一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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OP:Droshky!/[Alexandros]
ED:不完全Beautyfool Days/SuG


第1部 赤銅の風
@31 挑戦者たち!!


ここに来るのは久しぶりだな。

“忍”と大きく書かれた丸い看板の上に、それに沿うようにしてもう一つ看板がある。

“忍者アカデミー”。

普段は下忍になるために忍玉たちが勉学を修めるために通う場所だが今日は違う。辺りを見渡せば、年齢は様々だがどいつもこいつも『俺は修羅場を潜ってきた』という顔付きをしている。うん、はっきり言おうか…。

てめぇら人相悪すぎる!ついでに、“生”だの“欲”だの背中に漢字を背負った変人が多数。ファッションセンスが捩じり曲がりまくって未来に生きている人間が多すぎる!忍なんだから、ちったあ、忍べ!

…話を戻そう。一年の内、この時期だけ忍者学校(アカデミー)は普段の子どもたちがキャッキャと騒いでいる微笑ましい様相から一転、いい年した大人が多く居るというカオスな状況になる。

その理由。それがここ、木ノ葉の里で行われる…中忍試験だ!

 

+++

 

第一部 開始!

 

+++

 

同期組(シカマル、ヒナタ等)や砂隠れの忍(我愛羅とその他)、そして我らが大蛇丸様率いる音隠れといった主要人物以外の人気キャラがボンボン出てくるキャラのバーゲンセールが行われた中忍試験編はNARUTO全編の中でも最も人気の高い所である。俺がNARUTOで一番好きな所ももちろん中忍試験編。単行本で言えば、4巻後半~13巻前半だ。

少しでも気になった人はamaz○nで是非ポチって欲しい。そして、最も重要なことをこれから説明する。メモを取って欲しい。

この中忍試験編で原作の赤胴ヨロイが出てきたのは八巻だ。原作のヨロイが出てくるのは後にも先にもここだけだ!

 

…こっそりと涙を拭く。

言いたいことは、ここから物語は加速していくってことだ。

そして、HUNTER×HUNTER的な“ルール”の裏を読み取るという手法を使ったのはここだけではないだろうか?

中忍選抜第一の試験。知力を測るペーパーテストを装うが、その本当の目的は受験者の情報収集能力を測る試験である。この試験の内容を知らない受験生がどこまで気が付くか。手ずから教えた“三人”なら大丈夫だとは思うが心配なことには変わりはない。

試験前の緊張感が辺りに漂っている。小声で話す奴もいない。静かだ。

だからだろうか?この教室のドアを開く音がやけに大きく聞こえた。振り返り、ドアの方を見ると三人の下忍が立っていた。真ん中にいる金髪の少年が呟く。

 

「す…すげー。」

 

金髪の少年の左隣の黒髪の少年は憮然とした表情で教室内を見渡す。

 

「…。」

 

黒髪の少年から金髪の少年を挟んだ反対側にいる桜色の髪をしたくノ一は驚いた表情で呟く。

 

「な…何よ…これ…。」

 

教室内の人数に気圧されているという所だな。糞生意気なあの黒髪も随分と怖がっているようだ。

いいことを思いついた。カワイイ後輩どもで少し遊んでこよう。笑顔を浮かべて椅子から立ち上がると隣に立っていた“根”の後輩から呼び止められた。

 

「ヨロイさん。彼との接触は僕が…。」

 

俺にしか聞こえない声の大きさで俺の耳に囁いた後輩が今しがた教室のドアを開けた三人組の方に歩いていく。止める間もなかった。俺が遊びたかったのに…。まぁ、機会はまだあるからいいか。椅子に座りなおそうとする俺に声が掛けられた。

 

「ヨロイさん。アイツを向かわせていいんですか?」

「ああ。別にいいよ。それより…ここで気取られる話はするな。」

「すみません。しかし…。」

「いいって。“お仕事”はこれからだっつーの。点数稼ぎなんざこれからいくらでもできる。そうだろ?」

「そうですね、時間はまだたっぷりある。…それはそうと、なぜ空気椅子をしているんですか?」

 

俺の尻を見てくるもう一人のチームメイト。椅子に座る途中にテメェが話かけてきたから、少し動きを止めて聴こうかと思ったっつーのに何て言い草だ。しかし、それを口に出すのはクールじゃないな。

 

「…修業だ、バカ野郎。一流の忍はどんな所でも修業を欠かさないモンなんだよ。」

 

どちらにしろ、口から出た言葉は全くクールじゃなかった。どちらかと言えばワイルドだった。ワイルドらしくドカッと椅子に座り、肘は後ろの机に置く。

おっと、ワイルドなのは俺だけじゃないようだ。教室の後ろからピリピリとした空気を感じる。忍がそう簡単に感情を出すんじゃねぇよ。

 

「あいつら…煩いですね。シメますか?」

 

お前もかよ!?何故、忍はこう手が早い奴が多いのか?目の前のチームメイトが低い声で聞いてくるが、答えはもちろんノーだ。

 

「警戒される行動は控えろってさっき言ったよな、ミスミ?」

「…はい。」

 

チームメイトの剣ミスミは不満そうに頷く。ミスミだけじゃない。この教室内のほとんどが教室の後ろに殺気を放っている。殺気の中心に目を向けると、金髪の少年が震えていた。

流石にあいつもビビるか…いや、違うな。

 

「ねぇ…ナルト。そんなにビクつかなくても…。」

 

桜色の髪のくノ一が金髪の少年の肩に手を伸ばすが、その手は目的地に届かなかった。何故って?金髪の少年、ナルトが急に背筋を伸ばしたからだ。

 

「オレの名はうずまきナルトだ!!てめーらには負けねーぞ!!!分かったかー!!!」

「ねえ!何なの、こいつー!!」

 

ナルトの隣でポニーテールのくノ一が隣の桜色の髪のくノ一、春野サクラに向かって不満を口にするが当のナルトは全く意に介さず両手を頭の後ろで組む。

 

「ああ~。スキッとしたってばよ~!」

「フン。」

 

そんなマイペースなナルトの姿を見て、強張っていたサスケの表情が緩む。チームメイトの緊張を解すとは大した奴だ。けど、周りを見たら分かると思うが、今の一言で敵を作ったぞ。油断はすんなよ、ナルト。

 

「ヨロイさん、やっぱりあいつら殺してきますね。」

「やめろォ!!」

 

慌てて、ミスミを押さえつける。教室のドアの近くで困ったような表情を浮かべるもう一人のチームメイトに心の中で叫ぶ。

カブト、早く帰ってこい!

 


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