そしてこの下にあります挿絵、最近話題(最近?)のAIイラストで作成したものを作者の手で修正、後ろにちょいちょいっと入れてロゴも追加してーとしたものになります。にじジャーニーのクローズドベータ期間中に作りました。
本作の主人公、今上詩織の作者イメージはこんな感じです。作品あらすじの所にも置く予定。
【挿絵表示】
……いやね、実はヴァンガード状態の絵も今上詩織の絵も支援絵として昔貰っているんですよ。ただ絵を描いてくださった方々に作中で紹介してもいいですか?と聞くタイミングを逃しまして……ハイ。
読者の皆様のイメージと違うなんて気にする必要はありません。皆違って皆いい、十人十色のバイトハノイ!黒髪ショート身長150cmという設定が守られれば良いのです!
長くなりましたがそれでは本編、どうぞ!
今上詩織 LP 2300 手札6→7
モンスター
TG ハルバード・キャノン/バスター
レベル12 ATK4500
財前葵 LP 4000 手札4
モンスター
魔法・罠
【
フィールド魔法
手札はあればあるほど良い。それも相手に何のカードなのかを知られていなければ。
葵の手札4枚の正体は全て分かっている。
対する詩織の手札7枚は全てが未知。
葵は考える。シンクロ召喚を多用するTGであれば、また高レベルのモンスターを出してくるはず。適切なタイミングでモンスター効果を無効化できる
「手札抹殺を発動!」
「っ!?」
メインフェイズに入り、詩織は迷うことなく手札を交換することを選んだ。
「これによりお互いに手札を全て捨て、その枚数分ドローする。さあ、どうする?」
挑発するように詩織は笑う。
手札を減らせば手札抹殺でドローできる枚数が減り、マーブルド・ロックを戦闘破壊から守れる回数も減る。手札抹殺の効果で
不確定な未来と迫られた選択。葵は悩んだ末、手に握ったカードをまとめる。
「……手札4枚を捨てて、4枚ドローするわ」
墓地に行くだけなら自分のターンにマーブルド・ロックの効果で回収は可能、まずは戦闘を乗り切るべきだと葵は判断した。……もしかしたら、と望みをかけて新たにドローした4枚の中に
「私は手札6枚を捨てて6枚ドロー」
その様子に気が付いているのかは分からないが、詩織はドローしたカードを見て微妙な笑みを浮かべる。
「精霊パワーこわいなあ……手札からフィールド魔法Sin Worldを発動。そして、Sin パラドクスギアを通常召喚」
《Sin パラドクスギア》
星1/攻0
色が歪む。通常ではあり得ない不安を煽る色彩が二人の決闘者が戦う舞台を包む。異常な世界の中現れた歯車は規則正しくカタカタ音を立てて回る。
葵が真っ先に警戒したのはフィールド魔法による変化ではない。
「――TGじゃ、ない?」
「フィールド魔法が表側表示で存在する場合、Sin パラドクスギアをリリースして効果発動! デッキからSin パラレルギアを特殊召喚し、さらにデッキからSin スターダスト・ドラゴンを手札に加える」
《Sin パラレルギア》
星2/攻0
「Sin パラレルギアをシンクロ素材とする場合、他のシンクロ素材は手札のSinモンスター1体でなければならない。手札のレベル8、Sin スターダスト・ドラゴンにレベル2のSin パラレルギアをチューニング! ――次元の裂け目から生まれし闇よ、時空を越え訪れる破滅に終止符を打て! シンクロ召喚! レベル10、Sin パラドクス・ドラゴン!」
《Sin パラドクス・ドラゴン》
星10/攻4000
目に付くのは、真の所有者が秘めた相反する思いを象徴するかのような黒と白。矛盾を宿したドラゴンが咆哮する。
「攻撃力4000!?」
「おっと驚いてほしいのはそこじゃない! Sin パラドクス・ドラゴンがシンクロ召喚に成功した時、効果で墓地のシンクロモンスター、TG スター・ガーディアンを特殊召喚! また、スター・ガーディアンが特殊召喚に成功した場合発動できる効果で自分の墓地の『TG』モンスター、TG スクリュー・サーペントを手札に加える」
パラドクス・ドラゴンが尾で乱雑に地面を叩く。急かすように、苛立つように。慌てて墓地とフィールドが繋がる穴から出てきたスター・ガーディアンを見てフンと鼻を鳴らす。
「通常魔法、土地転がしを
「……Sin パラドクス・ドラゴンはSin Worldが存在しない場合破壊される効果がある。けどそこだけを注意してたらダメなんじゃないのかな?」
《
攻3900→2500
「っ! しまった……!」
……フィールド魔法を奪うだけなら手札抹殺をしてからすぐに土地転がしを使えば折角のパラドクス・ドラゴンを破壊せずに済んだはず。まさか使うカードの順番を間違えて……?
