女神転生・影【デスゲームサマナー】   作:どくいも

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HSのバトルグラウンド楽しいね!
思わず更新が滞ってやばい(真顔)

でも、ぎりぎり間に合わせたので初投稿です


15話目

ここは新宿にある知る人ぞ知るホテル。

表の姿は不気味ながらも雰囲気ある完全予約制の高級ホテル。

裏の顔はその名の通り、人外魔境。

選ばれし悪魔狩り達の羽休めと交流のための施設。

それがこの【業魔殿】である。

そうして、この【業魔殿】の中にある高級レストラン【Chez Muramasa(シェ・ムラマサ)】。

そこにいる人達も選ばれしデビルバスターであることは言うまでもないだろう。

 

「……と、いう訳で〜!、

 いやぁ、今回という今回は本当に助かりました!

 あのままだと下手すれば前科持ち……いや、逮捕や実刑ついてもおかしくありませんでしたからね!

 あ、今回は当然私の奢りです!じゃんじゃん食べてください!」

 

というわけで、現在自分は沖田さんの奢りでこの業魔殿内でも特にデビルサマナー泣かせと評判のレストラン、【Chez Muramasa(シェ・ムラマサ)】に来ているわけだ。

 

「べ、別にこんなのでオキタの同居を許すわけじゃないんだからね。

 ……わけじゃないからね!」

 

「エンガワ!えんがわ!ENGAWA!!」

 

なお、ここがデビルサマナー泣かせ言われる所以はここの料理が悪魔でも食べることができ、一緒に食事が出来ればあっという間に好感度をあげられるのが一つ。

 

「……うわぁ、相変わらずメニューは時価ばっかりじゃな。

 沖田、これ本当に大丈夫か?家燃えたばっかりじゃろ?」

 

もう一つはここが本当の意味で驚く程の高級レストランである事だろう。

どのくらい高級かと言えば、こちらの世界ではデビルサマナーをやっているおかげで高級外車をポンと買える身分になった今なお行きたくないと思えるほどである。

前回のイベント以降やけに大食になったモーショボと容赦なくお好みで寿司を頼みまくるカブソ。

この二匹の暴食ぶりを見るにやっぱりここは魔境、そう強く心のメモ帳に書き足しておいた。

 

「ま〜大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、割と大丈夫じゃないですね。

 イベント後すぐに装備の新調しましたし、アイテム補充も同様。

 それに重なった異界化のせいで、家財は全滅。

 その上現金や通帳の類は全滅しましたから。

 そういう意味では今の私、かなりすっからかんの文無しですよ」

 

「おい」

 

あまりの沖田さんの告白に急に胸が高鳴る。

もしかしてこれが恋……?

いや、これは不整脈ですね、間違いない。

 

「まあ、それでもここだと現金ではなく、【マッカ】や【マグネタイト】払いでも良いのでしょう?

 それならば前回のイベントや日頃の異界巡りで腐るほど持ってますからね」

 

そう言いながら、沖田さんは自信満々に自身のCOMPを見せつけてきた。

するとそこには、膨大な数のマグネタイト保持量が表示されていた。

 

「いやぁ、それでもマッカの方ははかせとの交渉でかなり使ってしまいましたが、【マグネタイト】の方はたっっっぷり溜め込んでます。

 何せ私は【ペルソナ使い】、マッカなら使うことはありますが、マグネタイトに関しては本当に使い道がありませんからね。

 この機会にドーンと、使い切っちゃいましょう!」

 

沖田さんがそのように自信満々に宣言する。

その様子に少し嫌な予感はした。

が、それでも沖田さんが強く遠慮するなと言うので、多少の自制はしつつも存分に豪遊させてもらうことにした。

 

「ん〜?あれ?シェフ?なんか今日のケーキ、以前よりも雑じゃない?」

 

「フム、そうですか。

 デハ、これならばどうでしょう?

 ……以前よりも人間向けの味付けのものですガ」

 

「あ!こっちこっち!こっちの方が美味しい!

