三代目 F Soul Hokage   作:シズネ

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相棒との出会い

「ふう…とりあえず何とか終わった」

 

初めての火影の仕事を終えてきました。正直、判子を押したり許可出したりするのが多くて、あんまり頭使わない。というか部下がみんな有能だわ。

 

「久しぶりの火影はどうだったか?」

 

「え?あー、まあ少し疲れたかな」

 

「ヒルゼン、お前目覚めてからたまに変な口調になるな。何かあったのか?」

 

「!いや、別に何もないんだ…じゃが。気のせいではないか?」

 

「そうか、なら良いのだが。まだ身体は万全ではないんだ。しかも年齢が年齢だ。気を付けろよ」

 

「うむ、ありがとう」

 

そしてこのホムラとコハルが色々助けてくれたのも良かったわ。原作ではなんか保守的で綱手の神経を逆撫でする感じだったけど、今日は大分助かった。

 

さて、さっき思い出したんだけど、ヒルゼンって猿魔を口寄せにしてるんだったよな。多分俺になる前のヒルゼンが死んだ時は猿魔も一緒だったはず。心配してるよな?

というか猿魔だけには俺の事情話してもいいかも。というか話すべきかもな、俺の為にも。

 

ホムラとコハルはもう退出したし、人払いしてから口寄せしてみるか。

 

えーと印は…こうだったかな。

 

「口寄せの術」

 

「…! ヒルゼン!お前生きておったのか!!」

 

「うむ…何とかな」

 

「そうか…しかしどうやって?あの九尾の攻撃を食らって、儂の口寄せも切れたから一度は死んだはずじゃが?」

 

鋭い。なんか原作ではそこそこ頭切れそうな感じだし、てか猿魔だし。話しておいた方が良いな。

 

「そのことでのう…お前に話しておきたいことがある」

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

目覚めると、そこは何もない真っ白な世界だった。

 

「…ん?ここは?変な空間だな。もしかして夢の中か?おー、夢の中で夢だと悟ることって本当にあるんだな!感動だわ」

 

でも本当に何もない。怖くなってきた。

 

「おお、やっと気付いたか」

 

「うわっ!え、誰すか?急に出てきた」

 

何もない空間に急におっさん登場。怖すぎ。こんな夢見たことねえ。

 

「驚かせてすまんのう、ここは確かにお主の生きる現実世界とは違う空間じゃが、夢というのも少し違うかの」

 

「え、急に何?…てか、あなた、見たことあるわ。えーと…あ、そうだ。六道仙人だろ!え、何で?」

 

「儂のことをそう呼ぶ者もいるみたいだな。儂の名は大筒木ハゴロモ。実はお主に話がある。お主は死んだ」

 

意味がわからない。俺が死んだ?

 

「は?え?何急に。変なこと言わないでよ。え、は?どういうこと?」

 

「話すと複雑で長くなるのだが、簡単に言うとお主の魂が異世界の人物に憑依することとなった」

 

うわ、ハーメ○ンのよくあるやつじゃん。

 

「え、いや俺そういうの知ってるけどさ、嘘だろ?馬鹿言わないでくれよ」

 

「すまんな、異世界でちとイレギュラーがあってのう。まだ死なない筈の人物が死んでしまったんじゃ。そこで儂がお主の魂を呼び寄せ、その人物の肉体に憑依させた。勝手で申し訳ないのだが、そういうことなのじゃ」

 

「うわー、なんかマジっぽい」

 

「マジじゃ、すまんのう」

 

「で、誰が死んだの?あんたが出てきたってことはNARUTOの世界なんだろ?」

 

「猿飛ヒルゼン。或いは三代目火影と言えば良いかの。つい先程起こった九尾襲来の際、里の人々を守る為に戦っておったのじゃが、九尾の攻撃を受けてな…」

 

「三代目が?え、四代目はどうなってんの?」

 

「猿飛ヒルゼン以外の顛末はお主が想像しているのと変わらん。まあその分民間人への被害は多少減ってはいるがな、多少じゃ」

 

「そうなんだ…え、てか俺は三代目に転生するのか?ジジイじゃん。俺20歳なの知ってるよね?」

 

「そこは何とかする。身体機能、チャクラ、筋肉等は彼の20歳の頃に戻すくらいはしてやれる。ただ、外見はどうにもできん」

 

「マジかよ…ジジイになるのかよ…。てか身体が若返っても俺は忍のイロハなんて心得てねえし、すぐ死ぬんじゃないのか?」

 

「そこも心配するな、お主は猿飛ヒルゼンとして、生前の猿飛ヒルゼンが自ら把握していた忍としての能力を共有することはできる」

 

「あーつまりそこは何とかなるのか。20歳の若さを持ち、人々に教授(プロフェッサー)と呼ばしめる程の豊富な忍術があるってチートにならない?」

 

「問題はお主の精神じゃ。民間人と忍者の最大の違いは運動能力ではなく精神力だ。幾ら豊かな才能を持っていても、それを発揮するには覚悟が必要なのだ」

 

「そーなんだ。じゃあ、術とか運動は何とかなるけど、その使い所は俺次第なんだ。ジジイの経験と勘は共有されないと」

 

「そういうことじゃ。そして今お主はこのような状況じゃ」

 

頭の中に映像が映し出される。そこには猿飛ヒルゼンが病院のベットの上で昏睡状態になっており、周りを医療忍者が囲んでいる。

 

「えーと、この状況から目覚めたら、俺の異世界転生が始まるのか?」

 

「そういうことじゃ。そろそろ儂も限界じゃ。本当に申し訳ないが、この世界を守ってくれ。お主は色々と知っているようじゃからのう」

 

「はあ…急だけどわかったよ。NARUTO好きだし、何とか生き延びてみるさ」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「……って感じなんだ。だから俺はお前が知ってる猿飛ヒルゼンじゃない」

 

「むぅ…俄かには信じ難いが、お前が生きているとすればそのような理屈でないとおかしいのかもな。わかった。とりあえずは信じよう」

 

「てことで宜しく頼むよ、猿魔。お前にしか教えてないし、もちろんこの先誰にも言うつもりはない」

 

「お前に改めて宜しくと言われるのも変だな…だがわかった。ところでお前はこの先に起こることを知っているかのような言い方だったが、一体お前は何者なんだ?」

 

「あー、そっか。実はさ、俺はこの世界を一つの文学作品として知っているんだ。でもそこでは三代目火影は九尾襲来で死ぬことはなかった」

 

「文学作品!?そんなことが異世界にはあるんだな…イレギュラーとはそういうことか」

 

「そういうことなんだ。そこで、色々協力して欲しいことがあるんだが、手を貸してくれるか?」

 

「お前が以前の猿飛ヒルゼンでなかろうと、儂は“猿飛ヒルゼン”に仕えることを選んだのじゃ。勿論だ」

 

「ありがとう。とりあえず、俺は実戦経験をとにかく積んでおかなくちゃいけないんだ。チャクラがあるから影分身の維持も何とかなりそうだし、本体が火影の仕事をしてる間、影分身を逆口寄せして俺を鍛えてほしい」

 

「そういうことか、確かに九尾襲来の時も身体が少し鈍っていたのは否めない。全盛期のお前に戻すことを目指してやってみるか」

 

「ああ、宜しく頼む」

 

「おう。あと、儂の前では良いが、その口調何とかしとけよ?」

 

こうして、火影の仕事をこなしながら、忍者としての経験を積む生活が始まった。




陣の書読んだのですが、享年が69歳で、ナルトが当時12,3歳なので、現時点では56,7歳ですかね。思った程老いぼれてない。

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