ソウルバーナー&不霊夢 LP 2100 手札1→2
モンスター
魔法・罠
伏せカード1枚
リボルバー LP 4000 手札0
モンスター
ヴァレルロード・ドラゴン Link4 ATK3000
ヴァレルロード・
ヴァレルカウンター 2
魔法・罠
伏せカード2枚
【ヴァレルロード・
ソーンヴァレル・ドラゴン(装備カード扱い)
「俺のターン、ドロー! ……!? この、カードは……」
引き当てたのはソウルバーナーが初めて見るカード。自分が作ったデッキなのに見たことのないカードがあるなど、普通ならあり得ない。
だが、既にこのデュエルでは普通ではないことが起きていた。その原因である炎のイグニス不霊夢は自慢げにかつ誇らしげに胸を張る。
「Aiがコード・トーカーをサポートするカードを作った自分がいかにプレイメーカーの相棒として相応しいかを自慢してきたのでな、私も私なりにカードを作ったのだ。遠慮はいらん、存分に使え!」
「ああ! 魔法カード、
――
怒りに囚われ、後先考えずに使われた強欲で貪欲な壺の発動コストにならず、デッキに残っていた彼らの絆の象徴が今、発動し――。
「待て待てソウルバーナー! ドローの前に必要なものがあるだろう」
「必要、って……」
ドローしようとデッキに手をかけた所で止められる。何を言っているんだ、と思考が停止しかけて、気付く。なるほど確かにお約束の言葉が抜けているではないか。
「――燃え上がれ、ソウルバーナー!」
スピードデュエルでスキルとしてバーニング・ドローを発動する時のお決まり、逆転の開始を宣言する彼らのルーティーン。
デュエルディスクから上半身を出しているイグニスの体より炎が溢れる。ソウルバーナーの右腕に炎を模した紋様が浮かび上がる。
「いくぜ! バーニング・ドローッ!!」
炎を纏うソウルバーナーの手はデッキから4枚のカードを引いた。リンク4のヴァレルロード・ドラゴンを対象にすることで可能とした大量ドローは、このデュエルの流れを大きく変える可能性に満ち溢れている。
「俺は
《
星3/攻1000
「現れろ、未来を変えるサーキット! 召喚条件はレベル4以下のサイバース族モンスター1体! 俺は
《
Link1/攻500
【リンクマーカー:下】
ソウルバーナーのデュエルに欠かせないリンク1の山猫が姿を現す。転生リンク召喚しても新たな効果を得ない
「リンク召喚に成功したベイルリンクスの効果発動!
フィールド魔法を発動したことで景色は一変する。
熱気の満ちた活火山と大地に流れる溶岩。輪廻を巡る炎、
「
【サイバース族/リンク/効果】
炎属性の効果モンスター2体以上
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが「転生炎獣パイロ・フェニックス」を素材としてリンク召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する。②:相手の墓地のリンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。③:相手フィールドにリンクモンスターが特殊召喚された場合、そのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
転生する以前より火力と熱を増した青い炎を翼とし、不死鳥が降り立つ。その掌の上では誰の目から見てもわかるほどに力が溢れ始める。
「転生リンク召喚したパイロ・フェニックスの効果! 相手フィールドのカードを全て破壊する!」
「ヴァレルロード・
沈黙を貫いていたリボルバーが動いた。パイロ・フェニックスが破壊効果の発動と共に放った業火球を、ヴァレルロード・
「感動的なシーンを披露した程度で私が手を抜くとでも思っていたのか?」
ヴァレルロード・
「だがこれでヴァレルロード・
「魔法カード、フュージョン・オブ・ファイアを発動! 自分フィールドの
あれは、とブルーメイデンが声を上げる。フュージョン・オブ・ファイア、それはソウルバーナーがブルーガールとのデュエルで使用したカード。
「こちらのモンスターを利用した融合召喚だと!? くっ……ヴァレルロード・ドラゴンの効果を発動しパイロ・フェニックスの攻撃力を500下げる! アンチ・エネミー・ヴァレット!」
《
攻2800→2300
ヴァレルロード・ドラゴンはモンスター効果の対象にならない、という耐性を持つが魔法カードに対してはなす術がない。炎へ飲み込まれる中、せめてもの抵抗として攻撃力を下げる。
赤と青。異なる二色の炎はぶつかり混ざり、融合を象徴する紫の一つの炎になる。
「現れろ! 一つの狂おしき魂のもと、凶悪なる獣たちの武器を集めし肉体を誇る魔獣よ! 融合召喚!
