誤字報告ありがとうございました。
前半は閑話みたいな感じです。
九尾の事件から3年経った。最初はどうなることやらと思ったが、3年経つともうこの世界には慣れた。
原作では語られていない猿飛ヒルゼンの人間関係だったり、火影としての職務だったりで最初の約3ヶ月はマジで大変だった。
大名との食事とかはすげー緊張したが、色々リサーチしてお寿司を振舞ったら喜ばれた。
人間関係も苦労したが、皮肉にも先の大戦で同僚の多くが亡くなっていたため、大きなトラブルには繋がらなかった。
ナルトは3歳になり、何とか事件は無く、無事やって来れたが、如何せん俺くらいとしか関わりがない。俺自身、影分身として面倒は見てる分手間はそこまでかからないが、友達がいないのは少し寂しくないか?
と最近は思っている。勿論他の子供達と公園で遊ぶとなったらその親が黙っていない。大変なことになる。
個人的には、イタチに子守をさせるなどして、たまにはサスケと遊ばせるとかすればいいかなーとか考えてる。今度フガクに頼んでみようかな。うん、これもうちはとの歩み寄りだ、歩み寄り。
あと、俺のそばにいるからか、はたまた哀しいかな、俺以外には存在すら認められていないことを子供なりに悟っているのか、火影になって里中の皆から認めてもらうことを目標にしているみたいだ。3歳で既に決意してたのか、すげえよ。
一応俺がそばにいて相手をしているが、ナルト自身は修行(という名の遊び)で自分の実力を高めているつもりらしい。可愛い。ただ、原作よりは強くなってるんじゃないかな、まだ何とも言えないけど。食事には気を使っているので、背は伸びるかな?
ラーメンはまだ食べたことないです。今度一楽連れて行ってやるかな。
俺はといえば、猿魔との修行である程度実践経験を積んだつもりだ。彼曰く、今俺の実力は当然トップクラスなのだが、経験による勘や判断能力を踏まえると、まだ以前の"ヒルゼン"の全盛期には遠く及ばないらしい。そこで、更なる実践経験を得るため、新たな試みを始めた。
それは、分身が己の暗部として任務に当たる、というものだ。最初はバレないかハラハラしたが、ずっと面を着けているし、感知タイプの忍びを同行させないことでなんとか問題なく行えている。
やはり実際の任務は大変だった…けど、思ったより精神的負担はなかった。「人を殺す」というのは当然初めてで、ぶっ倒れるのではないかと心配したが、本能レベルでそれに対する耐性は「猿飛ヒルゼン」に備わっていたみたいで、任務に支障はきたさなかった。忍って、やっぱり凄い。
そしてなんと言ってもここ3年で一番凄かったことと言えば、孫ができたことだ。孫だ。俺は20歳でここに転生、そして3年が経ち、実年齢23歳だ。孫ができた。意味わかんない。
そしてまさかと思ったが、俺が名付け親になるよう頼まれ、原作通り「木の葉丸」と名付けた。新鮮な体験だった。まさか俺が彼の名付け親になるとは…
まあまだ0歳の赤ん坊であるので、「おいジジイ!勝負だコレ!」とかはなっていない。もう少し大きくなって、ナルトを兄ちゃんと呼んで慕うような関係になっていればいいなと思う。
そして、政治の話になるが、アカデミーの教育カリキュラムを新たにした。これにはダンゾウの意見も取り入れた。具体的には、「チャクラコントロールの徹底教育」「体術の基礎を身体に覚えさせる」だ。
前者で言えば、以前はアカデミーでは「チャクラを感じて、分身や変化程度の簡易な術を発動できるようになる」が最終方針であったが、もう少し踏み込んで、より効率良くチャクラの運用をできるようにするような教育方針にした。
これを最終方針とすると、両親が優秀な忍である場合と、そうでない場合とで今後の大きな差が出てきてしまう。木登りができるようになるのは絶対、できる子は水上歩行も、と言った形にした。
アカデミー教師についても、よりチャクラコントロールの造詣を深めるように指導した。結果、今年の卒業生は全員木登りができるようになった。また、卒業試験の難易度もその分上がったが、落第する生徒はおらず、木の葉の子供の能力とアカデミー教師の指導力は素晴らしいものだったと言う他ない。
後者で言えば、ただ闇雲に走らせたり、戦わせたりするのではなく、正しいフォームで無駄なく動けるような基本動作の習得を徹底させた。招待講師としてマイト・ガイに授業をさせたこともあったらしいが、あまり思わしい結果ではなかったみたいだった…女子の感想の殆どが「あの眉毛の先生暑苦しい」だった。勿論本人には伝えてない。あまりに可哀想過ぎる。
だが、やはりここも優秀なアカデミー教師の指導によって、生徒の基礎運動能力の向上は達成されたようだった。
