遊戯王 超融合 時空を越えた絆Ⅱ   作:ミスタータイムマン

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Scene16 希望の先

武藤遊戯(手札2枚)、九十九遊馬&アストラル(手札3枚)、神代凌牙(手札3枚)

LP:1000

場:なし

 

 

 

イリス=ドンサウザンド

LP:4000

手札:0枚

場:《CiNo.∞ 極妃神 マハーパリニルヴァーナ・ロータス》ATK0 ORU1、伏せカード1枚

 

 

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

はぁはぁと荒い息を吐きながらカードを引く。記憶の混乱に頭は痛み、立つのもやっと。

マハーパリニルヴァーナ・ロータスが召喚されてからイリスが纏うカオスが顕在化して強くなってきたように思う。

このカオスを取り除けば、イリスは元に戻るのではないか。希望の光明が見えてきた。

だが、その前に聞いておくことが1つある。

 

「イリス。生前のお前はカオスに支配されているように思えなかった。いつからドンサウザンドの干渉があったんだ?」

 

「それを聞いて何になるの?まあいいわ。あなたの死の直前よ、ナッシュ。デュエルを続けなさい」

 

 

 

「っ!《ダブルフィン・シャーク》(レベル4 ATK1200→800)を召喚。その効果で墓地から《セイバー・シャーク》(レベル4 ATK1600→1200)を特殊召喚。手札から速攻魔法《地獄の暴走召喚》を発動。デッキから現れろ、2体の《セイバー・シャーク》!」

 

一気に4体の鮫軍団が現れた。

 

「流石、シャーク。《強者の苦痛》をうまく利用したぜ」

 

《セイバー・シャーク》はレベル変更効果を持っている。柔軟なエクシーズ召喚が可能。

マハーパリニルヴァーナ・ロータスと戦闘を行った瞬間に敗北。

これを潜り抜けてみせる。

 

 

「《セイバー・シャーク》2体の効果を発動。効果を無効にした《セイバー・シャーク》と《ダブルフィン・シャーク》のレベルを3に、2体の《セイバー・シャーク》のレベルを5に変更する」

 

「レベル5となった《セイバー・シャーク》と2体でオーバーレイ!レベル5モンスター2体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!海を切り裂け!猛々しき鮫の巣よ!現れろ!《シャーク・フォートレス》(ランク5 ATK2400)!」

 

連続攻撃能力を与える能力を持つサメ型の戦艦が現れる。

 

「レベル3となった《セイバー・シャーク》と《ダブルフィンシャーク》でオーバーレイ!レベル3モンスター2体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ!《No.47ナイトメア・シャーク》(ランク3 DEF2000)!」

 

次に現れたのはサメの半魚人のナンバーズ。

アストラルから相性が良いナンバーズとして受け取った1枚だ。

 

「そんなもので何ができるというの?」

 

「《シャーク・フォートレス》の効果を発動。このターン、このカードは2回攻撃できる。更にナイトメア・シャークのオーバーレイユニットを1つ取り除き、効果を発動。『ダイレクトエフェクト』!このターン、《シャーク・フォートレス》は相手に直接攻撃できる!」

 

「これはまさか!」

 

目を見開くイリス。

 

「そうだ!ダイレクトアタックなら、2600の2回攻撃。5200のダメージだ!これならばマハーパリニルヴァーナ・ロータスの効果を受けない!行けっ《シャーク・フォートレス》!ダイレクトアタックだ!『メイヘムミサイル』!」

 

鮫型空母のハッチが開き、ミサイルが無数に射出される。

狙いはイリス。

 

 

イリスLP4000→1600

 

 

「確かにそれなら影響を受けないわね。その程度、対策してなかったと思う?リバースカードオープン!永続トラップ《千年妃の間》を発動!自分がダメージを受けた場合、ライフを4000にする」

 

 

