ヴァンガード LP 50 手札1
モンスター
クリフォート・エイリアス レベル8 ATK2800→3200
クリフォート・シェル レベル8 ATK2800→3200
オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン レベル5 DEF2400
魔法・罠
魂のペンデュラム(カウンター 2つ)
パワー・フレーム(
オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン(ペンデュラムスケール8)
フィールド魔法
天空の虹彩
スペクター LP 6700 手札3→4
モンスター
魔法・罠
「私のターン、ドロー。……一時休戦によりこのターンダメージを与えられないのならば、それ以外で追い詰めるまでです。永続魔法
《
星1/守600
幾度となく繰り返された種子の蘇生、それに合わせてスペクターはさらにカードを発動させる。
「相手フィールドに表側表示モンスターが存在し、自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスター1体のみが特殊召喚されたことで地獄の暴走召喚は発動できる! この効果により私は
《
星1/攻0
《
星1/攻0
地面を突き破るようにして種子がフィールドに現れ、3体の
「地獄の暴走召喚は相手も自身のフィールドにいるモンスターと同名モンスターを特殊召喚することができます。さあ、何を選びますか?」
「私はクリフォート・シェルをデッキから1体、攻撃表示で特殊召喚する。特殊召喚のため自身の効果によりレベルと攻撃力は下がるが、魂のペンデュラムの効果を受けて攻撃力は600アップし2400に。また、ペンデュラムカードが増えたことで
《クリフォート・シェル》
星4/攻2400
《
攻3200→3300
「現れよ、私たちの道を照らす未来回路! 召喚条件は植物族通常モンスター1体! 私は
《
Link1/攻600
【リンクマーカー:上】
「特殊召喚に成功した
花の精が両手をかざす。聖なる天樹より得た力が光となり、スペクターへと降り注ぐ。
スペクター
LP 6700→7600
「墓地の
《
Link2/攻0
【リンクマーカー:左下/右下】
リンク1が墓地のカードによりリンク2へ変換される。
「現れよ、私たちの道を照らす未来回路! アローヘッド確認! 召喚条件は植物族モンスター2体以上! 私はリンク2の
《廻生のベンガランゼス》
Link4/攻2500
【リンクマーカー:上/左/右/下】
「戻ってきたか……!」
メインモンスターゾーンにいた全てのモンスターを素材に、クリフォート・エイリアスの効果でエクストラデッキに戻していたリンク4が再びリンク召喚される。
「墓地の
「なッ――
薔薇の花を模した黒い印が魔法使いの頬に浮かぶ。ふらふらと引き寄せられるようにスペクターのフィールドへ移った魔法使いはその体を反転し、こちらへ向けて武器を構えた。
エクストラモンスターゾーンにいたモンスターがコントロールを奪われた場合、相手のメインモンスターゾーンへと移動する。ヴァンガードのエクストラモンスターゾーンが開いたことで、スペクターの手でエクストラリンクが可能となった。
「早速有効活用させてもらいましょうか。現れよ、私たちの道を照らす未来回路! アローヘッド確認! 召喚条件はリンクモンスター2体以上! 私は貴方から頂いたリンク3の
リンク1、2、3――どれも青々とした葉を茂らせていた聖天樹。リンク4となり、さらに枝を伸ばし成長。葉は花へと変貌する。
《
Link4/攻0
【リンクマーカー:上/左下/下/右下】
「リンク召喚に成功した
「チェーンしてオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンの効果を
リンク4の聖天樹は回復する効果を持たない。代わりに自身のリンク先にいるリンクモンスターをリリースし、リンクマーカーの数に応じて複数のカードを選んで破壊できる効果を持つ。
ヴァンガードが発動しているフィールド魔法、天空の虹彩にはペンデュラムゾーンにある『オッドアイズ』が相手の効果対象にならなくなる効果がある。が、対象を取らない
