糸使いちゃんの逆行物語   作:96ごま

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三獣士戦前編。原作軸に突入する前からちょっとずつちまちま書いてたやつを修正、微調整しただけなんで珍しく早めの投稿。
でも後編はふわっとした展開は考えてありつつもまだプロットすら完成してないので次の更新はまた来月以降になると思います。前後編に分けてるのに申し訳ありません……。

そして今回は久々のリネットさん視点……と思わせてのタツミ視点です←

リネ「は?」(キレ気味)


獣を斬る(前編)

広い海へと繋がる大運河を渡る豪華客船、竜船。その甲板で華やかな衣装を身に纏う富裕層の船客達に紛れて護衛任務を行う俺達は最初三人一緒に居たが、透明化が切れそうになった兄貴が隠れられそうな場所へ移動した為、今はリネットと二人きりだ。

 

しかし突如流れ始めた謎の演奏によって周囲の人間達が次々と倒れていき、気付けばリネットまで倒れ掛けていた。

 

「大丈夫かリネット!?しっかりしろ!」

 

「くっ…!耳を塞いでも聴こえるとは、かなり厄介だね…!となると他に対策は……」

 

既にフラついてる俺よりもこの演奏の効果を受けてしまっているのか、リネットの目がだんだんと虚ろになっていく。

 

突然の出来事に状況が呑み込めずに困惑してると、遂に敵が現れてしまった。

 

どこに隠れていたのか体格のある男がこちらに迫る。その大男は重圧感のある大きな斧を手にしており、そいつが例の偽者だと瞬時に理解した。

 

「てめぇが偽者のナイトレイドか」

 

「おっ、そっちは本物さんかい!こりゃあ良い」

 

そう言って奴は剣をこちらに投げ渡す。意図がわからず困惑していると、そいつは最強になる為に戦って経験値を得たいだなんてふざけた事を言いやがった。

 

リネットは催眠でほとんど動けず、兄貴も別行動中で不在。なら俺が一人でやるしかない。

 

「てめぇなんざ俺一人で充分だ!!」

 

「良いぜぇ、その威勢の良さ!すっげぇぶっ壊し甲斐がある!!」

 

先手必勝。男に躊躇なく走り出すと、そいつは斧を高く掲げ振り落としてきたので咄嗟に横に転がって躱す。

 

「っぶねぇ!!とんでもねぇ怪力だなこいつ…!当たったら即死じゃねぇか!」

 

「ほぉ、音にやられた身体でよく避けれたな。こりゃ益々良い経験値が取れそうだ!」

 

愉快にゲラゲラ笑う男は楽しそうにしているが、こっちは全然面白くない。自分の居た位置の床が抜けてるのを見てゾッとする。

 

あの威力はかすっただけでもただでは済まないだろう。だが兄貴やアカメに比べたら動きは遅い方だ。気を抜かない限りはフラつく身体でも辛うじて避けられる。

 

ただ問題はどうやってここから場所を変えるか。このままでは戦えない状態のリネットを巻き込んでしまう。

 

そう心配して彼の居た場所に目配せする。……が、彼はそこに居なかった。

 

「ッ!!?リネット!?」

 

まさか、と敵に視線を戻すと、動けなかった筈のリネットは大男に体当たりしていた。

 

「ああ!?なんだてめぇ!?(こいつ、気配もなく俺の背後を…!?それに催眠に掛ってた筈じゃ…!?)」

 

「タツミくん!僕が抑えてる内に斬るんだ!!長くは持たないから早く!」

 

いつだったか俺がマインに促した時のように全身で敵を拘束して抑えるリネット。よく見るとその左手の小指は可笑しな方向に曲がっており、自ら指を折った痛感で催眠状態から脱したと窺える。

 

男は当然抵抗し、彼を引き剥がそうともがき暴れる。俺の時よりも体格差があるだけでなく、危険な帝具を所持してる相手なのにも関わらず行動したリネットの勇気は相当なものだ。

 

彼の命掛けの勇姿に応えるべく雄叫びを上げながら敵へと突っ込んで行く。しかしあと一歩のところで、その男はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 

それを見て危険を察知した俺が反射的に後退すると、二挺に別けた斧の片割れがこちらに投げられ、回避し切れず脇腹に浅い傷を負ってしまった。

 

「チッ、勘が良いみてぇだな。焦ってる演技がバレたか」

 