《千年王妃の間》

永続罠

①:自分が相手によってダメージを受けた場合、自分のライフポイントを4000にする。

②:このカードは1ターンに1度、相手のカードの効果を受けない。

③:自分はモンスターを召喚・特殊召喚できず、ドローフェイズ以外でカードをドローできない。

(オリカ)

 

 

 

天井が高い豪華な水色を基調にした部屋が広がった。

 

 

イリスLP1600→4000

 

 

「これは、新生ポセイドン王国の・・・」

 

 

「そう、これは私達が晩年を過ごした部屋、思い出した?」

 

「ああ、思い出した。病床に臥せた俺はこの部屋のベットで横たわっていた。この部屋は気温が一定であの時の俺には都合がよかった」

 

「その通りよ。あなたの死の直前、私はあなたの枕元に行った」

 

「そうだ、イリスは俺の胸元に手を置いて・・・」

 

彼女の手の中にあったのは・・・、

 

 

 

《No.101 S・H・Arc Knight》 

 

 

 

あの時のイリスの顔には凶器を湛えた笑みが広がっていた。今までのイリスからは考えられない表情に愕然となり、そして・・・。

やはり、俺をバリアンにしたのはイリス。

凌牙にとっては認めたくない事実に思わずゴホッゴホッと咳き込む。

 

「カードを2枚セットして、ターンエンド」

 

 

―――――

 

 

残る手札は2枚。遊馬が持つあのカードなら対抗できる筈だ。遊馬、頼んだぜ。

 

「私のターン、ドロー。マハーパリニルヴァーナ・ロータスで、ナイトメア・シャークを攻撃『スターリーヘヴン』!」

 

再び崩壊の波動が迫る。

 

「墓地の《超電磁タートル》の効果を発動し、バトルフェイズを終了させる!」

 

遊戯が《ホーリーライフ・バリア》の手札コストとして、墓地に送ったカード。

電磁シールドが空間の崩壊を食い止めた。

 

「まだ耐えるというの?!カードを1枚セットして、ターンエンド」

 

 

―――――

 

武藤遊戯(手札2枚)、九十九遊馬&アストラル(手札3枚)、神代凌牙(手札3枚)

LP:1000

場:なし

 

 

 

イリス=ドンサウザンド

LP:4000

手札:0枚

場:《CiNo.∞ 極妃神 マハーパリニルヴァーナ・ロータス》ATK0 ORU1、《千年王妃の間》、セットカード1枚

 

 

―――――

 

 

次は遊馬のターン。

遊馬は毅然とイリスを見据える。

 

「なぁ、イリス。お前、本当はシャークといたいだけなんじゃないのか?」

 

「遊馬?!」

 

「シャーク、私もその可能性を考えていた。彼女はドンサウザンドの分身だ。しかし《千年妃の間》、あれは生前の記憶を基にしたカード。その効果はプレイヤーを不死身にする事だ。つまり、彼女はカードに表れる程、君に生きて欲しかったという事ではないか」

 

「違う。私はドンサウザンド!私の目的は、あなた達を倒し、アストラルからヌメロンコードを手に入れること!」

 

被りを振って必死に否定するイリス。

 

「お前はドンサウザンドだけどシャークとの絆がある筈だ!お前とシャークが過ごした日々に嘘はない筈だ!俺達はその絆を引き出してみせる!アストラル!ZEXALだ!」

 

「ああ、遊馬!」

 

遊馬とアストラルは互いに示しあう。

 

 

 

「「俺と私でオーバーレイ!!!」

 

遊馬とアストラルは赤と青の光となって天に昇る。

 

「「()達、二人でオーバーレイ・ネットワークを再構築!遠き魂が交わる時、語り継ぐべき力が現れる!!エクシーズ・チェンジ!ゼアル(ZEXAL)!!」」

 

 

 

かつての宿敵の真の姿に苦々しい表情のイリス。

 

 

「デュエリストが合体した・・・?!」

 