ダンゾウがもっと精神訓練を課すべきだとも言ったが、流石にそれは止めた。一応学校なんだし、楽しい環境じゃないとね。でも、この教育カリキュラム変更を俺とダンゾウの二人の名で以って発表し、成果が上がったからか、少しダンゾウは丸くなった気がする。マジでほんの少しだけど、多分。
そして、まさか言うべきか、流石と言うべきか、このように教育水準を上げてもイタチは難なく7歳で首席卒業、当然水上歩行も完璧にこなしていた…
まあこんな感じで色々良い出来事を並べてはいるが、勿論止められなかったこともある。大蛇丸の里抜けだ。
原作の様に、隠れて実験施設で禁術開発をする大蛇丸を見つけることは出来たのだが…
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「大蛇丸!お前こんなところで…!」
「あら、見つかってしまいましたね…」
「最近里の忍や子供が行方不明になっているのはお前の仕業だったのだな!こんなことはやめるのだ!」
「猿飛先生…あなたの目指す強い木の葉のためには、この様な術の開発も必要なのではないんですか?今更ワタシは木の葉がどうなろうとどうでもいいですけど、先生との利害は一致してますよね?」
「馬鹿言うな!戦力強化は手段じゃ!木の葉の皆が平和に暮らすことが最も大事なのだ!貴様は手段を目的化し、真の目的を見失っている。目を覚ませ!」
「見解の相違ね…私の目的はこの世の全てを解き明かすこと。それは全ての術を知り得ることに他ならない!あなたの目的とワタシのそれとは相容れない関係にあるってことですね…さあ、ワタシを殺すんですか?先生」
「残念だが、儂は火影として貴様を葬り去らねばならない!」
"猿飛ヒルゼン"として、初めて闘うこととなった。暗部としては幾度か任務を経たが。
「風遁・大突破!」
「クッ!」
やはり、経験は大蛇丸が勝り、儂と暗部よりも早く術を発動させてしまった。暗部はかなりの威力に吹き飛んでしまう。何とか俺は持ちこたえることができた。
「口寄せ・猿猴王・猿魔!」
「ヒルゼン!お前、大蛇丸とケリつけるのか!」
「猿魔まで口寄せするとは…本気なのですね、猿飛先生!」
地下の密室で、下手に大きな術を発動するとこの場所が崩壊しかねない。大蛇丸は俺より器用だ。地の利は向こうにある。2対1にはなったが、当然油断は出来ない。
「潜影蛇手!」
激忍でよく使ってたな…って、避けられねえ!何でだ!?
この程度のスピードなら猿魔との修行で散々反復練習したはずなのに!
「チィッ!!やられた…!」
「ヒルゼン!(くそっ、無意識レベルで過去のあいつの思念が残ってるのか!)油断するな!お前は恐らくこいつ相手ではどうしても手加減してしまうんだ!」
クソが…此の期に及んで俺の魂とこの肉体の間に摩擦が生じるってことかよ…!
「あら、先生。腐っても教え子、ってことかしら?手加減なさらない方が良いですよ。ワタシも一応三忍が一人ですからねえ…潜影多蛇手!!」
さっきと蛇のスピードと数が桁違いだ…!クソっ、間に合わねえ!
「ヒルゼン!おい!しっかりしろ!」
「待て…大蛇丸!クッ…」
脚をやられてしまった。これじゃあ追うこともできない。
「だから手加減なさらない方がいいって言ったんですよ。さよなら、猿飛先生」
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こんな感じで、大蛇丸拘束は失敗に終わった。まあ過ぎたことはどうしようもできない。今後に備え、火影として木の葉を、そして俺自身を強くするしかない。
そして、雲隠れの忍頭の来訪が明日に迫っていた。
トントン
「入れ」
「ハッ!火影様、私に何か用でしょうか?」
「ヒアシよ、明日は何の日か分かっておるな?」
「雲隠れの忍頭の来訪日でしょう。それがどうかしました?」
「それはそうじゃが、日向家でも大切な行事があるのじゃろう」
「ああ、ウチのヒナタの誕生日です。恐縮ですが」
「最近火の国周辺で他里の忍の目撃情報があってのう、それが雲隠れの忍の可能性がある。これは儂の勝手な心配かもしれぬが、一応日向家の防御を固めておいた方がいいと思っての。もし必要ならば暗部を配置するが、どうじゃ?」
「最悪のケースを考えて、ということですね、分かりました。ですが暗部は不要です、こちらでしっかり対処するように致します」
あー理解があってよかった。てかあのセリフ聞きたいな。
「本当に暗部は大丈夫なのか?数名そちらに向かわせるくらいならこちらの心配は要らんぞ?」
「いえ、必要ありません。なぜなら、日向は木の葉にて最強ですので」
大蛇丸の里抜けは防げませんでした。残念(?)。まだヒルゼンは大蛇丸と渡り合える程の経験・勘がないです。
そしてヒアシさん、火影に対してもさらっと言うんですね。流石です。
ノックの表現って難しいですね
なんかシズネの忍豚が急に出てきた感じになってるので、変(笑)