「ぐあっ!!」

 

「リネット!!」

 

苦戦してたように見えた拘束を呆気なく解いた男がリネットを蹴り飛ばす。即席の作戦は通用しなかったどころか逆に利用されるところだった。

 

「もう終わりかぁ?だったら今度は俺の番だぜぇ!!」

 

「くっ…!逃げろリネット!!」

 

一番近くに居るリネットを狙って斧を振り上げる大男。仲間の危機に思わず叫ぶが、蹴り飛ばされたままの彼は何故か全く動こうとしない。

 

まさかまた催眠に掛かってしまったのでは?しかしそれは杞憂に終わる。

 

「ッ!!?」

 

リネットの不気味な微笑が、敵の動きを止めた。かと思えば、男はその手から武器を落とし、突然起きた自身の異常に困惑し始めた。

 

「な、なんだこれ…!?なんで身体に力が入らねぇんだ!?てめぇ、俺に何をしやがった!!?」

 

「ああ、やっと効果が出たみたいだね。でも安心して、僕は貴方に触っただけで特に何もしてないよ。ただ触って、その“身体の時間を速めただけ”さ」

 

「「!!?」」

 

可笑しな事は何もないと言いたげに微笑むリネットの言葉に、俺も敵も狼狽する。

 

「時間を、速めただと…?どういう事だてめぇ!一体どんな帝具を使いやがった!?」

 

「どんな帝具かって?良いよ、冥土の土産に教えてあげる。僕の帝具はこれ。秒針変動(びょうしんへんどう)『タイムリング』っていう時計の付いた指輪型の帝具なんだけどね、異名通り時計の針を進めたり戻したりするんだ」

 

タネ明かしをしようと起き上がったリネットが見せたのは、右手の人差し指に填められた銅の指輪。その指輪の中心には小さな時計が付いており、狂ったように現在も異様な速度で秒針が進んでいる。

 

「この秒針は触ったモノの時間を示してて、こんな風に直接触れたモノの時間を操れる。つまり、さっき僕が体当たりして抵抗された際にこっそり服の裾から素肌を触わった時点で貴方は歳をいくつも取り続け、武器すら持てなくなる程筋力も衰え始めて敗北が確定したのさ」

 

「時間を操るって……そんなの可能なのかよ!?」

 

「うん。遠い場所に瞬間移動する帝具も存在するくらいだしね、他にもこういうのがあっても多分可笑しくないんじゃないかな?因みに生き物の逆再生は出来ないから死人の蘇生は不可能だし、今更僕を殺しても貴方の残り少ない寿命は元に戻らないよ」

 

「こ、のっ……!」

 

シュラのシャンバラが空間転移に対して、リネットの帝具は対象の時間操作。帝具誕生から千年の刻を経ても人間には到底理解出来ない未知の領域を自在に操る二人の帝具は似て非なるものだが、どちらも対抗する術がない。

 

知らぬ間にリネットの術中に嵌まってしまった大男は有り得ない速さで痩せ細っていき、髪も白くなってハラハラと抜け落ちていく。筋肉質だった体格の良い身体は枯れるように失い、そいつはもう既に皺だらけのただの老人へと変わり果てていた。その異常過ぎる光景に、味方である筈の俺でさえ戦慄してしまう。

 

「ほら、もう随分痩せこけて醜い姿になっちゃったでしょ?今の貴方は急速な老化のせいで立つ事すら出来ないってわかる?まだ短い人生だったろうけど、身体だけは何十年も経って衰えていく感覚はどうだい?」

 

男をそんな姿にした犯人のリネットは憐れみの表情でその男を眺めながら問い掛ける。だが質問された男は座り込んだまま微動だにせず、一言も言葉を発さなくなっていた。

 

「あ、もしかして顎と舌もダメになってもう喋れない?ごめんね、これでも最速で時間を進めてるんだけど、じっくり苦しみながら殺されるのは辛いし屈辱的だよね……。ほんとは僕もこの殺し方好きじゃないんだ。だからせめて、一思いに止めを刺してあげるよ」

 

そう言ってせめてもの慈悲としてナイフを取り出したリネットが、無抵抗な老人と化した男の喉を躊躇なく斬る。多分、あのまま身体を腐らせて寿命が尽きるまで死を待つよりはマシな最期だっただろう。

 

