このイベントが始まってから早くも半日。
一向に空の様子は変わらず、巨大な赤い満月が浮かびっぱなしではあるが、それでも時間は経過し、あっという間に約束の時間になってしまった。
そうして、戻ってくるは六本木ヒルズの中心≪森タワー≫のふもと≪66プラザ≫。
そこにある絶好の待ち合わせキモオブジェ≪巨大クモ・ママン≫の下に彼女はいた。
どうやら彼女は自分のなすべきことをなしたらしい、その顔には満足げな表情が浮かんでおり、達成感にあふれていた。
「おや、ノッブ!
遅かったじゃないですか!最後の一組がそんなに時間がかかりましたか?」
「……まぁ、な」
だが、自分はそうではない。
沖田さんが笑顔でこちらの様子をうかがってくるが、今の自分は冷静さを欠いている。
そのため、こちらは彼女の顔をまっすぐ見返すことができなかった。
「その様子を見るに……どうやらうまくいかなかったみたいですね。
わかりますよ、誰しも得手不得手、上手くいく時上手くいかない時があるんです」
「いや、救出自体はうまくいった。
あの後も3組ほど見つけて、それぞれ希望する避難所へと届けることができた。
悪魔の群れにも遭遇したし、それでも特に何の犠牲も出すことなく倒すことができた。
……だから、当初の目的は達成できた」
「おお!それはよかったです!
ならば、悔いはないはず、違いますか?」
「……っ!!」
沖田さんのその言葉に、思わずこちらの心がきしむのを感じる。
そうだ、違うのだ、確かに自分は先ほどまで最善を尽くしたし、努力はした。
多くの未熟なプレイヤーを助けることもできたし、多くの悪魔を倒すことができた。
だが、だがそれでも、ここまでやってなお届かないものがあった。
思わず、自分は再び衝動的にこの夜の街≪異界:六本木≫の奥深くへと再び足を踏み出そうとしていた。
「……はい、ストップですよ、ノッブ。
あなたは強くても人間。
半日も異界を駆け巡って体力も限界、違いますか?」
が、それは彼女によって止められてしまった
「いや、まだ動ける!
それに、それに今ならまだきっと間に合うはず、それにもしかしたらまだ近くに未熟なプレイヤーが隠れているかもしれない!
だから、だから……」
「だめです、諦めてください。
目的と命、どっちが大事か、言わずともわかりますよね?」
「……」
彼女は優しい顔をしながら、静かにこちらの肩をつかんだ。
そうして、やさしくこう諭してきた。
「そうです。
世の中にはどうにもならないこともあるのです。
ノッブはちゃんと十分頑張りました、だから、今はあきらめてゆっくり休憩をはさみましょう
そうwwwww例えwwwwドロップ率アップ&レアドロップ期間中なのに魔石しかドロップしないクズ運でもねwwwww
いや~~、こっちはいろんなアイテムがドロップしてつらいわ~~!!
ノッブほど多くのプレイヤーの救助はできませんでしたが、見慣れないアイテム類はたくさんゲット出来ちゃいました!
魔石ばっかりで、COMPでの魔石所持数が限度になるとかそんなことなくてつらいわ~~!!」
そうして沖田さんは満面の笑みを浮かべ、両手に持った様々なアイテムを見せびらかしてきたのであった。
例えば、使えば永続的にステータスがアップする【速の香】からMPを大幅に回復できる【チャクラポット】。
それだけではなく悪魔を一定時間追い払える【退魔の水】に【ガーネット】をはじめとする宝石類まで!
さまざまな自分とは違い、様々なレアアイテムを手に入れることに成功したなんちゃってコスプレ沖田の姿がそこにはあった。
実にふぁっきゅーである。
「ぐぎ!!ぐぎぎ!!!べ、別にくやしくないし!
それに魔石だけじゃねーし!
それ以外の便利アイテムもカンストまでドロップしたし!
ドロップ率自体は悪くない!」
「ひーほーほー!!
で、そのアイテムとは一体?」
「……アギストーンとデビルスリープ」
「でwwwでwwwデビルスリープwww
よりにもよってデビルスリープwww
アギストーンにそれとかピンポイント過ぎておなか痛くなりますよww
それはあれですよ、きっとこれからも敵は焼き討ちしろっていう天からのお達しですよww」
沖田さんが、バシバシとこちらの肩をたたきながら大爆笑する。
くそう!沖田さんと2人でいると、こちらが強すぎるせいか悪魔達の方から逃げ出すからってわざわざ分かれたのに!