 生地のふわふわとクリームのしっとり感が最高!お代わり!!」

 

モーショボちゃんが口にクリームを付けながら、笑顔でケーキを頬張る。

自爆の影響はどうやら彼女に少なくない影響を与えたようだ。

具体的には以前よりも表情に柔さが生まれ、以前以上に可愛さの増したモーショボちゃん。

その上、地味に消費マグネタイト量も減り割安便利になったモーショボちゃん。

ただし、それに伴い何故か平時の食事量が増え、勝手に管から出るなどの命令違反を頻発する上、悪魔合体をしようとするとエラーが出るようになったモーショボちゃん。

総合的に見るとややマイナスかも知れないけど可愛いから+300点です。

 

「ただし、クソ猫。

 てめーはだめだ」

 

「あー!!

 オイラのエンガワ〜!!!」

 

永遠にエンガワを食べ続けるカブソから寿司を取り上げ、代わりにその口にチューるを突っ込んだ。

なお、カブソはこれはこれでと今度はチューるを舐めながら、これに合う料理をとか無茶な注文をシェフにし始めた、無敵か。

 

「ぷい〜!食べた食べた!

 もぅ〜お腹いっぱい!」

 

「は〜い、お粗末様でした」

 

「ふっ、今回はこの辺にしといてやるにゃ」

 

そうして楽しい会食も終り、みんなが笑顔で食事を終える。

シェフも笑顔で沖田さんに伝票を渡し、それを沖田さんが流しみること一回。

笑顔が固まり、硬い表情で伝票を見直すこと2回。

3回目に伝票を見る時は、もはやその顔には驚愕も絶望しか残っていなかったのは言うまでもないだろう。

ふと沖田さんがここまで驚くとはどれほどだと気になったので、自分もその伝票を横から覗き込んでみた。

 

「……いや、これおかしくない?

 なんでいつもの3倍……いや5倍、それ以上値上がりしてんだよ」

 

そして、そのお値段は本当に目玉が飛び出るくらい高かった。

具体的にはいつも高いと思ってるが、それが可愛く見えるくらいには絶望的で強気な料金設定である。

自分が悪のデビルサマナーならこれだけでギターケースを取り出して、即座に地獄のデスライブを始める可能性がある程度にはぼったくり価格だ。

が、どうやら聞いてみたところ、この料金設定は嘘やボッタクリの類ではない、とある事情が重なってしまった故の出来事らしい。

 

「いえ、それには訳がありましテ。

 実はなぜかここ数日、異様にこの業界界隈に大量の【マッカ】と【マグ】が流れて来マシテ。

 そのせいで、メシアもガイアも生体エナジー協会でも何時もならばマッカの買取をする筈が売りに出し始めているノデス。

 無論、現金払いならば通常通りのお値段で対応させて頂けますが、マッカやマグネタイト払いでとなりますと、こちらのお値段でと言うことにナリマス」

 

「……あ〜、つまりは今は丁度マッカやマグの値崩れが起きていると?」

 

自分の答えにシェフはゆっくりとうなずく。

そのシェフの言葉は真実なのだろう。

その証拠に、伝票に書かれた料金はマッカやマグ払いだと高いが、現金払いだとむしろ安い値段設定になっている。

そうして、幸か不幸か何でこの界隈に急にマッカやマグネタイトが放流されまくったか、それには心当たりがある。

だからこそ、1プレイヤーにしてデビルバスターとしては、シェフのその言葉に納得せざるを得なかった。

……が、残念ながら世間情勢が何であろうと沖田さんの手持ちに現金がないと言う現実は変わらない。

伝票と手元のCOMPを見比べながら、オロオロとする沖田さん。

煽るモーショボ、脱走の準備を始めるカブソ、無表情ながらもオーラで威圧するシェフ+無数の仕込み武器を持って背後に控えるメイドさん達。

余りのカオスっぷりに困惑を超え、変な笑いが浮かんでくるがこのままでは色々とラチが開かないし揉め事まで行けば、下手すれば出禁だ。

そうして一通り状況を楽しんだ後、ようやく観念して自分はCOMPから財布を取り出し、こう言うのであった。

 

「カード使えますか?」

 

「あ、ウチは現金だけなんですよ」

 

ん十万越えなのに、ニコニコ現金払いとか嘘だろオイ。

 

 

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【もはや普通すれ】脱初心者スレpart52

 

 

253:名無しの壬生浪士

お 前 ら 自 重 し ろ!!

 

254:名無しの悪魔

↑お前モナー

 

255:名無しのサマナー

そうかお前もか、俺も何じゃよ

 

256:名無しのバスター

ワイもワイも

 

257:名無しのメシアン

貴公もそうか

 

258:名無しのガイアーズ

実は俺も

……で、何の話?