《
星8/攻2800
どの動物をモチーフとしているのか形容し難く、また鋭利な武器を複数所持するという
「融合召喚に成功したヴァイオレットキマイラの効果発動! このカードの攻撃力はターン終了時まで、素材としたモンスターの元々の攻撃力を合計した数値の半分だけアップする! ヴァレルロード・ドラゴンの攻撃力は3000、
《
攻2800→4550
複数の命が混ざった獣はその力を示すように雄叫びを上げる。
「装備魔法、
今ソウルバーナーらのフィールドにいるリンクモンスターはリンク4の
《
攻2300→3500
「バトル! ヴァイオレットキマイラでヴァレルロード・
ヴァレルロード・
――それは、この攻撃が通れば、の話だ。
「攻撃宣言時! 罠カード、
発動に合わせて出現したのは空に浮かぶ二つの筒。ハテナが描かれ、手品の道具にも見えるその筒はソウルバーナー達へ口を向けて攻撃を待ち受ける。
「その攻撃を無効にし、攻撃力分のダメージを相手に与える!」
今のヴァイオレットキマイラの攻撃力はソウルバーナー達の残りライフを上回っている。どうにかして攻撃を止めないと効果ダメージで敗北してしまう!
「ソウルバーナー!」
「分かってる!
効果ダメージには効果ダメージを、と攻撃が
本来ならばデュエルの勝敗を決するダメージを与えるはずだったヴァイオレットキマイラと
「リリースすることによって攻撃を無理やりに止めたか。確かに、攻撃を無効にできなければ
リボルバー
LP 4000→1200
火霊術-「紅」によるダメージを受けながらもリボルバーは冷静に判断する。
「パイロ・フェニックスでヴァレルロード・
現在パイロ・フェニックスとヴァレルロード・
パイロ・フェニックスに装備されたあの魔法は、未だ攻撃力を上昇させる効果しか明らかになっていない。セキュリティ・ブロックを使用したという事は戦闘破壊耐性を与えるものでもない。
……ならば、考えられる可能性は。
「永続罠、ガンスリンガー・エクスキューションを発動! 墓地のストライカー・ドラゴンを除外し、ターン終了時までヴァレルロード・
《ヴァレルロード・
攻3500→4500
ストライカー・ドラゴンが援護砲撃を行い、ヴァレルロード・
攻撃を返り討ちにしたものの、不死鳥はセキュリティ・ブロックによって守られている。魔法・罠の効果で戦闘破壊の運命から逃れたエースモンスターが睨み合う。
「くっ、流石に気付かれたか」
「悔しがる必要などない。謎だったセットカード2枚のどちらも正体を明かせたのだ、そちらを重要視するべきだろう」
「……そうだな、不霊夢。バトルフェイズはこれで終了だ。メインフェイズ2、カードをセット。エンドフェイズ、リンク素材として墓地へ送られたコヨーテの効果で墓地の『サラマングレイト』モンスター1体を守備表示で特殊召喚する! 戻って来い、ヴァイオレットキマイラ!」
《
星8/守2000
腕を交差し、ソウルバーナーを庇うかのような防御体勢でヴァイオレットキマイラが蘇る。
「これで俺はターンエンドだ!」
ソウルバーナーのフィールドには攻撃力3500のパイロ・フェニックス、そして守備表示で存在するヴァイオレットキマイラ。
「……あり、バーニング・ドローを使ったのに攻撃凌がれちった? 今のは完全に勝つ流れだったじゃ「Ai、黙ってろ」……ハイ」
外野が何やら言っているが、その程度の雑音が彼の手を止める理由にはならない。
「私のターン、ドロー! 装備魔法ヴァレル・リロードを発動! 墓地のヴァレット・トレーサーを特殊召喚し、このカードを装備する」
《ヴァレット・トレーサー》
星4/守1000
「ヴァレット・トレーサーの効果発動! 自身を対象にし破壊、デッキからヴァレット・リチャージャーを特殊召喚する。更にヴァレル・リロードを装備したモンスターが破壊された墓地へ送られたことで1枚ドローする」
《ヴァレット・リチャージャー》
星4/守2100
モンスターを入れ替えつつ手札を増やす。効果でドローしたカードをそのままデュエルディスクへと運び、何をドローしたのかが明らかになる。
「目には目を、歯には歯を――融合には融合を! 魔法カード、
鏡は墓地に眠る二体の闇属性のドラゴンを映し出す。像はひとりでに渦を巻き始め、鏡面が震える。
「ネットワークに宿りし二つの憤怒! 今ひとつとなりて我が敵を撃ち抜け! 融合召喚! 現れろ、ヴァレルロード・
《ヴァレルロード・
星8/攻3000
