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前回のr18シーンを別作品、『糸使いちゃんの外伝物語』として投稿しました!
興味のあるお姉さん達は是非((
シュラに襲われて以降、俺は仕事以外でも警戒するようになった。最近俺のストーカーみたいになってしまったエスデスもだが、主にシュラに対して。
そりゃそうだ。あんな事をされて怖がらないわけがない。ましてや俺は臆病者。警戒心の強さは誰にも負けていないつもりだ。
……けど、さすがにこれは想定外だった。
「……帝具使って人の部屋にまた不法侵入するとかズルいだろそれ」
「帝具を持っていないとは一言も言ってねぇだろ?」
シュラ曰く、次元方陣シャンバラはマーキングした場所なら好きな時に自由に行き来出来るらしい。
つまりこいつはこないだ来た時にこの部屋にシャンバラのマーキングをしていたから、扉と窓の鍵を閉めていてもまた入れたという事。おかげで今、俺はまたこいつに押し倒されてしまっている。
「なぁ、そういやなんで俺をあのまま放置しなかったんだ?」
ふと思い出して聞いてみた。
前世で散々見てきた帝都の裏では、性的虐待を受けた者達は使い捨てられるようにそのまま放置されているのに、前世でそれをやっていた一人のシュラが俺をヤった後に服まで着させてくれたなんて全く考えられなかった。もしかしたら何かを企んでいるのかもしれない。
「それはつまり使い捨てのゴミみてぇな扱いをして欲しかったって事か?」
「ちげぇよ!!お前がまた何か企んでるんじゃねーかって怪しんでるだけだっつーの!」
鼻で笑うシュラにビシィッ!と指を指す。
なんで俺が変態扱いされなきゃいけないんだ。男だった俺を知ってる上で襲ってきたこいつの方がよっぽど変態なのに。
「あれはお前の上司にバレねぇようにしただけだ。今のナジェンダの姉ちゃんにはまだ喧嘩を売る気はねぇからな」
「現役のナジェンダさんが怖いってか?へっ、女にビビるなんて格好わりぃなシュラさんよ」
革命軍に入る頃よりも、パンプキンを使っている今のナジェンダさんの方が圧倒的に強い。そんな彼女との戦いを避けようとするシュラを嘲笑うと、彼は眉をピクリと動かした。
「つーか、元男を抱いて何が楽しいんだよこの変態」
「そんな男に抱かれて気持ち良さそうに腰振りながらエロい声出してたお前の方が変態だろ」
「~っ!!」
理性がほとんど失っていた時の事を言われて、赤面してしまう。
するとシュラはニヤリと笑って俺の服を破き、下着も無理矢理剥いだ。自分の素肌がまた晒されて、あの夜に味わった羞恥と屈辱、そして恐怖が脳裏に甦る。
「ゃ、…さ、触んな!っ、…ひ、ぁ!」
俺の胸を直に触って弄び始めるシュラに胸の飾りを強く摘ままれ、身体がビクリと揺れてしまう。
「胸だけでもうイきそうか?」
「ち、がっ……あぅっ…!」
「こないだもそう言って何度もイきまくってただろうがこの淫乱野郎」
嫌でも反応してしまう自分の身体が心底憎たらしい。
きっと、シュラはあえてゆっくりこうして弄ぶ事で、いっその事殺して欲しいくらいの屈辱と恐怖を俺に与えているんだと思う。そしてその思惑通りになってしまっている自分自身も物凄く悔しい。
「ラバック…だっけか?お前、どうせならこのまま反乱軍につかねぇで
「!?」
急にそんな事を言われて、一瞬目を見開く。自分を殺した敵を誘うなど、こいつは一体何を考えているのだろうか。
「……断ったら?」
「少なくともまたこのまま犯す。てめぇがぶっ壊れるくらいにな。淫乱なお前にとっては嬉しい事だろ?」
恐らく、断らなくてもまたこいつにヤられてしまうのだろう。でもどちらにせよ、答えは一つだけ。
「全ッッッ然、嬉しくないね!!」
これ以上こいつの好きにはさせたくない俺は今度こそ脚をシュラに目掛けて蹴り上げ、腹部に膝を当てる。が、鍛え上げられていた彼の肉体には全く利いていなかった。
「い!?き、利いてねぇ…!?」
「こんな細い脚でこの俺様に勝てるとでも思ったのかよ?」
鳩尾を狙ったつもりだったが、どうやら外してしまったらしい。そしてシュラは蹴り上げた俺の脚を掴んで拘束し、腰のベルトに手を掛けた。
「ま、待ってくれ!マジで子供が出来たらどうすんだよ!?俺はそんなの絶対にごめんだぞ!」
酷く怯えた表情で、運悪くこいつの子供を孕んでしまうかもしれないのは絶対に嫌だと訴える。だが、
「そン時はお前を俺の正妻にしてやるよ。そうすりゃ毎晩可愛がってやるし、お前は大臣の義娘になって楽に暮らせる。悪くねぇ話だろ?」