 

259:名無しの悪魔

そうそう、自分もそうなんだよ

あれだろ、今日もまたピクシーに振られたとか、そんな話だろ

 

260:名無しのガイアーズ

ちげーよ。

マグネタイトの価格崩壊についてだろ

 

261:名無しのサマナー

↑マッカの方のことでは?

そっちの方が話の流れとして自然だし

 

262:名無しのバスター

魔石系の低級アイテムの値崩れの方の可能性

 

263:名無しのバスター

もしかしたら、ここ数日でお手軽依頼が殆ど取られ尽くしたことかも。

 

264:名無しの壬生浪士

大 体 全 部 だ こ の 野 郎

 

265:名無しの悪魔

 

266:名無しのサマナー

ですよねー

 

267:名無しのメシアン

知ってた

 

268:名無しのバスター

それはマジで俺も思ってる

俺以外みんな自重しろ!!

 

269:名無しの生協

生体エナジー協会でバイトしてるけど、ここ数週間はマジで激動で徹夜続き

マジでもう少し自重してくれ

これじゃ誤魔化せるものも誤魔化せんやろ

 

270:名無しのバスター

すまない……

すまない……!!

 

271:名無しのバスター

本当に申し訳ない(マグ&マッカを全部現金返還しながら)

 

272:名無しのガキ

大丈夫?有能バイターいる

 

273:名無しの生協

>>272 出禁は帰れ

 

274:名無しの悪魔

酷いwwww

 

275:名無しのバスター

このガキが何をしたwww

いや、この感じ、元ミルコメ兄貴かww

 

276:名無しのサマナー

餓死→窒息→餓死に戻るとは器用なww

 

277:名無しのメシアン

何と言う天罰

 

278:名無しのガキ

(´;ω;`)帰る

 

279:名無しのバスター

マジで来て帰っただけやんww

 

280:名無しのガイアーズ

あれはワシらでも救えぬものry

 

281:名無しの生協

生体エナジー協会は中立組織だから前科ものは無理だからね

そこははっきり言っておかんと

 

282:名無しのバスター

でも、せっかくイベント報酬でマグやらマッカがいっぱい手に入った瞬間にこれとか……

やっぱりこの世界の神は草運営、間違いない

 

283:名無しのガイアーズ

それって四文字のことか?

ならしゃーなし

 

284:名無しのメシアン

メシアン的にはそれを言われるとやめろと言わざるをえない!!

……いや、やっぱ否定できんわ

 

285:名無しの悪魔

四文字が黒幕と決まったわけではないだろう!

良い加減にしろ!(四文字無能は否定しない)

 

286:名無しのサマナー

ようやく、もやし生活が終わると思ったのにこれとか

つらい

 

287:名無しのバスター

いや、そこまでの極貧は普通にバイトしろ

 

288:名無しの悪魔

(裏業界への)バイトですね、わかりまry

 

289:六本木のガイアーズ

今ならガイアの伝で手軽なアルバイトを紹介してやるぞ!

え?内容?893関連の護衛?

 

290:名無しの悪魔

↑ねーよ!

 

291:名無しのバスター

色々と危なスギィ!

 

292:名無しのサマナー

無能なら死ぬし、有能でも目をつけられるとか、なんと言う地雷依頼

 

293:六本木のガイアーズ

でも給料相場はええで?

ttp/××××××.net

 

294:名無しのバスター

うわ、絶妙にやりたくなる値段やめろ

 

295:名無しの悪魔

罠だと分かってはいるが……いるんだがなぁ

 

296:名無しの悪魔

これ悪魔でもできるバイトとか、マ?

流石ガイア傘下の893

 

297:名無しのバスター

物件に沸いた悪霊退治くらいならセーフそう!

という訳でポチー!

 

298:名無しのバスター

なんという勇者

 

299:名無しの悪魔

やるんならレポよろ

それによって続くか決めるから

 

300:名無しのバスター

見えてる地雷を踏むとは……惜しいやつだったよ

 

301:名無しのサマナー

と言うか、イベント後、日和見勢動きなんだよ

そのせいで、悪魔が増えた筈なのに依頼が減ってるぞ!

どうにかしろ運営!