「……これで一人目の討伐完了、っと。それじゃあタツミくん、敵はまだ複数潜んでるかもしれないから、早くブラートさんを探して合流しよっか」

 

「お、おう」

 

ふぅ、と緊張感を解くように詰まっていた息を吐いて、けれど慎重に兄貴との合流を促すリネット。先程まで別人のようだった彼が普段の調子に戻ったのを感じた俺も漸く震えが止まり、安堵で胸を撫で下ろす。

 

「……流石にタツミくんもさっきのは見てられなかったよね、怖がらせちゃってごめん。でも僕は昔から鍛えてる君達みたいな肉体的な強さを持ってないから、こういう殺り方をしないと生き残れないんだ。慣れてくれとは言わないけど、こんな僕を嫌わないでいてくれないかな…?」

 

「えっ?い、いや…確かにさっきのはちょっと怖いと思ったけど……だからってリネットを嫌ったりなんてしねぇよ。俺はお前が優しいのを知ってるし、人殺しを楽しむような奴じゃないってのもわかってる。だからもう気にすんなって」

 

おぞましい殺し方のせいで嫌われないかと怯えるリネットが俺に謝る必要はない。だってもし俺がその手段を使うとしたら、根っからの悪党には朽ち果てるまで犠牲者達の分も苦しめと言って慈悲を与えないでいるかもしれないから。リネットみたいにあんな敵にさえも同情出来る自信は俺にはない。

 

「……ありがとう。タツミくんもみんなと同じで優しいね。昨日は女の子とチェンジして欲しいなんて言っちゃってごめんよ。今回君と一緒に仕事が出来て良かった」

 

「ああ、俺もリネットの事がやっと少し知れた気がして嬉しいぜ。でも仕事はまだ終わってない。アジトに帰るまでが任務だ!」

 

「あははっ、それってアカメちゃんの受け売りかい?まだ暗殺者になったばかりのひよっこなのに、言うようになったねぇ」

 

と、リネットが笑ったその時。再び新たな敵影が現れた。

 

「「ッ!!」」

 

突如出現した人影は二つ。細身な長身の老紳士と、間逆に低身長の幼い子供。先程倒した大男と同じ格好をしているという事は、彼らもナイトレイドの偽者。俺達の敵だ。

 

だが油断している内に奇襲を仕掛けられた俺達は気付くのが遅れてしまい、二人同時に殺られると悟った。しかし、

 

「__待たせたな二人共ォォオーーッ!!!」

 

まるでヒーローのように参上した兄貴が、敵二人を吹き飛ばし俺らのピンチを救ってくれた。

 

「兄貴!!良かった、無事だったんだな!」

 

「ふっ、俺を誰だと思ってるんだタツミ?俺の熱いハートは催眠ごときに負けねぇよ!お前らこそ、俺が居ない間によく敵を一人倒したな!」

 

鎧の帝具、インクルシオを纏った兄貴はこちらに振り向き、グッと親指を立てて俺らを激励する。赤く滲んだ包帯を巻いた脚を見たところ、彼もリネットと同じような方法で催眠を解いたようだ。

 

「__流石は百人斬りのブラート……いや、正確には、百二十八人斬ったな」

 

「「「!!?」」」

 

安心していたのも束の間。兄貴に吹き飛ばされた筈の一人が全くダメージを受けてない様子で立ち上がり、俺達の元へ歩み寄ってくる。

しかも話を聞くとその老紳士は兄貴の兵士時代の元上司だったようで。彼が噂のエスデス将軍の部下だと名乗った今、感動する筈の再会が敵同士という最悪な形になってしまっていた。

 

しかしそんな中、空気を読まずにシリアスブレイクをしたのはリネットだった。

 

「……んん?そういやこの人、どっかで見た事あるような…?」

 

「…?」

 

「えっ、そうなのかリネット?」

 

「ちょっと待ってて下さい、今頑張って思い出してみます」

 

「ヤベェ状況なのに緊張感無さ過ぎないかあんたら!?悠長にそんなどうでも良い事考えてる場合じゃないだろ!!」

 

老紳士を見てうーんと唸るリネットと興味津々な兄貴に思わずツッコむ。だが老紳士はリネットに対して見覚えがない様子。

 

なんだ、リネットの見間違いか……と思いきや、

 

「……ああーっ!!?思い出した!この人数年前に本屋で偶然目が合ったSM系の百合漫画を手に取ってたおじさんだ!!」

 

