三代目 F Soul Hokage   作:シズネ

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ヒルゼンが主人公なのですが、ここから暫くはナルト達の描写が多くなるのでヒルゼン語りが減るかと思います。


最悪の依頼人

「じいちゃん、俺らってばもうDランク任務は受けなくて良いんだよな!?」

 

ナルトは先日のAランク任務達成で自信が付いたようだ。

 

「コラ、ナルト!お前はまだ下忍なんだ!火影様にそんな偉そうな態度取るんじゃない!!」

 

イルカがナルトを叱るも、俺はもとよりDランク任務を割り当てるつもりはない。

 

「まあよせイルカ。カカシ班にはこれからCランク任務を行なってもらう」

 

「本当か?やったってばよ!」

 

「三代目、どんな内容ですかね?」

 

「ある人物の護衛じゃ」

 

俺はカカシの質問にそう答えた。

 

「え?もしかして大名?お姫様?」

 

「とりあえず入ってきてもらおうかの。タズナ殿、こちらへどうぞ」

 

そして扉を開けて入ってきたのは、酒瓶を片手に持った白髪のオッサンだった。

 

「なんだァ?超ガキばっかじゃねーかよ!…特にそこの金髪の超アホ面…お前それ本当に忍者かぁ!?」

 

俺がしっかり栄養あるものを与えていたからか、ナルトの身長は女の子のサクラよりも高かったのだ。

 

「何だと!?ぶっ殺す!!!」

 

そう言って今にも依頼人に飛びかかろうとするナルトをカカシは止めた。

 

「これから護衛するじいさん殺してどーするアホ」

 

「わしは橋作りの超名人、タズナというもんじゃわい。わしが国に帰って橋を完成させらまでの間、命をかけて超護衛してもらう!」

 

「ということでお前達にはこのタズナさんの護衛をしてもらう。出発は2時間後、各自準備をするように!…あとカカシ、お前は残ってくれ」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「三代目、どうしたんです?」

 

「実はの、この任務のことじゃが…」

 

そして俺は裏でのガトーカンパニーの活動に伴う今回の任務の危険性とそれに伴う暗部2名の同行について伝えた。

 

「成る程…これじゃあ下手したらAランク任務ですか。でも、もうアイツらの実力は中忍レベル。俺と優秀な暗部2名がいるなら問題ないでしょう」

 

「うむ。しかし相手が手練れだとすればかなりの危険を伴う…暗部には何かあれば伝書を里に送ることを頼んでいる。カカシは暗部といつでも連携が取れるようにしておいてくれ」

 

「分かりました」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

第7班の「Cランク」任務が始まった。三代目はかなり深刻そうな顔をしていたが、そこまで心配することだろうか?

 

というのも、確かにガトーカンパニーが忍を雇うことはあってもタズナさんの()()を目的とすればそこまで人数をかけることはできない。精々手練れが2人といった所だろう。俺と暗部がいればきっと対処できる筈だ。

 

 

 

暫く歩いていると水溜りが道沿いにあった。ここ数日は雨が降っておらず、今日も快晴だ。明らかに怪しい。

3人に目配せをしてみると、やはり皆勘付いているようだ。

 

これが本当にCランク任務なら様子を見るが、今回は例外だ。早めに対処しておこう。

 

「詳しく話を聞かせてもらおうか…雷遁・雷獣追牙!」

 

「「グハアアアァァァ!!!」」

 

やはり、水溜りから二人の人間が出てきた。盗賊ではなく忍のようだ。

 

「カカシ先生!これってCランク任務ですよね!?忍との戦闘なんてあり得ないはずじゃ…」

 

そろそろこいつらにも伝えておくか。依頼人ももう嘘を突き通すことはできないだろうし。

 

「いや…実は今回の任務は唯のCランク任務ではないんだ。ですよね?タズナさん?」

 

「ああ…既にバレておったか…」

 

そうして俺はナルト達に今回の任務の概要を話した。ついでに拘束した忍からも情報を得たが、三代目から伝えられたことと殆ど変わらなかった。

 

