どうも、ハノイの騎士(バイト)です。   作:ウボァー

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OCGの事はよくわからないのですがとりあえず、ネフィリムかえしておじさんやったね!ネフィリムかえってきたよ!


バイトハノイ、一波乱

 やあどうも、バイトハノイです。私は今、ハノイの騎士のアジトに居ます。あのクラッキング・ドラゴン用サポートスキルのプログラムについて、プログラミング班が感想を聞きたいんだそうで。

 ……メールじゃダメなん? 唯のバイトをアジトに入れるって危険すぎる気がする。

 

「初めまして新人さん」

 

「どうも、バイトさせて頂いてます」

 

 礼をして挨拶。こちらへどうぞ、と先導する先輩ハノイ。……あれ、私バイトだからもっと雑な扱いされると思ってたんだけど。通りすがりに挨拶してくれる人もいた。私も先輩も全員ハノイの騎士の格好でいるから、何だろう、この感覚。ヒャッハノイのイメージが強いけど、これが本当のハノイの騎士なのかもしれない。

 

 

「ここがプログラミング班の職場です」

 

 そこは無数の画面が並ぶ部屋だった。一人一つの画面に向き合ってキーボードを操作するハノイの騎士達。画面には何か文字が浮かんでいるが、どんな意味があるのかちんぷんかんぷんです。アジトの中にプログラミング用の設備があるのは、現実でバレるリスクを減らすためなんだろう。ぶつぶつと怨嗟の声が聞こえてくる。

 

 

「また関係無い所で暴れてやがる」

 

「くっそ、ハノイの誇りを汚しやがって……」

 

「あいつらに自爆プログラムでも仕込めるか上に相談してみます」

 

「おう行ってこーい」

 

「ネフィリムかえして」

 

「ちっ、今作ってる電脳ウイルス出力上げてやる」

 

 

 ……何も聞いていない、いいね? あとハノイにもネフィリム返しておじさんいたんだ。

 

「……今日来るって伝えたのに……お前ら、例の新人だぞ!」

 

 案内してくれた先輩ハノイがそう言うと同時に、皆がこっちを向く。

 

 

「あの子が例の……」

 

「初々しい」

 

「ああ、俺にもあんな頃あったなあ」

 

「ネフィリムかえして」

 

「はいはい、癒されるのは後な……ネフィリムはもう帰ってきただろいい加減にしろ!」

 

 あれってネフィリムとして扱っていいのでしょうか。じゃなくて、デュエルしての感想を伝えるために来てたんだ。

 

「えー、とりあえずバグはありませんでした。ただ、スキルはデュエル中一回しか使えないのをふまえると、クラッキング・ドラゴンの(2)の効果をエラッタした方がいいと思います。もしくはもっとスキルを強化するか、ですかね」

 

 相手が融合、シンクロ使いなら刺さるんだけどねあのスキル。でもスキル使うと、そのモンスターをリンク素材にして巻き返してくるのが多々あった。ダブルドローの方が便利です。

 

 ここにいるのは全員デュエリスト。ちょっと考えたらわかりそうなのに、なんでエラッタじゃなくてスキルにしてしまったんだろうか。そんな事が思いつかないほどヒャッハノイのせいで精神が疲弊してしまったのか。

 

「……あ、そう……だよな」

 

「なんでそこに気づかなかったんだろ」

 

 はい確定ー! やばいぞハノイの騎士! このままだと倒れる人が出てきてしまう。

 

 

 

 急にガタン、と椅子が倒れる音。一人のハノイの騎士が冷や汗を垂らして立ち上がっていた。

 

「……ちょ、これ、リボルバー様に伝えてこい!」

 

「何があった!?」

 

 その人の画面にはあるサイトが映し出されていた。黒い背景の、どう見ても裏サイトですといった見た目。ハノイ公認とか書かれている。どうやら何かを販売しているらしいが、その何かが問題だった。

 

 コピーカード。いろいろ危ない白い粉。ちっちゃい子の、まあ、あまり教育によろしくない写真。

 

