「ヨロイ、怪我は?」
「起爆札の爆発で吹っ飛ばされて全身打撲です。」
「その程度なら大丈夫ね。早く立ちなさい。」
地面に横たわっている俺に冷たい目で立つことを促す大蛇丸様。この人でなし!って心の中で盛大に叫びながらしぶしぶ立ち上がる。携帯電話がこの世界にあれば、大蛇丸様のあることないことを盛大にツイートしてやるのに。
それにしても…。
「彼らは犠牲になったのだ…。」
キリッとした表情で周りを見渡すと、忍が多数倒れていた。パッと見だが、200人以上は倒れている。その中で犠牲になった木ノ葉の忍は大体30人ぐらいだろう。
なんだかんだ言っても暗部の力パネェ。人数じゃこっちが相手の1/5ぐらいだったっていうのに余裕で勝っちまうんだもんな。
「そうだな。犠牲となっていった奴らの為にもこの戦争は木ノ葉が勝利せねばならぬ。」
後ろから聞こえてきた声に慌てて立ち上がる。
「ダンゾウ様のおっしゃる通りでございます。流石、稀代の火影様でございます。あ、間違えた!ダンゾウ様はまだ火影ではなかったんですよね、まだ!いや、マジ、なんといいますか、もう火影のオーラが漲っていてパネェいいますか、ダンゾウ様かっこいいって話ですわ。」
「世辞はいい。それより、お前たちにして貰いたいことがある。」
バッサリ切られた。一言で切られた。やっぱこいつ嫌いだ。
そう。俺の後ろから不意打ちで声をかけてきたのは代名詞が“忍の闇”である志村ダンゾウだった。代名詞が“忍の闇”。プッ( ´,_ゝ`)
「ヨロイ。何か言いたいことがあるのか?」
「プリッツ!何もないです!」
「ダンゾウ様。ヨロイの奇行について話していたら埒が空かないから話を進めて貰ってもいいかしら?」
大蛇丸様にもバッサリ切られた。やっぱこいつ嫌いだ。
「そうだな、話を戻すとしよう。この近くにノノウという忍がおってな。そやつに会いに行くのにあたって、お前たちにして貰いたいことがある。…脅迫だ。」
『そうだな、キリッ』じゃねーよ、この古狸!やってることエゲツない癖に。…え?脅迫?
「ダンゾウ様!脅迫って誰が誰に?」
「ワシらがノノウに。」
「やだ、そんな闇金みたいなこと。俺は清廉潔白で生きていきたいんですぅー。」
「暗部の忍が何を言っているのよ。」
大蛇丸様が肩を竦める。暗部に入ってからこれまでの任務を思い返す。暗殺、尋問etc.
あれ?脅迫がかなりかわいいように思えてきた。
「アナタももう私たちと同じ穴のムジナよ。」
「絶対に違います。俺とダンゾウ様は変態じゃないし、ごめんなさい。ダンゾウ様も千手とうちはが好きで好きでたまらない変態さんでした。そんなに好きなら綱手様の乳を揉んでみればいいのに。うちはせんべいのおばちゃんと不倫すればいいのに。二代目様のナルトスでの御株を奪うことになるけどしてみたら面白いと思うよ、うん。」
首に蛇が巻きつき、クナイを目の前に突き付けられた。
「あなた、消されたいの?綱手に。それから私とダンゾウ様に。」
「どうやら躾が足りなかったようだな?ん?」
「さーません。脅迫は俺がするんで許して頂けません?」
やっぱこいつら嫌いだ。
+++
負傷者が集められた簡易テントで治療を行う。全身打撲の俺は医療忍術を修めているって理由で治療する側に回された。俺だって背中が痛痒いのに。
近くのメガネ美人が少し離れた所にいる少年に声を掛ける。
「カブト、まだいける?」
「ハイ、マザー。」
…少しトリップしよう。
メガネ美人「あら、もうイッちゃったの?」
俺「ごめんなさい。」
メガネ美人「謝らなくてもいいのよ。夜は長いんだから。俺くん。まだイケる?」
俺「は、はい!マザー!今度は…ってそんなに激しくしちゃらめぇぇぇえええ!」
「いい。メガネ美人いい。」
「何言ってんだ、お前。」
ハンチングキャップを被った少年が汚いモノを見るような目で俺を見てくる。メガネ美人さんにそんな目つきで見られたら感じるのに。
「そんな目で僕を見るんじゃあない!」
「だから何言ってんだ、お前。」
「それより、包帯取って来なくていいのか?ウルシ。」
めんどくさそうだったから話を勝手に変える。
「あ、そうだった。…あれ?何でお前俺の名前を知ってんだ?」
「忍嘗めんな。周りの会話の10や20は常に聞き取れるんだよ。」
ちなみにここから離れている大蛇丸様がカブトを絶賛してる会話まで聞き取れるというなんという職業病。正直そんな話は聞きたくなかった。
「大蛇丸様がオカマでホモってだけじゃなくてショタまでイケるなんて俺は知りたくなかった。」
「黙りなさい!」
+++
「あの“歩きの巫女”と呼ばれたお前が今や子守とはな。久方ぶりにこうして見ると…少しやつれたか、ノノウ。」
少しばかり内容のない話なので1~2ページ跳ばします。『この世に残るのは「結果」だけだ!「結果」だけが残る!』
“キング・クリムゾン!”