「「…………は?」」

 

ハッとしたリネットが指を差してそう告げた直後、辺り全体が冷え切った気がした。

 

そして指を差された本人はというと、

 

「…………」

 

この通り否定も肯定もせずに無言である。

 

「ゆ、百合漫画…?リヴァ、あんたマジでそうなのか…!?」

 

「…………私が女性同士の恋愛物語が好きで何が悪い?」

 

悲報、兄貴の元上司が百合好きである事を認めました。

 

「くっ!一体いつからそんな趣味を…!あんたには見損なったぜ!」

 

「問題そこかよ兄貴!!?普通ここは帝国に加担してる事を重視するべきだろ!?」

 

「神聖な百合を侮辱するな愚か者ッ!!!全ての少女淑女は我が主、エスデス様のものだ!!」

 

「この人も何言ってんだ!!?これじゃあいつまでも収拾付かねぇ!助けてくれリネット!!」

 

「……ごめんタツミくん、僕そっちの人達に関わりたくないや」

 

「いやいやあんたの撒いた種だろ!?どうにかしろよ!!」

 

「無理」

 

「即答すんなっ!!!」

 

ダメだ、なんかすげぇカオスになってきた。俺もツッコミで叫び続けるだけで疲れ始めたぞ。マジでなんなんだこの状況…?

 

「いったた……んもう、なんかリヴァまで騒いじゃってるみたいだけど、早くこいつら仕留めないと……」

 

唯一会話を聞いてなかった様子の小柄な敵が、周囲の騒がしさに目を覚ました。

 

それにすぐさま気付いた俺は、笛を吹こうとしたそいつの動きをいち速く阻止する。するとその武器同士のぶつかり合った音を合図に、言い争っていた兄貴達も漸く戦いを再開させた。

 

「(あっちはブラートさんの元上司……将軍クラス相手じゃあ僕が行っても荷物になる。となると、これは帝具無しのタツミくんに加勢した方か良いね)助太刀するよタツミくん!」

 

「!!おう!助かるぜリネット!」

 

「はっ、一対二か。ま、雑魚が何匹増えようがこの僕には敵わないだろうけどねっ!」

 

三対二という戦況で小柄な敵と対峙してる俺に加勢するべきだと判断したリネットが、俺に続いてその少年にダガーを振るう。だが俺達の攻撃は全て躱され、とても負傷してるようには思えないほどそいつは素早かった。

 

「流石あの噂のエスデス将軍直属の帝具使い……ラバから聞いてた通り、かなり強いね…!」

 

「ラバ…?…!!お前、まさかあの女の…!?」

 

反撃に応戦しながら思わず言葉を溢したリネット。するとラバの名前を聞いた少年が、その表情に怒りや憎しみといったような激情を露にする。

 

「こいつ、ラバを知ってるのか…?」

 

「知ってるもなにも、あいつは生意気にも僕らのエスデス様に好かれていた癖に、その想いを何度も踏みにじったからね!死んだって聞いた時は清々したしエスデス様も興味を失せてくれたけど、あの女に似てるお前の顔を見てたらまた苛々してきた…!お前だけは絶対に殺してやる!!」

 

素朴な疑問を口にしたら、そいつは逆恨みに等しいラバへの憎しみを吐き捨てた。リネットに関しては完全にとばっちりだ。

 

「えぇー…これってもしかしなくても僕狙いかい…?僕、タツミくんのフォローに徹するつもりだったんだけど……」

 

「ごちゃごちゃ五月蝉いなぁ!!お前は黙って僕に殺されちゃえ!!」

 

「そうはさせるかよ!!」

 

面倒臭そうな態度を取るリネットに、敵が問答無用に攻撃を仕掛けてきたので今度は俺が庇う形で彼を援護する。

 

「タツミくんナイス!って、うわぁ!!?あっち凄い事になってる!?」

 

「え?…うおぉっ!!?マジだ!?」

 

驚愕するリネットに釣られて視線を兄貴達の方向へと向けると、そこには兄貴とデカい水の竜に乗ってる老紳士のおっさんが睨み合っている姿が。俺ら二人と対峙してた少年も思わずそっちを見て驚いていた。

 

「あはっ、水が豊富な所ならリヴァが勝つね!」

 

「へっ、兄貴が勝つに決まってるぜ!」

 

