「我愛羅第四部隊、戦闘開始!」
「風影様が四代目風影様を封印!」
「ナルトが第四部隊に到着しました!」
「二代目土影を封印!」
「三代目雷影を封印!」
「二代目水影を封印!」
刻一刻と変わっていく戦場。
「ナルトが全ての戦場に到着したようです!第四部隊は敵を全て封印した模様!」
「白ゼツ検査薬での敵の検出に成功!これから敵勢力の排除を行うそうです!」
「第一第二合流部隊もほぼ全ての敵を発見!破竹の勢いで進軍しています!」
「第三部隊も同じく優勢のようです!」
「第五部隊も同じく優勢!」
「医療部隊は全ての敵を鎮圧しました!」
ナルトを投入したことで戦況はこちらに一気に傾いた。
「当たりでしたね!圧倒的に有利な状況になりました!」
「なっ!」
「フン……。」
シカクさんの言葉に続いて得意げな顔を雷影様に見せる綱手様。
「後は人柱力を連れて迫っているマダラさえ抑えれば…。そこに残りの戦力を集中させて皆で一気に叩く!」
しかし、そうは問屋が卸さない。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
青さんが声を上げる。
「我愛羅第四部隊に強大なチャクラ反応が有る!…これは一体!?」
「戦場からの連絡有り!第四部隊に現れた人物はうちはマダラです!繰り返します!我愛羅第四部隊に出現した敵勢力はうちはマダラです!……穢土転生だと!?どういうことだ!?」
連絡員の会話で本部の空気が変わる。
「第四部隊に現れたうちはマダラは穢土転生体であるとの報告がきました!」
「少し落ち着け。」
「しかしッ!」
「強敵が一人増えたというだけの話だ。こちらがすべきことは尾獣のチャクラを持つ外道魔像を奪うことが第一に優先すること。穢土転生のマダラよりも面の男を狙うべきだ。」
「ヨロイの言うことは最もだな。」
雷影様が重々しく頷く。
「その穢土転生のマダラを止めるためだが…どうする?」
首の骨を鳴らし、俺は椅子から立ち上がる。
「俺が出ます。影分身の術。」
隣に影分身を出し、印を組む。
「一応、影分身を本部に置いておきます。…では。」
飛雷神の術で我愛羅第四部隊の元に赴く。
「…暗いな。」
何事かと周りを見渡すと、全ての忍が空を見上げていた。
呆然と空を見上げる忍たちに釣られ、俺も空を見上げる。空を覆うよう黒い影。
俺はそれを掴むかのごとく、天に向かって手を伸ばす。
「天道、神羅天征。」
俺の掌から放たれた力が落ちてきた隕石に作用し、それを砕きながら天へと返す。
「修羅道、
落ちてきていた
岩の上に立ったマダラに旧友に会った時のように手を広げながら近づくと、心底驚いたような顔で俺を見てきた。レンズを外して懐にしまう。そして、笑みを深め彼に声を掛ける。
「…よい開幕だ。死に物狂いで謳え雑念ッ!」
「輪廻眼を持っているのにも関わらず、長門ではない。貴様……一体?」
「なんだかんだと聞かれたら!」
ここで分身の術っと。
「答えてあげるが世の情け!世界の破壊を防ぐため!世界の平和を守るため!愛と真実の悪を貫く!ラブリーチャーミーな仇役!」
もういっちょ分身の術っと。分身の術で合計三人になった俺たちは声高らかに言い上げる。
「赤銅!ヨロイ!輪廻をかける音隠れの二人には!ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!にゃーんてな。」
もちろん、ムサシのセリフは裏声で言っているし、ニャースのセリフはしっかり声真似をするという徹底振りだ。
ボンッと分身が消えると、誰もいない場所に岩が落ちるガラガラという音が響いた。そして、口を開く者はいなかった。マダラ以外には。
「だから、何者だと聞いているんだ!」
「ロケット団ッス。」
右腕をジャンと見せる俺の姿を見たマダラの額に青筋が走る。