「――一見間違えたように見える選択。だがそれは、真の目的に必要な正しき行い。『Sin』モンスターが効果で破壊された場合、LPを半分払い発動できる! 墓地から出でよ! Sin トゥルース・ドラゴン!」
今上詩織
LP 2300→1150
《Sin トゥルース・ドラゴン》
星12/攻5000
詩織のLPを糧として現れたのはSin パラドクス・ドラゴンよりも遥かに巨大な、禍々しい黄金竜。
財前葵はカリスマデュエリストブルーエンジェルとして活動し、多くの対戦相手と彼らの使うモンスターを見てきた。記憶の中の最大級を更新する、と言っても過言ではない超サイズ。それが今、目の前にいる。
「TG スター・ガーディアンの効果でTG スクリュー・サーペントを手札から特殊召喚。特殊召喚に成功したスクリュー・サーペントの効果で墓地からTG ブースター・ラプトルを特殊召喚。さあ、どんどん行くよ! レベル1のブースター・ラプトルにレベル4のスクリュー・サーペントをチューニング! シンクロ召喚! レベル5、TG パワー・グラディエーター!」
《TG パワー・グラディエーター》
星5/攻2300
「レベル5のパワー・グラディエーターにレベル5シンクロチューナーのスター・ガーディアンをチューニング! シンクロ召喚! レベル10、フルール・ド・バロネス!」
《フルール・ド・バロネス》
星10/攻3000
馬が蹄を鳴らせば花が舞う。女戦士が剣を振るえば風が舞う。豪華絢爛、美麗荘厳。一挙手一投足が麗しい、騎馬に跨った女男爵がフィールドに現れる。
「墓地に10体以上のモンスターが存在するため、究極時械神セフィロンを特殊召喚! さらにさらに、墓地の『機皇』モンスター3種類を除外して機皇神龍トリスケリアを特殊召喚!」
《究極時械神セフィロン》
星10/攻4000
《機皇神龍トリスケリア》
星10/攻3000
天使に機械龍。統一性のないモンスター達をフィールドに並べていく詩織を見て葵は驚愕する。
「また新しいカテゴリ、『機皇』……! 手札抹殺で墓地に送られた中に3枚があった、ってこと!?」
だとすればデッキ内のカードの偏りは相当酷いことになる。島直樹がよくぼやいていた「今上最近変なデッキばかり使ってくるしぶん回るのが訳わかんなすぎて相手するのなんかツライ」という言葉の意味を葵はようやく理解し始めていた。
「デュエルする前に質問してきたよね。葵ちゃんが納得してくれるかは分からないけど、その答えを教えてあげましょう」
デュエルがさあこれからだ、という時だというのに詩織は唐突に話を戻した。
「……何よ、流石のヴァンガード様はデュエルしている中でも相手を労る余裕がありまーす、って煽りたいわけ?」
ブルーエンジェルを思い起こさせるような口調で責める。
「いやなんだかどのタイミングで言っても拗ねそうな気がしたから一番聞いてくれそうなここしかないかなって……んっんん。イグニスを根絶しようなんて一欠片も思ってない。プレイメーカーと一緒に行動してるのは単純に頼まれたからだよ、仲間になってくれってさ」
あーハズカシ、とあの時のことを思い出して頬がほんのりポッポしてきたのを隠すようにパタパタと手で扇ぐ。
「どうしようもない状態になってからああしておけばよかった、そう後悔しないために動いてる。具体的にはこんな感じで! フルール・ド・バロネスの効果! フィールドのカード1枚を対象に発動、そのカードを破壊する! 私が対象にするのは
「な――!」
あの時、手札抹殺を使われた時、自分は悩んだ末に
破壊されるマーブルド・ロック。装備されていた
「さあ、バトルフェイズだ! 究極時械神セフィロンで葵ちゃんにダイレクトアタック!」
鎧の鏡面に映る顔が目を見開く。決闘者の命じるまま相手を倒すべく、両手に束ねた光を放った。
神に等しき存在による攻撃。フィールドにその攻撃を防ぐための手段はない。……なら、墓地はどうだ?