「リヴァだね!!」

 

「兄貴だね!!」

 

ぐぎぎ、とお互い歯軋りしながら交えた武器に体重を掛け、どちらが勝つか言い争う。その隙にリネットが少年の顔に手を伸ばそうとする……が、

 

「僕の顔はただでは触らせないよっ!!」

 

「チッ!バレたか!」

 

最初から彼の目的を見抜いていたかのように身体を逸らし、そのまま後退して距離を置く少年。するとそいつは笛を構え、再び演奏を始めようとしていた。

 

「しまった!止めねぇと…!」

 

「っ!タツミくん待っ……」

 

演奏を阻止するべく少年に飛び込もうとした瞬間、ふとリネットの声が途絶える。

 

それがなんだか不審に感じ、咄嗟に足を止めて振り返ってみると……直前までそこに居た筈のリネットが、どこにも居なかった。

 

「リネット…?おい、どこ行ったんだよ!?どこに居るんだリネット!?」

 

何が起きたのかわからず混乱していると、背後で少年が面白可笑しそうにケラケラ笑い始めた。

 

「あっはは!まず一人脱落ー!あのお兄さん、リヴァの不意討ちで面白いくらい呆気なく海に落っこちちゃったね!僕が殺したかったのに残念~!あれじゃもう死んじゃってるだろうね!」

 

「嘘、だろ…?リネットが、海に…?」

 

少年の言葉に一瞬唖然としてから、ハッとなって慌てて海を覗きに行く。

 

だがそこに映っているのは揺れる水面だけ。リネットの姿なんてどこにもなかった。

 

「リヴァてめぇ…!俺に攻撃を当てるフリをして、本当は最初からリネットを…!!」

 

「ああそうだ。気付くのが一足遅かったなブラート」

 

心底悔しそうに血が滲むまで拳を握り締める兄貴に、老紳士は静かに、淡々と答える。

 

「先程あの青年がダイダラを殺したのは我々もこの目で見ていてな。肌に触れただけで身体を腐らせる帝具を扱う彼は、お前達の中で一番の脅威だと感じた。だから先に排除させた貰ったまでだ。さぁ、今度こそ次はお前の番だ、ブラート!」

 

「……ああ良いぜ、受けて立つ。リネットの仇は、この俺が必ず討つ!!」

 

憤怒に身を震わせる兄貴が、老紳士の挑発に乗って再び槍を構える。

 

かく言う俺も、仲間の命を奪われた怒りに燃えて少年へと向き直す。

 

「わぁ~、こっわい顔~。もしかして仲間を殺された復讐心に燃えちゃってる感じ?でも僕そういう熱苦しいの嫌いなんだよねぇ~」

 

「黙れ外道が。てめぇらだけは絶対に許さねぇ…!!」

 

さぁ、第三ラウンドの始まりだ。

 




リネ「……?……?」(思考停止中)

じゃあなリネット兄さん、お前の事は忘れない(無慈悲)

ラバ「まさかのここで兄さん退場かよ……。もう出番がないだなんて可哀想に」(憐れみの目)

リネ「オリキャラは動かし易くて便利とか言ってた癖に…!この嘘付きめ!!!」(血涙)

所詮お前は舞台装置に過ぎないからな、用がなくなったから兄貴の身代りになって貰ったまでよ((
前書き読んでればわかると思うがこの展開はナイトレイド編に入る前から決まってたんだ。さぁ脇役はさっさと舞台から降りなさい(クズ)

ラバ「てかやっと兄さんの帝具が判明したのに一回使っただけでもう切り捨てちまうのな。もったいねぇ。これからどうすんの?」

はい、オリ帝具はもちろん逆行に因んでの時間操作系です。腕時計ならぬ指時計(?)。リネットさんの設定作りと同時に考えてたオリ帝具なのにもったいないけどヘカトンケイル含めそれの処理も色々考えねばと只今思案中。

そして今後ここに登場する兄さんは天の声()となります。文字通り天に召されたからね((

シュラ「チッ、やっと邪魔者が消えたと思ったのにまだここに居座るつもりかよこいつ」

リネ「そういや君の服って露出多いよね」

シュラ「しれっと帝具填めた手で俺に触ろうとすんな」

ラバ「うわ、ダンナを道連れにする気満々じゃんこの人。死人怖っ」(←前世で一度死んでる人)

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