ダンゾウ様。セリフすっ跳ばしてしまってさーません。
「お前ら汚いぞ!それでも忍か!」
院長先生の爺さんが何やら叫んでいますが、忍とは汚いものですよ。忍が言うんですから間違いないです。
「わかってないのはそち「お疲れ、お疲れっ!夜食が食べたい時間帯ですんでオニギリはいかがですか?」安いものだ!…ヨロイ、ワシの話を遮るな。」
「だってダンゾウ様、つまらない話を長々としますし。」
そう睨まないで下さい。怖いし。…わかってます、わかってます。作戦開始しますんで。
気を取り直してメガネ美人ことノノウさんにオニギリを渡す。ついでに院長先生とモブデブ、喪女っぽく不細工で更に性格も悪いデブなモブキャラにもオニギリを渡していく。不細工にもオニギリを渡す優しさ、それが俺クオリティ。
「どうですか?」
ノノウさんの横に持ってきた椅子に腰かけ勧める。俺に向けていた目線をオニギリに移し、その小さなお口を少し開け頬張る。…しまった!オニギリじゃなくてキリタンポにしておけば良かった!
「おいしいです。」
「それはよかった。このオニギリ、具がですね、特製のキノコの佃煮でしてね、俺が作ったんですよ。お口に合ったようなので幸いです。…ノノウさん。俺の嫁に来てくれたら毎日この味が楽しめますよ。」
ノノウさんの手を取り、目を見つめながら囁く俺、なんてイケメン。
下準備は整った。さぁ、ゲームスタートだ。
ノノウさんの動きが止まる。少なくとも周りの5人にはそう見えただろう。
こ・こ・で!クレジット入ります!
なぜ、ノノウさんは動きが止まったのでしょうか?答えはズバリ、わたすぅの幻術の中にいるからです。つまりわたすぅの虜。まるで蟻の王があの不細工に恋しているように。
…さーません、爺さん。俺の精神世界がハンタのコマの背景に似てるからって俺に八つ当たりするのはやめて!
え?早く話を進めろ?わかりましたぁー。
実はですね、味皇様もびっくりな程おいしいオニギリに秘密が隠されているんですよ、これ。
具に使ったキノコがミソでして、決して味噌で炒めてる訳ではないんですがね。このキノコ、@11で使った特殊調理食材のマジックマッシュルームの進化系、その名も『マジックマッシュルーム改』なのだ!
マジックマッシュルーム。俺とエノキ、そしてシスイのチャクラに反応する特殊調理食材。三人の誰かがこのキノコを食った者にチャクラを流し込めば、このキノコの成分と反応して食った奴に幻覚を見せるというキノコなんですけど、それを改良して味を上昇させました。効果は依然と変わりはないです、はい。
ちなみに提供はハゴロモフーズですwww
カタカナでハゴロモフーズです、ここ重要。ひらがなの方に行っても絶対にマジックマッシュルームなんてものは出てきません、絶対に。大事なことなので二回いいました。
…さーません、爺さん。本名あっさりバラしてごめんって。FF13でバルトアンデルスがセラに変化して何の脈絡もなくライトニングの名前バラしたように爺さんの名前バラしてごめんって。だから、腕のビーム砲を俺の方に向けないで!
