一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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@8 修羅道の橙色の髪

ザワザワという音が聞こえる。それは木の葉が風に揺れるような音で…。目を開けると黒いモジャモジャがあった。なるほど。ザワザワしていたのはこれかと推測する。

 

「きぇえええぃ!」

 

慌てて起き上がって顔から黒いモノを引きはがす。少し泣きそうになるほど気持ちの悪いものが顔の上に乗っていた。“あの”タタリ神だ。ミニとはいっても気持ち悪い。そもそも、俺は足が多いものと体がヌルヌルしているものと大蛇丸様が苦手だ。むしろ、嫌いと言ってもいい。それが俺の御尊顔を汚していたのである。泣きたくなるのも当然だろう。

 

「おお、起きたか。気分はどうじゃ?」

 

てめぇ。あんなものが俺の顔に乗っているのに放って置いたのかよ。

 

「最悪な目覚めだよ。俺が寝て何時間経った?」

「ざっと一時間ぐらいじゃのう。」

「…精神と時の部屋みたいに現実世界よりも早いスピードで時間が流れているってオチはなしだよね?」

「もちろん、現実の時間とはリンクしておらぬよ。月読の世界や尾獣との共有精神世界と同じようなものと考えてくれればいい。」

「なるほど。つまり、爺さんは俺にとってのBLEACHの一護の精神の中にいた陛下(斬月)っていう扱いか。」

「…。否定はできん。」

 

ふぅーと深呼吸して一旦心を落ち着ける。

 

「で、儀式は成功したの?」

 

輪廻眼を開眼させるとか言いながら俺を殴りつけたのは全て嘘なんじゃないかと俺は睨んでいる。そう簡単に輪廻眼が開眼できるかっつーの。死ぬギリギリまで追いつめてやっと開眼できるものだと思うし。

 

「おお。もちろん、成功じゃ。」

「あっさり成功したな、おい!」

「なに。ご都合主義というものじゃ。」

「正直に言うと、俺はご都合主義ってやつが嫌いなんだが…。」

「気にするでない。お主には早く輪廻眼を開眼して貰わねばならぬからの。」

 

俺は指を立て右手をミニタタリ神に向ける。

 

「あれをどうにかするために?」

「それと、輪廻眼を使いこなすようにして貰わなくてはならぬからな。」

「りょーかい。」

 

立ち上がり六道仙人に向き合う。

 

「それじゃ、まず外道の術から教えて欲しい。」

「わかった。しかし、なぜじゃ?」

「あの人の死体はあるだろうしまだ間に合う。外道の術でペイン六道の人柱にして時期を見て生き返らせたい。」

 

ミニタタリ神をちらりと見る。表情がわかりにくいっつーか、ほとんど変わらないように見えるけどなんとなく驚いているように思えた。

 

「だが、外道の術は十尾の体を媒体にして発動する術。お主には使えんと思うが。」

「心配するな。俺は大蛇丸様の弟子だぜ。その上、カブトも味方になるだろうし。忍としての才能も頭脳もチート級の奴らを上手く利用してやるさ。」

 

爺さんは頷く。

 

「では、お主を現実世界に戻す。戻った時点で六道の基本術の詳細は頭の中に送られるからの。」

 

爺さんの体が薄くなっていき、最後には白色しか見えなくなった。ホワイトアウトした瞬間、グイッと体が引っ張られる感覚の後、唐突に目が覚めた。

 

「行くか。」

 

その後は無事、あの人の体を手に入れた。なんでも、調べ尽くしたからもう遺体には価値はないとのことで簡単に貰えた。ちなみに、大蛇丸様は標本にした後で俺の家に送ると言われたが丁重に断った。標本にされたりすると改造ができないし。

一旦、巻物の中に彼女の体を封じ込め持ち帰る。

 

「口寄せの術!」

 