 

302:名無しのメシアン

(都内のデビルバスター人口が)溢れる、溢れるぅ!

 

303:名無しのサマナー

中級者スレだと依頼が増えたって喜んでたけどな

つまり、雑魚依頼だけが人気でry

 

304:名無しのガイアーズ

いや、安全マージンは取りたいやん?

 

305:名無しの壬生浪士

業界的には新前すぎて信用が足らんと言われました

 

306:名無しのバスター

強敵悪魔討伐依頼だと割と他悪魔pだったりするのじゃ

許せ

 

307:名無しのバスター

ガイアメシアの増員のせいで、お手頃依頼は全部大手がとってっちゃうからね

ちかたないね

 

308:名無しの悪魔

うーん、この

 

309:名無しのサマナー

意地でもガイアメシアに入信させようとする神の見えざる手(見え見え)を感じる

 

310:名無しのメシアン

悔しい!でも、入信しちゃう!

 

311:名無しの悪魔

や め ろ !

 

312:名無しのバスター

ゲーム内だと何で明らかに死に向かってるのに雑魚モブどもがそんな組織に入ろうとするかわからんかったけど、ようやく少しだけ理由が分かったわ

 

313:名無しの生協

今なら大卒程度の頭+レベル15超えならうちのバイトも紹介してやるぞ!!

……ここ数週間ずっとデスマーチだがな!

 

314:名無しの悪魔

デスマーチ(notアプリ)

 

315:名無しのバスター

メガテン世界に来てまで、何故わざわざ社畜に戻らなければならないのか

 

316:名無しのメシアン

しかも、バイト扱いと

現実は辛いなサム

 

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「……きたっ!!

 沖田さん、構えて!」

 

「了解です!!

 シェ・ムラマサとか家賃代その他のため、覚悟!!」

 

かくして、沖田さんの熱い要望により、自分たちはあの後素早く依頼を謎女さんからもらうことになった。

依頼内容は都内に発生する強力な悪魔の討伐。

なお、相手の詳しい名称は不明だが、女性を中心に無差別に襲いかかってくる狂気にのまれた悪魔だと言う事。

すでに無数の死者含む被害者が出ているおり、被害は甚大。

被害者には弱小であるがデビルバスターも含んでおり、放置は非常に危険と判断。

被害が広がる前に、可及的速やかに処理してほしいとの事だ。

 

「ーーーAAAAAAAA rrrrraaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!」

 

そうして、明らかにマグの濃い路地裏を駆け回る事数十分。

どうやら向こうもこちらの気配に気が付いたのだろう。

その正体不明の謎の人型の悪魔はまともな会話すらせず、狂気の雄叫びを上げながら、こちらへと襲いかかってきた。

 

「……ずぁ!!」

 

「大丈夫か?沖田!?」

 

なお、その威力とスピード共に猛烈であり、周囲の壁がえぐれアスファルトの地面も割れる。

その攻撃を受けた沖田さんを中心に周囲の建物や道路が砕け壊れる。

 

「……が、大丈夫です!

 今の私の【ペルソナ】は【ヨシツネ】で【物理無効】!

 貫通なしの物理なら問題ナッシングですよ……っと!」

 

「ーーーgaasaaaa?」

 

しかし、その一撃も物理無効の沖田さんの前では無意味だ。

悪魔の攻撃を無効化し、相手が呆けた隙に沖田さんが反撃の一撃を放つ。

しかし、綺麗に胴に当たった筈の刀もまた、相手に触れる直前でその勢いを落としてしまったのであった。

おそらく相手も物理無効持ちや吸収持ちなのだろう。

何故前任のデビルサマナーがやられてしまったかがよく分かると言うものだ。

 

「……ノッブ!アナライズ結果は!?」

 

「アナライズ結果は……ボス補正?か殆どエラー!

 名称不明!スキル不明!耐性……お!物理銃吸収、呪殺無効、電撃弱点!」

 

沖田さんが悪魔を足止めしているうちに、こちらは相手のアナライズを済ませる。

しかし、残念ながら、相手がどのような悪魔かは分からなかった。

が、それでも耐性が分かれば戦う上では十分とも言えよう。

 

「悪魔会話……は無理そうだな。

 ダークマンすら無反応だし」

 

「いやいや、今のこれを見たら分かるでしょう!

