イタチが中忍選抜試験に10歳で合格した。しかも単独参加で。
勿論そうなるのは知ってはいたけどさ、異常だわ。一応原作よりは木の葉の下忍は強くなった筈だが、それでもイタチは彼等に遥かに勝る。やっぱイタチってすげーよ!!
…ただ、ここで一つ懸念がある。そう、うちはクーデターを防いだ今、うちはイタチはどのように生きていくのだろうか?ということだ。
きっとこのまま時が流れれば、直ぐに実力を認められて上忍に昇格し、木の葉の里に更に尽くしてくれることになるだろう。
しかし、原作のイタチの苦労人人生を知っている俺からすると、もう少し他人との繋がりを感じながら、幸せになって欲しいなと感じてしまう。これは単なる俺のエゴかもしれないが、里の将来を見据えた火影からすると、もしイタチの忍としての哲学を共有し、継承する者が続けば、それは大きな木の葉の財産になると思ってもいる。
いずれにせよ、後の木の葉崩し、暁襲来、忍界大戦に備えた木の葉の戦力強化のためにはイタチをどう登用するかは大きな鍵となることは間違いない。彼はそれ程の逸材なのだ。
「お呼びですか、火影様」
「うむ、イタチよ。中忍昇格おめでとう。流石といったところか」
「ありがとうございます。ですが大したことではないです」
「まあそう謙遜なさるな。儂がイタチを呼んだのは、お主に重要な任務を任せるためだ」
「…任務ですか?」
「そうじゃ。うちはイタチ、お主を儂直属の暗部に任命する。そして、うずまきナルトの監視を命ずる」
「俺が暗部…ですか?」
「まあそう硬くなるな。監視というのは名目じゃ。今は儂の分身がナルトの世話をしているのじゃがな、儂もこの歳じゃ。そろそろ分身を維持するのもちとキツくなっての。そこでお主にその役目を頼みたいのだ」
勿論こんなのは口実作りに過ぎない。分身の1体や2体の維持なら問題なくできる。
「勿論、丸一日世話をするという訳ではない。ナルトも4歳、あと2年でアカデミーに入る。それまで一日辺り3〜4時間程一緒にいてやって欲しいのじゃ。他にも暗部としての任務は入れるが、部隊長にもこの件は伝えておくからあまり負担のある任務には割り当てないつもりだ」
「そういうことですか。分かりました」
「先程も言ったが任務とは名目、実際は儂の個人的な頼みじゃ」
「何が仰りたいのです?」
「お主にも弟がおるのじゃろう、ナルトと同い歳の。ナルトも友達がいなく、寂しい思いをしてるからの。偶には連れてきてやってくれ」
「サスケですか…まあ時機を見てやってみます」
これで兄弟の時間も無理やり作ることが出来るかな。暗部はかなりのブラックだからね…。
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ドアを叩く音がする。
「入れ」
「三代目。お呼びですかね?」
「うむ。面を取って良いぞカカシ」
「はい。急にどうしたんですか?」
俺はイタチの件をカカシに話した。
「!彼は10歳ですよね?それで暗部に入隊させるのですか?…まあ確かに優秀ですが。成る程、ナルトの監視ですか」
お前も大体そんな歳くらいで入隊してなかった?まあいいや。
「もしかしてお前も志願するなどということはないか?一応恩師の遺した唯一の…」
「頼まれたら引き受けるつもりでしたが、俺が子守ってのもねぇ…ま!イタチに任せますよ」
「そうか。ではイタチのこと、くれぐれも任せたぞ」
「御意」
まあカカシは、ナルトが下忍になったら担当上忍になるだろうしな。これでいいだろ。
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「じいちゃん。俺一人で留守番するの寂しいってばよ」
「ナルトよ、お前はこれから強い忍者になるのじゃろう。儂にばかり頼るのではなく、一人で留守番くらいはできるようになっておけ」
4歳の子供にはそこそこ酷なことかもしれないけど、その境遇故に親しい人に執着するようになる可能性もあるしな。
「じいちゃんがそういうなら頑張るってばよ!不安だけどな…」
「まあそう言うな。儂もただ無責任にお前を見放すつもりはない。入ってこいイタチ」
ドアの外で待っていたイタチを迎え入れる。
「はい」
「じいちゃん、この人誰?」
「これからお前の家庭教師となるうちはイタチじゃ」
「うちはイタチだ。よろしく頼む」
「家庭教師!?俺ってば勉強は苦手だってばよ…ってか兄ちゃんってまだアカデミー生じゃねーのか?」
「イタチは優秀でな、7歳でアカデミーを卒業し、今となっては中忍じゃよ」
「すげーな!イタチの兄ちゃんってば!」
「大したことはない」
「じゃあイタチ、宜しく頼むぞ。ナルトも言うことを聞くんじゃぞ」
「御意」
「わかったってばよ!じいちゃん行ってらっしゃい!」
10歳で暗部の任務に従事させるのは俺も心が痛むが、少しでもここで穏やかに過ごす時間を与えてやれればいいな。
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「イタチの兄ちゃん、これよく分かんないってばよ!」
4歳の子供が整数の加減乗除を覚えるのは、この世界は当たり前のことらしい。
「もう少し落ち着いて考えろ。掛け算と割り算を先にやるのを忘れるな。…これが解けたら身体を使ったちょっとした遊びをしよう」
「わかったってばよ…あ!違う!遊びじゃない、修行だってばよ!」
「フッ…修行、だな」
ナルトをイタチは自身の弟のサスケと重ね合わせていた。「兄さん、兄さん」と高い声で自分を慕うサスケも、自分が「手裏剣ごっこをしよう」というと「兄さん!手裏剣ごっこじゃない!立派な修行なんだよ!」と強く主張するのだった。
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「…なるほど、うちはも木の葉に首輪を付けられた負け犬に成り下がったって訳か…これではクーデターも起こりそうにないな。少し計画を変えるか」
木の葉の里のとある木陰にいた仮面の男は、そう呟くと、突然姿を消した。
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「長門、小南、そろそろ暁の活動を本格的に開始する」
「貴様の指図を受けて動くつもりはない。お前の予想も外れたみたいだしな」
「うちはのクーデターなんてやっぱり起こりそうにないんだってね。あなた、一体何を考えているの?」
「木の葉の里に妙な動きがあるかもしれん。うちはが急に木の葉へ忠誠心を向けるなど今までの仕打ちからして考えづらい」
「言い訳はもういい。さっさとメンバー集めをするぞ」
「少し予定とはズレたが、勧誘するメンバーは大きくは変わらない。まずはーーーー
オリ主のせいでマダラの扱い酷くなりましたね。