あれから、僕は無事転生を果たし、ベビーベッドの上でおぎゃーおぎゃーと泣き喚いて居たのが、16年前。気がつけば、こうして僕は高校生になっていた。・・・端折りすぎ?それに関しても、色々言うところはあるだろうが、大方既視感あふれるような内容になってしまうので割愛した。
転生特典で色々苦労したり、親に犯されかけたり、施設に連れて行かれたりしたが、それも今ではどうでもいいことなのだ。まぁ正直なことを言うと、面倒いから端折るというだけなのだが。誰しも特に理由もなく、昔のことを思い出そうとは思わないだろう?
「そういえば」と何かのついでに、思い出すと言うのが人間というものだ。話そうと思っていても、その話そうと思っていた話題をその時まで覚えて置けるほど、人は並列に物事を熟すことが出来ない。割りと、人間の思考というのは、複雑ではなく、単純なのだ。
例えるなら、朝遅刻しそうな時に、「スマホがない!取りに行かなきゃ!」と取りに行き、家を出る。学校に遅刻ギリギリで間に合って一安心したところで、思い出す。「そういえば、今日体育あったな」と言うことを。そして、体操着は家の玄関に起きっぱになっているということを。
この僕も例に漏れず、「そういえば」で思い出すことは多々ある。今僕の目の前の曲がり角に見えている「テンプレ」のように。
ーーー
僕には生まれつき、不思議な
これは、僕が転生する時に、望んだ特典の一つの「今と変わらない容姿と能力」、厳密には「前世の容姿と能力を引き継ぐ」という特典のおかげで今も使用できる。そしてこの能力については、別枠の特典で「この能力の強化及び制御可能になる」と言うのもあり、この能力は僕が転生してからも、一番使用している
・・・「
その「テンプレ」が僕には視える。「1+1=」なら答えは「2」であるし、他の問題でもそうだろう。だが、この「1+1=」という問題にはもう一つ答えがある。それは「田」と言う答えだ。よくあるなぞなぞの答えだが、「普通」なら「1+1=」という問題を見てこちらの答えを先に上げる者は居ない。
俗に言う「ひっかけ問題」と言うやつなのだが、僕にはこの「田」と言う答えは見えない。何故なら、「普通ではない」から。僕が視えるのは「定形」、定まった形のモノであり、人間の共通意識であるものしか視えない。これが僕の
だが、この「定形観測」は、「
要は、範囲が広すぎるのだ。期末テストで、「テストの範囲は高校から小学校までの教科書全部」と言われるぐらい広い。しかも制御可能になった今でも、視える範囲は「高校3年間の教科書全て」ぐらい。そして、初めに挙げたようにこの「定形観測」は森羅万象、果ては未来まで「
因みに、この能力ON/OFFが効かない。制御可能になった(ON/OFFが出来るとは言っていない)とは、とんだ詐欺である。あと、この
休話関題。結局、自分語りをしてしまったが、何を言いたかったかというと、現在僕の目の前に薄っすらと視える「定形」があるのだが、これは所謂「お約束」というやつで、「曲がり角でパンを咥えた転校生とごっつんこ☆」という一昔前の少女漫画の導入のような未来が視えた。
大抵は、未来が視えていてもその行き着く先は、ブレブレでまともに見えたものではないのだが、こういう、明確に未来が視えるというのは結構珍しいことであり、少なくとも僕がこの世界に来てからは、数えるほどしか視えていない。そして、こういう明確に未来が視える場合、大体、碌な事にならない上に、回避不能なのだ。
仮に、引き返して他の道から学校に行こうとしても、道中でまたこの未来が視えるだろう。これは、「不確定な未来」ではなく、「確定した未来」だからだ。確定した未来は、どんなに先延ばしにしても、結局「一つの結果」に収束する。故に、回避はできない。予測可能だが、不可避。それが、今回視えた未来だ。
・・・結局何のために、僕の
ただ、「思い出したから」話しただけ。意味なんて特にないが、強いて言うならば「テンプレ通りに自分語りをしてみた」と言うところだろうか?まぁ実のところ、唯の現実逃避なのだが。だって考えても見てくれ。碌な事にならないとわかっているのに、誰が好き好んでそこに行きたいと思う?