 どう見てもまともに対話すら出来ない類じゃないですか。

 そんな呑気な事……うわちょ!目潰しはやめて!」

 

沖田さんが悪魔を相手取りながらも律儀に答えてくれる。

こちらとしても、前回の教訓からもそろそろ物理耐性の強い仲魔が欲しかったところなのだ。

が、どうやら今回は縁がなかったようだ。

此方への殺気も止まらず、まともに交渉すらできない相手にデビルサマナーといえど、容赦する必要はない。

既に奪った無数の若い女性の仇討ちをする事となった。

 

「ノッブ!攻勢に入りたいので《あれ》をお願いします!」

 

「了解!という訳で……喰らえ!」

 

沖田さんの合図と共に素早くCOMPからそれを取り出しなげる。

それは宙に舞った後に破裂。

薄暗い筈の路地裏の戦場に直視すれば目が焼かれるほどの膨大な光が放たれた。

 

「わーお、さすがはかせ特製の閃光弾。

 半端ないな」

 

無論、悪魔によってはそもそも視覚が無かったり、そもそも光で強化されるのもいるので過信は禁物。

しかし、それでも今回の悪魔には有効だったのだろう。

その光を直視してしまった悪魔は先程までの軽快な動きは何処へやら。

その身を縮こませ、悶えていた。

 

「いまです!ペルソナチェンジ!からの……《ジオンガ》!!」

 

「換装!からの《電撃弾》喰らえ!」

 

「ーー!!IGAAAAAaaaaaaaaaaaa!!!」

 

沖田さんの放つ極大な電撃と、自分のギターケースから放たれる無数の小型電撃が目の前の悪魔へと襲撃する。

そして運が良かったのだろう、自分達の攻撃を受けたその悪魔は電撃により痺れて《麻痺》状態になってくれた。

 

「よっし!その素早い足さえ止まってくれれば後は大丈夫!

 麻痺が解ける前に一気に畳みかけますよ!」

 

「了解!《モーショボ》!《チャグリン》!」

 

かくして、沖田さんは続けて中位の電撃魔法のジオンガを、合体素材予定だった【妖獣・チャグリン】のジオとモーショボのザン、さらにはギターケースで援護射撃もした。

かくして、この弱点属性を含む波状攻撃にはさしもの悪魔もひとたまりも無かったのだろう。

その悪魔がバスティングされるのはそのすぐ後のことであった。

 

 

「ーーA…… A……

あり……がと……」

 

「……?」

 

「よっしゃ〜!!

 これでようやく現生確保!やった!」

 

悪魔の遺言を聞きながら、消えゆく悪魔。

薄まる周囲のマグネタイト濃度に喜ぶ沖田さん。

おそらくこの辺は半分異界化していたのだろうが、その怪しい気配も薄れていくのを感じる。

これならば数日も経たないうちに、ここは元の薄暗いだけど裏路地に戻るだろう。

 

「……」

 

「どうしたんですか?ノッブ。」

 

此方の様子が気にかかったのか、沖田さんが此方の顔を覗き込む。

無論、それは単なる自分の勘であり、確証があったわけではない。

周囲には感じない他悪魔の気配に、不可解な遺言。

異界未満の場所にいるにしては不釣り合いな強さに、突然湧いて出たかのような被害経歴。

何より戦い方は二足二手の人型であり、あまりにも整いすぎている耐性、アナライズが利かない謎の特性。

その全てを一つに繋げると自ずと導き出される回答は……。

 

 

「……え?」

 

「……やっぱり、こう言うことかよ」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

〇クエスト【初めてのPK】の達成を確認しました

 ・クエスト達成報酬を送付します

 ・おめでとうございます!貴方は敵対プレイヤーの討伐に成功しました!

  つきましてはそれに従い特殊な報酬を得ることが出来ます

  報酬を選択してください

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

COMPに表示されたその文字とプレイヤー独特の残留マグネタイト。

その自分の抱いた疑問は実に最悪な形で明かされてしまったのであった。

 

 




tip・中島がノブ口調で話すと沖田さんが喜ぶが、かわりにノブポイントも上昇してしまう。


※アナライズが利かなかったのはこの【魔人】タイプのプレイヤーのオリジナルスキルによるものです
モデル?スカスカの具


▼感想ありがとうございます!
非常に励みになっております。でも主人公の影が薄いのは本当に申し訳ry

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