「相手モンスターが攻撃するダメージステップ開始時に、墓地の
分厚い水の壁が葵を守るように聳え立つ。
墓地にはリンク1のブルースラッグが2枚にリンク2のコーラルアネモネ、リンク3のマーブルド・ロックがいる。よって相手の攻撃力が7000より上にならなければダメージを受けることは――。
「フルール・ド・バロネス第二の効果でその発動を無効にする!」
――風によって水は弾け、花のように散った。
財前葵
LP 4000→0
完敗。デュエルに敗北した、まさか! と葵はデュエルディスクの中にいたアクアの安否を確認し、ほっとする。
「というわけでお初のデッキと戦ってみた感想としては感情的になりすぎると良くない、ってところで終わりにしとこうか。リンク4が出てきてたらどうなってたかわかんなかっただろうし」
「……本当に、イグニスに手を出す気もハノイの騎士に手を貸す気もないのよね?」
「本当本当、ワタシウソツカナイ」
「嘘言ったからアクアが真実について分かったってこと覚えてて言ってるのかしら、この元ハノイの騎士……」
「あ、あははー……」
「ですが、とても強い決闘者である彼女が私たちイグニスを守る側にいる。それは紛れもなく真実です」
「いやーそれほどでも?」
「切り替えが早いわね…………というか、フルール・ド・バロネスの召喚に成功した時点でほぼ勝ってたじゃない。フィールドのカードを破壊する効果と効果の発動を無効にする効果、どっちも持ってるモンスターってそういないわよ? シンクロモンスターを素材にしてたけどそういった縛りがあるモンスター?」
「バロネスは汎用シンクロモンスターだから特に縛りはないよ? レベル10で素材にシンクロモンスター要求してくるあっちはまあ……あの状況ではバロネス出すよねって感じだったから……」
「汎用シンクロモンスター…………あれが。というか特殊召喚するだけして何もしてなかった機皇神龍トリスケリアはなんだったのよ!」
「いや、そんなこと言われてもぉ……つよつよマリンセスの落とし穴的罠が突然使われるかも知れなかったし……未来組を同じフィールドに揃えられるなら揃えたくなるし……」
「何よそのカテゴリ名を無視した変な枠組み」
「分かる人には分かるってやつですよ」
仲が悪くなったのか一周回って良くなったのか。まあ互いに隠し事をしなくて良くなったため砕けた口調で会話している今を見れば仲が良くなった、として問題は無い? だろう。
……その間、グラドスからの連絡を受けて万が一の時のため体育館入り口前で待機していた闇と炎のイグニスにオリジン二人はどうしたらいいんだろうか、と困っていた。
どれを取っても不足はない一匹狼。
勧誘とリンク魔法への対策共有を兼ねたデュエル、
一歩も引く様子を見せないブラッドシェパードに対し
ついにリボルバーは最後の
……今上詩織だ」
ブラッドシェパード「えっ」
詩織「えっ」