これまで非現実的な出来事を幾つも経験してきた遊戯だったが、流石にデュエリスト同士が合体して変身する事に唖然とするしかなかった。

 

「「遊戯さん、これが()の真の力、ゼアルです」」

 

「う、うん。スゴいね。遊馬君、アストラル君」

 

 

 

「「()のターン!最強デュエリストのデュエルは全ては必然!ドローカードさえも、デュエリストが創造する!全ての光よ!力よ!我が右腕に宿り、希望の光を照らせ!」」

 

デッキトップが光り輝く、ゼアルの代名詞。

 

 

 

「「シャイニング・ドロー!!」」

 

 

引いたカードの光の軌跡はまさに希望の光。

 

 

 

「「勝利の方程式は全て揃った。まずはマジックカード《死者蘇生》を発動。甦れ!《ブラック・マジシャン》(レベル7 ATK2500→1800)!」」

 

黒き魔術師は大地に光の粒子が舞い、再び現れる。

 

 

「「()は手札を2枚捨て、セットしたカード、《魔法石の採掘》を発動。墓地から《ブラック・スパイラル・フォースⅡ》を手札に加える!」」

 

「「《ゴゴゴジャイアント》を召喚。効果により、墓地から《ゴゴゴゴーレム》を特殊召喚!」」

 

2体の巨像がゼアルの左右に現れた。

 

 

「「レベル4の《ゴゴゴジャイアント》と《ゴゴゴゴーレム》でオーバーレイ!レベル4のモンスター2体でオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!現れろ! 《No.39 希望皇ホープ》(ランク4 ATK2500)!」」

 

白銀の鎧を纏う白き戦士、遊馬のエースモンスター、希望皇ホープ。その真の力はランクアップにある。

 

 

 

「「かっとビングだ、()!《RUMアストラル・フォース》を発動!」」

 

これこそが遊馬達の切り札。シャイニングドローで呼び込んだカード。

 

 

 

しかし―――、

 

 

「させない!リバースカードオープン!《フォースフィールド》!対象をとる魔法カードの効果を無効にする!」

 

《フォースフィールド》は汎用性が低いカードだが、対象をとるランクアップマジックに対してカウンターになる。

 

 

「イリス!俺は諦めねぇ。ゼアル、最後のリバースカードだ!」

 

イリスに手を伸ばす凌牙。

 

 

 

「「ああ、カウンタートラップ発動!《神の宣告》!ライフを半分払い《フォースフィールド》を無効にするぜ」」

 

 

遊戯・ゼアル・凌牙LP1000→500

 

 

うっと、呻くイリス。

 

 

「「《No.39 希望皇ホープ》でオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップエクシーズチェンジ!限界を超え、その手に希望をつかめ!!!現れろ!!希望の星!《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》!」」

 

 

《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》

ランク6/光属性/戦士族/ATK3000/DEF2500

レベル6モンスター×2

このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。 このカードが自分フィールド上に存在する限り、 自分フィールド上に存在するカードは相手のカードの効果を受けない。 このカードが「No.39 希望皇ホープ」をランクアップして エクシーズ召喚に成功した場合、以下の効果を得る。 ●自分のバトルフェイズの間だけ、相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力は0になる。 ●このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。 自分フィールド上に存在するモンスターエクシーズ1体をゲームから除外する。 その後、自分の墓地から「No.39 希望皇ホープ」1体を特殊召喚し、 自分はその攻撃力の半分のライフポイントを回復する。 (この効果はお互いのバトルフェイズ中に発動する事ができる)

(アニメオリカ)

 

 

ビヨンド・ザ・ホープ、ホープの最強進化形態。2つの強力な攻防の能力が最強足らしめる。1つは相手フィールドのモンスターの攻撃力を0にする能力。そして、もう1つは・・・。

 

「「ビヨンド・ザ・ホープが存在する限り、自分フィールド上のカードは相手のカードの効果を受けない!」」

 