 あかん(確信)。もし、ハノイの騎士がそういった、その……まあ、報道されたら、ね。うん。皆さんの胃がもげる。

 

「なん……だと……!?」

 

「サイト閉鎖準備! 戦争だオラーッ!」

 

「ハッキング完了、サイト作成者特定しました!」

 

「今そいつの近くにいる人に連絡入れろ!」

 

「もう入れてます! デュエル開始……っ。駄目です! 敗北しました!」

 

「他にいないのか!?」

 

 どうやら犯人は一人だけ、そしてかなりのデュエリストだったようだ。このままだとハノイの騎士の名声は一瞬にして地に堕ちる。

 何も出来ずに見ているだけ、それほど辛いことはない。私にだって、何か出来ることがあるはず。きっと、何か……!

 

 私のデッキから咆哮が響いた。

 

『ギキシャァァッ!!』

 

「っ、クラッキング・ドラゴン!?」

 

 デュエル中でないにもかかわらず、機械の竜がそこにいた。半透明の姿で床や壁には影響は出ていない。その緑眼はじっと私を見つめている。

 

「……乗って行け、ってこと?」

 

 頷くクラッキング・ドラゴン。

 

「っ、危険だ! わざわざ君が行かなくても、他のやつが対応する!」

 

「その他の人が今いないんでしょう!? デュエルボードに乗るよりこっちの方が速い、時間稼ぎぐらいできます!」

 

「……っ」

 

 無茶だけはするな、そう言って私のディスクに座標が送られた。

 

「お願い、クラッキング・ドラゴン!!」

 

 アジトの外へと転移してクラッキング・ドラゴンの背に乗る。風を体全体で感じる。下には無数のビルと、こちらを見上げ怯えるデュエリスト達。ハノイの騎士の襲撃が忘れられないのだろう。私に挑もうとしたデュエリストもいたが、クラッキング・ドラゴンが口を開け、エネルギーを溜めるのを見て逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 目的の座標に到着すると同時に、私はそいつに向かって言った。

 

「おい、デュエルしろよ」

 

「……は、またザコハノイのおでましか。いいぜ、誰も俺には敵わないってことを教えてやるよ!」

 

「「デュエル!」」

 

 

 

 

 

「貴方たち、一体どういうこと!?」

 

「バイラ様!」

 

 ハノイの名を使って犯罪を働こうとしている男に、あの女の子が一人立ち向かっていった。あの子は今入院している。もし敗北し、デュエルのフィードバックがきてしまったら? ただでは済まないだろう。医者として黙って見ていられなかった。

 

「そ、それが……」

 

 彼女がデュエルしている映像が画面に映っている。そこに広がっている光景を見て、目を疑った。

 

 

 

 

「罠カード発動、聖なるバリア-ミラーフォース-。お前のモンスターを全て破壊する」

 

「あ、あ……」

 

 男は怯えていた。こんなはずではなかった、こんな、誰とも知らないハノイの騎士にやられるなんて思いもしなかった。

 

「ターンエンド。……さあ、お前のターンだ」

 

「っ、俺のターン、ドロー!」

 

 ドローカードを確認して男は笑った。逆転のキーカードを引いたのだろう。だが、それを使うことは出来なかった。

 

「カウンター罠、強烈なはたき落とし。そのカードを捨てろ」

 

 男の手札はゼロ。フィールドにカードは存在しない。対してあの子のフィールドにはクラッキング・ドラゴンがいた。

 

「お、俺が悪かった! 金をやるよ、だから許してくれ!」

 

 その言葉を聞いて動きを止め、俯く。その動きを男は許してくれたと思っているようだった。

 彼女が顔を上げる。その顔は怒りに満ちていた。

 

「……デュエリストの風上にも置けない下衆が! クラッキング・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「うわああぁぁーーっっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほう、と驚く。まさかこれほどのデュエリストがハノイの騎士にいたとは知らなかった。

 

「是非、彼女のDNAも研究させて欲しいものです」

 

 ゲノムは静かに笑っていた。




バイト逃げて超逃げて!

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