「素直に答える気はないようだな。…よかろう!ならば、ここで貴様の命を終わらせてやる!」
チャクラを練りこみ始めるマダラ。彼の様子を見ていると、後ろから声が掛けられた。
「…ヨロイの兄ちゃん。今の術…長門と同じ?」
ナルトだ。マダラから目を離さず、ナルトの質問に答える。
「色々とあってな。俺も輪廻眼を持っている。…で、お前、まだ行けるか?」
「もちろんだってばよ!兄ちゃんは味方なんだろ?なら、安心してマダラを倒せる!」
拳を打ち鳴らし、俺の隣に並ぶナルト。
「何故だ…。何故、アナタが輪廻眼を持っている!?アナタは輪廻眼を持っていなかったハズだ!」
「二代目土影、いや、その物言いからして後ろで操っているカブトか。……輪廻眼を持っている理由、か。そうだな。強いて言うならば…世界を救うためだ。」
マダラに睨みつけられる。
「だが!輪廻眼だけでは、オレには勝てんぞ!木遁 樹界降誕!」
マダラが印を結ぶと、地面から目の前を覆い尽くすほどの量の大木が意志を持つようにうねり、こちらに向かってくる。
「行くってばよ、兄ちゃん!」
「行けんのか?」
「九尾からチャクラを貰ったから大丈夫だってばよ!」
「そうか。なら、行くぞ!」
バテバテだった癖に無茶しやがって。
ナルトと同時に印を組む。
「多重…」
「…影分身の術!」
「後に続け!」
俺の影分身体はチャクラの鎧を身に纏いながら走り出し、樹界降誕の攻撃に迫ると、それを手の形に形態変化させたチャクラの鎧で受け止める。
時間を稼ぐ俺の後ろでナルトの掌に高密度のチャクラが渦巻く。
『行け!ナルト!』
『連環大玉螺旋帯連丸!』
一度、俺の影分身たちが止めた樹界降誕を後ろから第二陣として来ていたナルトの大玉螺旋帯連丸が一気に吹き飛ばす。飛び散っていく木の破片を見ていると、頭の中にチャクラ通信が入った。
ヨロイ!本部の方針が決まった。お前と五影全員でそちらのマダラを止めてくれ。そして、他の忍たちには全員でもう一人のマダラと外道魔像に当たって貰う!それと、シカクがその“眼”について後で話があるそうだ。
頭の中でいのいちさんの声が響く。その連絡に苦笑しながら返事を返す。
「了解です。」
スッと俺の横に土影様が並んだ。
「ナルト、もういい。後はワシらがマダラと戦う。」
「けど!」
「ワシはな…“暁”を処理するために仕方なく手を組んでいた。だが、ナルト。お前や風影を見ているとその思いが変わった。今のワシは“忍連合軍の土影”としてお前たちと共に戦いたい。お前だけに任せっきりにするにはいかんからの。」
「土影のじいちゃん…。」
「それに…。」
土影様が覚悟を決めた顔でマダラを見る。
「何だ、その顔は?昔、一度、力の差を教えてやったハズだが…?」
「あの時、アンタに捨てさせられた“己”を拾う場が来た。」
「フン。無限の月読の中で眠らせて置いてやろうと思ったが……やめだ。まだ踊れそうな貴様はここで眠らせてやろう。」
「眠るのはアンタじゃぜ。」
俺の後ろに時空間忍術を使った時の微かな音が二回した。
「皆、無事ということは遅れずに済んだようね。」
「待ちわびたぞ。やっと暴れられる。」
「準備はできた。」
「…。」
「長生きはしてみるもんじゃぜ。」
俺と土影様の隣に並んでいく一流の忍たち。
「まさか、五影揃って…共に戦う日が来るとはな!」
俺たちを折れた大木の上から見下ろすうちはマダラ。
覚悟はいいか?俺はできてる。
「修羅道、
⇒修羅道のビーム光線の名称がどこを探しても出てこなかったので、名前を付けた。御倉板挙というのは、古事記で天照大御神が伊邪那伎命から賜った首飾りから生じた神の名から取っている。
ビーム→光+日本神話=天照大御神と連想し、天照大御神が生み出した神の中で一番響きが良かったミクラタナを採用した。