三代目 F Soul Hokage   作:シズネ

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祭りの後に

 

 

今日は長年木の葉と争ってきた雲隠れの里の忍頭が、同盟条約締結のために来訪する日。それで盛大に行われたセレモニーには木の葉の忍び全ての者が参加していた。ただし、ある一族を除いて。

 

条約締結の取り次ぎは滞りなく行えた。それは当然だろう、彼の真の任務はこれではないからだ。

そう、彼は日向家の嫡子を誘拐し、その血継限界「白眼」を雲隠れの里に持ち帰るために木の葉の里に来ていたのであった。

 

 

「あ、本体のじいちゃん!おかえり!お疲れ様だってばよ!!」

 

「ただいま、ナルト。お腹空いたじゃろう、夕食にするかのう」

 

「うん!俺ってば今日チャクラを感じることができるようになったぜ!修行の成果が出てるってばよ!」

 

やっぱり四代目の子供だけあるよなあ。まともな食事を与えて、一生懸命修行すればこんなに早くチャクラを感じることができるんだな。ただ、九尾のチャクラが反応して上手くチャクラコントロールができなくなるだろうから、これからはまた大変だろうな。

 

「そうみたいじゃのう。ナルトよ、今日はご褒美に美味しい店に連れてってやろう」

 

「え!いいの!?…あ、でも外出るのはちょっと怖いってばよ…」

 

「大丈夫じゃ、儂が付いている。それにな、今日行く店の大将は誠実で信頼できる人じゃ。ナルトもきっと気に入るぞ」

 

「せいじつ…?きっと良い奴って意味なんだろ!じいちゃんがそういうなら、行くってばよ!」

 

 

 

手を繋いで目的地に向かった。

 

「じいちゃん!良い匂いがするってばよ!」

 

「そうじゃろう。…着いたぞ、ここじゃ」

 

「なんだ!?ラーメンいち…」

 

「いちらく、じゃよ。ラーメン食べたことないじゃろう?美味しいぞ」

 

「へいらっしゃい!おお、火影様!今日はお疲れ様でした。ささ、こちらへどうぞ!」

 

「こんばんは…だってばよ?」

 

少し怯えながら挨拶をするナルトにラーメン一楽の大将、テウチは元気に応えた。

 

「おーいらっしゃい!ラーメン好きか?」

 

「食べたことないけど、じいちゃんが絶対気に入るって言ってたってばよ!」

 

「大将、じゃあ儂とこのナルトに味噌ラーメンを頼む」

 

「ヘイ承知!おめーさんナルトってんだ!折角だからナルトサービスしてやる!」

 

「じいちゃん、このおっちゃん良い人だってばよ!ラーメン楽しみだ!」

 

他人の負の感情に敏感なナルトも、テウチの淀みのない優しさを感じて、安心したみたいだ。

 

 

「ヘイお待ち!この渦巻き状の食べ物がナルトってんだ!召し上がれ!」

 

「いただきまーす!」

 

さて、ナルトの記念すべき初ラーメン。感想は如何に!?

 

「!めーーっちゃ美味いってばよ!!!こんなに美味しい料理初めてだってばよ!!」

 

「おおー本当か!!そりゃあ良かったぜ!よっしゃ、ナルト、お代わりサービスしてやるよ!沢山食べな!」

 

「いいのか、おっちゃん!?嬉しいってばよ!」

 

「ナルト、そんな急いでもラーメンは無くならないんだから落ち着いて食べるんじゃぞ」

 

やっぱりナルトはナルトだった。ラーメンを口にした時の幸せそうな顔はとても可愛らしかった。

 

「じいちゃん、こんな美味いものがあるなら、もっと早く教えて欲しかったってばよ!!」

 

「ハハハ、そうかそうか。気に入ってくれて何よりじゃ」

 

 

…さて、そろそろかな。お、来た来た。見張りに行かせていた暗部から合図が出された。

 

