一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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注意!オリキャラ出てきます。


@5 油断大敵!!

忍者学校(アカデミー)入学から一年が経ちました。どーも、赤胴ヨロイです。大蛇丸様の勧めで赤“銅”ではなく、赤“胴”と名乗っております。それだけで、里の人たちから名前をツッコまれることがないのは大蛇丸様が裏でなんとかしてるんでしょうね。

で、その大蛇丸様が目の前にいるんです。しかも、忍者学校の玄関前、ブランコがユラユラ揺れている木の横で。これが、高校生なら告白パターン間違いなしの状況です。たしか、学園ナルトではこの人、オカマにされてた記憶があるよーなないよーな。

…正直、どうすればいいのかわかんないです。人生で二度目の貞操の危機かもしれません。

 

「ヨロイ、忍者学校(アカデミー)卒業おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「あなたに案内したい所があるわ。夜に私の家に来なさい。」

「わかりました。…えっと、さっきから俺にかかりっきりなんですけど、お子さんに会われなくてもいいんですか?」

 

そう!大蛇丸様は卒業式が終わった後、すぐに俺の所にスタスタと歩いてきたんです。俺としては、まず自分の子の所に行って『さすが…俺の子だ。』とか言う方がいいんじゃないかと思うんですよ。

 

「私に子どもはいないわ。」

「ありゃ?じゃあ、何のために卒業式に?」

 

首を傾げて尋ねる。あの大蛇丸様が俺のためにわざわざ時間を割くなんてことありえないしなぁ。

 

「あなたが卒業するからよ。」

「つまり、俺の保護者的な?」

「そうなるわね。」

「ヤダ、キショイ、カエレ。」

「あなたって子は本当に人の気持ちを逆撫でするのが上手ね。」

 

実際はわざわざ時間を割いてくれていたようでした。でも、仕方ないじゃん。俺の首に蛇を巻き付けて窒息させようとする狂った大人をどうして優しいと思えようか、いや、思えない!

 

「ざーまずぇん。ばんぜうぃじでまぐからゆずじでくらはい。げほっ!」

 

心の底から謝ったら許してくれた。とはいえ、過激過ぎだわ、この人。

 

「おーい!ヨロイ!行くぞ。」

 

黒髪のくせっ毛が跳ねる少年が駆け寄ってくる。

 

「悪ぃ、シスイ。少ししたら行くから先に行っててくれ。」

「私の言いたいことは全て伝えたわ。もう行っていいわよ。」

「それじゃ、お言葉に甘えて。」

 

今しがた俺に声を掛けたくせっ毛少年、シスイの方に向かって俺は駆けていく。

少し気になって振り返ると、大蛇丸様も俺の視線に気づいたようで手を振ってくる。おかしい。大蛇丸様はこんなキャラじゃない。あの人がこんな生き生きとした人間らしい行動をとっている時は必ずご機嫌な時と決まっている。生卵を丸呑みしてた時と同じ表情だ。あれには正直引いた。嫌な予感を感じながらもシスイと共に走り出す。

大蛇丸様の視線から逃れ、走りついた先には木ノ葉の忍装束をキチッと着こなした真面目そうな男性と顔見知りの女の子がいた。

 

「遅いよ、ヨロイ。」

「すまん、エノキ。それと…ええっと?」

 

女の子の方は『きしめじエノキ』という忍者学校(アカデミー)で仲良くなった一人だ。で、もう一人の男性の方が初対面で名前も知らない。知っているのはこれからこの人が俺、シスイ、そして、エノキの隊長となって、色々な任務をこなしていくということだ。

 

「これで全員揃ったな。お前が赤胴ヨロイか。大蛇丸から話は聞いている。なかなか優秀な奴だと、な。では、ヨロイから右に順に自己紹介をしてくれ。」

「あい。俺は赤胴ヨロイです。以上!」

「うちはシスイ。以上。」

「二人とも自己紹介が早過ぎるよ!あ、私はきしめじエノキです。趣味は森林浴で、好きなモノはあんかけチャーハン。あと、将来の夢は誰かを助けることができる忍になりたいです。よろしくお願いします。…以上!」