震えが止まったかと思えば、鏡の中心に銃弾で撃ち抜かれたかのような穴が突然発生する。みるみる間に穴を起点にひび割れが広がり、稲妻が溢れ始める。鏡の中から巨大な影が飛び出し、ガシャンと音を立て鏡は壊れた。
「パイロ・フェニックスとヴァレルロード・
口上のごとく、リボルバーの抱える憤怒がそのままモンスターとなったかのような荒々しい登場をした融合のヴァレルロード。かの竜の四肢を満たす怒りは敵だけでなく自らをも滅ぼす諸刃の剣。パイロ・フェニックスを危険と判断した主人の指示に従い、その身を弾丸と変えサイバースを撃ち抜く。
「『サラマングレイト』カードが破壊される場合、墓地のベイルリンクスを代わりに除外する!」
……だが、山猫が身代わりとなり不死鳥を守った。
「ヴァレルロード・
【ドラゴン族/リンク/効果】
効果モンスター3体以上
①:このカードはモンスターの効果の対象にならない。②:1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。この効果の発動に対して相手はカードの効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。③:このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップ開始時に発動できる。その相手モンスターをこのカードのリンク先に置いてコントロールを得る。そのモンスターは次のターンのエンドフェイズに墓地へ送られる。
融合のヴァレルロードによりリンクのヴァレルロードが呼び起こされる。サイバースを葬るための己をサイバースの融合素材にしてきたこと、忘れてはいない、許すものかとソウルバーナーを睨みつけながら咆哮する。
「バトルだ! ヴァレルロード・ドラゴンでパイロ・フェニックスに攻撃! ダメージステップ開始時にヴァレルロード・ドラゴンの効果発動! パイロ・フェニックスのコントロールを奪う!」
相手の攻撃力が上回っていようと、ヴァレルロード・ドラゴンはものともしない。更にこの効果へ対処しようとカードを発動しようが、その発動を無効にできるヴァレルロード・
「これで終わりか。呆気ないものだな」
ブラッドシェパードが呟いた。協力すると決めた理由の一つであるヴァンガードがここにいない今、別にこのデュエル観戦に最後まで付き合う必要は無い。デュエルの勝敗はもう決した、と全てを見届ける前に現実へとログアウトしようと――。
「それはどうかな! 速攻魔法、禁じられた一滴! パイロ・フェニックスを墓地へ送り、ヴァレルロード・
「――!」
《ヴァレルロード・
攻3500→1500
ヴァレルカウンター 2→0
チェーン不可。強力な効果とて発動できなければ意味がない。ヴァレルロード・
ダメージステップへ進んだ状態でモンスターの数が変動しても巻き戻しは行われない。攻撃対象がいなくなったからとてダイレクトアタックに変更されるわけでもない。戦闘は中止され、攻撃宣言は行われた、という結果が残る。
「……私はこれでターンエンド」
「ターン終了時、禁じられた一滴の効果で下がった攻撃力と効果は元に戻る」
《ヴァレルロード・
攻1500→3000
厄介なヴァレルロード・
ソウルバーナーのフィールドに唯一残ったモンスターは
――手札は0。このドローに全てがかかっている。
「絶体絶命だな」
「その割には笑顔じゃないか、ソウルバーナー」
「……そっか、笑ってるのか、俺」
「笑うしかない、というヤツか?」
「そうかもな。だとしても――」
「――そうだな。このデュエルを諦めたわけではない!」
「「俺/私達のターン! ドローッ!!」」
望むのはたった一枚だけ。この状況を打破するカードを。
「死者蘇生、発動! 墓地の
《
Link3/攻2300
【リンクマーカー:上/左下/右下】
だが、墓地にいるモンスターの攻撃力は一番低くても1000。ヴァレルロード・ドラゴンの効果がある今、それでは届かない。
「現れろ、未来を変えるサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は炎属性の効果モンスター2体以上! リンク3のヒートライオとヴァイオレットキマイラをリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク4、
だからこそ召喚する。この局面を覆せるモンスターを。
「な――お前はこのデュエルで既に2体のパイロ・フェニックスを使用している!
