榊遊矢(手札2枚)、不動遊星(手札2枚)、遊城十代(手札1枚)
LP:838
場:《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》ATK2500、《EMキングベアー》 DEF1000、《EMチアモール》ATK600、
伏せカード1枚
Pゾーン:《EMオッドアイズ・ユニコーン》(スケール8)、《EMドラミングコング》(スケール2)
覇王龍ごとライフを0にすること。これこそが《覇王龍パラドックス》の対処法。
攻撃力の上昇を得意とするエンタメイトならではの戦い方にオッドアイズのダメージ倍加。両方がなければ勝てなかっただろう。
ガクン
急な浮遊感に襲われる遊矢たち。
パラドックスを失ったことで重力に地面が落ちていく。
「何とか脱出しよう!乗ってくれ」
遊星は十代と遊矢をDホイールに乗せ、エンジンをかける。
「遊星、どうするんだ」
「このまま飛びます!」
「飛ぶって・・・え?!」
普通に考えてバイクは空を飛ばない。
Dホイールのタイヤから赤い光を放ち、宙を舞う。
「すげぇ」
「降下します」
パラドックスが墜落したと思われる地面に降り立つと頭上から遊馬の声が聞こえてきた。
「みんなー、無事かぁー」
頭上から声。白銀の戦士が降下する。
「遊戯さん、終わったんですか?」
「うん、それから彼女も」
視線の先には凌牙に抱えられている少女の姿。
「ナッシュ、みなさん。すみません。私がカオスを集めたばかりにこんな事を」
イリスを救出し、パラドックスを倒した。
後は帰るだけ―――――、
―――――のはずだった。
「フ。ドンサウザンドは力を失ったか。これで、私に並び立つ者はいなくなる」
「パラドックス?!ライフが0になったはずじゃ!」
「私はライフが0になるとき、デッキのカードを発動していた。このカードは《覇王龍パラドックス》が戦闘で破壊され、自分のライフが0になる場合、その戦闘ダメージを0にし、ライフを4000にしたのだ」
パラドックスLP3400→4000
突如、強烈な風が吹きすさび、パラドックスの姿を露わにした。
「そして私は究極の存在、《覇王無限龍ディバニティ・トゥルース》となったのだ!」
《覇王無限龍ディバニティ・トゥルース》レベル12 ATK5000
それは漆黒を塗り重ねたような光さえ飲み込むほど真っ黒なドラゴン。
「私の前ではあらゆるものが無力になる。私以外のフィールド上のモンスターの攻撃力は0になる。更に私はダメージを受けず、三幻神と同等の耐性を得る!」
「三幻神と同等の耐性だって!」
《覇王無限龍ディバニティ・トゥルース》
レベル12/闇属性/ドラゴン族・特殊召喚・効果/ATK5000/DEF5000
このカードは通常召喚できず、「覇王龍パラドックス」が自分モンスターゾーンを離れて自分のライフが0になる場合、自分のライフを4000にすることで手札またはデッキから特殊召喚できる。
①:このカードがフィールド上に存在する場合、このカード以外のフィールド上のモンスターは攻撃力と守備力は0になり、自分はダメージを受けない。
②:このカードがモンスターに攻撃した時、300ダメージを与えて、続けて他のモンスターに攻撃できる。
③:このカードは戦闘またはカードの効果で破壊されず、他のカードの効果を1ターンのみ受けつける。
(オリカ)
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》ATK6100→0
《EMキングベアー》DEF1000→0
《EMチアモール》ATK600→0
「まずい、俺は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《EMチアモール》を融合!融合召喚!出でよ!野獣の眼まなこ光りし獰猛なる龍!レベル8!《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》(DEF2000→0)!ターンエンド!」
「ドロー!フハハハハハ!私の時代が今始まるのだ!《覇王無限龍ディバニティ・トゥルース》は全てのモンスターに攻撃できる!更に攻撃する度に300ポイントのダメージを与える!」
翼から無数の黒い光が遊矢たちに突き刺さる!