「おやおや、効果を無効にされてしまいました。これは少々困りますね……。魔法カード、トライワイトゾーンを発動。墓地の通常モンスター、
「1枚で3体特殊召喚しておいて困ってる訳ないでしょうが」
わざとらし過ぎる演技にヴァンガードは眉を顰める。スペクターの特殊召喚は止まらない。再び種子を揃え、リンク召喚の準備を整える。
「
モンスター効果によるリソース回復。リンク4の廻生のベンガランゼスをリリースするという勿体無いと思える動きだが、ベンガランゼスは墓地からの特殊召喚が可能なため問題はない。
「リンク2の
《
Link3/攻0
【リンクマーカー:上/左/右】
《
星1/守600
「墓地のリンク2モンスター、
「……随分早いお帰りですこと」
またフィールドに帰還するリンク4。この効果で墓地から蘇ったベンガランゼスはフィールドから離れた場合除外されるので、何かしらで一度除去すればその顔をもう見ることはないのが救いか。
「
《
Link1/攻0
【リンクマーカー:下】
二つのエクストラモンスターゾーンが、相互リンクにより繋がった。
❶
❷
❸
❹廻生のベンガランゼス
❺
「エクストラリンク……!」
だが、こちらに向いているリンクマーカーが一つある。このままの状態でヴァンガードのターンが来たならば、エクストラデッキにいるペンデュラムモンスターのペンデュラム召喚ができる。
……でも、スペクターがそれを見逃してくれるとは思えない。
「
《
星2/守800
《
星1/守600
スペクターが使用可能なモンスターゾーンが全て埋まる。手札は1枚、どう動くのかをヴァンガードは注視する。
「手札にこのカードしかないため、魔法カード、オーロラ・ドローを発動。効果でデッキからカードを2枚ドロー……良い引きですね。リンクモンスター以外の自分のモンスターがリンクモンスターとリンク状態になっているためクロス・リンケージ・ハックを発動。デッキから2枚ドローします」
スペクターの手札は1枚から3枚へ。まだドロー系のカードがあったか、とヴァンガードは気を引き締める。
「
《
Link1/攻800→4000
【リンクマーカー:下】
そのリンク1は
「
精霊の力により高まる剣気。ヴァンガードのフィールドにいるモンスターも4体であり、攻撃力・守備力共に4000へ届いているものはいないため、戦闘破壊されてしまうだろう。
「せっかくのエクストラリンクですが、こちらの方が今の貴方に対しては効果的ですね――
《
Link3/攻0
【リンクマーカー:左下/下/右下】
「……っ! 一番されたくないことをしてくるよね本当にね!!」
エクストラモンスターゾーンにいた2体を含めたリンク召喚により、エクストラリンクは崩れた。……エクストラリンクの美しさよりも優先するべきは勝利だと分かっているからこその一手だ。
リンク4の聖天樹は回復効果を持たない。
ヴァンガードのフィールドには4体のペンデュラムモンスター。前のターンに発動した一時休戦によりダメージは受けないが、効果で4回攻撃を可能とする
「さあ、バトルと行きましょうか! ベンガランゼスでオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンに攻撃!」
ベンガランゼスの腕に胴を貫かれ、竜は悲鳴と共に破壊される。その悲鳴に呼応するかのように、ペンデュラムスケールのオッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴンの水晶が輝きだす。
「オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンが戦闘破壊されたことでアークペンデュラムのペンデュラム効果を発動! デッキからオッドアイズ・ウィザード・ドラゴンを特殊召喚!」
《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》
星7/攻2500
黒の装甲を纏い、両手にペンデュラムカラーの魔法陣を携えた竜が水晶の輝きに導かれ、フィールドに降り立つ。
「攻撃力が足りない上にペンデュラムではないモンスターを特殊召喚するとは愚かな!