「ナルト、儂は少し煙草を吸ってくるからのお、ゆっくりラーメン食べておけ。もし3杯目が欲しかったら、ここにお金置いておくから、食べてもいいぞ。テウチよ、ちょっと失礼する」

 

「わかったってばよ!!」

 

さて、ヒアシがやり過ぎていないといいが…

 

ーーーーーーーーーーー

 

「火影様!雲の頭が日向の嫡子を誘拐し、森の方へ逃走しました!只今暗部3名と日向ヒアシ殿が追走中です」

 

「よし、わかった。暗部には下手な処理はするなと伝えてあるからの。任せておこう。お前は万が一を考え日向家の警護に当たれ」

 

「ハッ!!」

 

さて、これでヒアシが下手なことをしないといいんだけど…まあどっちにしろ、これから仕事が増えるな…はぁ

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

その後、雲隠れの忍頭は重傷を負った状態で拘束。こちらへの被害は暗部2名が軽傷のみで、ヒナタも無事確保できた。

 

「火影様。尋問部からの報告です。忍頭はやはり雲隠れの里からの極秘任務として、日向家嫡子の誘拐及び白眼の奪取を命じられたとのことでした」

 

「やはりそうか、わかった。下がってよいぞ」

 

「ハッ」

 

とりあえず殺さずに終えることができた。ヒアシにあの名言言わせておいて、暗部を予め用意していたのはなんか申し訳なかったかな。まあでもこれで雲は木の葉に負い目ができる、ということで良かったか。

 

「火影様。今回は火影様の取り計らいのお陰もあったためか、無事ヒナタを救うことができました。感謝申し上げます。

しかし、私日向ヒアシは日向家の長として、今回の事件は看過できません!然るべき対応を望みます!」

 

"お陰もあったためか"って暗に"日向家で解決できる問題だっただろう"を含んでるな…まあいいや。

でも後半のヒアシの言い分は最もだ。

さて、今までは里内の問題として解決を試みてきたけど、対外的な問題はどうすればいいんだろう…。

 

「ヒルゼン、儂も宣戦布告を提案したいところだ…しかしこちらも九尾襲来から3年経ったとはいえ、人々の心の傷はまだ癒えていない。ここは賠償金を取る形で収拾を図るべきではないか?」

 

あれ、なんかダンゾウ丸くなってね?確かに、木の葉を想う気持ちから出る考えではあるけどな。あ、てかマダラの恐怖も終わった訳では無いから、それを気にしてもいるのか。なんか事を大袈裟にし過ぎたかな、でも13年経てばそうなるし、嘘はついてないよ。

 

 

「そうだな、では忍頭の引き渡しの代償として、賠償金ということで良いな?」

 

「火影様!お言葉ですが雲との同盟条約は破棄しないのですか?また木の葉へ刺客を送ってくるかもしれないのですぞ!?」

 

「ヒアシ、同盟条約なんぞ口約束、それ以上でもそれ以下でもない。冷静になれ」

 

「ダンゾウ様…はい、分かりました」

 

「すまんのう、ヒアシ。下がってよいぞ」

 

「ハッ」

 

何とかこれで収まったかな…これでとりあえずは安心かな。

 

「ありがとうな、ダンゾウ」

 

「しかしヒルゼンよ、お前があの忍頭の画策を読んでいたとはな…以前なら、はなから信頼して何も気にせんかったろうに」

 

「来訪日と日向家嫡子の誕生日が一致しており、かつここ最近火の国周りで雲隠れと思わしき忍びの目撃情報があったのだ。いくら儂とはいえ、疑わぬ訳が無かろう」

 

「それはどうか…いや、なんでもない」

 

なんか最近、ダンゾウがこちらの反応を伺ってるそぶりがチラついてるというか、怪しまれてるかも?え、流石に俺が以前のヒルゼンじゃないってバレてないよね!?いや、無いだろ…うん。やめてよ?

 

 

 

 




ヒザシ生存ルートでした。

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