十代・遊星・遊矢LP838→538→238
「うわぁぁぁぁぁ!」
「フハハハハハ。カードを1枚セットしてターンを終了する!」
―――――
「俺のターン、ドロー!パラドックス!今こそ決着をつけよう!マジックカード《逆境の宝札》を発動!デッキからカードを2枚ドロー!」
《逆境の宝札》
通常魔法
相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在し、 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
(アニメオリカ)
これで手札は3枚。遊星の脳裏に幾つもの展開パターンが浮かぶ。時間稼ぎなら何とか可能だが、敗北の可能性が高い。もし展開後に、あのカードを引く事ができれば勝機はある。ここは直感を信じる!
「手札からチューナーモンスター《アンノウン・シンクロン》(レベル1)を自身の効果で特殊召喚。チューナーモンスター《ジャンク・シンクロン》(レベル3)を召喚。その効果で墓地からチューナーモンスター《ジャンク・アンカー》(レベル2)を特殊召喚。墓地からモンスターが特殊召喚されたことで手札から《ドッペル・ウォリアー》(レベル2)を特殊召喚!」
怒涛の展開で一気にモンスターを4体並べる。
遊星のコンボはここからが真骨頂。
「レベル3チューナーモンスター《ジャンク・シンクロン》でレベル2《ドッペル・ウォリアー》をチューニング!集いし思いが更なる加速を呼び起こす!光指す道となれ!シンクロ召喚!シンクロチューナー!《アクセル・シンクロン》(レベル5)!」
シンクロチューナー、更なるシンクロ召喚の足掛かりにして、アクセルシンクロへと至るキーカード。
「墓地に送られた《ドッペル・ウォリアー》の効果でドッペル・トークン(レベル1)を2体特殊召喚する」
2体の小人の兵隊が降り立つ。
「《アクセル・シンクロン》の効果を発動!デッキから「シンクロン」モンスターを墓地に送ることでレベルを増減させる。俺はレベル2の《ニトロ・シンクロン》を墓地に送り、《アクセル・シンクロン》のレベルを2つ上げ、レベル7に!」
《アクセル・シンクロン》レベル5→7
「レベル7となったシンクロチューナー《アクセル・シンクロン》でレベル1のドッペル・トークンをチューニング!集いし願いが新たに輝く星となる。光さす道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ!《スターダスト・ドラゴン》!」
《スターダスト・ドラゴン》レベル8 ATK2500→0
遊星のエースモンスター、《スターダスト・ドラゴン》。
弱体化しているが、主を護ろうと雄々しく咆哮する。
「レベル1チューナーモンスター《アンノウン・シンクロン》でレベル1のドッペル・トークンをチューニング!集いし願いが新たな速度の地平へ誘う。光さす道となれ!シンクロ召喚!希望の力、シンクロチューナー!《フォーミュラ・シンクロン》!」
これこそが不動遊星の代名詞、高速シンクロ。
「いくら展開しても無駄だ!例えアクセルシンクロをしようともな」
場にはシンクロチューナーの《フォーミュラ・シンクロン》とシンクロモンスターの《スターダスト・ドラゴン》。アクセルシンクロ体である《シューティング・スター・ドラゴン》の召喚条件は揃っている。
「今回はアクセルシンクロは行わない。《フォーミュラ・シンクロン》の効果を発動。このカードがシンクロ召喚に成功したため、デッキからカードを1枚ドロー!」
このドローに懸ける!
「来たか!俺はレベル2のチューナーモンスター《ジャンク・アンカー》でレベル8の《スターダスト・ドラゴン》をチューニング!」
2つの緑のリングが《スターダスト・ドラゴン》を包みこみ、8つの星が現れる。
「集いし願いが新たな時空の扉を開く!光さす道となれ!シンクロ召喚!」
前方に光の柱が伸び、細長い硝子の四肢が露になる。
「現出せよ!《時械神祖ヴルガータ》!」
《時械神祖ヴルガータ》レベル10 ATK0
「時械神・・・だとぉ!それはゾーンの!何故貴様が!」
しかもシンクロモンスターになっているだと!