攻撃力が足りていない。そんなことは分かった上でヴァンガードは特殊召喚した。
「モンスターを戦闘破壊し墓地へ送ったことで
「相手によって破壊されたオッドアイズ・ウィザード・ドラゴンの効果発動! デッキからオッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴンを特殊召喚し、その後、デッキから螺旋のストライクバーストを手札に!」
ヴァンガードの本命はこちらの効果。手札を増やし、次のターンへ繋げるためにこそ戦闘破壊を狙えるオッドアイズ・ウィザード・ドラゴンを特殊召喚したのだ。
聖天樹から伸びる蔦によって墓地から引き上げられる途中、美しき二色の眼は最期の抵抗としてヴァンガードのデッキから1枚のカードを託し、後を引き継ぐモンスターを特殊召喚する。
《オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン》
星7/攻2700→3300
「オッドアイズ・ウィザード・ドラゴンは地獄の暴走召喚で特殊召喚されたクリフォート・シェルへ、
蔦に操られ無理やりに突撃させられるオッドアイズ・ウィザード・ドラゴンがクリフォート・シェルを討ち取る。
残るクリフォート2体とアークペンデュラムは剣士を近寄らせまいと砲撃とブレスで応戦するも、剣士はその全てを回避して懐に潜り込んだ。剣を振るい、3体のモンスターを両断する。
「オッドアイズ・ウィザード・ドラゴンを墓地に送り
《
Link1/攻800→3200
【リンクマーカー:下】
❶
❷
❸
❹
❺廻生のベンガランゼス
❻
――再び、エクストラリンクが完成する。
「カードを2枚セットしてターンエンド。完成されたエクストラリンクはペンデュラムを使う貴方には崩せるはずがない。ライトニング様に歯向かった罪を悔い改めて……いや、その価値すらない。無様に負けなさい」
スペクターが自信満々に言い放つのも無理はない。
ヴァンガードのフィールドにいたモンスターは全滅。何かしらの妨害手段がないまま効果モンスターを出せば敗北。残り50のライフポイント程度、簡単に削り取れる。
「まだデュエルが終わった、と決まってもないのにその発言をするのはどうかと思うけどね」
どれほど絶対絶命の状況であろうと、カード1枚でひっくり返る可能性があるのがデュエルだ。
ヴァンガードは迷うことなく、デッキからカードを引いた。
「私のターン、ドロー! スタンバイフェイズに異次元からの宝札が手札に戻り、互いに2枚ドローする!」
――ベンガランゼスがいるが、効果モンスターを使わずにこの状況を突破するのは難しい。ベンガランゼスが効果を使ったら何かで無効にするか、あるいは通常モンスターを超強化して攻撃をしてくるか。
聖天樹がある今、ヴァンガードが勝つには一撃でライフポイントを削る攻撃をするか、回復をバーンにできる
フィールドに出したモンスターの効果を使うならばセットしてある
また、墓地に
――負ける要素は無い。スペクターは確信する。
「螺旋のストライクバースト、発動!
「無駄なことを!
「ライフを半分支払い、手札からカウンター罠レッド・リブートを発動ッ! ポリノシスの発動を無効にし、そのカードをそのままセットする! このカードの発動後、相手は罠カードを発動できない!」
「なっ…………!?」
レッド・リブート――リボルバーが使用したこともある、手札から発動が可能な罠カード。それにより、螺旋のストライクバーストの破壊効果は通った。
スペクターの残るセットカードも罠カード。ヴァンガードの一手で妨害の一部が停止する。
ヴァンガード
LP 50→25
「ぐっ……ですが、植物族モンスターがリリースされたので墓地の六花精エリカの効果が発動。守備表示で特殊召喚します」
《六花精エリカ》
星6/守1000
スペクターのフィールドにはモンスターが6体。万が一、聖天樹達を突破された場合の壁を用意する。
先程までの強気な態度はみるみるうちに変わっていく。……男の中で、何かが揺らぎ始めている。
「私のターンのメインフェイズに相手がモンスター効果を発動したので魔法カード、三戦の才を使用! デッキから2枚ドローする効果を選択して発動し――スケールにオッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴンをセッティング! ファンタズマのペンデュラム効果で手札の異次元の宝札を捨て、エクストラデッキに表側表示で存在するオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンを手札に加える」
