一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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@20 四代目との会話!!

少し…うちは一族についての話をしよう。

卑劣様こと二代目火影が生きたままうちはの脳を解剖して分かったことだが…うちはの者が大きな愛の喪失や自分自身の失意にもがき苦しむ時…脳内に特殊なチャクラが吹き出し視神経に反応して眼に変化が現れる。それが“心を写す瞳”…写輪眼と言われるものだ。

つまり、うちは一族は愛情深い一族ってことだ。

 

「って誰に向かって話してるんだよ、俺は。メタなネタはあまり好きじゃねぇっつーのに。」

 

俺の左隣りのカカシ、右隣りに立っているガイに届かないように小声でボソッと呟く。顔を上げて見渡すと俺と同期の忍、紅、アスマ、エビス等々、だけではなく上忍帥でもあるミナト先生までいる。そして、その向こうにはシスイを初めとしたうちは一族がズラリと式に参列している。今回の戦闘で犠牲になったうちはの一人の為に一族で来るとは流石、木ノ葉一の名家といった所か。

今日はオビトの葬式だ。普段の調子なら、オビトの葬式(仮)とか言ってシリアスをブレイクしたいんだが…まぁ、無理。うちはの方々怖いし。更に俺の左隣りの左隣りに立っているリンは表情を変えないけど涙が垂れ流しだし。

とてもじゃないけどふざけられる雰囲気じゃない。俺の今の気持ちを一言で表すと、『大絶賛!針の筵』って感じだ。

俺たちの十尾抹殺計画の為にも、オビトは一度マダラ(真)の所に向かって貰わなくちゃならない。なぜなら、マダラの居場所が全く掴めないからだ。オフの日にそれっぽい所を歩いて見て感知するけど、全然ダメ。結界でも張っているのか俺の感覚に引っかかるものは何もない。レンズ越しに輪廻眼で見渡すけど目の届く範囲には何も映らなかった。つまり、八方塞りって奴だ。

だから、道案内の為にオビトを一回マダラの所に行かせた後にリンが誘拐された時に合流するって計画を立てたんだけど…。

辺りを見渡す。

うちは一族の人は皆一様に辛そうな表情を浮かべている。更に、戦争中ってことで怪我を押して式に参列した人もいるみたいで包帯を巻いている人も結構な割合で見ることができる。心苦しい。

線香の煙が憎々しい程青い空へと消えていく。葬儀屋の人が何か言って集まった人たちがそれぞれに解散していく。それをしばらくボォッと眺めていたが、何もすることがないということに気づき踵を返す。と、肩に手を置かれ立ち止まる。

自来也様と同じような引き止め方をしながら不器用に笑っているのは黄色い閃光、波風ミナトだった。

 

 

+++

 

 

葬式の会場からミナト先生の家に場所を移した俺だが、今、ミナト先生にお茶を淹れて貰ってます。未来の火影に茶を淹れさせるとかなんて贅沢。笑いが出るわ。

俺の前にお茶が入った湯呑を置き、ミナト先生はテーブルの向かい側に腰を下ろす。神妙な顔つきのミナト先生は黙ったまま何も話さない。そっと手を伸ばし、テーブルの上に置いてあった煎餅を勝手に取り食べる。俺がボリボリと煎餅を頬張る音がシンとした部屋に響く。気まずい。

しばらくして、俺が煎餅を飲み込むとやっとミナト先生が話を始めた。

 

「今は極秘だけど俺に火影の要請が来た。とは言っても、まだ上忍たちからの推薦だけなんだけどね。」

「マジっすか!?おめでとうございます!」

「…ありがとう。」

「ん?よかったじゃないですか。何でそんな気の向かないような表情を?」

「俺が…火影で……いいのかな?」

「逆に聞きます。何でミナト先生はご自身が火影に向いていないと思うんですか?」

「俺は、部下を守れなかったんだ。オビトを助けられなかった…そんな俺が火影になるなんて…。」

 

これだから真面目な人はメンドくさい。三点リーダを多用しやがって。

俺的には、大蛇丸様の里抜けやらうちはのクーデターやら大変なことを押し付ける為にもミナト先生が火影なって欲しいから悩まずスパッとなっちまうのがベストだっつーのに。

仕方ない。焚き付けるとするか。

 

「ミナト先生。火影の持つ意味を履き違えてませんか?。」

「え?」

「皆からその器って認められるのがどんなことかわかってないじゃないですか。ミナト先生になら皆は命を預けることができるってことですよ。…火影が背負う役割。仲間を守るのが本業じゃなくて仲間が過ごしやすい環境を率先して作るのがその役割だと思います。」

 

主に、俺の為におなしゃす!

 

「で、俺は!俺はミナト先生しかそんなことができる人はいないって考えています!」

「その考え方はなかったよ。そうだね、火影にはその役割もある。」

 

大蛇丸様、ダンゾウ様さーません。相手が火影内定者なんでこっちに媚を売らせて頂きまっす!

 

「ありがとう。けど、俺はどんなに険しい道でもガマンして皆の前を歩いていく人のことを火影って言うと思う。…俺はそうなれている訳じゃない。」

 

…なかなか思うようにいかんな、この人。息子のナルトなら簡単に乗せれそうなのに。

 

「部下の死を乗り越えることは険しい道だと思いますよ。それに…オビトの目標は火影です!ミナト先生がオビトの目標に成り続けることであいつも浮かばれると思います。」

 

すまん、自分で言っていて何なんだがどういう意味なのかさっぱりわからない。しかし、ミナト先生には効果は抜群だ!

目を見開き俺を見た後、顔つきが変わった。迷いが吹っ切れた顔だ。こっちが照れてまうほどかっこいいやんけ。

…あれ?ふと疑問が浮かんだ。

 

「そういえば、何でそんな極秘っぽいことを俺なんかに?」

「君と話していると、時々、同年代の人と話しているように感じる。それが原因かな?あともう一つ。俺が火影になった時には俺の暗部として働いて欲しい。」

 

ふぇぇ…何言ってるかわかんないよぉ…。

 


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