俺ってばうずまきナルト!将来三代目のじいちゃんを超える火影になる男だってばよ!!
今日はアカデミーの入学式、じいちゃんが勉強量が増えるって言っててちょっと不安だけど、何だかんだ学校は楽しいとも言ってたからきっと大丈夫だってばよ!
沢山友達できるといいな!
「おいナルト、何ダラダラ歩いてんだ。チンタラしてると兄さんと先に行くぞ!?」
「おーい!待てってばよ!!」
こいつの名前はうちはサスケ。何をやるにもクールだけど意地っ張り。超ムカつくけど、根はいいヤツ…だと思う。
まあ簡単な言えば、俺の初めての友達…じゃなくて、ライバル!!
俺ってば元々こいつの兄ちゃんに家庭教師してもらったんだけど、そのイタチの兄ちゃんがある日こいつをウチに連れてきたんだ。
そしたら急に「お前か!俺の兄さんを色々困らせてるナルトって奴は!お前は兄さんがどれだけ凄いか分かってないだろ!」とか言って俺に飛びついてきたんだ!
そこからは取っ組み合いの喧嘩、まあ最後はイタチの兄ちゃんが止めてくれたけど、そのままやってたらきっと俺があいつをコテンパンにしてたってばよ!
それからイタチの兄ちゃんがこいつを紹介して、その後もたまにウチに連れて来て、一緒に勉強や修行をしてきたって訳なんだ!
「おいサスケ!ここがアカデミーか!おー、もう沢山来てるんだな!」
「そうみたいだな…。兄さん、あそこに行けばいいんだよな?」
「そうだ。ナルト、サスケ、俺はここまでだ。父兄席があっちだからそこに向かうよ。2人とも、行ってらっしゃい」
「おう!行ってくるってばよ!」
「じゃあ兄さん、後でな!」
「ナルト、今日は母さんが家でごちそうを作るみたいだから、終わったらサスケと一緒にウチに来るんだぞ」
「マジで!やった!!絶対行くってばよ!!!」
ミコトさんの料理スゲー美味いんだよな!!
フガクのおっちゃんは最初はちょっと怖えー感じがしたけど、本当はスゲー優しい人だったってばよ!
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何なんだ…?ちょっとこの入学式変じゃないのか?
周りの女子が俺のことジロジロ見てきて目障りだけど、それ以上に大人から出る雰囲気が気に入らねェ…。
あれ?何か隣のナルトも何か変だ…。さっきまであんなにはしゃいでたのに、スゲー怯えてる…こんな奴じゃなかったよな?やっぱり何かおかしい…
ん?ちょっと待てよ、あの保護者達の冷たい視線、ナルトに向けてないか?どういうことだ!?確かにこいつはギャーギャー騒いでうるさかったけど、そこまでする必要あるのか?
いや、というかあいつらの眼…幾ら何でも冷酷過ぎないか?まるで人じゃない何かを睨みつけてるような…
絶対何かある。ナルトは皆に恨まれるようなことでもしたのか?あいつとはあいつん家か俺ん家でしか一緒にいたことないからな…
帰ったらまずは兄さんに聞いてみよう。
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今日はサスケとナルトの入学式で、三代目も俺に休みを与えてくれた。母さんが作った料理をナルトは幸せそうな笑顔で沢山食べて、「お腹いっぱい…もう食べれないっではよ…」と満足気な表情をして帰って行った。
「サスケ、もう寝る時間だ。灯り消すぞ」
「兄さん、俺、聞きたいことがあるんだ」
「ん、どうしたサスケ?」
「ナルトって、過去に何か悪いことでもしたのか?今日の入学式で、大人達が凄いナルトに冷たい視線を向けてたんだ!」
サスケも気付いていたか…しかしこれは掟として、里の子供達には教えてはいけないことになっている。それにしても我が子の晴れ姿を折角見に来たのに、態々ナルトにそんな視線を向けるとは、一体保護者は何をしに来たんだろうか。人のことをあれこれ言うべきではないが、少し心の貧しさを感じてしまう。
「そんなことがあったのか…。サスケ、お前はナルトのことをどう思っている?」