2人に分かれば、探索力ならモーショボーがいる分こちらが上だから、最終ドロップ結果もこちらが勝てると思ったのにぃ!
「……やっぱり、色々と納得いか~~ん!!!!
それに自分もレアアイテムほしい!!
お香も欲しいし、特に宝石なんて悪魔交渉とか合体に使うから!!!
というわけで、やっぱりもうちょっと初心者PCの護衛と称して、弱者に集まる悪魔の群れ狩りを続ける!!
というわけでもう一度行ってくる!!」
「はいはい、馬鹿なこと言ってないで帰りますよ。
もうすでに半日もたってますから、大方の初心者プレイヤーはもうすでに避難か死亡してるでしょう。
あきらめて、私たちも休憩に入りますよ、無論、負けたノッブのおごりでね」
「やだ~~!!やだやだ~~!!
こんな苦労したのにお香なしとかやだ~~!!
宝石もなしとかやだ~~!!!」
こうして、異界とかしたこの東京で自分の情けない駄々こね声が周囲に響き渡ったのでした。
なお、こんなに隙を見せたのに悪魔の群れは、こちらに恐れをなして一匹も近寄ってはこなかった。
シットナブル!
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
【憂鬱の日曜日】期間限定イベント総合スレpart3【実は今日は月曜】
1:有能サマナー
このスレはこの世界【女神転生・影】で現在行われている
期間限定イベントについて雑談していくスレです
気が付いたことや起きたこと、何でも書き込みOKです
ただし、避難所や宗教勧誘、救助目的などは専用スレでお願いします
☆リンク
・避難・救助スレ
ttp/××××××.DDSS.net
・宗教勧誘兼避難所紹介スレ
ttp/××××××.DDSS.net
・攻略スレ
ttp/××××××.DDSS.net
2:名無しのバスター
立て乙
3:名無しのバスター
立て乙
4:名無しの悪魔
立て乙、なんか有能ニキ久々に見たな
5:名無しのサマナー
立て乙
マッカが……マッカが足りないんじゃ……
6:名無しのバスター
立て乙
>>5 解り過ぎて辛い
6:名無しの悪魔
>>5 めっちゃわかる
今まで悪魔だから同族のよしみってことで、戦闘とか回避させてもらってたから今回のイベントはつらい
なんで、はじめっから強制敵対なんじゃ!
7:名無しのサマナー
明らかに出てくる悪魔会話通じないやつ多いよね~~
悪魔交渉もいつもよりも失敗が多い気がする
8:名無しのバスター
みんなそういうけどいうほどか?
悪魔なんて大体いつもあんなのだろ。
9:名無しの悪魔
目の前で他PCが悪魔にもぐもぐされてるところ見ちまった……
おえっぷ、あれ、全身食われても蘇生とかできるのかね?
10:名無しのサマナー
……今回、多分いろんな意味でですイベントなんだろうけど
悪魔どもに襲われると、文字通り骨まで食われつくしてくれるおかげで
リアルな死体を見ることが少ない、それだけが救いだよな
11:名無しのバスター
おいバカやめろ
・
・
・
(しばらく少し陰鬱な話が続きます)
・
・
・
300:名無しのバスター
というか、避難所ってどこもホントたけーな
ガイア教の寺もメシア教の教会も回復の泉もマジでぼったくり値段
こちとら少し泊めてもらうだけなのに悪魔集団を複数狩るよりもマッカ持ってくとかふざけているとしか思えない。
301:名無しのサマナー
回復の泉は論外として、ガイアの寺やメシア教会まで高いのはあれだよな。
機械や結界とか動かすのにマグが必要らしいけど、どう考えてもあればぼり過ぎ。
しかも教会や寺は運営が同じプレイヤーなのにねぇ
302:名無しのガイアーズ
部外者のくせに実に偉そうだな。
追い出してやってもいいんだぞ
303:名無しのメシアン
入館は無料です
ただし、結界内に入るには必ず寄付をしてもらうだけです
304:名無しの悪魔
>>302 >>303 う~~んこの
305:名無しのメシアン
まぁ、身内には割引効くみたいだから
あえて今だけ所属するのも手だぞ
306:名無しのバスター
一度はまったらずるずるに抜け出せなくなりそうで怖い
307:名無しのガイアーズ
大丈夫大丈夫、俺らの内でまだガチな宗教家はそこまでいないはず……
いないよな?