いわば、視えている地雷を自分から踏みにいっているようなものだ。それを好き好んで踏みに行くなんて、ドMでもしない。そして、僕はドMではない。Mでもない。どちらかというとSだ。凄まじく帰りたい。一生布団の中で眠っていたい。貝になりたい。チーズ蒸しパンにはなりたくない。
あぁ・・・憂鬱だ。今日はポカポカ陽気の快晴だというのに、心の中は台風が直撃したかのように大荒れだ。だが、ここでうじうじしていても、時間はただ無為に流れていくだけ。もう覚悟をキメて(誤字に非ず)逝くしかない。僕は、もうどうにでなぁ~れ(AA略)と投げやりに歩を進めた。
ーーー
すぐに、曲がり角の手前ほどに到着した。僕は最大限の警戒をしながら、歩をゆっくりと進める。傍から見れば、挙動不審の変人だが、そんなことを気にしている余裕は僕にはない。そして、曲がり角が存在する道を半分ほど通過したところで、激しく靴が地面に擦れる音が聞こえた。
横を見ると、僕が通っている高校の制服を来た生徒が、食パンを咥えて猛スピードで走ってくる。それを見た瞬間、僕は大きくバックステップを踏んだ。「見えている地雷が在るなら、飛んで超えればいいじゃない」これが僕が出した精一杯の運命への反逆であった。
だが、この生徒はあろうことか、高校とは逆方向にバックステップを踏んで避けた僕の方へと、突っ込んできた。バックステップは未だ実行中であり、避けることは不可能。そしてその生徒は、前を見ていなかったのか、走っていた勢いをそのままに、僕へ激突した。
僕と激突した拍子に、咥えていた食パンは放物線を描き宙と投げ出され、僕は受け身も取れない体勢で、口を大きく開けた状態で背中から地面に叩きつけられる瞬間に、「サクッ」と言う小気味いい音と主にバターの風味が口の中に広がっていく。一瞬遅れて「ガチッ」と言う歯と歯が打ち鳴らされた音が僕の頭の中で反響する。
「ってて・・・。ご、ごめんなさい!急いでて前見てなくてぇぇぇ・・・え?」
何か声が聞こえるが、僕は食パンを咥えたまま背中の鈍痛に悶えるように、背中を大きく反らして、左手で擦りながら、ごろごろとアスファルトの上で右往左往していた。
「おぉぉおおおオマエ!転生者か!?しかもその見た目・・・踏み台転生者!?」
僕は心の中で、「気にするとこそこかよ」とツッコミを入れるが、口には出せない。何故なら、いつの間にか食パンを咥えているからだ。多分ぶつかった時に偶然僕の口にプットインしたということなのだろうが、一体どんな確率・・・と言うか、そもそもそんなことあり得るのかと声を大にして言いたい。食パン咥えてるから無理だが。
「というか、ボクの食パンは!?何でお前が咥えてるんだよ!?」
知らん。僕が聞きたい。・・・少し時間が経って、少し痛みも引いてきた。未だに背中は少し痛いが、立てないほどではない。僕はゆっくりと、砂を払いながら立ち上がる。ここで一つ、大きなため息をつきたいが、咥えている食パンのせいで溜息をつけない。
「あーもう!訳分からん!取り敢えず、オマエのことは後だ!急がないと遅刻する!」
そう言って、彼だか、彼女だかよくわからん中性的な外見をした奴は高校とは逆方向に走り去っていった。僕はそれを見ながら、「忙しいやつだなー。あと方向逆だぞ―」と口が開けられないので、心の中で注意しておいた。まぁ聞こえるはずはないのだが。
・・・それにしても、少し前は気にしていなかったが、「転生者か」と奴は言っていたが、何故わかったのだろうか?いや、まぁ外見的に言うならば、まるわかりなのだろうが。僕のこの外見は所謂「踏み台転生者」と言うやつの容姿と大体一致している。
たしかに外見は、その「踏み台転生者」と言うやつなのだが、外見だけでそれに繋がる当たり、ネット小説に毒された奴なのだろうか?・・・それとも、僕以外の転生者なんだろうか?どっちにせよ、今この問いに対する答えを出すことは不可能だ。
しばらく、その場に立ち尽くして思考に浸っていたが、いよいよ時間的に厳しくなっている事に気がついた。僕も、急がなければ遅刻してしまう。ということで、少し小走りで僕は学校へと向かった。
因みに、食パンは道中美味しく頂いた。
どうも、はくぁです。
ここまで見ていただいた方はお疲れ様です。
初めて感想というものを頂いたのですが、予想以上に嬉しいものなんですねぇ・・・。
自分の作品を評価してくれる人がいるというのはとっても嬉しいことなんやなって・・・。
とちょっと思うことがあった今日この頃です。
個人的に、一話を見てニヤニヤして居たりしていたのですが、一話の後半部部への入り方が違和感バリバリというか、ゴリ押しすぎるのでいつか手直ししたい。(するとはry)
更新頻度は、ちょっと遅めですが、引き続き見ていただけるとうれしいです。
なるべく早めに、やってるんだけど全然進まないですね・・・。
他の作者さんは3日置きとかで5000文字とか平気で書いてるの見てちょっと尊敬してたりします。
誤字脱字も、投稿前にチェックしてたりするんですけど、投稿して見てみると粗とか、脱字が目立つんですよねぇ・・・。
こうして書く側になると、予想以上に大変だということが身にしみました・・・。
※補足 タグのクロスオーバー及び原作:色々とありますが、クロスオーバー要素が出てくるのは章区分第二期からとなります。第一期の終了は十二話から二四話を予定しているためクロスオーバー要素は割りと先となりますので、その点をご了承ください。
自分語りが少し多くなってしまいましたが、今回の後書きはここまでとさせていただきます。
では、機会があればまた次の話でお会いしましょう。