愉快そうに笑うシュラの言葉に耳を疑う。俺にはこいつが今何を言ったのかを一瞬では理解出来なかった。
「し、正気かよお前!?男だったって事知ってるだろ!?それに、俺はお前を殺したんだぞ!?」
「その恨みは当然まだあるけどよ。お前の顔、よく見ると俺好みだから意外と気に入ってるぜ?」
そう言って頬に触れてくるシュラに、不覚にもドキリとしてしまう。
しかしそこで、部屋の扉が突然開いた。
「ラバ、少し話をしたいん、だ…が……」
ノックもせずに入ってきたのは、ナジェンダさんだった。
唐突過ぎる彼女の登場で、俺とシュラは思わず硬直してしまう。そして服を破かれた俺がシュラに押し倒されているという状況に、ナジェンダさんも固まっていた。
「……お前達、何をやってるんだ?」
「こいつに襲われてました助けて下さい!」
困惑しているナジェンダさんに迷わず即答した俺に、シュラは「そんなサラッとバラすか!?」と言いたげに驚いた顔をしていたが、そんな事はどうでもいい。今はナジェンダさんという救世主が現れた事に心の底から感謝しているのだから。
「シュラ殿。大臣の息子である貴方が相手であろうと、私の部下を襲ったこの罪は重いですよ…?」
下を向いて何かユラユラとしたオーラのようなものを纏うように見えるナジェンダさんを目にした俺達の顔色が、サァーッと青褪めていく。
すると彼女は、背負っていた帝具、浪漫砲台パンプキンを手に取った。
「ま、待てよナジェンダの姉ちゃん。これは偶然転んでだな……」
「では何故ラバックの服が破かれ、下着もそこに捨てられているのですか?」
「そ、それは……」
苦し紛れの言い訳に効果など全くある筈もなく、俺の格好が動かぬ証拠だと言うナジェンダさんの正論に言い返す言葉も無いシュラは狼狽える。するとその瞬間、
ドォーーーーーンッッッ!!!
轟音が鳴り響いた直後、外の微風が部屋に入り込む。
何が起こったのかを手短に説明すると、シュラの頭上に大きな衝撃波が通って行き、俺の部屋の壁が破壊されたのだ。そしてその衝撃波の正体はお察しの通り、パンプキンで放たれたナジェンダさんの精神エネルギーである。
うわぁ……ナジェンダさんがマジでキレてる……。
遠い目をしている俺はかなりビビっている。だってあれは、本気で相手を殺しに掛かっている殺し屋の目なのだから。
「今すぐにラバックから離れて下さい、シュラ殿。でないと次は……当てますよ?」
ガチャリと構え直して冷たい声色で脅す彼女に従い、シュラはすぐに俺から離れて行く。
引き吊った顔にダラダラと大量の汗を流しているのは実に滑稽だと思うが、ナジェンダさんが怖過ぎて笑えない。
「無事かラバ!?」
「は、はい。今はなんとか……」
パッといつもの表情に戻って手を差し出すナジェンダさんの様子にホッとする。
その手を握って起き上がらせてもらうと、将軍である彼女がよく使っているコートを俺の肩に掛けてくれた。
「怖かっただろう。だが、私が来たからにはもう大丈夫だからな」
そう言いながらギュッと抱き締めて安心させるように俺の頭を撫でるナジェンダさんのイケメン対応に、思わずキュンとして頬を紅潮させる。
最初からわかっていた事だけど、やっぱりナジェンダさんが男だったら確実にまた落ちてたな、これは。
長年秘めていたあの感情が再び芽生え掛けていたところで、背後から視線を感じた。横目でそれを確認してみると、シュラがジト目でこちらを見ていた。
「こないだは俺に抱き付きながらエロい台詞言って煽った癖に、もう他の奴に浮気すんのかよ」
「~ッ!?う、浮気も何も俺はお前の彼女になった覚えはねぇよ!!それにあれはヤってる最中の……!」
真っ赤な顔で途中まで言い掛けてしまってからハッとし、自分の口を塞ぐ。
ナジェンダさんにだけは知られたくなかった事を知られてしまった。幻滅されてしまっただろうかと恐る恐る様子を窺うと、彼女はわなわなと肩を揺らしていた。
「貴様……付き合ってもいないラバックを無理矢理抱いたというのか…?いや、例え付き合っていたとしても……いくらラバックが可愛いからとはいえど、こんなゲス野郎との交際は絶対に許さん!!」
その一声と共にパンプキンの衝撃波が再び走る。それはシュラの真横を掠めて行き、彼の頬には血が伝わっていく。
幻滅されるかもしれない、という心配は杞憂だったらしい。むしろナジェンダさんは俺達が合意の上で行為をしていたとは一切思っておらず、俺が最初に言った助けを求める声を信じてくれていた。
でもやっぱり怖過ぎる……!!