308:名無しのメシアン
^^
309:名無しのガイアーズ
もう両組織に俺らの情報が流れている時点でって感じはするがな
310:名無しのバスター
やっぱり回復の泉が一番だぜ!
見た目エロいし、神性で居心地が最高にいいし、悪魔交じりでも差別がないとか最高だぜ!
311:名無しのサマナー
でも、サマナー的には仲魔の回復を別料金にとるから嫌い
せめてもっと安ければ……
312:名無しの悪魔
そんなあなたにもっとおすすめ、ナキサワメ!!
なんと彼女は施設もないのに回復してくれる、かわいい女神様だぞ!
……ただし、料金が回復の泉の倍以上だがな!!
313:名無しのサマナー
>>312 wwwwあれはねぇよwwww
ぼったくりってレベルじゃねぇぞ!
……まぁ、近くに回復施設がなくて払わされたんですけどね(白目)
314:名無しのメシアン
馬鹿なプレイヤーがナキサワメにケンカ売って
一方的にぶち殺されているのは見た。
あの子戦えるんやなって
315:名無しのバスター
お前ら、そんな不便なところに避難してるの?
俺様は一人、優雅にベルペットルームでイベントが終わるまでのんびりしてるぜ!
まぁ、回復や飯が出ないのがあれだけどな!
316:名無しのサマナー
>>315
317:名無しのガイアーズ
>>315
318:名無しのバスター
やはり俺もちゃんと初期設定でワイルド補正をONにしておけばよかった……!!
なぜ、自分はそれを取り忘れてしまったのか
319:名無しの悪魔
というか、基本的に今回のイベント
序盤は警告なしでスタートしたけど、マジでそれだけだな。
確かに不意打ち率は上がってる気がするけど、出てくる悪魔は雑魚ばっか
実質ただのウマドロップだし、神運営だわ
320:名無しのメシアン
>>319 ほう、人死が出て神運営と
率直に言って死ね 氏ねでなく死ね
321:名無しのガイアーズ
>>319 修羅勢基準で一般PCに接してはいけない(戒め)
322:名無しのバスター
それでも、今回のイベは割と良心的よ
中に回復施設はあるのに、敵はレベル10以下悪魔限定でしょ?
ぶっちゃけ、戦闘慣れしていれば余裕余余裕。
掲示板も使えることやパーティを組むこと考えれば、理不尽で運ゲーされるよりはだいぶましだよ
323:名無しのサマナー
回復施設が高いことを考慮しても
回復アイテムのドロップ率がいいから、それで何とかもなりそう
……まぁ、おかげでDYNG半分で仲魔ストックMAXになっちゃったんですけどね
324:名無しのバスター
せめてどこかに売店さえあればなー
325:名無しのガイアーズ
そういうときこそ、俺らPCの協力しどころだろ!
というわけで、いつでもガイア教の商業部門担当の私がいつでもお客様との取引をお待ちしております
銀座で僕と握手
326:名無しのバスター
>>325 すまん、自分名古屋
327:名無しのサマナー
遠過ぎぃ!!というか、このイベントって全国レベルなのか
328:名無しの南極研究者
そうだよ、おかげでこっちは久々の地上に出れたぞ~~
艦内は安全なままだし、施設もそのまま。
悪魔遭遇率もシュババに比べりゃ低いし天国みたいなもんだ!
……まぁ、外は周りは一面銀世界の南極なんですけどね!
329:名無しのバスター
>>艦内は安全なまま >>悪魔遭遇率低下
何それ、ずっるい
まぁ、それでも南極単身は全然うらやましくないけど
330:名無しの南極研究員
そこは嘘でもうらやましいと言ってくれ(´・ω・`)
やっと見つけた地理的利点なんだから
331:名無しの悪魔
というか、やっぱりこのイベ全国区なのはわかったけど
地域差はあるん?ドロップ率変わっちゃったりするん?
というかこの異界はどういう仕組みなの?
332:名無しのメシアン
>>331 するする、というかしている。
メシアン専用スレでの情報だと、どうやらPCが多くいる場所ほど悪魔発生率&レア泥率は上がるっぽいよ
逆にPC少ないとところだと襲撃もかなり散発的らしい
なお、ここメシア教会を含めPCが使ったり所有している場所は現実と変化が少ないみたいです
あえてのこの世界を言うならPCしかいない異界地球的な?