困惑し驚愕するパラドックスに遊星は答える。
「《時械神祖ヴルガータ》、このカードはカオスの現象の調査の際、偶然入手したものだ」
遊星はその時のことを思い返す。
「あの時、俺はカオスの中心地に行くためにアクセルシンクロを応用してたどり着けないか、実験していた」
「《時械神祖ヴルガータ》はアクセルシンクロで空間を越えた先の神殿にあった」
奥へ進んだ壁は凸に11個、ブロックが浮き出ていて、中央に1枚のカードが祭られていた。
「カードを手に取った時、ゾーンの思いが流れ込んできた。ゾーンはお前が1人で背負い、逸ったことをしないか心配していた。我々は未来を救うための同士。ともに進まなければならない、と」
「ぬぅう・・・」
「《時械神祖ヴルガータ》で《覇王無限龍ディバニティ・トゥルース》を攻撃!ヴルガータは破壊されず、戦闘ダメージは発生しない!」
「時械神の効果の発動を狙うか。だが、私は三幻神と同等の耐性を持ち、ダメージを受けない!」
「《時械神祖ヴルガータ》は攻撃終了時、相手フィールド上の全てのモンスターをエンドフェイズまでゲームから除外する」
「何だとぉおおお!」
《時械神祖ヴルガータ》
レベル10/闇属性/天使族・シンクロ・効果/ATK0/DEF0
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードは戦闘・効果では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
(2):このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。ターン終了時まで相手フィールドのカードを全て除外する。
(漫画オリカ)
「パラドックス!お前の心の鎧を引き剥がす!」
機械仕掛けの神が光を放つと、黒い巨大なドラゴンは霧散し、パラドックスは元の姿に戻る。
「私の神たる力が・・・!だが攻撃はこれまでだ!」
その両手を見て何の力も持っていないことに驚くが、一時的なものと自分に言い聞かせる。
「まだだ!手札から速攻魔法《リミットオーバードライブ》を発動!場のシンクロモンスター同士でシンクロする!」
「何ぃ!」
遊星はDホイールのアクセルを踏み、天へと加速する。
「トップクリアマインド!レベル2シンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》とシンクロモンスター レベル10《時械神祖ヴルガータ》でチューニング!」
黄金の輝きが遊星を包む。
「光指す道となれ!リミットオーバードライブ!招来せよ!《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》!」
《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》レベル12 ATK4000
「不動遊星の最強の切り札!《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》!」
パラドックスの世界では伝説のモンスター。
その輝きはゾーンと会った頃を思い出す。
「《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》で、パラドックスにダイレクトアタック!」
躰を蒼く輝かせ、飛翔する。
そうだ、あの光に私は救われた。
パラドックスLP4000→0
「パラドックス、大丈夫か・・・!」
吹き飛ばされたパラドックスに向かう。
「不動遊星。私は間違えていたのか・・・」
パラドックスは上半身がちぎれ、切断面からコード類がのぞく。
あの時を思い出す。
1人だけ生き残り、辺りはがれきしかない。
虚無感に支配され、黒いものが渦巻く。
その時に見たのがあの、青いドラゴン。
あれを見て、近くまで行けば生き残れると希望を持った。
「パラドックス・・・」
「《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》を見て思い出した。世界が滅びたあの時、私は見たのだ。その青い輝きを」
「パラドックス、人は間違えてしまう。間違えても正しくあろうと努力することがより良い世界を作っていくことにつながるんじゃないかと思う。全てが管理された世界ではそれもできない」
ズァークとしてしてきた罪を償い、二度と同じようなことにならないようにすることはみんなを笑顔にすることとともに遊矢が誓っていること。
「榊遊矢・・・。ああ、思い出した。君たちのように希望を求めていたのだな」
バキッ・・・バキバキ
「空間が・・・!」
「私が敗北したことで、この空間は崩壊する。その前に君達を外に送ろう」
「パラドックス、お前・・・!」
パラドックスを中心に斥力が広がり、デュエリスト達はこの空間から弾き飛ばされた。
「パラドックスー!」
「さらばだ。歴戦のデュエリスト達よ」
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「行ったか」
活動限界時間も後僅か。目を閉じる。
ゾーン、アンチノミー、アポリア。私は既に君達に救われていたのだな。
本当に長い道のりだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
明日、18:00にエピローグを投稿したいと思います。
評価をいただけると嬉しいです。