スペクターの動揺などつゆ知らず、ヴァンガードはこのターン手札に戻ってきた異次元の宝札をコストにし、このターンで勝つために必要なカードを回収する。
「天空の虹彩の効果! ペンデュラムゾーンのオッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴンを破壊し、手札にオッドアイズ・アドバンス・ドラゴンを加える。そして『オッドアイズ』が破壊されたことでアークペンデュラムのペンデュラム効果発動! 墓地からオッドアイズ・ウィザード・ドラゴンを特殊召喚!」
ヴァンガードが呼び出したのは効果モンスター。ベンガランゼスの効果を使えばダメージを受けて手札に戻すことができるが、もう彼のフィールドに
……ヴァンガードは何かをしようとしている。ただ、それを止めるには何から切り崩すべきなのか、それが分からない。
頭が回らない。手が鈍る。
どうしてなのだろう。ライトニング様――ではなく、このデュエル映像を見ている先に居る、あの男。ハノイの騎士のリーダーのことが、どうしても気になってしまう。
「レベル7のオッドアイズ・ウィザード・ドラゴンをリリースし――オッドアイズ・アドバンス・ドラゴンをアドバンス召喚!」
それはオッドアイズ・ドラゴンの一つの可能性として存在する、ペンデュラムではなくアドバンス召喚の名を冠するドラゴン。
発達した二脚で大地を駆けるのではなく、新たに得た翼で空を舞うことを選んだ竜は、地に生える植物らを見下ろし咆哮する。
《オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン》
星8/攻3000
「レベル8のモンスターを1体のリリースで召喚した!?」
「オッドアイズ・アドバンス・ドラゴンはレベル5以上のモンスター1体をリリースすることでアドバンス召喚が可能なモンスター。――この程度で驚くほど本当のスペクター様は弱くなかった! アドバンス召喚に成功したことで効果発動!
「破壊効果持ち……! 墓地の
オッドアイズ・アドバンス・ドラゴンが樹を焼き尽くさんと放ったブレスは、大樹を覆うようにして現れた薄桃色の障壁に防がれる。
「よし、1枚消費させた……埋葬呪文の宝札を発動。墓地の魔法カード3枚を除外してデッキから2枚ドロー。手札のオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンをペンデュラムスケールにセッティング! これにより、レベル2から7までのモンスターが同時にペンデュラム召喚が可能となる! ――振動せよ、我が魂。起動せよ、我がしもべ達! ペンデュラム召喚! 手札からエキセントリック・デーモン、クリフォート・アーカイブ、聖鳥クレインをペンデュラム召喚!」
《エキセントリック・デーモン》
星3/守1000
《クリフォート・アーカイブ》
星6→4/守1000
《聖鳥クレイン》
星4/守400
悪魔に機械に鳥、統一性が無いモンスターを一気に特殊召喚する。
「特殊召喚に成功した聖鳥クレインの効果で1枚ドロー。ペンデュラムモンスターがペンデュラム召喚されたことで魂のペンデュラムにカウンターを1つ置く。それじゃあもう一度挑戦してみようか――エキセントリック・デーモンをリリースして効果発動!
「ぐうっ……
キャハハと悪魔が大きく口を広げて笑う。フィールドから消え、表側でエクストラデッキに加わった後に禍々しい魔力球を放つも、再び現れたバリアによって防がれた。
……が、これでスペクターの墓地から
「真実の名を発動。自分のデッキの一番上のカードをめくり、宣言したカードだった場合、そのカードを手札に加える。さらに、デッキから
「…………神属性、だと……?」
デュエルモンスターズに存在する属性は6つだけのはずだ。神、そんなものは聞いたことがない。
本当に神が現れるとすれば、その効果は絶大だろう。エクストラリンクさえ、容易く覆されるやも……。
「いや、デッキトップを操作するような効果は発動していない。外れる可能性の方が大きいはず……!」
スペクターは運任せの効果が成功するはずがない、と否定する。