333:名無しのガイアーズ
>>331 ドロップ率はしらんけど、発生率変化は確か
人が多いほど悪魔が沸きやすいってことで、各組織に建物に入場限界の人数制限が求められてる
なお、異界設定はそれぞれ元いたプレーヤーが強制的にその場の裏世界的な場所に連れていかれているっぽい
現実世界とは多少リンクしているっぽいから、自分の部屋にも帰れるぞ 結界はってないと悪魔が沸いてくるがな
例えるなら魔界にそのまま俺らがいた場所を一般人除いて落した感じ
334:名無しのバスター
>>332~>>333 結婚おめ
335:名無しの悪魔
ピッタリ症おめめ
336:名無しのサマナー
本当にメシアンとガイアーズは仲がよろしいですね^^
337:名無しのメシアン
>>333~>>336 絶許
338:名無しのガイアーズ
天使臭い奴らと一緒にされるとか末代までの恥ですわ
339:名無しのサマナー
真面目な話、つまりは東京周辺は危険でデンジャーだけどうまい
俺みたいなド田舎在住はめったに悪魔の群れに会えないと
……電車動いてないけど、今から東京の祭り、俺も参加できないかなぁ
なお、十勝在住
340:名無しのバスター
プレイヤー密度的に御影町とか軽子坂はやばそうだな
341:名無しのサマナー
>>339 なんでそんなところに住んでるしwww
342:名無しのバスター
別にそのくらい、シェルターとか考えれば珍しいことでもないだろ
なおワイアメリア まさかここでもイベントに巻き込まれるとは思わんかった
343:名無しの悪魔
>>342 逃げ過ぎぃ!!
344:名無しのサマナー
その理論で行くと、今一番イベが活発なのってどこ?
自分は鳴上Sの一人だからいうけど、たぶんのこ町が個人的にやばいと思ってる
345:名無しのバスター
>>344 八十稲羽はPC人口密度確かにやべぇな(確信)
346:名無しのメシアン
確かにそうかもしれませんけど、今なら六本木の方が危ないのでは?
確か魔人の目撃情報への懸賞とやらで大量の人が集まっていたらしいですし
347:名無しのバスター
あ~~、アリス騒動あったなぁwww
イベントのインパクトですっかり忘れていたわww
348:名無しのロリ
今考えれば、やけに全国的にGPが不安定だったり、異界での悪魔変異
魔人の登場の複数登場とかはこのイベントの前兆だったんだろうね
349:名無しの悪魔
ちょっとした気持ちでアリス情報に懸賞金かけたら大変なことになったでござるの巻き
……ろ、六本木で死んでも、自分のせいじゃないんやで?
350:名無しのバスター
もしかしたら、この異界でアリスに会える可能性
レア悪魔出るらしいしちょっとやる気でてきた
351:名無しのサマナー
ということは、今六本木って悪魔の巣窟?
世紀末でヒャッハ―で、その辺に死体が散乱してる感じ?
352:名無しのバスター
>>351 ライドウが駆け回ってるから大丈夫だぞ
353:名無しのサマナー
お助けキャラが続発してるから大丈夫っぽい
354:名無しのメシアン
なにそれkwsk
というか>>352ってマジか!!
ちょっと今から、行ってみる
355:名無しのガイアーズ
いやいやww
さすがに偽物だよな?そうだよな?
……やべぇ、もしいるなら俺すぐここ抜けるわ
絶対にぽぁされちまうw
356:名無しのサマナー
女版ライドウやぞ
魔法を前転でかわしてたぞ(震え声)
357:名無しの悪魔
俺もちょっと遠目で見たけど、あれヤバい
強いとか弱いじゃなくて、バグ
なんか、一人格ゲーから来たみたいに無敵時間がついたり、謎軌道で動いたりしてる
358:名無しのバスター
>>354 いやいや自分普通にそれらしきのに合ったけど普通に俺らと同じPCだったぞww
というかあれはただのノッブだろwなぜかゴウトにゃんらしきもの連れてたけど
359:名無しのメシアン
>>358 多分みんなが言ってるのとそれは別物じゃない?
俺も六本木で刀を持ってる時代錯誤の女性に救われたし
名前を言うとあれだから書かんけど、セイバーっぽかったよとだけ
360:名無しのバスター
高レベルだと、悪魔の出現率が下がるからね
低レベルのプレイヤーに護衛と称して悪魔おびき寄せ装置になってもらうと色々と美味しいからね
ちかたないね
361:名無しのバスター
いや、俺が見たライドウっぽいのは絶対PCとかそういうのじゃないから
だって、遠距離でアナライズしてもうまく表示されなかったもん
絶対運営のプログラム加護とやら受けてる何かだわ
362:名無しの悪魔
>>361 マジ?もしかして、ライドウコスプレだけでなくリアルで運営のお助けキャラがいる感じ?