 

エノキは置いておいて、だ。俺とシスイの流れるような“笑撃”を受けても全く表情を変えないこの先生。どうも思った以上に真面目さんらしい。

 

「で、先生の名前は?」

「ああ。名乗り忘れていたな。ワシは夕日真紅。32歳の上忍だ。」

「夕日って、もしかして先生は紅のお父さんですか?」

 

エノキが夕日先生に尋ねる。

 

「ああ、そうだ。…始めに言っておく。娘の同期だからといって、お前らを甘えさせるようなことはせん。」

 

先生の言葉でエノキとシスイの顔が強張る。

 

「お前らはもう下忍。つまり、一人前の忍だ。よって、ワシはお前らを一人の忍として扱う。以上だ。他に何か質問はあるか?」

「んじゃ、先生。せっかくなんで、一つ質問いいですか?」

「ヨロイか。何だ?あと、ワシのことは先生ではなく夕日隊長と呼べ。」

「ういっす。ではでは、夕日隊長。大蛇丸様から聞いたんですけど、隊長対新米の下忍で鈴取りゲームみたいなことはしないでいいんですか?」

 

隊長は、なるほどというように頷く。

 

「三代目が三忍に課したサバイバル演習のことだな。残念ながらワシはしない。お前らが優秀なことは忍者学校の先生から聞いているからな。」

 

俺たちは笑顔で顔を見合わせる。

 

「まだ粗削りだが、その素質は素晴らしいという評価だった。それと、木ノ葉の軍備拡張のために省くことのできる時間はできるだけ省くというのが上の意向だ。それで、ワシらの班では演習はしない。その代わり、今から任務を行う。」

 

さらっととんでもない爆弾発言しましたよね、この人。シスイが悲鳴のような声を上げる。

 

「い、今からですか?」

「正確には今から一時間後だ。忍用具一式を持って正門に集合。では、散!」

 

そう言って、一人瞬身の術で姿を消す隊長。残された俺たちは顔を見合わせた。

 

「ふぅ、やれやれだぜ。」

「なんでお前はそんなに冷静なんだよ。チーム組んでいきなり初任務なんだぞ。」

 

呆れたようにシスイに尋ねられるけど、仕方ないじゃん。こういう性格なんだし。

 

「なんだかんだ言ってもやることは変わんねぇしよ。素直に従った方が物事はスムーズに進むし。」

「それはそうなんだけど…。」

 

エノキも不満そうな声を上げる。

 

「ほら、さっさと行くぞ。」

 

二人を急かし、一旦別れる。

で、一時間後。正門前に集合した俺たちは初任務に出かけた。

任務内容は猫探し。簡単に片がつく任務かと思いきや、猫を捕まえることができたのは日が沈む直前だった。

 

「任務も片付いたし、今日はこれで解散とする。」

「はい!」

 

隊長の解散宣言で俺たちは帰り道を歩き出した。

 

「またな。」

「また明日。」

 

ため息をつく。夜に大蛇丸様の家まで来いって言われたけど、気が進まねぇなぁ。

大蛇丸様のことだ。生卵をどちらが多く飲めるか勝負するみたいな嫌なことに決まってる。

今度は口笛を吹きながら夕暮れの街を歩き出す。

チュチュチュチュチュチュ、チューチューチュッ チュチュチュチュチュチュ、チューチューチュッ チュチュチュチュチュチュ、チューチューチュッーチュ チュチュチュチュチュ チューチュチュチュ

 

それでわ、また明日。

 




オリキャラとして『きしめじエノキ』、オリ設定として夕日真紅とうちはシスイのフォーマンセルにしました。
あと、最後の口笛のシーンの曲はロード トゥ ニンジャの主題歌です。

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