一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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@11 第二の試験!!

中忍試験。それは意地と意地のぶつかりあい。クナイとクナイがぶつかり、上に向かって弾け飛ぶ。一瞬の隙をつき、アスマが左手の拳を繰り出した。俺はその手を右手で受け止める。

 

「やるな、ヨロイ!」

「お前もな、アスマ!」

 

ヨロイの手から飛んで行ったクナイがちょうどアスマの頭の上から降ってくる。アスマの目が細くなり、右手を上に向けたかと思うとその手には今まさに頭上から降ってきていたヨロイのクナイが握られていた。

アスマの左手を払い除けたヨロイも同様に上から降ってきたアスマのクナイを捕り、そのまま腕を振り切る。

一閃。

二人のクナイは再び火花を散らした。反動で二人とも右手が体の方に帰ってくる。だが、そのままでは終わらない。体の後ろに隠した右手のクナイを左手に持ち替える。左手を突き出すのと同時に右足のホルスターから二本目のクナイを出す。奇しくも、両者ともに動きは同じであった。無駄のない動き。そこから導き出される結果は一つであった。

力と力が拮抗し二人の動きが止まる。

 

「まさか俺と同じ動きができるなんてな。下忍じゃそうそういねーんだが…。」

「それはこっちのセリフだ。体術はチームの中で一番の自信があったっつーのに。体術バカのガイぐらいしか俺に勝てるのはいないって思ってたのによ。」

「ふん。さっき紅が言ったろ?俺たちを嘗めるんじゃねぇよ。」

 

アスマはニヒルに笑う。

 

「紅、アオバ!俺がヨロイの動きを止めて置く。この隙にシスイとエノキを頼む!」

 

その笑みは長く続かなかった。

 

「紅?アオバ?」

 

アスマはギリギリとヨロイを押しながらチラッと後ろを振り返るが誰もいない。続いて前方、ヨロイの後ろにいるハズのシスイとエノキの姿を探すがその姿は見当たらなかった。

 

「…どうなってやがる?」

 

アスマの呟きとともに周りの景色が歪む。

 

「なっ!体が…動かない!?まさか…!」

「そう………幻術だ。」

 

ドンっと見開きで俺の姿がアップで映ってたよ、今。今の俺…輝いてるよ!

ちなみに俺はアスマの後ろでクナイを両手に持ち、後ろ手で構えつつ前傾姿勢をとっている。自分で言うのもなんなんだが…パネェかっこいい。

 

「いったいどうやって?」

 

体が揺らいだアスマは地面に突っ伏す。敗者に適したいぃい恰好だ。

 

「解説してやろう。中忍試験第2次班対抗戦の前にエノキがおにぎりを配っていただろう?実はな…それにはある特殊な食材が入っていたんだ。」

「特殊な…食材?」

「マジックマッシュルーム。俺とエノキ、そしてシスイのチャクラに反応する特殊調理食材だ。俺たち三人の誰かがこのキノコを食った奴にチャクラを流し込めば、このキノコの成分と反応して食った奴に幻覚を見せる。」

「…俺の拳を受け止めた時か。」

「ご名答!その通りだ。俺がチャクラを流し込んだタイミングはそこだ。」

「幻術の掛け方は解った。けど、そんなキノコ見たことも聞いたこともない。」

「だが我が大蛇丸様の医学薬学は世界一ィィィ!できんことはないイイィーーーーーーッ!!このキノコは品種改良を重ね続けた最高傑作なのだよ!」

 

クククと笑う俺。

 

「ちょっと待てよ。そんな試験が始まる前に攻撃するなんて卑怯だ。」

「黙れ!気づかない方が悪い。このバーカッバカバカバカッ!」

 

アオバが何か言っているが知ったことか。やったもん勝ちなのだ!

 

「こんな卑怯なやり方に手を貸してしまった昨日の私を殴ってでも止めたい。」

「エノキ。かつて頂点に立った男はこんな言葉を残している。…どんな手をつかおうが…………最終的に…勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」

 

アオバの言葉でエノキは思わず顔を掌に埋めちまった。それを慰めるようにポンポンと肩を優しく叩くシスイ。…あれぇ?俺、仲間外れじゃない?少し口の中がしょっぱいのは気のせいだろうか?

 

で、あとは紅とアオバの二人だけ。二人に目を向ける。

夕日隊長の娘とは言え、幻術が全く効かない俺に対しては無力。二人の長所を潰し、後はレッツ蹂躙だ。二人を怯えさせるために目を瞑ってクククと笑う。

 

「さぁ、どう調理してあげましょうか?ん?」

 

目を開けると、目の前に足の甲が見えた。俺はそれを避けることもできずに、顔に鋭い蹴りが突き刺さるのを見ているだけだった。

 

「ふんぐぉ!」

 

蹴りの勢いがそのままに後方に吹き飛ぶ。ゴロゴロとしばらく転がっていく俺。足を地面につける紅。おそらく、紅は俺が目を瞑っている隙に一気に近づき跳び蹴りをかましたのだろう。あまりの痛みに顔を押さえて右に左に再び転がり始める。

 

「んぐぁっつ!…卑怯だぞ!」

 

顔の痛みが治まってきたので体を起こし、いきなり蹴りをかましてきた紅に向かって叫ぶ。

 

「目を閉じてたアナタが悪いッ!それよりアナタが卑怯って言うのはおかしい!」

「ヨロイ、因果応報ってやつだ。お前はもう休め。…後は、俺とエノキに任せろ。」

 

シスイがかっこよく俺の前に出る。…これだからイケメンは。惚れる。

さらにエノキも俺の前に出る。…これだから、…あー、あれだ、うん。ガンバ。

エノキに向かって生暖かい目を向けると、エノキが振り返り俺を睨みつけてきた。俺の考えていたことがわかったのかほっぺを膨らましてる。

 

「二人とも。後は頼んだ。」

 

俺が折れた鼻を治療している5分にも満たない間に試合は終わった。シスイがアオバを体術で組み倒し、すぐに紅と闘っているエノキのフォローに回る。紅はよくやった方だったが流石に二人を相手にすることはできず、最後はエノキにチャクラを流し込まれて昏倒した。ね、マジックマッシュルーム仕込んでおいて正解でしょ?

 

「そこまで!」

 

試験官の終了の合図が響き渡る。

 

「終わった~。…私たち勝ったんだ。」

「ああ。エノキ。よくやったな。」

 

シスイがエノキの頭を撫でているのを見ながら俺は立ち上がった。流石に二人の仲を邪魔するほど俺は無粋じゃない。次も試合が控えている。

…今度はどんな手を使おうか?

足取りも軽く俺はその場を後にした。

 


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