363:名無しのサマナー
>>362 キタ━(゚∀゚)━!
え?え?まじで、本当ならいろいろと楽しみなんだが!
364:名無しの悪魔
なんだ!お助けキャラがいるなら安心だな!(慢心)
でも、チョイスがライドウっていろんな意味で怖いんですが(震え声)
365:名無しの悪魔
むしろ、リアルライ様がいるなら仲魔にしてほしい
というか、下僕にしてください(願望)
あ、でも♀かぁ……♂ならなぁ……
366:名無しのバスター
ま~でもある意味それは妥当かもなぁ
今自分も六本木にいるけど、どう考えてもシステムの加護なしには倒せないボスがおるし
367:名無しのサマナー
え、マジ?もうボス見つけたの?
というかよくボスだってわかったな
368:名無しのガイアーズ
>>367 どうやら人口密集地が高い地域にボスが発生している模様
すでに複数発見されてる
369:名無しのバスター
まじでか!ちょっとボス突っ込んでくる!
なぁに!死にかけてもライドウちゃんが助けてくれるさ!(慢心)
むしろライドウちゃんに会えるなら一石二鳥では?(ぐるぐる目)
370:名無しの悪魔
自分の命をチップに突っ込むとは剛の者過ぎる
371:名無しの壬生浪士
なんだこれは、たまげたなぁ(震え声)
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「……ねぇノッブ。
ノッブって、何かアナライズ対策……
いえ、何か新しいCOMPアプリをはかせからもらったりしましたか?」
沖田さんがソファーの上でCOMPをいじりながらそう言ってくる。
さて、今現在が我々がいるのはあの【業魔殿】(異世界)のとある一室。
ガイア教施設、メシア教施設がこのイベント異界にもあるなら、もしかしたらこの【業魔殿】もと思ったが、どうやら自分の予想はいい意味で的中したようだ。
ここならば、あまり他PCと出会わないだろうし何よりこの建物周囲には悪魔避けや人避けの結界があると聞いたことがある。
おかげで陣営のいざこざや細かい料金プランを気にせずにのんびりできる。
実に快適である。
「あ~、確かにあの似非ロリから【遠隔呪術対策】とかいう謎のアプリのモニターを頼まれたな。
でも戦闘中は特に何か効果があるわけでもないし、敵魔法を防いでくれるでもなかったなぁ。
とりあえずONにしていたけど、そっちから見て何か特別な変化があったりした?」
「……いえ、特には!
でもやっぱり、ノッブはもってるなぁとだけ」
「???」
沖田さんが何か勝手に一人納得しながら、うんうんとうなずいている。
きっと何かあるのだろうけど、聞いても多分教えてくれなさそう、そんな雰囲気をしている。
「ねぇねぇ!ところで凪!!
今日わたしすごく頑張ったよね?一杯お空飛んでいろいろ情報収集したよね?
だから、今日はここのケーキ、ホールで頼んでいい!?」
「あ~~、いいよって言いたいのはやまやまなんだけど、ここ、今異界にあるから……
シェフのムラマサさんがいないせいでそういうの頼めないんだよ。
それに、ルームサービスの類も無理です」
「えぇ~~!!そんな~~!!」
なお、この異界の中にある【業魔殿】は従業員がいないため、ルームサービスの類は期待できない模様
幸いちゃんと水も使えるし、電気も通っているので数日過ごす分には問題ないだろう。
けれどマッサージやプールは無理、ビデオは見れてもテレビは電波が通っていないため見れない。
当たり前か。
「というわけで、今回はこの部屋備え付けにある割高なドリンク類で我慢しなさい。
今回は特別におつまみもOKだから」
「やった!それじゃぁ私ジュースジュース!
この瓶に入ってるやつ飲んでみたかったんだ~~♪」
ちょろい。
そんな風に思いながら、嬉しそうに部屋備え付け冷蔵庫をあさるモーショボー。
その姿にかわいらしさを感じるが、さすがに高級シャンパンラッパ飲みはいかがなものか。
「そういえば、ノッブはこのあと少し休んだらどうするつもりですか?
やっぱり、また悪魔狩りという名のレアドロップ探し?