「それはどうかな? 私は――超電導波サンダーフォースを宣言。デッキよ、秘めたるその名を示せ!」
笑みを浮かべて返答するヴァンガード。彼女は既にデッキから溢れる雷を、神の力の一端を感じ取っている。
デッキの一番上にあるカード1枚程度、外すはずがなかった。
真実の名の効果処理により、デッキトップのカードが自動的に開示される。カードのフレームは緑色。そして名前は、
「一番上にあるカードは超電導波サンダーフォース! 故に、神を我が手に加える!」
デッキが閃光を放ち、ヴァンガードの手へ雷が落ちる。その正体は二つの口を持つ赤い竜のイラストが描かれた1枚のカード。
「なんだ……この力は……!?」
手札に加わっただけ。それだけで、電脳世界に暗雲が垂れ込み大地が揺れる。
『ザザ――ヴァンガード、一体な――こっちにも黒い雲――出――!』
草薙からノイズ混じりの通信が入る。どうやら現実世界にも影響が出ているようだ。
「まさかここまでとはね。張り切りすぎじゃないかな」
歴史上、名のある神が顕現したことが無い世界。神を受け入れるための土台が不安定である、ということか。
余計な影響を与える前にデュエルを終わらせなければならない。すでに使用した通常召喚権を補うためのカードを発動させる。
「速攻魔法、神速召喚! この効果により、3体のモンスターを生贄に捧げる――!」
ヴァンガードが発動した魔法カードにより、3体のモンスターは消えて竜の形をした稲妻となり、神殿の天井を貫き、破壊。
何故か二人の決闘者を避けるようにして瓦礫が落ちる中、渦を描くようにして雷竜は暗雲立ち込める空へと昇る。
「時を超え、次元を超えなお語り継がれる神よ! 我は失われし
無数の雷鳴。それは遊戯の王が忘れられていないと世界に宣言したことによる歓喜か、本来ならばいないはずの真なる神を十全に扱う決闘者へ対する恐怖か。
神を迎え入れる道を作るように雷が落ちる。
「――今こそ招来せよ! オシリスの天空竜!!」
暗雲を引き裂き天より降り立つは、デュエルフィールドである神殿内に入りきらぬほど長大な身体を持つ赤きドラゴン。
閉じられた二つの口のうち、下側が開き雄叫びを上げる。黄金色の目は相手を見据える。
《オシリスの天空竜》
星10/攻X000→1000
「オシリスの天空竜の攻撃力は手札に依存する。今、私の手札は1枚。よって攻撃力は1000となる」
「……ハ、ハハハ! 3体リリースしてたった攻撃力1000のモンスターとは、神とはどうやら名ばかりだったようですね!」
攻撃力の高い低いだけで判断する。それは実力のある決闘者としてはとても危険な兆候だ。それに自身が気づいていない、という状況にヴァンガードは顔を少し歪めたが、男は気付くことはなかった。
「……神の生贄となったクリフォート・アーカイブの効果!
「手札より
《
星1/守0
祈りを捧げるように手を組み現れた幼い精霊が、母なる木を守る。
――モンスターが、特殊召喚された。
「この瞬間、オシリスの特殊能力が発動する! 召雷弾!」
「召喚反応型の効果!? まずい――」
上の口が開き、神の目の前に現れた不敬なるモンスターへと雷撃を放つ。どうしてか破壊はされていないが、その体は一部焼け焦げて痛々しいものになってしまった。
「オシリスは相手フィールドにモンスターを召喚した瞬間、その表示形式に応じて2000ポイントのダメージを与え、0になったモンスターを破壊する。元々が0のモンスターは破壊することができないけど、紛れもなく神の力だ。これを受けても神を名ばかりと呼べるなら大したものだけど……どうやら違うみたいだね」
オシリスの召雷弾の余波により起きた風でスペクターの髪は乱れ、服も砂埃で汚れ……その顔には、神への恐れが滲んでいた。
「そうだ、ベンガランゼスの効果! 攻撃力分のダメージを受け、手札に戻す! これで!」
スペクター
LP 7600→6600
ベンガランゼスが木々を束ねた巨大な投げ槍を投擲するも、オシリスは動じない。当たるが……何も起きない。鬱陶しそうに神は唸る。
「……なっ、何故!?」
「低級モンスターの効果は神には通用しない」
「リンク4が……低級……!? っ
リンク4とは、リンクモンスター全盛の今ではまさしくエースとなる強力な効果を持つカードだ。
それを迷いなく低級と言い捨て、実際に通用していないのを見てしまった。聖天樹の効果によりライフポイントを7600に戻したが、余裕などどこにもない。