話を戻しまして、では、固まっているノノウさんは何を見ているのかというと、俺が写っている視界から子どもたちの映像に切り替わり、次の瞬間!孤児院の資金と子どもたちを盗まれノノウさんが一人になって呆然としている映像になるというクソ動画を見ていらっしゃいます。
ナルトも我愛羅に向かって『…ひとりぼっちの…あの苦しみはハンパじゃねーよなぁ』って言ってるんでノノウさんも幻術の中で孤独になって貰いました。現実でもそうならないためにダンゾウ様の話を自分から受けるでしょう。無理やりやらせるより自分からやってもらう方が効率がいいのは確かだし。
「………分かり…ました。」
「ちょっとマザー!こんな子どもの話を受けたら変な噂が立ちますよ。」
「俺との話じゃないってオチがあると思うんでそちらは大丈夫ですよ。」
モブデブが何か言ってるけど、そこまで頭ごなしに断られたら手を出したくなってくるわ。
「あ、そちらはごめんなさい。君が大人になってまだ私のことが好きって言ってくれるなら考えるけど…。ダンゾウ様、あなたのお話をお受け致します。」
「ダメだったか、残念です。」
ため息をつく俺を無視してダンゾウ様は口を開く。
「心を殺しきれぬお前だからこそこうなったのだ。やはりお前は“根”に向かぬ。」
「よくものうのうと…!」
院長先生が唇を噛む。そんな院長先生に向かってダンゾウ様は畳み掛けるように言う。
「…それと今回の情報を入手するためにワシの部下が一人死んだ…。代わりにここの子供を一人いただいていく。」
「どこまで…!私は依頼を受けると言ったハズ!」
椅子から立ち上がり、俺はおもむろに窓を開ける。
「おう、カブトっつったか?お前もオニギリいる?うめぇぞ。ほれ。」
窓といってもガラスのない観音扉式の窓の外に居たのはメガネをかけた灰色の髪の子ども、カブトだった。
「あと、まだ重要な話の途中だから入ってくんなよ。つっても、もうすぐで終わるけど。」
動揺して返事を返さないオニギリを押し付け、窓を閉める。ノノウさんたちに向き直り、俺は笑顔で言う。
「子どもたちから忍になりたいってのもいるかもしれないんで尋ねてみてください。俺たちの活躍の話とか手当てして貰っていた時にちょこちょこ話していた忍もいたんで、それで興味を持ったやつもいるかも知れないですし。」
俺は笑顔で言った。どんな表情をすればいいかわからない時、俺は笑顔を浮かべるようにしている。けど、この時の笑顔は間違いじゃないだろうか?ノノウさんの顔を見て、そう思わずにはいられなかった。
+++
「…カブト。」
「カブト!オレらとの3年間を捨てんのか!こっちへ来い!」
「皆、院でのルールをわすれたのか?もうとっくに寝る時間だよ。」
ダンゾウ様の後ろからカブトの顔を覗き見る。
カブトの顔は笑顔だった。
+++
カブトを木ノ葉に連れて行き、更に“根”での生活の仕方などを教えて書類の手続きまで終わらした。そんな俺を誰か褒めて昼飯を奢って欲しい。
昨日からラーメンが食べたくて仕方がないんだ。特に、前々から気になっていた一楽のとんこつ味噌チャーシュー大盛りってのが食べたくてたまらない。
財布の中身を確かめる。
「…すんません、テウチさん。普通のラーメンお願いします。」
「あいよっ。」
待つこと数分。席に置かれたラーメンを啜っていると後ろから名前を呼ばれた。
「おい、ヨロイ!」
「なんだよ、忙しねぇな、ガイ。」
タイツにスカーフという、お前頭大丈夫かって出で立ちの少年が駆けてくる。
「帰って来てたのか?」
「今さっきな。」
「そうか…。ヨロイ、落ち着いて聞いてくれ。」
いつも以上に真剣な表情のガイを見て、かなり良くないことが起きたんだと判断する。
「なんだ?話せ。」
「オビトが…。うちはオビトが戦死した。」
それは予想を裏切る言葉だった。