つづきはないよ!
衛宮さんちの今日のご飯(強制)
とある日の衛宮家。
今日もおいしいご飯の時間。
和やかな一家団欒のひとときに自然と皆笑顔になる。
「……」
「このサバの味噌煮は絶品ですね。今日もシロウのご飯はおいしい」
「おっそうかー…。今日のはいつもよりうまくできたと思ったんだー…」
「……」
「毎日このように愛のこもった食事ができてわたしは果報者です。いつもありがとうございますシロウ」
「どういたしましてー…セい、シロウ?アルトリアごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ」
「……」
「士郎おかわりー!」
空気が重い。
そして気にせず三回目のおかわりを要求する虎。
「…明るい会話に反して目にハイライトがないので怖いわね」
「同じ体で二人喋ってるせいで一人芝居になってて実にシュールなことに…。ごめんなさいシロウ、お姉ちゃんは無力だわ…」
「この空気でご飯三杯もおかわりできる藤村先生すごいです。ちょっと真似できないです…」
かくかく不気味な動きをしつつ虎に食料を供給する銀シロウ。
それでいて一切こぼさないのが不思議である。
「至福の時間です」
「ほらー…藤ねえもいつもながらよく食べるなー…」
「わーい!今日もご飯がすすんで余は満足じゃー!」
ニッコリ…と笑っているつもりなのだろうか、口を半月状に曲げる少女。
奇麗な翡翠の瞳に光はなく、大元のセイバーの顔立ちが端整なだけにかえって不気味であった。
「ひえっ…」
「あなたお姉ちゃんなんでしょなんとかしなさいよ」
「リンこそシロウの師匠なんだからなんとかする義務があるんじゃないの?」
「うぐっ、えーとえーとそうだ!桜は士郎とは家族同然の付き合いなのよね!ここはど~んと…」
「…姉さんにはわかりませんか。知らぬ間に長年の想い人が突如性転換して寝取られていた女の気持ちは……」
「「うわあ」」
「だいたいセイバーさんも私に突然なんかつっこんだと思ったらお爺様がイケメンになって成仏するわ先輩はセイバーさんと合体(意味深)して寝取られるわもうなにがなにやら」
「というかなんなのこれ?食事の席から立とうと思っても体が動かないんですけどー…。ご飯ができたら身体が勝手に食卓の前に座っちゃうしなんかの強制力?」
「みんなー…どうしたんだー…?さめちゃうぞー…」
「どうしました?皆も冷めないうちにいただきましょう」
「それともなにか」
「言いたいことでも?」
「「「なんでもありません」」」
今日も衛宮家の食卓は平和(強制)である。
***
第6853億7321万9987回 衛宮家家族会議
元の世界の人類が滅んで幾星霜。
世界から切り離された(凛や某クズ魔術師にアルトリアがやらせた)衛宮家inアヴァロン。
ランダムに並行世界なんかを移動(凛や某クズ魔術師にアルトリアが(ry)するここからちょっかい出したり出さなかったりの平和な日々。
「今回の議題は最近桜の喘ぎ声がうるさい案件についてです」
突然とんでもないことをのたまう遠坂さんちの凛ちゃん(実年齢ピー歳)。
「それがどうしたのー?今更恥ずかしがる仲じゃないでしょーに。もうみんなで乱ピーするようになってどれぐらい経ったともってるのよ」
こちらもとんでもない台詞を吐き出しつつごろごろ畳を寝転がる最近遅れてきた厨二病に目覚めて某森羅の守護者スタイルをとることが多いイリヤスフィール・フォン・アインツベルンさん(大)。
「そうですよ姉さん。アルトリアさんと先輩とはじめての3ピーした姉さんが私の喘ぎ声ぐらいで今更なんですか妬ましい…」
喘ぎ声がうるさいと言われた根に持つタイプの間桐桜さん。いまだに妬ましいようである。
「そうじゃないのよ!問題は…」
深呼吸する凛。
「問題は桜がここ最近毎晩私の隣で百合NTRの妄想であーあーアレしてることが問題なの!!」
叫ぶ凛。
「…ダメですか?」
ポッと赤くなる桜さん(TS百合NTR趣味)。
「昔はNTRてぶつぶつ言ってたサクラがねー…。成長したわね」
「一周回ってなんか目覚めちゃいました」
なんかしみじみとしてるイリヤさんと桜さん。
「そんなことよりもしろーはどこいったのー!!おねーちゃんはおやつをしょもーするっす!!」
「このゼロ号は空気を読まないというかいつになってもフリーダムね…」