「…という訳だ。ただ、火影様はお前らの実力を信頼してこの任務を割り当てたんだ。俺もできると思ったから受けた。…この任務、続行するということで良いな?」

 

「そういうことか!任せろタズナのおっちゃん!」

 

「勿論止める気はない。やっと実戦か…」

 

「うん、今の私達ならきっとやれるわ!」

 

…流石だ。こいつらなら当然そういうと信じていたよ。

 

「超すまん…騙しておって。そして超感謝する!!」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「ぐちぐちうるせーよ。今度はオレ様がこの首斬り包丁で…そいつを殺してやるよ」

 

「…ほっ…本当に大丈夫だろーな…!敵もかなりの忍を雇ったようじゃし…そのうえ鬼兄弟の暗殺失敗で警戒を強めているとなると…」

 

「このオレ様を誰だと思ってる…霧隠れの鬼人と呼ばれたこの桃地再不斬をな!」

 

 

大刀を持った男と、サングラスをかけた小柄な男がアジトらしき所で話しているのを、シスイは目撃した。

 

「…成る程。これはAランク任務以上だな。早くイタチの所へ知らせに行こう」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「…桃地再不斬?あの霧隠れの鬼人が?」

 

「ああ、そうだ。恐らくもう直ぐ仕掛けてくるだろう。イタチ、お前とカカシさんがいれば問題ないか?」

 

「油断は出来ないが、対処不可能な相手でもない。俺はカカシさんに伝えてくる。シスイは里に伝書を送ってくれ」

 

「了解」

 

カカシ一行が歩く道の外にある森の中で暗部の面をしたシスイとイタチは情報を共有し、また分散してそれぞれの持ち場に戻った。

 

「カカシさん、報告があります」

 

イタチは急に森から出てきてカカシ達の前に現れた。暗部の存在を知らないカカシ以外は驚いていたが、カカシの名を言ったため、敵ではないと分かったようだった。

 

「…!びっくりしたってばよ…暗部の人か」

 

「ガトーが雇った忍が判明しました」

 

「何だって!?一体誰なんだ?」

 

「桃地再不斬。霧隠れの抜け忍です」

 

「鬼人再不斬か…お前と俺なら何とか対処できるか」

 

「再不斬だけなら何とか…奴に仲間がいるのかなどの他の情報はまだ分かりません。とりあえずいつでも対処できるように準備しておいて下さい」

 

「わかった」

 

「カカシ先生、何かあったの?」

 

二人の会話の内容が気になったサクラが質問した。

 

「ああ…実はな、もう直ぐ交戦状態に入りそうだ。相手の忍が待ち構えているらしい」

 

「漸く実戦か…」

 

サスケが不敵な笑みを浮かべた。

 

「恐らくかなりの手練れだ。俺一人で確実に倒せるレベルの忍ではない。基本的にはお前らはタズナさんの護衛、戦闘は俺と暗部が引き受ける」

 

「チッ…分かった」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「なるほど…こりゃあいつら鬼兄弟レベルじゃ無理だ…木の葉隠れのコピー忍者、()()()のカカシがいたんじゃなァ…」

 

そう言うと桃地再不斬は持っていた刀をタズナに向かって投げつけた。

 

…がカカシら4人の忍者はそれを待っていたかの如く直ぐに刀に身体を向けた。

 

「そこか!土遁・土流壁!」

 

カカシは土壁を出して刀の衝撃を吸収した。

 

「何っ!?」

 

「やはり桃地再不斬か…さあ、刀はこっちだ。どうする?」

 

「クソッ!…まあ問題ねェ。直ぐに取り返してやるからよぉ…忍法・霧隠れの術」

 

再不斬が術を発動すると、辺りは急に濃い霧に包まれ、全く周りが見えなくなった。

 

「何も見えないってばよ!」

 

「お前らはこの地にまだ慣れてねえからなあ…木の葉には霧が無いだろう?」

 