怒りの矛先がこちらに向けられているわけでもない筈なのに、身の危険を感じた気がした。
これは逃げるわけではなくナジェンダさんの邪魔をしない為だと自分に言い訳してそろりそろりと後ずさり、開いたままの扉から部屋を退出して何事もなかったかのように閉める。これでよし、と一人で安堵していると、室内からシュラの叫び声が聞こえてきた。
ああ、俺の部屋が……。
悲鳴と一緒に聞こえる破壊音。それは俺の部屋が壊れていく音だ。
あれではもう私室として活用出来ないであろう。そしてその室内に残してしまった家具や衣類、本などの自分の私物達も既に塵にされてしまっているのだと思う……。だから俺は涙目で、たくさんの思い出が詰まったその部屋に感謝と別れを告げた。
でもこっそり部屋を出たのは正解だったかもしれない。じゃないときっと今頃、自分もパンプキンの砲撃に巻き込まれていたに違いない。
「はぁ……これからどこで寝泊まりするべきかな……」
溜め息を吐いてからその場を立ち去る。この破けた服も早くどうにかしないとなぁ、と悩みながら早足で廊下の曲がり角を曲がると、ドンッ!と正面から誰かにぶつかった。
こんな時に誰だよ。少女漫画みたいなシチュエーションなのに相手が可愛い女の子じゃなくておっさんだとかそういう展開だったら大声で文句言ってやるぞこら。
けどもし女の子だったらという淡い期待を抱いて、少しでも愛想良く振る舞おうとする。
「いたた……す、すみませ……」
顔を上げた俺は絶句した。何故かって?そりゃあ、ぶつかった相手は女の子じゃなくて美女だけど……。でも俺的にはなるべく会いたくない超級危険人物だったからだよ。
「ラバック…!こんな場所で会うとは奇遇だな!」
「あ、あはは……そ、そうデスネ」
パァーッ!と明るい笑顔を浮かべて俺を抱き締めたのは、俺の悩みの種の一つ、エスデス将軍だった。これはまた会うとろくな事がない奴に遭遇してしまった。
「なんでエスデス将軍がこんなところに……?」
「む?ああ、先程この先から爆発音が聞こえたからな。賊ならば捕まえて新しい拷問を試そうかと思っていたんだ」
『賊=シュラ』と変換した俺は間違ってないと思う。……爆発音はナジェンダさんの仕業だけど。
「だがこうしてお前に会えたのならそれはもうどうでも良い。ナジェンダかブドーにでも任せるとしよう。それより、ラバックこそここで何をしているのだ?」
そのナジェンダさんが犯人です、なんて当然言えるわけがなく、
「えっと…俺の部屋がその爆発に巻き込まれたみたいでして……。そのせいで壁がなくなったから、これからどこで宿泊しようかなぁと……」
自分の格好については触れず、苦笑しながらそれだけを伝えると、エスデスは考える仕草をしていた。かと思えば、何かを閃いたように手を叩いた。
「それなら暫く私の部屋に泊まるというのはどうだ?それに事情は知らんが、その格好もさすがにどうにかしないといかんからな。お前の服もすぐに用意してやるぞ!」
「へ!?」
嬉々として返事を待たずに俺を横抱き……俗に言うお姫様抱っこをするエスデス。俺が小柄とはいえ、女性に軽々と持ち上げられた事にも驚く。
そして呆気に取られつつ困惑する俺は抵抗すらも出来ず、上機嫌な彼女に連れ去られてしまったのだった。
ラバ「まさかのお持ち帰りですか……?」(困惑)
一難去ってまた一難。
苦労人ラバックの災難はまだまだ続く!
エネルギー補給出来てたらシャンバラで逃げられたのにね…。
さよならシュラさん。
シュラ「勝手に殺すんじゃねぇ!!」
余談ですけどこの後シュラとナジェンダさんはブドーの雷喰らって説教されたとかされてないとか……。