そう、このリンク召喚で召喚されたのは3枚目のパイロ・フェニックス。デュエルモンスターズのルールでは同名カードは3枚までしか入れることができない。リボルバーの指摘通り転生リンク召喚は不可能。
「それはどうかな? 転生リンク召喚を可能とするカードはすでに存在している!」
「墓地の
この瞬間、デュエルの勝敗は決定した。
「現れろ、未来を変えるサーキット! 不死鳥よ――逆巻く炎に身を投じ、不滅の
青い炎の翼を大きく広げ、不死鳥は最後の転生を果たす。天へ昇る炎は一つの塊となり、あの時無効にされたがため発動できなかった効果を発揮する。
「転生リンク召喚したパイロ・フェニックスの効果、発動――!」
青い炎が全てを覆う。リボルバーのフィールドにある全てのカードが破壊される。ぱきり、とバイザーにヒビが入る音がした。
「これで終わりだ!
熱気が、攻撃が迫る。それは自分のライフを0にするものなのに、なぜか美しいと思ってしまった。
ああ。きっと、自分は最初から負けていたのだろう。
ロスト事件によって受けた苦しみと怒りを乗り越えようと戦う者。ロスト事件によって運命を狂わされ、それを享受する運命の囚人。その思いの差。
……いいや、それ以前の問題だ。一人よりも二人の方が、孤独に戦う者よりも互いを信じ合えるコンビの方が強いに決まっている。
目を閉じ、微笑む。
――光が彼を包んだ。
リボルバー
LP 1200→0
デュエル終了のブザーが鳴る。天高く昇る炎は罪を浄化するかのように煌々と燃え盛っていた。
自らの率いる組織としてはサイバースに敗北するなど許してはならないはずなのだが――リボルバーは不思議と、清々しい気持ちになっていた。
「…………ん?」
空に響く風を切る音。黒の体の奥に緑の光を宿した機械竜……と、その使い手の帰還だ。
「ただいま戻ってきましうわーっえっなんでデュエルして……終わってる!? というかなんでか仲良くなってる? あれっ」
クラッキング・ドラゴンに乗って帰還したらこの状況、ヴァンガードが混乱するのも無理はない。というかヴァンガードが離れた後に二人の間で一悶着起きたからなぜデュエルを始めたのか、の理由を知らない。
あれ? あれれ? と疑問符を大量に頭の上に浮かべるヴァンガード。長いため息を吐いた後、スペクターが額に青筋を浮かべつつ皆の心の中に浮かんだ疑問にプラスして殺意を混ぜつつ代弁する。
「侵入者を外につまみ出すだけでここまで時間をかけるとか何やってたんですかさっさと死んでください」
「いやあの鳩とカエルの二人がブレイブでマックスな撮影している関係でヒャッハーだったあの面々とよく出会ったりと繋がりがなんでかあったのでその辺色々とゴニョゴニョ伝言とかよくわかんない変なところに飛ばされたりとかしちゃって……あと死ぬのは嫌です生きます」
「は? 何言ってるんですか? 意味がわからないのですが」
「うん、自分でもよくわかんなくなってきた……」
頭痛が痛い、な感じで頭を抑えつつ首を捻る。ぎゃうー、と呟いたクラッキング・ドラゴンが取り敢えず主人の真似をしておこうと首を捻る。
「で、結局何があったんです?」
直接聞いた方が早い、という当然の答えに行き着いたヴァンガードは先程までデュエルをしていた二人に尋ねる。彼らは顔を見合わせた後、互いに笑って。
「――秘密だ」
ハノイの塔によるスキャンプログラムの拡散後、
新生LINK VRAINSに姿を現したのは
鏡写しのLINK VRAINS。
AIと人間の戦争、その決戦の火蓋が今切られる。
(ミスの修正で展開が変わった結果ガチカードばっかりになってしまったかなしみよ)
この後ソウルバーナーに自身の正体とロスト事件の真実についてを教えるリボルバーがいたとか。
二人のデュエル内容について知りたいなら、とヴァンガードに対価を要求するゴーストガールがいたとかいなかったとか。
なお旧リンクヴレインズに着いてからグラドスとパンドールの気配が全くなかったのは出会ったら喧嘩するのは目に見えているし……と互いに互いの陣営へ気を使った結果です。