三代目 F Soul Hokage   作:シズネ

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木の葉丸

今日は新たな下忍(候補)への説明会等で慌ただしい。…今は顔写真の撮影をアカデミーの教室で行ってるが、ナルトが妙に拘りを見せるせいで中々進まない…

 

「なんじゃこの写真は!」

 

前の世界で言うところの歌舞伎役者のようなメイクを施して写真撮影に臨んだナルト。

 

「これは俺のアートだってばよ!」

 

「こんなの忍の写真になるはずがなかろう!撮り直し!」

 

これで3回目だ…ナルト、こんなとこで主張出さなくても十分その髪の色で目立ってるさ…

 

そうしてため息をついていると、突然教室の扉がガラッと開かれた。

 

「ジジイ!勝負だコレ!」

 

「…ふぅ」

 

またため息をついてしまった。気配からわかってはいたが、入ってきたのは俺の孫の木の葉丸。今9歳だったはずだが、3年頃前にアカデミーに入学してから俺にやたらとこんな感じで絡んでくるようになった。理由は分かりきってはいるが。

 

「何だってばよ?…ああ、木の葉丸か」

 

「今日こそジジイを倒すんだコレ!!」

 

そう言って俺に向かい走り出した途端に木の葉丸は床に滑って転んだ…ということはなく、きっちり台詞を言い切った。昨日は学年最後の日でワックスを床にかけたから、まあ普段よりはツルツルではあるが…

ハッキリ言ってアカデミー生の身体能力、それも教育改革のなされたこの時代においてのそれなら滑ることは考えられない。ちなみに木の葉丸はやはり身体能力は学年でもトップレベルらしい。

 

自分の今までやってきたことによって、このように原作と少し変わった情景が見れたことを興味深く感じていると、木の葉丸の家庭教師、エビスが遅れて入ってきた。

 

「火影様!…大変申し訳ございません。木の葉丸君、修行に戻りますよ!」

 

そう、実は木の葉丸は今や周りの大人、とりわけエビスから「火影の孫」という目で見られることは無くなっていきつつある。これについては俺も後々知って驚いたのだが、実はナルトが俺の家に住んでいるので木の葉丸の相手を度々していたのである。ちなみに偶にサスケも一緒に相手をしていたらしい。

 

そこで、自分を「火影の孫」ではなく一人の人間「猿飛木の葉丸」として見てもらいたいがために、その手段として火影を目指す彼に対してナルトがあの原作の如く説教をしたらしいとのこと。そこで改心した木の葉丸は基本はエビス、偶にナルトやサスケと修行をつけてもらうようになり、実力に関しては既に並の下忍を凌ぐ程になったということだ。それを見て大人達も親の七光りというような認識を改めるようになっている。

 

…ちなみにその過程でお色気の術もあいつから伝授されたらしい。

エビスも修行中にお見舞いされて大変だったと聞く…

 

さて、それなら何故俺に噛み付いてくるのかという話だが…

 

「ジジイ!今日こそ手裏剣影分身の術を教えてもらうんだなコレ!」

 

実は先日、「儂に一撃でも喰らわせられたら手裏剣影分身の術位なら教えてやっても良いぞ?」とか伝えてしまったんだよね…

 

「じいちゃん、木の葉丸に教える約束したのか?」

 

「儂に一撃与えられれば、という条件での」

 

「そっか…あ!そうだ!木の葉丸、ちょっと耳貸せ」

 

「何だよナルト兄ちゃん?……なるほど!その手があったかコレ!」

 

え、何だ?まだ木の葉丸は術自体はあまり覚えてないから多分無理だよ?

 

「ジジイ、喰らえ!…お色気の術!」

 

そう言うと木の葉丸は大変けしからぬ身体つきをした裸の女性に変化、因みに大事なところは上手く煙で隠れていた。

 

「むっ!?」

 

やべえ、木の葉丸の成長スピードが半端無い…ここまで精緻なイメージを得るためにどれ程の修行を…

 

と色々気を取られていると急に背後から気配が。直ぐに振り向けども…そこにはクナイを向けた木の葉丸がいた。

 

「木の葉丸…」

 

「やっぱ大人は皆この術に弱いんだなコレ!変化した瞬間に影分身を1体出して後ろに向かわせてたの気づかなかったのか?ジジイ!」

 

「ナルト、木の葉丸に影分身の術を教えたのか?」

 

「えーっと、まあ…でも3体までっていう約束はさせたんだってばよ!」

 

「ほう。まあいずれ教えようと思っていたから良いが…それにしても木の葉丸、今のは中々じゃった。約束通り、手裏剣影分身の術を伝授しよう。10分後西の森へ来い」

 

木の葉丸を認めてやることで、情けなくもお色気の術に嵌められたことを流すことができた。

影分身を向かわせれば仕事に支障は出ないから良いだろう。

 

「よっしゃー!ナルト兄ちゃんありがとうだコレ!」

 

