるか? カードを1枚セットしてターンエンドだ」
皆の力の結晶を見下している、その事実に憤慨するAiはライトニングへ言い返しながらデュエルを続行する。
「絆はくだらなくなんかねえ! オレのターン、ドロー! ……へへ、流石にこれは予想できなかっただろ! スタンバイフェイズにライトニングストームで破壊されたファイアフェニックスの効果が発動! 蘇れ、ファイアフェニックス@イグニスター!」
《ファイアフェニックス@イグニスター》
Link3/攻2300
【リンクマーカー:左/右/下】
不屈の魂ここに在り、と墓地より不死鳥が飛翔。フィールドへと帰還する。
「クッ……」
エクストラリンクが封じるのはエクストラモンスターゾーンへの特殊召喚。ファイアフェニックスのリンクマーカーは横にも向いているため、メインモンスターゾーンでのAiのリンク召喚を許してしまう。
「手札からキ-Ai-とAiドリング・ボーンを発動! 墓地のヒヤリとドシンを特殊召喚するぜ!」
《ヒヤリ@イグニスター》
星1/守400
《ドシン@イグニスター》
星1/守800
「それじゃお次はアクアとアースの番だ! ヒヤリの効果でフィールドのファイアフェニックスをリリース! デッキからレベル5以上のモンスター――儀式モンスターのウォーターリヴァイアサン@イグニスターを手札に加え、また、ヒヤリのレベルは1から4に変化。さらにリンクモンスターをリリースしたことでデッキからAiの儀式を手札に加える!」
「リンクモンスターをリリースするだと……それに儀式……!? まさか、リンク召喚だけでなく他の召喚方法も使うというのか!?」
「プレイメーカーはあれからリンク召喚だけじゃないデッキになってきてるんだ、相棒のオレもリンク以外を使うのは当然だろーが! ドシンの効果発動! 墓地のダークナイト@イグニスターをエクストラデッキに戻し、デッキからAiラブ融合を手札に加え――そのまま発動! ドシンと相手エクストラモンスターゾーンにいるデクリオンを融合素材にする!」
「何だと!?」
互いのモンスターが融合召喚の渦に飲み込まれる。
「謳え大地よ! 破滅の巨人の誕生を祝福せよ! 融合召喚! アースゴーレム@イグニスター!」
《アースゴーレム@イグニスター》
星7/攻2300
アクアとアースが使うクリスタルハート、その意匠を持つ岩石の巨人。己を構成する地属性のデータマテリアルが騒ぐのか、オオオオオ! と光のイグニスに向け戦意を込め咆哮する。
「相手モンスターを使用した融合……! よくも我がエクストラリンクを!」
「へへっ、不霊夢の野郎だってやってたことだぜ? 一度見りゃオレだって真似出来るんだよ!」
特殊召喚の素材に使う、というデュエルモンスターズで上位に位置する除去によりライトニングのエクストラリンクは崩れた。
「儀式魔法、Aiの儀式発動! この儀式魔法は自分フィールドに『@イグニスター』モンスターが存在する場合、自分の墓地の『@イグニスター』モンスターもリリースの代わりに除外する事ができる! オレはフィールドにいるレベル4になったヒヤリと、墓地にいるレベル2のアチチとレベル1のドシンを除外! ――降臨せよ、
《ウォーターリヴァイアサン@イグニスター》
星7/攻2300
儀式召喚のレベルを示す7つの炎が一つに纏まり、中心から魚のようなヒレを持つ、荒々しくも美しい竜が姿を現す。
「ウォーターリヴァイアサン@イグニスターの儀式召喚に成功したことで効果発動! 相手フィールドの攻撃力2300以下のモンスターを全て持ち主の手札に戻す!」
構成する水のデータマテリアルから水を、波を、渦を作り出す。ライトニングのフィールドにいるモンスターを全て洗い流すべく竜は動き――。
「させん! カウンター罠、星遺物に響く残叫を発動! その効果の発動を無効にし、破壊する!」
ライトニングのカードによりその動きは止められる。キュオオオオ、と苦しそうな悲鳴をあげて水竜は墓地に沈んでいった。
「アクア! すまねえ、アース……。バトルだ! アースゴーレムでプリミ・オルディネスに攻撃! ロック・ボム!」
Aiの思いを感じ取っているのか、アースゴーレムは敵討ちとばかりに勢いよく殴りかかる。
「
「エクストラデッキデッキから特殊召喚されたモンスターをアースゴーレムが攻撃するダメージステップの間、このカードの攻撃力は元々の攻撃力分アップする! そっちが3600ならこっちは4600だ!」
「クッ……プリミ・オルディネスの戦闘破壊が確定したことで永続効果は無効化され、1000のダメージが発生する……!」
愛持つ巨人の拳が光の戦士を貫く。破壊により生じた爆風が仁の衣服を風で揺らす。
ライトニング
LP 4000→3000
「オレはカードを1枚セットしてターンエンド! どーだ見たかライトニング! これが絆の力だ!」
「フン……エクストラリンクが崩された程度、問題のうちには入らない……!」
冷静になろうとしているが、言葉からは怒りが滲み出ている。
イグニス同士のデュエルは未だ始まったばかり。誰もその行く末をシミュレーションすることはできなかった。
繋がりを力に変える者と、繋がりを否定する者。
リーダーと落ちこぼれ。優秀と劣等。
交わらない道の果てに戦う二人が
ただ一つ、共通していたのは。