家に帰り、忍者学校の時から大蛇丸様に教えてもらっていた口寄せの術で彼女の体を巻物から取り出す。印を組み上げ、彼女の体に触れる。契約の術式が触れた所から一瞬で体全体に広がる。六道仙人の爺さんが言うには、外道の術によってペイン六道として契約した死体は契約が終わったと同時に防腐処理もされるらしい。

 

「輪廻眼、発動!」

 

契約が済み、修羅道にした彼女の体を今度は俺自身の畜生道・口寄せの術で時空間に飛ばす。これで、前準備は終わった。後は、彼女本人を説得するだけだ。ベッドに倒れ込み、再び眠りに着く。

すぐに眠りの世界に落ち、ゆっくりと精神世界の地面に向かって落ちていく。スウッと足からミニタタリ神と化した彼女の目の前に降り立つ。

ここは俺の精神の中。つまり、ここにある俺のチャクラは俺の意思でコントロール可能だ。彼女に手を翳し、チャクラを与える。タタリ神の体が黒い霧に分解されていき、ズッと勢いよく噴き出すように天に向かって立ち上る。

 

「私を精神体とは言え、受肉させるなんてどういうことかしら?殺されたいの?」

 

黒い霧が晴れた後に座り込んでいたのはショートカットのオレンジ色の髪をしたスレンダー美人。そんな綺麗なお姉さんが憎しみを込めた目で睨んでくる。

 

「そんな訳ないじゃないですか。俺と爺さんの話聞いてたでしょ?なら、世界を救うためにあなたの力が必要なんです。協力していただきたい。」

「嫌っていったら?」

「全て終わった後に生き返らすことにします。もし、協力していただけるなら10年後に俺のペイン六道として復活させます。」

「無理よ、そんなの。」

「十尾から取り出した杭であなたの体にあなたの精神を縛り付けるので生前と変わらない動きができますよ。大丈夫です。」

「違う。私を裸のまま放って置くような外道のあなたとは手を組みたくないって言ってるの!」

「ははは。三歳児は特権で女風呂に入れるんだぞ。何を恥ずかしがっているのやら。それに、俺は輪廻眼を持っている。つまり、生と死の存在する世界の外にいるのだよ。生死を司る術、七人目のペイン 外道!」

「…。」

 

こいつ最低って目で見てくる。それはそうだろう。正直に言うと、10年後に生き返らせるとか言ったがそんな気は全くない。あくまで、協力関係をスムーズに結ぶ為の方便だ。とはいえ、こんな美人があんな死に方をしたのは可哀想だと思うし救ってあげたい。…救ってあげれたらいいなぁ。

 

「お前のことは信用できない。お前は女を裸に引ん剝いて喜ぶような変態だからな。それに、大蛇丸の弟子ってことも気に食わない。私にあんなことをした奴だし。」

 

彼女はギュッと自らの体を自分の腕で抱きしめる。俺が信用できないなんて…。

よくわかっていらっしゃる。俺の目はおっぱいに釘付けだ。あ、それでバレたのか!?

 

「けど、協力はしてやる。伝説の輪廻眼を開眼した奴が世界の危機だって言ってるとかかなり危ない状況だろうしね。」

「ありがとう。」

 

こいつ、ちょれぇと思っていてもそれを顔に出さずに、俺は紳士スマイルを浮かべながら、彼女に近づき手を差し出す。唇を噛みしめた彼女は俺の手を握り返す。

 

「六道仙人の直系、赤銅一族のヨロイ、赤銅ヨロイだ。よろしく。」

「橙ツチ。よろしく。」

 

しっかりと握りしめたその手は少し震えていた。

 




オリキャラとして橙ツチというキャラを出しました。彼女は岩隠れの忍という設定です。
木ノ葉にはスパイとして忍び込んでいて、忍び込んだ理由は大蛇丸の暗殺です。
大蛇丸の暗殺を自分から志願したものの大蛇丸様に気づかれてしまい拷問を受けて情報を引き出された後、実験材料とされ、最期にはヨロイの成長のための道具とされてしまったという薄幸の美人です。

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