そう言って再不斬がカカシ達の元へ近づこうとしたその時…

 

「…風遁・大突破」

 

誰かがそう唱えると、突然強風が吹き、霧は全て掻き消された。

 

「クソッ!誰だ?」

 

「この風遁…まさか…兄さん?」

 

「助かったぞイタチ…」

 

そうカカシが言葉を放った直ぐ先には、面をしたイタチが現れていた。

 

「暗部なので名前は勘弁して下さい…」

 

「やっぱり…ってことはずっと兄さんは俺らといたのか?」

 

「サスケ、そんなことはどうでもいいだろう。任務に集中しろ」

 

「お前は、あの"幻術のイタチ"か…!クソッ、分が悪すぎる!」

 

暗部なのに直ぐに正体を味方から明かされて少し困ったイタチは面を取った。

 

「もうこの面は意味ないですね…全くカカシさんにサスケまで…」

 

「え?サスケ君のお兄さん!?やっぱカッコいい…」

 

「イタチの兄ちゃん久しぶりだってばよ!」

 

「あーお前らうるさい。俺が悪かったから。戦闘が始まってるんだから集中してくれ」

 

カカシがそう言って場の緊張感を戻そうとしていると、後ろから突然千本が飛んできた。

 

「危ないタズナさん!!」

 

カカシがそう言うも、既に千本はタズナの脳天を直撃する直前…

 

しかし、突然現れた手裏剣に千本は撃ち落とされ、タズナは事なきを得た。

 

「中々やりますね…そこのイタチというお方。見向きもしないで死角からの僕の千本を手裏剣で撃ち落とすなんて…しかし…」

 

「刀は返してもらうぜ!」

 

先程の千本を投げたと思われる面を被った忍が現れイタチ達の注意を引いたのを利用して、再不斬は瞬身の術で刀の元へ移動して持ち上げて、直ぐに距離を取った。

 

「しかし、上忍が2人もいるんじゃちとキツイな…白、アレだ」

 

「はい」

 

そう言って独自の合図をすると、再不斬は印を組んだ。

 

「悪いがここは退かせてもらうぜ…水遁・水鮫弾の術!」

 

突然近くの川から鮫の形をした水が、まるで意志を持っているかのようにカカシ達を襲う。

 

「くそ、間に合わない!イタチ!」

 

「風遁・大突破!」

 

「ナイス!土遁・土流壁!」

 

そうしてイタチが風遁で水を何とか一時的に止め、その間にカカシが土流壁で水遁の攻撃を防いだ。

 

「今なら何とか間に合う!外に出るぞ!!」

 

そしてカカシは土流壁を解除して外に出ようとするも、周りは先程の水鮫弾が氷で固められていた。

 

「チッ…俺らに時間を取らせて退避時間を稼いだのか…」

 

サスケが悔しそうに言った。

 

「そうみたいだな…まあでもあの2人だけならこの後も対処できるだろう」

 

「皆!超助かったぞ!ま!ワシの家でゆっくりしていけ!」

 

タズナがそう言うと、暗部の仕事に戻ったイタチを除いて皆はタズナの家に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「おい鬼鮫、本当にあんな腰抜けコンビがリーダーの所望するものなのか?」

 

「ええ…ですが木の葉の方は恰も再不斬達の存在を想定してたかのようでしたからね…それが本当なら流石に苦戦はするでしょう」

 

「まあそうか…しかし氷遁使いか。中々面白いな。それにはたけカカシ、確か四千万両の高額賞金首だったはずだ」

 

「流石に私達もあの人達の相手をするのはキツくないですかねえ?」

 

「おいおい…確かに2人は上忍だが、あとは小僧と爺さんだぞ?寧ろ足手まといがいる分やり易いに決まってるだろう」

 

「言われてみたらそうですねえ…でもまずは目的通り、再不斬達のスカウトへ行きましょうか」

 

「そうだな…」

 

 

 

 

 






風遁の一つや二つ、彼なら出来るでしょうと思って(笑)

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