これこそが、イリスが警戒していた能力。絶対耐性。三幻神を上回る圧倒的な防御性能。

 

これはメッセージ。どんな力で傷つけようとも、俺達が受け止めてみせるという。

 

 

「《千年妃の間》はライフを即座に回復してしまう強力なカードだけど一度に4000以上のダメージには耐えられない。今だよ!」

 

「はい、遊戯さん。《ブラック・スパイラル・フォースⅡ》を発動。ビヨンド・ザ・ホープの攻撃力は2倍になる!」

 

 

《ブラック・スパイラル・フォースⅡ》

速攻魔法

自分フィールド上に「ブラック・マジシャン」が表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。

「ブラック・マジシャン」以外の自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して、

エンドフェイズ時までその攻撃力を倍にする。

このカードを発動するターン自分の「ブラック・マジシャン」は攻撃する事ができない。

(オリカ)

 

 

ブラック・マジシャンのロッドから螺旋の輝きがビヨンド・ザ・ホープを包みこむ。

 

 

 

《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ATK3000→6000

 

 

 

「攻撃力6000!」

 

 

「バトルだ!《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》で《CiNo.∞ 極妃神 マハーパリニルヴァーナ・ロータス》を攻撃!『ビヨンド・ザ・ホープ剣スラッシュ』!」

 

「甘いわ!《CiNo.∞ 極妃神 マハーパリニルヴァーナ・ロータス》の効果ダメージの方が先に発動する!10万ポイントのダメージを受けなさい!」

 

 

ゼアルの手札は0枚、伏せカードもない。最後の勝負に勝利したとイリスは思った。だが同時にナッシュと過ごしてきた日々が走馬灯のように頭によぎる。

 

 

イリスが知らないカードが1枚だけ墓地にある。

 

「「俺は墓地の《プリベントマト》の効果を発動!このターン受ける効果ダメージを0にする!」」

 

どんなに拒絶されようとも手を伸ばす。それが九十九遊馬。

 

 

「「イリス、シャーク達と帰ろう!行けホープ!」」

 

 

ビヨンド・ザ・ホープがマハーパリニルヴァーナ・ロータスを爪で切り裂かれた。

光が爆発し、空間のカオスを吹き飛ばした。

 

 

 

イリスLP4000→0

 

 

 

衝撃にあおられ、イリスは後方に倒れこむ。

姿も元の少女の状態に戻っている。

 

 

「イリス!」

 

「ナッシュ・・・。離れて、私はドンサウザンド、あなたをずっと騙してきた」

 

駆け寄り、抱きしめる。

 

「いいや、離さねぇ。どれだけ拒絶しようとも手を伸ばす。ドンサウザンドなんて関係ねぇ。イリスは俺の大切な仲間だ」

 

「どうして・・・」

 

ゼアルをちらりと見てから答える。

 

「遊馬から教えてもらった。どんなことがあっても手を差し伸べる、なにがあってもあきらめない、かっとビングってやつさ」

 

「かっとビング・・・」

 

イリスの胸に温かいものがあふれていく。

 

「そうだ!かっとビングだぜ、イリス」

 

ゼアルから元に戻った遊馬は歩み寄る。

 

「そういうことだ。イリス=ドンサウザンド、君はバリアン世界とは関係なく好きに生きるといい」

 

「アストラル・・・。みんな、私はここにいていいのかな?」

 

「もちろんだぜ」

 

「一件落着だね。さあ、早く戻ろう」

 

 

遊戯が言った直後―――、

 

 

ガクン!

 

 

「落ちるぞ!」

 

十代達の方を見ると、巨大な竜が地面に落ちていくのが見えた。

 

「脱出しよう!頼んだぜホープ!」

 

白銀の戦士の背に乗り込み地上へと降下していった。




書いてから《ブラック・スパイラル・フォース》がトラップカードに気づいた模様。

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