長年の情とか女とかをこじらせて元高校教師にして担任なのに何故かJK化してアルトリアと銀シロウのアレに突撃かまして3ピーかました藤村大河さん(実年齢は考えてはいけない)。
「シロウ達ならさっきまたどっかの四次で遊ぶとか何とか言って出てったよー」
「うわーあの娘また暴れるでしょうね。お父様の髪がまた薄くなりそうね…」
「もうだめだぁ…おしまいだぁ」
「ピチピチのわたしの出番あるかなー」
今日も衛宮家(in アヴァロン)は平和である。
***
きゃあ、じぶんごろし。
それは、突然現れた。
「君は…」
アーチャー「エミヤ」は叫ぶ。
「ばかな、ありえん!」
その存在に衝撃を受ける。
それが自分とは別の可能性のエミヤシロウであることに驚愕してしまう。
その身体の裏側にある存在にも気づいてしまう。
「……ああ。」
銀の少女は震える。
「アーチャー、シロウ。あなたもワタシのせいでそんなところにまで行き着き、堕ちてしまったのですね……」
瞳をどろどろとした暗いもので満たしていく。
底無しの闇を湛えていく。
「セイバー、なの?」
アイリスフィールは人形のような銀の少女と己の傍にいる金色のセイバーとを見比べる。
セイバーも目を見開き驚いている。
「貴女は…」
「シロウをそんなところへは行かせない!いかせてなるものかッ!!」
かくかくと身体を揺らしながらそれは嘆く。
「…そのためにはまずここで」
「…っ!?まずい!セイバー!!」
間に合わない。
「コレを潰しておかねばナァああ!!!」
固有結界展開。
銀の少女と剣の英霊のみが世界から隔離される。
「セイバー!!」
静寂が訪れる。
「アレは…いったい何なの?」
冬の聖杯の疑問に答える声はなかった。
***
「ここ、は…ガッ!?」
引き込まれた空間に驚く間もなく。
「苦しいですか?苦しいか?シロウの苦痛はこんな程度のものではないぞっ、ワタシいぃ!」
(わ…た……し、だと?)
そこには髪の色も、顔も、まったく同じ英霊がいた。
片や苦しみに悶え、もう片方はドス黒い憎悪で瞳を濁らせている。
よく見れば四肢を縫い留めている聖槍にも見覚えがあった。あり過ぎた。
「な…ぜ…っ」
「なぜ?なぜだと!?その目!その願い!その在り方!貴様の存在全てが許しがたい!許して置けるものかアアッ!!」
黒いモノに侵食され染まりつつあるもう一人の自分。
全身から強烈な殺意を向けてくる。
「貴様がいずれシロウを地獄へ突き落す!あまつさえその偽りの輝きを見せつけてシロウを終わりのない牢獄へと追いやるかと思うと悍ましすぎるっ!怖気が走る!虫唾が走る!苦しめッ!苦しめワタシぃッ!!苦しみぬいて己の愚かさを呪いながらここで絶望し果てロワタしぃいいィいいィイッ!!!」
予感がした。
「これ」を受けたら私という存在が終わる。終わってしまう。
黒いモノが首を掴んだ腕から流れ込んで
「があ゛あ゛ぁああああぁあああ゛あ゛ーーーーっっ!?!?」
記憶が、呪いが、流れ込んで。
「くるしめ、くるしめワタシ…!すべてを呪ってワタシと同じになれええええええッ!!」
かつての自分を貶める行為に歪んだ悦びを感じ口が自然と孤を描く。
ここで朽ちるがいい。
さあ、おわりだ。
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
そうか、わたしが、シロウを、ころ
転移。
「…は?」
静寂。
「…」
「…令呪による転移。キリツグか」
わなわなと震える。絶対に潰さねばならない獲物を逃がした怒りで視界が赤くなる。
限界だった。
アレを逃した。
わたしを逃がしてしまった。
私をわたしをワタシをっ――――ッッ!!!!
「っ、ッ、ガア゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああっッ!!!」
地面を蹴り抉り飛ばす。
周囲を憎悪に身を任せ無差別に切り刻んで当たり散らす。
「ワタシいいいいいいいッ!!!ドコだああああああああアアッッ!!!!!」
ぜったいに…
ニガスモノカ。
※逃げられませんでした。
このあとすぐ追いついて絶望して壊れた四次セイバーさん喰らって吸収したあとなんやかんやでセイバー以外は救われます(爆
ちなみに「再会」した二人には手を出しませんが嫉妬とか自己嫌悪やらでアルトリアさんが泣きます。
「うう…うー!うー!」グスグス
「よしよし、なくなー…」ポンポン
だれか続き書けたら教えてくださいね♥
じゃ。