「俺がナルトのことをどう思ってるか?それは…あいつはいちいち俺に喧嘩ふっかけて、何事も張り合って来る負けず嫌いなめんどくせー奴だといつも思ってるよ」
確かに大体勝負をふっかけるのはナルトの方だが、絶対サスケはその勝負に乗るんだよな…自覚してるのかは分からないが。
「…でも、別に嫌な奴ではないぜ?俺がコテンパンにしても『俺は火影になる男だ!』って言って何度も立ち上がって向かってくる、諦めの悪い体力バカ。あのド根性は流石に俺も認めるさ。ま、俺のライバルって呼ぶにはまだまだだけどな!」
確かに、俺もナルトの根気強さには頭が下がる。
サスケも、ナルトのことはある程度は認めてるんだな。
「最近は段々ナルトがサスケに勝ち越す日も増えてるが、まだライバルではないのか?」
「まあ確かに最近あいつも頑張ってるとは思うけど…それでも通算ではまだまだ俺の方が上だ!まあ、次の組手の実力次第ではライバルって認めてやってもいいかな…」
「そうか。ならそれでいいじゃないか」
「え?どういうこと?兄さん」
「お前は自分が信じるままにナルトと向き合えばいいんだ。他人の『常識』に縛られて、自分の認識を変える必要はない」
「そっか…そうだよな!俺、ああいう集まり初めてだったからちょっと周りのこと気にし過ぎてたかもしれない。他の人がどう思おうが、ナルトはナルトだよな!」
「ああ、じゃあもう寝るぞ。明日からお前も授業だからな」
「兄さんに教えて貰ったからきっと大丈夫さ。おやすみ!」
サスケは納得したみたいだが…これで良かったのだろうか。
あの日の九尾の襲来…俺はあれは人為的なものだと考えている。
図書館で読んだ本によると、過去に九尾が現れたのはその時代の節目であったとのことだ。つまりその時代の終わりを告げる天災として考えられて来たのであったという。
しかしあの時から大きな時代の変化があったかと言われると、俺には思い当たるものはない。
確かにうちはが里の政に参加するようになったのは歴史的にも大きな変化だと言える。
だかこれは元々そうなる運命ではなく、九尾の襲来を受けたことが要因となって起こったのだ…俺はそう考える。
密かに調べたことだが、あの日うちはは里の危機を前にして現場に赴かず、待機を続けていたらしい。
『写輪眼は九尾をコントロール出来る』
これを根拠にうちはを木の葉から隔離するため、上層部がうちはに待機命令を下したのではないか。それまでのうちはと木の葉の確執を考えると、この発想に行き着くのは自然だろう。里の非常事態に優秀な警務部隊を動員しない理由が他に考え辛い。
つまり皮肉にも、九尾の襲来はうちはを隔離するための絶好な理由になったのだ。
…しかしそうはならなかった。それどころか三代目はうちはとの連携を強化したのだ。当然これはうちはからしても驚きの措置だった。寝耳に水と言っても過言ではないだろう。
この矛盾した木の葉の行動を支える根拠とは…
そこで、『木の葉を脅かす程の存在』が出てくる。
九尾の発生がそれによるものだと判明したら…木の葉は里内の混乱・確執を解決し、里の戦力強化・体制見直しを徹底するのが妥当だろう。そこで、うちはとの関係も改善する必要があった。最近のアカデミーの教育カリキュラム見直しもその方針の一環として納得がいく。
一体何者が九尾を操り里を襲ったのだろう…。九尾をコントロール出来るのは写輪眼を持つうちはのみ…もしかして、里外にうちは一族の生き残りがいるのだろうか。
いや。そもそも里内のうちは一族の生き残りという可能性は…考え過ぎか。
勿論これは俺の仮説に過ぎず、中忍の端くれの俺がその真実を知る資格も当然ない。
ただ、俺はこの木の葉の里が好きだ。その平和を脅かすものがあれば、俺はこの命を賭してでも守り抜く覚悟がある。
明日からは仕事が全て暗部のそれになる。考え事はやめ、俺もそろそろ寝よう。
イタチは家庭教師としてナルトと仲良くなってるんで呼び捨てで呼んでます。ってかやっぱり聡いな…イタチ。
次回から原作です。というかこれと言って原作前に書けそうなイベントがもう…