それともボス討伐行っちゃいますか?」
「え、もう普通にひきこもるつもりだけど」
「え」
「え」
自分の言葉が意外だったのか、沖田が不思議そうな顔をした。
が、自分としては当然のことを言ったつもりだったのだが。
「というか、これ以上はもうあきらめた。
そもそもフリーのリュックの容量がフォルマのせいでもういっぱいいっぱいだし。
魔石とか普通にドロップするアイテムはクズ運のせいで所持数限度が来て、野良プレーヤーに押し付けたぐらいだもん。
安定してレアドロップするなら探索もいいんだけど、その辺の宝箱は他プレイヤーがすでに開けちゃってるみたいだからなぁ」
「まぁ言われてみればそうですが……」
「あ、沖田が探索したいっていうなら付き合ってもいいんじゃよ?
レアドロップ分けてくれるなら!」
「ははは、冗談は良子さん。
というか、ノッブと2人探索ってこの辺の野良悪魔だと弱過ぎて、出てくることすらなくなるでしょう」
「それな」
一応、お荷物という名の新米プレイヤーを見つければ寄生することで何とか野良悪魔と戦闘できるが、まぁもうすでにイベント経過からは丸一日以上経過している。
おそらくこんなに時間がたってしまえば、すでに新米プレイヤーはいろんな意味でいなくなっているだろうし、さすがに死にかけや救助を求めていない新米プレイヤーの悪魔を横取りするほど飢えてもいない。
つまり、今の自分たちはおそらくボス悪魔以外は基本わざわざ探さなければ悪魔に遭遇することはないのだ。
「一応、管にいる雑魚悪魔で釣るって作戦も考えたけど、マグネタイトもただじゃないしリスクも高いからね。
下手な探索は収支がマイナスですよっと。
ところで沖田さんはどうするの?
やっぱり今のうちに探索して、レアドロップかき集めるの?」
「いや、そうしたいのはやまやまなんですが、どうやら私もノッブほどではないですが、やり過ぎたみたいで……
一人で歩いても、悪魔の方があんまり寄ってきてくれないんですよねぇ。
だから、どうせなら私こう言う高級なホテルに泊まったことないし、今回は存分にこの業魔殿をノッブと一緒に楽しもうかなって!
というわけで、モーショボーちゃん!私にもジュースわ~けて!!」
「えっ、やだ。
オキタはおとなしく、水でも飲んでろ」
「辛辣!」
なぜか沖田さんに微妙に冷たいモーショボーを尻目に、自分もベットへゆっくり横たわるのであった。
「まぁ、ボスもさすがに自分みたいなライト勢が挑むのは万が一を考えると危なそうだしねぇ。
適当にごろごろして、適当にぱぱーっと遊び惚けますか!
あ、そういえばここの冷蔵庫には珍味の詰め合わせがあったはず」
「ライ……ト……?」
「あ、それならオイラがもう食べちゃったニャ」
「ぶっ殺す」
かくして、自分たちはイベントが終わるその日までこの業魔殿(従業員なし)でゆっくりと過ごしていくことを決意したのであった。
「……」
「あっ、次オイラの番かにゃ」
「……ねぇノッブ」
「……なに?」
「あーっ!!こら、そこ、無断でオナラカード使わないで!!
せっかくもうすぐ、目的地だったのに―!!」
「このイベント始まってから……今日で何日目でしたっけ?」
「……ここ、常夜なせいで、外出てもわかんないんだよ」
「にゃ~っはっは!!
甘い、甘すぎるにゃ!
貧乏神をそう簡単に引きはがせると思ったら大間違いにゃ!」
「じゃぁ時間でいいでしょう時間で、DDSSのイベントタイマー的なのあるでしょう?
そこに何か書いてないかなーって」
「……170時間ちょい」
「170時間かぁ……」
「約一週間ですねぇ……」
「約一週間かぁ……」
「うう~~!!
次こそ、次こそ急行カード使うもん!!
って、ああ!全部、ぜんぶ1って!!ああ~~!!」
「……流石にそろそろボスの顔くらいは見に行きますか」
「そうだな、無理そうでもアナライズぐらいしておきますか」
なお、当初立てた【イベント終わりまで立てこもり作戦】は早々にとん挫。
掲示板も【悪魔】よりも【食事】や【いつ終わるか】を気にし始めたこと、イベント終了の徴候その他が皆目起きていないこと。
以上のことからようやく、自分たちはあきらめたかのようにボスへと向かう羽目になったのであった。
さもあらん。
※クリスマスは2度刺す……!!
※170時間を5日と書いてたミスを修正
掛け算できないガチ勢 かなしぃなぁ