そう言って木の葉丸は教室を出て行った。さてさて、仕事再開しなきゃ。

 

 

 

 

 

「じいちゃん、木の葉丸がお色気の術やってからエビス先生ずっとぶっ倒れてるんだけど…どうするんだ?」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

何とかエビスを起こして下忍の写真撮影を片付けることができた。そして木の葉丸にも術の概要と修行方法を伝えたので後は彼次第だ。

 

さてさて、下忍候補全員が説明会に向かったので俺も作業を…おっと、そろそろやってくるかな。

 

「入ってよいぞ、自来也」

 

「先生、急に帰って来いって…一体どうしたんだ?」

 

「悪かったのう…実はナルトがアカデミーを卒業しての、お前が修行をつけてくれないかと思ったのじゃ」

 

「ミナトの子…あれから12年経つのか。まあそれは考えても良いが、それだけでワシを呼び戻した訳では無いだろう?先生」

 

そう自来也が聞くと、俺は真剣な顔をして答えた。

 

「ナルトを強くすることを『それだけ』として片付けるのは少し不味いのじゃ…」

 

「どういうことだ?」

 

色々と考えたところ、俺が原作知識を持っている分自来也を暁の調査に向かわせるのは非効率ではないか?という疑問に至り、それならもう暁を丸裸にして自来也にも木の葉の強化に尽力して貰おうじゃないか、という結論が俺の中で出た。

 

「お前が調べておった暁。儂も独自のルートで色々調べてみたのだが、大変なことが分かったのじゃ」

 

「先生も調べていたのか!?それでその大変なこととは?」

 

「前にお前は暁が傭兵として各地の争いに加担していたと言っておったが、恐らくあれは最初に自分達の名を裏の世界で広めるためであろう」

 

「…つまり?」

 

「この後奴らは『目的』に向けて活動を本格化するということじゃ。ボランティア活動をするために態々S級犯罪者を集めたなんてことは考えづらい」

 

「そこまでは当然思い浮かぶことだ。先生よ、早く言ってくれ」

 

「最近ビンゴブックで懸賞金の高く付いた者が殺され、死体が消えている事件が各地で見られているのは知っておるか?それを行なった者が暁の一員だという可能性が高いということがわかった」

 

「何だって!?それは全く聞いたことが無かった…だがそれとナルトのことにどんな関係性があるんだ?」

 

「今暁はビンゴブック狩りで『目的』のために資金を貯めているということだ。そしてその『目的』とは?」

 

「何か分かりそうだが、ちっとも浮かんでこねえ…」

 

そろそろ核心に迫っていこう。オッサンを焦らすのは趣味じゃないし。

 

「自来也よ。輪廻眼というものを知っておるか?」

 

「輪廻眼?ああ、伝説の六道仙人の眼のことか」

 

「暁の首謀者はその輪廻眼を有しているということがわかった」

 

勿論これだけは俺の原作知識。

 

「何だと!?」

 

「六道仙人の伝説は知っておるはずだ。十尾を一尾から九尾に分けて、この世界の各地に置いた。そして今我々がそれを人に封印し人柱力を作り上げている。正直六道仙人からすれば我々の尾獣に対する態度、行為は忌々しいものじゃろう」

 

「そうだな…まさか、首謀者はその秩序を壊そうとしているということか?それが『目的』なのか?」

 

「儂はそう見ておる。つまり当面の奴らの目標は尾獣を集め、十尾を復活させるというとこじゃろう」

 

「六道仙人の話から正直眉唾ものだったが、輪廻眼の件が本当なら無理な話でもないのう…ちなみに先生よ、その情報はどうやって得たのだ?」

 

やはり自来也は疑ってくるか。さりげなく論点を変えて誤魔化すしかないな。

 

「儂もただ火影室の椅子でのんびりしている訳ではないからの。影分身を外にやって調査してるのだ」

 

「おいおい、もうその歳じゃ流石に無理があるだろう」

 

「ほう、儂を年寄りと馬鹿にしておるのか?それなら後で久々に手合わせをしてみようかの」

 

「先生…本気で言っているのか?」

 

「本気も本気じゃ。ただ明日下忍選抜のサバイバル演習があるから演習場をグチャグチャにするのはまずいからの。明後日なら良いじゃろう」

 

「先生が最近修行しているのは姿勢や立ち振る舞いから何となくわかっていたが…そこまでなのか。わかった、先生を信じるぜ。…つまり、暁はいずれナルトの中の九尾を狙いに来るから修行をつけろ、ってことだな」

 

「そういうことじゃ。呉々もよろしく頼むのう」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

火影室を後にした自来也は温泉街に向かいながら考え事をしていた。

 

「輪廻眼か。先生の言っていることが本当なら…いやいや、彼奴らはとっくに死んだと聞いているからあり得ない。だとしたら一体誰なんだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





自来也帰らせました。

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