残る1枚の手札をヴァンガードは使用する。
「手札より速攻魔法、超電導波サンダーフォース発動! スペクターのモンスターをすべて破壊する! オシリスよ、薙ぎ払え!」
オシリスの攻撃名と同じ名前のカード。オシリスがいなければ発動できないが、そのぶん効果は強烈無比。
神は下の口を開き、スペクターのフィールドにいる7体のモンスターへ雷霆を浴びせる。
「この効果で破壊され、墓地に送られたモンスターの数だけ私はドローできる。墓地から自身の効果で特殊召喚されたベンガランゼスとエリカはフィールドから離れた時除外されるため、合計5枚をドロー。また、このターン私はモンスター1体でしか攻撃できなくなる」
《オシリスの天空竜》
攻1000→5000
1体のみ。デメリットのように言われようと、ヴァンガードのフィールドにはオシリスの天空竜しかいないのだから、その程度は問題にならない。
「ペンデュラムゾーンのペルソナとアークペンデュラムを破壊し、オシリスを対象に魔法カードペンデュラム・ブーストを発動。対象の攻撃力はこの効果で破壊したモンスターのレベルの合計×100ポイントアップし、1度のバトルフェイズにこの効果で破壊したカードの枚数分まで攻撃できる――ペルソナとアークペンデュラムのレベルの合計は12。よってオシリスの攻撃力は1200アップし、2回攻撃が可能となる!」
手札が減ったことでオシリスが弱体化するが、それを補って余りあるサポートが発動された。
《オシリスの天空竜》
攻4000→5200
「神は魔法の効果を1ターンしか受けられない。決めさせてもらうよ」
残り7600、ヴァンガードは削り切る準備が整った。
スペクターの手札には相手の直接攻撃宣言時に特殊召喚できる
もし特殊召喚を介さない別のカードで攻撃を防げたとしても、オシリスの前にはどのようなモンスターも破壊されてしまう。……それ以前に、スペクターはエクストラデッキをほぼ全て使い切った。
もう、戦うことはできない。
「オシリスでダイレクトアタック! 超電導波サンダーフォース、第一打!」
「ぐっ、ああああぁぁあああ――!!」
スペクター
LP 7600→2400
神の攻撃により、スペクターは地面に膝をつく。
「これでトドメだ! 超電導波サンダーフォース、第二打――!」
見上げる。その先にあるのは、ヴァンガードでも神でもなく。
あの映像の向こう側にいる、自分を救ってくれた大切な人。
「………………誠に申し訳ありません、リボルバー様――」
スペクター
LP 2400→0
神の攻撃による衝撃と熱は、男の頬に流れた涙を跡すら残さず蒸発させるには十分すぎた。
「……しまった、なあ」
デュエルを終え、使用したカード達が元に戻り残るのは静かな神殿だけ。
頭がくらくらする。まともに立っていられない。神を使った反動だ。
神の召喚には
彼女は原作知識により王の名を知っているという一点で神を扱う資格を持っているが、神を負担なく扱えるだけの魂が伴っているわけではない。回復にはかなりの時間を要するだろう。……でも、今じっとしているわけにはいかない。
デュエルに集中していて観戦の声が全然耳に入らなかった。プレイメーカーは、ボーマンは一体どうなったのか、ライトニングは何か新たな策を講じていないか、神の召喚が向こうに悪影響を出してないか……いろんなことを確認しようとして、
「初めまして。そしてサヨナラ」
笑みを浮かべる誰かにより、ヴァンガードの意識は閉ざされた。
その事実をライトニングは知ってしまった。
己のシミュレーションを何としても成し遂げるため、
怒るライトニングはニューロンリンクを起動させる。
同胞の凶行を止めるため、今、Aiが立ち上がる。
頂点に立ったつもりか?」
ヴァンガードのクリフォートデッキは【オッドアイズオシリスクリフォート】へと進化した!
ペンデュラムゾーンにはクリフォート以外を置くことでクリフォート以外も特殊召喚出来るようにし、ドロー効果持ちのカードを大量に使ってペンデュラム展開とオシリスのサポートをするぞ!
EM稀代の決闘者でデッキから異次元からの宝札(アニメカード)を除外したり、手札にきたら左腕の代償で除外したり、墓地に落ちたら埋葬呪文の宝札(アニメカード)で除外してドローしてくるぞ!
よいこのみんなはまねしないでね。しないか。